5スレ>>139


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状況は最悪。天候も最悪。
こうして、思考を回している間も、雷雲はマサラを包み込まんと大きく広がる。
やるしかない、と俺は覚悟を決めて指示を出す。
「いけ、カメックス」
「承知しましたマスター。勝利の栄光を貴方に」
俺の呼び掛けに頼もしすぎる声で答えたカメックスは、砲筒を揺らした。
そして、釣りあがった目でライコウを見据え、水の弾丸を発射した。
それは様子見の一撃。ハイドロポンプとは呼べない水の弾丸が、断続的にライコウに襲い掛かる。
ライコウは左右に身体を振って難なくかわして懐に潜り込んでくる。
身体を帯電させ、雷の砲弾と化したライコウは、一見脅威に思える。
特に、遠距離からの砲撃が主戦力であるカメックスのようなタイプなら尚更だ。
だがそれが、こちらの狙い。
完全にこちらのフィールドに誘い込んだと勘違いした相手の警戒心は、果てしなく緩くなる。
そこに零距離からの高圧縮弾を撃ち込む。これが俺達のシナリオだ。
シナリオの導くままに、地を蹴り跳躍して強襲しようとするライコウを捉え――
「ハイドロポンプ!」
――撃ち抜いた。
先ほどの様子見とは桁が違う砲撃が直撃し、ライコウの肢体は宙に投げ出された。
だが、それで済む伝説ではない。空中で体制を整えると雷撃を放ってきた。
電気ショックよりは強力な電撃。恐らく十万ボルトだ。
「まもれ!」
指示は短く、端的に。下手に長い指示は萌えもんを混乱させかねない。
俺の指示を耳に入れたカメックスは、相手の雷撃を背中に背負った甲羅で受け流した。
そして、牽制に水弾を数発発射し、ライコウを後退させる。
ここまでは俺達のペースだ。だが、これが砂上の楼閣である事は、俺が一番理解している。
この均衡は実に危ういバランスで保たれている。僅かでも指示を違えたり、遅れたりすれば泣きを見るのは自分達だ。
実際、ハイドロポンプの直撃を受けているにも拘らず、ライコウの方は余裕がある。
だが、こちとら一つ一つの攻防が綱渡りだ。はっきり言って疲れる。
一通りの攻防が終結し、小康状態になったので、俺は気晴らしに息を吐いた。
そんな俺の耳を拍手が打った。
見ると、女ロケット団が壁に背を預けてこちらに拍手を送っている。完全に観客気取りだ。
「いやいや、実に素晴らしい」
もったいぶった様に手を振って感情を表現する女。
精神的な疲労を溜め込んでる俺からすれば、噛み付いてやりたい衝動に駆られるが、我慢。手に人と描いて呑み込んで我慢だ。
そんな俺の様子を面白がるように女はクスクス笑う。
「別に皮肉で言ったわけではありませんよ。――いやしかし、まったくもって惜しい。
 こういった人材こそ、現在のロケット団に必要だというのに」
そう、と女は口の端を吊り上げて言った。
「萌えもんを戦いの道具と割り切り、かつ果断で的確な判断力。
 ロケット団として相応しい素養を兼ね備えているというのにねぇ」
女の言葉に頭に血が上りそうになる。落ち着け、アレは挑発だ。
そう思っても、俺の心に悔恨が込み上げてくる。
それでも、俺はまだ冷静だった。
だが、そんな俺とは対照的に、カメックスの怒りは頂点に達していた。
「マスターを――」
筒口から水が滴るほどに水を溜め込み――
「愚弄するなぁぁ!」
――それらを全て余すところなく、撃ちだした。
それは水の砲撃というより爆撃だった。
最早、ハイドロポンプという領域すら飛び越えたそれは――ハイドロカノンの領域にすら達していた。
その瀑布を前に、ライコウが咆哮した。
咆哮は暗雲から雷を呼び寄せ、それが壁となって瀑布の行方を阻む。
不味い! 俺の直感が告げていた。
「止めろぉ! カメックス!」
だが、俺の渾身の叫びも届くことはなく――
雷によって水が電気分解されて、酸素と水素が生じ――爆発した。
辺りを包む轟音。その衝撃の大きさに、俺は吹き飛ばされた。
「カメッ――ふぐぉ?!」
砂塵が飛び交い、視界が最悪という状況の中、俺はカメックスの安否を確認するために呼びかけようとした。
呼びかけようとして途中で声がつぶれている、という状況から察していただけるだろうが、
「はう? す、すみません、マスター」
と、俺の上にカメックスが飛び込んできたわけなのである。
カメックス自体は重くはないのだろうが、抱えている砲筒や甲羅の重みと落下の勢いも手伝って――その……
「重、い……」
「きゃ! す、すみません」
慌てて俺の上から退散するカメックス。
状況が状況なだけに、俺の問題発言にも目を瞑っていてくれるようだ。
いや、一回この発言をした少年に起こった惨劇は筆舌に尽くしがたい。勘弁してくれ本当に。
と、僅かの間だが、戦闘という緊張から開放された俺とカメックス。
未だに砂塵は収まっておらず、体勢を立て直すのにはまたとない機会であった。
相手のライコウの使用した技は十万ボルトと雷、そしてスパーク。
地面タイプが居れば圧倒的に優位に立てるのだが……。
極端におされている訳ではないが、逆に優位に立っているとも言えない状況だ。
「撃ち合ってみて、なんか感じたか?」
「そうですね……」
俺の質問を受けて、カメックスはしばらく黙り込んだ。先ほどに比べ、十分なほどに落ち着いている。
「やはり伝説と呼ばれるだけの力はあると思います。
 しかし、トレーナーとの連携があるわけではないので、付け入る隙は十分にあるかと」
カメックスの言葉の裏にある信頼が、俺には手に取るように分かった。
あんな扱いをした俺を、いまだに慕ってくれているカメックスが眩しかった。
過去の所業は消せないが、この輝きを消さないためにも、あいつ等を追っ払う。
爆発によって引き起こされていた砂塵が終息した。
それは、迷いを吹っ切った俺の心模様のようであった。


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「ホウオウとルギアは先行。カイリューは俺をマサラまで運んでくれ」
空のボールを三つ、残りの三つにはキュウコンとグレイシア、そしてフシギバナ。
既に、ホウオウとルギアは俺の指示を受けてマサラに向けて飛び立っている。
伝説――それもジョウト地方で伝説と謳われているライコウの平定には、二人が適役だ。
その二人を先行させて、俺はカイリューに跨って後を追う。
世界一周を十六時間で成し遂げる、脅威のスピードとスタミナを兼ね備えた彼女が最適だからだ。
「いくぜご主人。振り落とされないように、しっかりとオレにしがみ付けよ」
しっかりと、を妙に強調して言うカイリュー。頬も紅潮しており、なんだか嬉しそうだ。
「なんか良い事でもあったのか?」
「え? え、あ、い、いや別に……」
急にしおらしくなって小さくなったカイリュー。変な奴。
まぁ、体調はジョーイさんにも太鼓判を押されるほどに好調だから、心配はないだろう。
頬を膨らませて無言で睨みつけてくるカイリューを宥めて、俺はマサラへ向かって飛翔した。

「ちょっと、まっ――速すぎっ――!」
「我慢しろご主人」
前途は多難そうであるが……。


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戦いは泥沼になってきた。
相手の攻撃は苛烈を極めるが、俺たちの巧みな連携が、敗北の一歩前で立ち止まらせている。
地面は泥濘と化していて、些細な事で足をとられそうになる。
それは、ライコウのスピードを効果的に封じる結果となった。
自然と足を止めての撃ち合いとなり、俺たちのフィールドへ引きずり込む事が出来た。
だが、油断は禁物だった。
まだまだ遠雷であるが、雷の足音は着実に俺たちに近づいてきている。
機が熟せば、先ほどの雷を遥かに超える威力の雷が雨霰と降り注ぐ事になるだろう。
逆に言えば、天からの恵みを得る事でカメックスの火力は更に増すのだが、雷のことを考えると割に合わなすぎる。
ハイリスクローリターンもいいところだ。
そろそろ、もう一手講じるべきか。
俺は足下に目をやった。カメックスの砲撃により泥濘と化した地面。含んだ水分は実に豊富だ。
機動力を封じるなら、徹底的にやらなければならない。速さは、戦いの行方を左右する重要なファクターだ。
「カメックス、冷凍ビーム! 辺り一帯を凍らせろ!」
カメックスは即座に反応し、辺り一帯に冷気をばら撒いた。
足を取る泥濘から一転して、スケートリンクと化す足元。
摩擦が減少し、滑るようになった足場ではライコウの素早さが封殺できる。
これが、俺の秘策だった。
足を止めたままでもハイドロポンプなどを駆使して戦えるカメックスが相棒だからこそ、成しえた荒業だ。
「これはこれは、一本取られましたね」
クックックと笑う女団員。こいつが丁寧な口調のときは挑発や皮肉をふんだんに練りこんでいるときだ。
事実、ライコウの最高のアドバンテージを封ぜられたにも関わらず、余裕の笑みを覗かせている。
女は笑みを止めると、空を仰いで話し始めた。
「不思議だとは思わないかね?」
あまりにも唐突な問いかけに、俺は反応を返す事が出来ない。
視線を俺に戻して、女は言う。
「彼女達萌えもんと私達人間の差は、外見においてはそんなに――尻尾や耳といった部分はあれども、
 そこまで差はない。
 だが、蓋を開けて見ればどうだ。彼女達には私達にはない不思議な力が備わっている。
 そこの違いは何なのか? 君には分かるか?」
多くの人間が、萌えもんだからという理由で見過ごしてしまいそうな問いだ。
そこに気付くこの女は、やはり有能なのだろう。
「ロケット団は結成当初からこの研究を続けてきた。
 そして、ある事実に至ったのだ」
懐から妙な機械を取り出す女。小型のパラボラアンテナが付属しているそれを、女は愛しそうに撫ぜる。
それからは嫌な予感が拭えない。
ロケット団が作成したブツだ。碌な物のわけがない。
「各萌えもんのゲノムとヒトゲノムとの差異は極々僅か。
 その僅かな差異に、妙な因子が紛れ込んでいたのだよ。
 我々は、それが萌えもんの力の源である事を突き止めたのだ」
何処の使途だという思考は捨て置いて、俺は考察を開始した。
恐らく、萌えもんとヒトの違いを分けたのはポケモンの因子であろう。
ヒトの身体にポケモンの因子が入り込んだ存在が、萌えもんだという事か?
思考の海にどっぷりと潜り込んだ俺を無視するかのように、女は話を続ける。
「その因子を取り出す事にはまだ成功していない。なにせかなりデリケートなものなのでな。
 だが、ある実験は成功した。その因子を活性化させ、戦闘能力を限界まで高める実験だ
 ――予めロケット団特製の催眠電波を浴びせておく必要があるがな」
まさか、と海から急浮上した俺を見据えて、女はニヤリと唇を吊り上げた。
「残念ながら各萌えもんによって因子が大きく異なるので、催眠に成功した全てを凶暴化させることは出来ないが――」
機械のスイッチに手を添えた女は、不敵な笑みを浮かべた。
「ライコウの因子を活性化させる電波は、既に判明済みなのだよ」
言いながらスイッチを押す女。
瞬間、ライコウの纏っているオーラが爆発的に増加した。
溢れる力が目視できる程に、ライコウの力が膨れ上がっているからだ。
そして、ライコウの咆哮が天を貫いた。
途端に降り注ぐ雷撃。そこには見境など存在せず、ありとあらゆる物を薙ぎ払わんと天が牙を剥く。
その余りの威力に、凍った大地が砕けて破片が飛び散る。
その魔の手はただ一つの例外もなく、全てを破壊する。だから――
「すまん、カメックス」
「いえいえ、お気になさらずに」
俺は現在、カメックスに抱きとめられている状況なのだ。
迫り来る雷は、カメックスの甲羅に受け流されている。とはいえ、カメックスにかかる重圧は尋常ではない。
たださえ苦手なタイプの技を一身に受けている上に、俺を庇うという事までこなしているのだ。
冷静なカメックスの面に疲労の色が見て取れる。
降り注ぐ雷がようやく止んだとき、カメックスは既に満身創痍だった。
背中に背負っている甲羅には焦げがこびり付き、蒼空のようだった髪の毛も無残な有様だ。
だが、俺達は諦めていなかった。
こと、ポケモン勝負に関しては脅威の粘りを見せる俺だ。最後の一体が倒れるまで勝負は分からない、というのが信条だ。
「まだ諦めない……。ますます惜しい。その不屈の精神力をうちの団員にも見習わせたいものだな」
「随分根性のない団員を飼ってるんだな」
俺の辛辣な一言に、傍に居たヒラががっくりと膝をついた。
この会話の最中、ライコウは大人しくしている。
いや、放つオーラは健在だが、彼女の指示を聞いているようで、かなり理性的な部分が残っている事が推察できた。
「とはいえ、予定が詰まっているのでな。スマンが、これにてお開きだ。――ライコウ!」
女の呼びかけにライコウは喉を震わせた。
暗雲から雨が降り始め、マサラタウンは雷雲の支配下に入った。
こうなると、雷を受け流すという荒業が出来なくなる。
万事休すか……。
「マスター……」
カメックスの悲痛な声が、俺の耳を打つ。
天を仰いだ俺の目に、金と銀の光が映った。
神は俺を見捨てなかったか!
降って湧いた希望に俺の心境も軽くなる。
「カメックス、首を引っ込めておけ。合図があったら、すぐに突っ込むんだぞ」
「了解しました」
俺はカメックスに指示を飛ばし、二つの光を目で追った。
女はまだ気付いていない。
「遂に観念か? まぁ、よく戦ったといったところだろう」
勝手に批評を始める女。
言ってろ。俺にはまだ希望があるんだ。
「これにて――終曲だ!」
女の掛け声と共に、ライコウの咆哮が雷を呼び寄せた。
天から降り注ぐ光の束が、俺とカメックスを襲う。
だが――
「っな?」
空から発射されたハイドロポンプが、雷と俺たちの間に立ち塞がった。
女が突然の事態に驚いている間に、空に立ち込めていた暗雲が掻き消えていく。
マサラに青空が戻った瞬間であった。そして、今こそ絶好の好機!
「行け!」
俺の合図でカメックスが突撃する。
ロケット頭突き――抱えた砲筒から繰り出される砲撃によって推進力を増し、強烈な頭突きをお見舞いする技だ。
その際の衝撃から首を守るために甲羅の中に首を引っ込める必要はあるが、その威力は絶大だ。
更に付け加えるなら、今まで遠距離からの攻撃に徹していたカメックスの突然の特攻。
まず間違いなく、相手の判断力は冴えを失う。果たして、物事は俺の思い通りに運ばれた。
カメックスの突然の特攻に狼狽したライコウは一瞬判断が遅れ――その鳩尾に強烈な一撃を頂戴した。
そのままライコウはもんどりうって倒れこんだ。
相当なダメージだったのだろう。激しい敵意を見せながらも、ライコウは立ち上がろうとしない。

その隙に金と銀の光が舞い降りた。
荘厳で強烈な存在感。まさしく、ジョウト地方の伝説であるホウオウとルギアである。
ジョウトの異変を察知して、ライコウの気配を追ってきたのだろうか。
「おお、坊の言ったとおりのしぶとい男だの」
「まさかライコウを相手にして水タイプで耐え切るとは……。なんというトレーナーだ」
それにしては会話がおかしいのが気になるが……。
そんな疑念を捏ね回しているうちに、空に一つの影が現れた。
高速で飛来するそれは――どうやらカイリューのようだ。
背に乗っている人物は、俺がここに来て初めて出会ったあの少年のようだ。
「大丈夫でしたか?」
俺の安否を気遣う少年だが、俺からすればお前のほうが心配だ。顔が紫になっている。
「いや坊主、俺はお前のほうが心配だ」
俺の言葉にうんうんと頷く、伝説二人。あれ? もしかしてお知り合い?
だが、それを聞くのはマズイ。余りの急展開に放心しているが、まだ女はいる。
下手に少年と伝説との間の関係を疑われても困る。
「くっ、これは想定外の事態だ。仕方ない。これだけは使いたくなかったが――ライコウ!」
女は機械のツマミを右へと傾けた。
「少年は知らないだろうがね、この機械は萌えもんの戦闘能力を大幅に高める事が出来るのだよ。
 その力を最大限発揮させるとこうなる」
ライコウの咆哮がただただ響き渡る。
そして、ライコウの身体に変化がおき始めた。
黄色い服に隠れていた手と、裾から僅かにはみ出た可愛らしかった足が、獣の――ポケモンのそれへと変わっていく。
顔は獰猛な笑みを湛え、可愛らしかった雰囲気が一変した。
「これは……」
少年が余りの光景に言葉をなくす。
ショッキングなその光景は、俺と少年の注意を逸らすには十分過ぎた。
そして、その隙が仇となった。
完全な晴天であるマサラに雷が走った。文字通りの青天の霹靂だ。
その雷が俺に向かって襲い掛かってきた。
「マスター!」
突然の事態に対応できなかった少年達は動く事が出来ない。
俺を庇ったカメックスも満身創痍。チェックメイトだ。
目を瞑った俺はカメックスの温かさと、瞼の裏に張り付いた緑の光を感じて、意識を手放した。


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次に目が覚めたとき、そこは見慣れた天井だった。
小さなワンルームのアパート。テレビにはWiiが繋がっている。
そして部屋の隅にはデスクトップパソコンが鎮座し、
戸棚には歴代のポケモンのゲームが陳列されている。何を隠そう俺の部屋だ。
ここが自分のアパートだと感じた瞬間、俺の体を脱力感が襲った。
なんという趣味の悪い夢だ。
俺は自分の不甲斐なさを呪いつつ、テーブルの上にあったDSの電源を入れた。
レポートを選択すると、流れ出したのは209番道路の音楽。
卵を孵化させるために幾度となく聞いた曲だが、今回は妙に耳に障った。
俺はDSの電源を落として、バトレボを起動させた。
とりあえず真剣なバトルに興じれば、この鬱屈した気分も晴らせると思ったのだ。
結果は惨敗。読みがまったく当たらず、嘗てないほどの大敗を喫してしまった。
原因ははっきりしていた。集中できていないのだ。
頭の裏にちらつく幻影が俺から集中力を奪っている。

――マスターをお助けするのに何か理由が必要ですか?

――では、そのお話は後ほど。

夢だ。ただの夢だ。そう思えば思うほどに、この身体に感じたカメックスの温かさの残骸は尾を引く。
何が、後ほどだ。バカが。
心の中でカメックスに八当たりをしながら、俺はニコニコ動画へと飛んでいた。
萌えっ娘もんすたぁで検索すると、かなりの数の動画が出てきた。
その中で、俺は嘗てランキングに上った事のある動画をチョイスした。
昔懐かしい、ポケモン言えるかな? の曲にのって様々な萌えもんが現れ消えていく。
そのどれもが、夢の中の研究室で見たものばかりであった。
そしてカメックスが画面に現れたとき――俺の手は、自然と停止ボタンを押していた。
食い入るように見つめた後、俺はパソコンの電源を切った。
何をするにも倦怠感が付き纏い、何をする気にもなれない俺はリュックを整理しようと、ひっくり返した。
ころりと転がり出たのは一つのボール。赤と白に分けられたそのボールを、俺はゆっくりと手に収めて――
「お待ちしておりました。マスター」
俺は、再び彼女と出会った。



――了――
ツールボックス

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