5スレ>>165


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「お腹すいた」
 店もなければ、野生の果物もない、そんな山道で少年はお腹を押さえる。
 少年のお腹からはぐぎゅるるる~と、盛大な音がしていた。
 近道しようと道をそれて、見事に迷って山の中。
 リュックの中には食べ物は何もなく、飢えは癒されそうにない。
 そんな少年に、何かが入った器が差し出される。
「私の食べかけでよかったらわけてあげるわ。
 あなたのために作ったわけじゃないんだからねっ、私が食べたかっただけなんだから」
 ラプラスが赤い顔を背けて言う。
「ありがとぅ~」
 少年は心底嬉しそうに器を受け取り固まった。
 器の中身は、溶けかけのカキ氷。勢いよく現在進行形で溶けている。
「なにこれ?」
「カキ氷塩味」
「なんで塩?」
「唯一あった調味料だから」
「塩入りとはいえ、ただの氷じゃん! 栄養ないよ!」
 この会話の間にカキ氷は溶けきって、とても冷たい塩水になった。
「私の作ったカキ氷が食べられらないっていうの?」
「せめて甘さがほしいよ!」
「一からの手作りなのよ? それくらいは我慢してもいいじゃないの」
「手作りって、そういえば水もないのにどうやって?」
「ハイドロポンプをれいとうビームで凍らせて、いわくだきで粉々にしたのよ」
 どおりで氷の粒が粗かったはずだ。
「ほんとに一からの手作りかい」
 少年は手の中の器をじっと見る。
 やがて覚悟を決めたのか、ぐいっと一気飲み。
 そこまで覚悟のいるものじゃないだろう、という突っ込みはしないでもらいたい。
「辛っ!?」
 訂正しよう。覚悟の必要な飲み物だったようだ。
「あ、味の感想を言いなさいよ」
 少しだけ期待の込められた声色で聞く。
「言わなくてもわかるだろ! っていうか一文字で表したよ!」
「海水よりましだったじゃない」
「海水を基準にするな」
 水を確保できることがわかっただけでも儲けもの、そう考えて少年は歩き出す。
 ラプラスも隣を歩く。
 二人が街についたのは、この出来事から一日後のことだった。
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