5スレ>>172


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(このSSには未成年者が飲酒する描写のようなものがありますが、それは錯覚です。断じて見間違いです)

思えば、何故こんなことになってしまったのか。
あの仲良く過ごしていた日々が、萌えもんリーグを共に闘った日々が走馬灯のように…。
「アンタ、なに1人でトリップしてんのよ!?」
「これはそなたにとっても重大な問題なのじゃぞ?」
「兄ちゃんがスパッと決めれば済んだ話なんだよ!?」
(∩゚д゚)アーアーきこえなーい
というワケにもいかず、かといってどうすることもできず、俺は呆然と立ち尽くしていた。
この状況を説明するには、いささか時間を巻き戻さなければならない。


これは萌えもんトレーナー・レッドと、彼を取り巻く萌えもん達の、ちょっと複雑な関係の話。




【おつきみ山の酒宴】


「いやぁ、ここも久しぶりだなぁ」
ニビとハナダの両都市を結ぶ3・4番道路。
俺達は、その中にポツンと立つ萌えもんセンターに来ていた。
「ここで少し休憩してから行くか」
道中、他のトレーナーとの勝負も野生萌えもんとの戦闘もなかったこともあり、
ジョーイさんに萌えもんを預けることもなく、次々とボールから呼び出した。

「ご主人様、おはよう。良い天気だね」
一番最初に出てきたこいつはフシギバナ。
思えばオーキド博士から譲り受けて以降、ずっと一緒に旅をしてきた。
お互いの事なら何でも知ってる心強い相棒だ。俺をご主人様と呼ぶ唯一の萌えもんでもある。
「マスター、どうしてここに…?」
次に出てきたのはオニドリル。
この旅で自力でゲットした最初の萌えもんだ(ゲットした時はオニスズメだったが)。
あまり喋る方ではないが、いざという時には全力で俺をサポートしてくれる、副官のような存在となっている。
「あ、あの、おはようございます。レッドさん」
すこしどもりながら出てきたのはサンドパン。
サンドの時にたまたま出くわしたゲットしたのだが、生来の気性なのか、どうにも恐縮した物言いが多い。
だが個性的な我がパーティーのまとめ役として、欠かすことの出来ない存在である。
「どうしたの? 兄ちゃん」
続いて出てきたのはピカチュウ。
このパーティーで最も遅くに仲間入りした娘だが、今や元気いっぱいのムードメーカーとなっている。
背伸びしたい年頃なのだろう。何かと大人萌えもん達の真似をして周囲を振り回すこともしばしばである。
「ふむ。初めて来る場所じゃのう…」
ゆっくりとした動きで出てきたのはキュウコン。
聞いての通り、かなり変わった話し方をする。考え方も古風というか老成されていると言うか、見た目通り大人っぽい。
ちなみに年齢の話をすると、凄まじいお仕置きをされるので、パーティー内でもそういった話は出ない。
「いきなり呼び出して何よ? つまんない用事だったら怒るわよ」
そして最後にダルそうに出てきたのがギャロップ。
ワガママで、よくサンドパンが難儀しているのを見かける。唯我独尊を地で行くような娘である。
だがその実力は折り紙付きで、今まで何度助けられたか分からない。だが感謝を述べる度に顔を真っ赤にして怒るのは何故だ?

ちなみにキュウコン、ギャロップ、ピカチュウは、ここに来るのは初めてだ。
3人は萌えもんセンターの窓から、しきりに外の様子を伺っていた。
もっとも、ピカチュウは背が届かないため、キュウコンに抱きかかえられてやっと顔を出せたのだが。

「今日はお月見をしに来たんだ」
「お月見?」
ピカチュウが、よく分からないといった顔でこちらを見ている。
キュウコンがお月見についてざっと解説したくれたのだが、それを聞いてギャロップが怒りだした。
「私はパスよ。くっだんない。そんな事でいちいち呼び出さないでよ」
サンドパンがあわててなだめに入るが、これはいつも通りの光景だ。
「まぁ聞いてくれ。皆、萌えもんリーグが終わってドッと疲れてるだろ? 昨日は休養日にしたけど、今日は頑張ってくれた皆にささやかだながら恩返しがしたいんだ」
「恩返し、ですか?」
フシギバナが解せないといった表情をつくる。
「私達こそご主人様には感謝してもしきれませんよ。栄えある萌えもんリーグに殿堂入りできたのは、ご主人様のおかげですから」
くぅぅ、うれしいこといってくれるじゃないの。
さすが相棒。
「とにかくそういうわけなんだ。ギャロップも頑張ってくれたし、今日は是非恩返しさせて下さい!」
「わ、私は別に、あんたのためじゃ…」
数分の間があった。ギャロップも考えあぐねているのだろう。
(…天然女たらし)
「ん? どうしたオニドリル?」
「いえ、何も…」
このまま夜になるんじゃないかと思う長い静寂のあと、口火を切ったのはキュウコンだった。
「面白そうじゃのう。わらわはこの場所に来たことがない故、散策してみたい。主の好意を無碍にもできぬしな」
「わ、わかったわよ。つまんなかったらすぐボールに引っ込むからね!」
どうやらキュウコンの言う事にはギャロップといえど逆らえないらしい。
年の功かとは死んでも口に出さないが、キュウコンGJ。
「お月見ですかー。良いですねー♪」
緊迫した空気が解けたことにボッとしたのか、サンドパンが手を合わせてにこやかな表情をつくる。
「で、それがお月見の荷物ってわけ?」
「ああ。それを分担して…」
「持たないわよ。あんたの恩返しなんでしょ?」
出鼻を挫かれたか。
しかし、鍋やら瓶やらたくさんあるこの量を俺1人で持っていくのはさすがに骨が折れるな。
「あの、私でよければ」
サンドパン、お前は良い娘だなぁ。
なでなで…
「(ムカッ)  も、持てばいいんでしょ! 持てば!」
「わらわも手伝おう」
「ピカチュウはその小さい荷物ね。他のは重いからね。これはご主人様に渡して」
「は~い」
うんうん、皆やっとノリ気になってくれたみたいだな。
「…マスター」
ただ1人、この娘を除いては。
「私は………」
「今日は難しい話はナシ。皆に息抜きしてもらいたいんだ。もちろん、オニドリルにも」
「………」
意気揚々とおつきみ山に向かう道中、オニドリルは終始無言で後ろをついてきていた。


「ここだよ。絶好のお月見スポットなんだ」
おつきみ山の中を進み、少し開けた場所に出る。
ピッピがダンスする光景が度々見かけられるといい、お月見山観光の名所である。
幸い、今はシーズンが外れているため、ほとんど人は通らない。
ロケット団も撤退し、おつきみ山には再び静寂が戻ったようだ。
「うわぁ、凄い」
「綺麗ですねー」
「うむ。それに静かじゃな」
素直に感動してくれる3人。
「まぁアンタが選んだにしては、そこそこの場所ね」
「………」
素直に感動してくれない2人。
「ご飯ー♪ ご飯ー♪」
花より団子(この場合、月より鍋か?)なのが1人。
楽しみ方はそれぞれだけど、ファーストインプレッションは上々か。良かった良かった。
「さて、それじゃ準備を始めよう」
野生萌えもん達、今日は少しだけ騒がしくなるけど、大目に見ておくれ。


「それじゃ、今日は無礼講だ。下手な前置きもナシ。みんなお疲れ様、乾杯!」
『乾杯!!』
そこからの流れは楽しいもので、美味い鍋に美味い酒を堪能した。
ピカチュウはお立ち台のようになっている所で踊りだすし、途中で楽しそうな雰囲気を感じたのか、ピッピ達もお酌に訪れてくれたし。
思い出話も弾み、一芸の披露など、ごく普通の宴会の様相だった。
だが、ピッピが帰り、宴会も終盤に差し掛かるかといった時。
その一言は発せられた。


「ところでそなた、この中で誰が本命なのじゃ?」


………一瞬で空気が凍ったのを感じた。
キュウコンめ、さっきのGJは撤回だ。
「だ、誰といっても…」
「酒の席といえばこのテの話は付き物じゃろう? 『こいばな』とかいうやつじゃな」
くそぅ、俺の反応を見て楽しんでるんだな。
「わ、私もその話、聞きたいです」
おおサンドパン、お前もか。って、顔真っ赤じゃないか。
仕方ない。頼む相棒、なんとかこの場を丸く収めてくれ。
「フシギバナ、お前からも何とか言ってやってくれ」
「ご主人様は、どう思ってるんですか?」
ダメだ、目がすわってる。
「兄ちゃんはピカのものだもんねー?」
ピカチュウ、頼むからそんなマルマインの大爆発級な発言をするのはやめてくれ。
「ギャロップ、お前はそんな話興味ないよな? な?」
「あ~? 元はといえばあんたが悪いんでしょ~? この優柔不断男」
ぐはっ。そういやこいつはこういう奴だった。
「つうかさ~。あんたみたいな鈍感な男にずっとついてきた理由なんて1つでしょ~? あんたがいつか気づいてくれると思ってるからよ~」
「え?」
「ここにいるみ~んな、あんたのこと好きなのよ~? だからちょっとでもあんたの目にとまろうとして、必死に修行して、リーグまでついてきたんじゃな~い」
ギャ、ギャロップさん? 口調がさっきから変です、よ?
「…勝負すれば良い」
オ、オニドリル。まさかお前まで…。冷静さがウリじゃなかったか!?
「………文句言いっこなし。飲み比べ勝負。勝者がマスターへのアタック権を得られる」
「ま、待ってくれ!! 俺はそんな…!!」
「じゃあご主人様が指名して下さい。私、信じてますから」
そういってギュッと目をつぶるフシギバナ。
うぅ、そりゃ確かにお前とは一番長い付き合いだけど。
壁|д゚)ジーッ
サンドパンよ、その熱い視線が今は猛烈に痛いぞ。
「ピカだよね? ね?」
「あ、あんたがどうしてもっていうなら、よろしくしてやっても良いけど」
おおキュウコン、お前の一言がとんでもない事になったぞ。
という意思を強く込めてキュウコンをキッと睨んだのだが…
(キャッ///)←頬を両手で押さえて
こんな反応をされる始末。どこで覚えたそんな仕草。
「ああもうっ! 勝負でも何でもしてくれ!」
かくして、俺への求婚権をかけた飲み比べ勝負が始まったのだった。
キュウコンの一言だけにって、やかましいわ!!


さて、これで冒頭の展開が理解できただろうか。
それからはお互いの意地の張り合いで、言葉で牽制しながら酒をみるみるうちに消費していく。
ピカチュウは早々にダウンし、サンドパンももうフラフラだ。じきに倒れてしまった。
頼むから無理して身体壊したりしないでくれよ、と願いながら、俺は勝負の経過を見守っていた。
「なんりゃだらしにゃい。この程度も耐えられんにょか?」
「こ、このウワバミめ…」
お、ギャロップが倒れそうだ。キュウコンも呂律がまわっていない。
地面で後頭部を強打してしまわないよう、あわてて抱きかかえに行く。
「わ、私、一度でいいから、あんたのこと、マスターって呼びたかった、な…(ガクッ)」
「ギャロップ!!」
まさか、そんな…。
「ぐー」
殴るぞ。
「ず、ズルいぞギャロップ…。わらわも主の腕で…」
ぐおっ。一気に二体は無理だって!!
なんとか2人を寝袋に寝かしつけたが、これ以上はさすがに危険じゃないのか?



残るはフシギバナとオニドリルの2人。
くしくもこのパーティーの古参が残る形となったわけだが、その雲行きは非常に怪しいようだ。
ピリピリとした空気が、2人の間を漂っている。
「やっぱり私達が残ったね」
「………」
フシギバナが深く酔っている一方、オニドリルはケロッとしたものだ。
「お、おい、2人とも。そろそろ…」
「ご主人様は黙ってて下さい! 私だって、言いたいことはいっぱいあるんです!」
フシギバナのあまりの気迫に、俺は次の言葉を紡ぎ出せなかった。
「………」
「確かにあなたの実力は認めるよ。頭の回転も速いし、戦っても強い」
「………」
「それで、ご主人様のそばにずっといるようになるのもわかる。頼られるのも。でも、それがどれだけ私を傷つけたかなんて分からないでしょう!?」
酒のせいもあるだろうが、普段では考えられないほどの感情を吐露するフシギバナに、圧倒される。
「研究所でご主人様が選んでくれた時、凄くうれしかった! ずっと私が相棒だと思ってた。一番頼ってくれるのは私だった。でも、あなたはいつの間にかそこに入り込んできて…」
涙をボロボロと流し、今にもオニドリルにつかみかかりそうな勢いでまくし立てる。
「………」
「私のご主人様を返してよ! どうしてあなたなの!? どうして私じゃないの!?」
それは違う。俺はいつでもお前を最高の相棒だと思ってきた。
そう言おうとした刹那、オニドリルがその堅い口を開いた。
「……言いたいことはそれだけ?」
オニドリルの表情は普段と変わらない。
だが心なしか、悲しみと憤りがない交ぜになっているようにも見える。
その変化はとても微妙だが、ずっと隣でオニドリルを見てきた俺には分かる。
「…じゃあ、この茶番は終わり」
「茶番って、私はっ!」
言うが早いか、オニドリルの腕が、優しくフシギバナを包み込んだ。
「えっ?」
「……ありがと。あなたの本音、聞きたかった」
フシギバナは呆気にとられたような表情を浮かべる。
「……ごめんなさい。あなたの気持ちには気付いてた。……でも、私もマスターに頼られるのが嬉しかったから…」
「それが何よ! あなたさえ、あなたさえいなければ!!」
オニドリルの腕の中で、フシギバナは尚も抵抗する。
酒で既に顔は真っ赤だが、それを覆う涙の跡が、とても痛々しかった。
「……それに、嫉妬もしてた。ずっと隣にいても、あなたとマスターを繋ぐ絆が、もっと近くにある気がして……」

「それを消してしまいたかった」

この言葉を、フシギバナはどう受け取ったのか。
俺にとっては驚きもあるし、何より悲しかった。
俺がフシギバナといる時、俺がオニドリルといる時、お互いにこんなことを思っていたことが、ただただ悲しかった。
「……でも、これでやっと対等。本音を打ち明け合ったんだから、喧嘩は終わり……」
「うぅ、うわああああああああああああ!!!!!!!!!」


長い時間、そうしていたように思う。
大声で泣きじゃくるフシギバナを、オニドリルはただただ抱きしめ続けていた。
いつの間にか、怒号は嗚咽に代わり、やがて、それも止んだ。
オニドリルは穏やかな声で、そっとフシギバナに話しかける。
「……頑張ろ。マスターも、きっと応えてくれるから」
「うん…」
そういうと、オニドリルはフシギバナをゆっくりと横たえた。
俺は急いで寝袋の準備をすると、フシギバナは自分でその中へと入り込んだ。
「ごめん。酷いこと言っちゃった」
「……いい。私こそ、ごめんなさい」
寝袋に顔を半分ほどうずめ、恥ずかしそうに言ったフシギバナに、オニドリルも応える。
「ご主人様、変なトコ見せちゃいました」
「気にすんな。お前の気持ちは確かに伝わったから」
普段、パーティーの最古参として自分を律していたフシギバナが、あそこまで感情をむき出しにすることなんてなかった。
多分、凄く怖かったんだろう。さっきはああいったとはいえ、フシギダネだったこいつに最初に出来た友達が、捕まえた当初のオニスズメだった。
それを失うかもしれない恐怖と戦いながら、それでも本音をぶちまけてくれたことを思うと、急にこいつが愛しく感じる。
よく頑張ったねという想いを込めて、フシギバナの髪をそっと撫でてやる。
「えへへ (///)」
照れくさそうに言うと、フシギバナはそっと目を閉じた。
泣き疲れたのか、はたまた酒のせいか、すぐにスゥスゥと寝息を立てはじめるフシギバナ。
「……よく寝てる」
「そうだな」
「……マスター」
「ん?」
何か言いたげな顔で、じっとこちらを覗き込むオニドリル。
「……ちょっと」
俺はオニドリルに促されるまま、お立ち台のほうへと足を運んだ。


オニドリルと2人、お立ち台の階段状になっている部分に腰掛ける。
「……綺麗だね。月も、星も」
「ああ」
見上げると、満天の星空に、これまた綺麗な満月が浮かんでいる。
昼頃まであった多少の雲も今は流れ、まさにお月見にはうってつけの空模様だった。
「……」
「どうした?」
「……ごめんなさい。ズルした」
「ズル?」
唐突な発言に多少困惑するものの、そのままオニドリルの話に耳を傾ける。
「……お酒、ほとんど飲んでない。飲んだフリして黙って吐き出してた。発案者なのに……」
「そうか」
思慮深いこいつのことだ。
何かそうしなければいけないワケがあったんだろう。
いや、理由はさっきのを見れば分かる。
「フシギバナと話をするためか?」
「………」
黙って首を縦に振った。
「でも、フシギバナがあそこまで残らない可能性もあったじゃないか。飲み比べじゃなくたって、他に方法はあったろ?」
「……あの子は、凄く飲める。多分、キュウコンとギャロップが組んでも、勝てない」
それは驚きの事実だ。
何せフシギバナが酒を飲む姿を、俺はほとんど見たことがない。
あっても、キュウコンとギャロップが勢い良く飲んでいる横で、ちびちびとやっているのを見たぐらいだ。
「……マスター、知らなかった?」
「初耳だよ」
「……ピカチュウが実は進化したがってることも? サンドパンがマスターの枕元に、そっと安眠用のハーブを置いてくれてることも?」
「ああ、全然」
思えば、休養日にパーティーの皆が何をしてるかなんて、てんで考えたこともなかった。
オニドリルと次の街への行程を打ち合わせしたり、薬の買出しに行ったりして、他のメンバーと一緒に行動したことはあまりない。
「……何も知らないんだね、あの子達の事」
「面目ない」
呆れ顔でため息をつくオニドリル。
これじゃフシギバナを追い詰めていたのも当然か。いや、他のメンバーのことも、きっと…。
「…でも……これから知ってくれればいい」
思いがけない言葉だった。
てっきり、パーティーのリーダーとしての資質を問われているのかと思ったからだ。
「…だから……あの子達にも教えてあげてほしい。マスターのこと」
「俺のこと?」
そうか。俺が皆のことを知らないってことは、皆も俺のことを知らないんだ。
だから俺が何を考えてるのかも分からなくなって、今日みたいな事を…。
「…デートとか、相談とか、いっぱいしてあげて。皆と1対1で向き合って、皆のこと知って、その上で結論を出してほしい……」
そうだ。皆のこと知らないなら、1から知っていけばいいんだ。
そして、俺のこともたくさん知ってもらおう。
理解してもらえれば、今日みたいなことも防げるはずだ。
内容はどうあれ、やっぱりメンバー同士の喧嘩を見るのは辛かったからな。ただ…
「分かった。ただし、条件がある」
「……?」
少し驚いたようだ。なに、大した条件じゃない。
「お前ともデートするぞ。いっぱい相談するぞ。そっちがイヤっていうぐらいに」
「…私は……ダメだよ……。今までいっぱい、独り占めしてきたから…」
ああ、やっぱりか。
こいつはいつもそうだ。気にかけるのは他人のことばかり。考えるのはパーティーの皆のため。
今だってあの子達、あの子達って、じゃあ自分はどうするんだっての。
「今までのはパーティーの副官としての役割だろ? 俺は素のお前をほとんど見たことがない。知ってるとしたら、オニスズメ時代のちっちゃいお前ぐらいなもんだ。俺もガキだったけどな」
言いながら、フシギバナにもしたように、オニドリルの髪を優しく撫でてやる。
「うぅ……(///)」
皆の気持ちは嬉しい。だからこそ壊さないように、そっとしていたのかもしれない。
今まで気付かなかったフリをしていただけなのかもしれない。
でも、それじゃダメなんだと今日実感した。
俺が何も行動しないのは結局、皆の気持ちを追い詰めていることになるんだな。
「…マスター、卑怯……」
「どうして?」
「そんな風に言われたら、イヤって言えない…」
ほら。クールな女だと思っていたこいつだって、こんなに可愛らしい一面がある。
そんなことも知らなかったんだ。
これからもっと皆と一緒にいよう。
こいつとも、フシギバナとも、サンドパンとも、ピカチュウとも、キュウコンとも、ギャロップとだって。
トレーナーと萌えもんの間に一番必要なもの、信頼と絆。
今日やっと、本当に分かった気がするから。


《後日談》
「んで、結局あの勝負はどうなったワケ?」
ギャロップがいつもの不機嫌オーラ全快で問いかける。
「お流れではないのかのぅ。主が『皆寝たから結果不明』と言っておるではないか」
「でもピカ、なんかおっきい声で怒鳴りあってるの聞いたよ?」
「私も聞きました。内容までは覚えてませんけど、凄く大きな声だったと思います」
ありゃありゃ、先にダウンした2人が聞き耳を立てていたとは盲点だったな。
「なんで飲み比べなんかしたのかも覚えてないし。あぁ~、なんで審判のあんたが寝ちゃってたのよ! ムカツクわね!!」
「あんなペースについていけないっての。な~んにも覚えてりゃしませんよっと」
烈火のごとく怒りをぶつけるギャロップに難儀する俺だが、サンドパンが助け舟を出してくれた。
「そういえば、フシギバナさんとオニドリルさんがいませんね。もう夕方なのに」
「ピカ、探してくる!」
「あの2人なら、大事な話があると言って昼過ぎに出て行きおった。なに、もうすぐ戻ってくるじゃろう」


「ちょっと買いすぎじゃない?」
「…いい。失敗を考慮した結果……」
肩を並べ、両手いっぱいの荷物を抱えて歩く2人。
そこには以前のような、互いを牽制するような刺々しい空気はなく、和やかな雰囲気が流れていた。
「手料理かぁ。でも経験ゼロの私達じゃ、きっと上手く作れないと思うけど」
「それでいい…」
「?」
フシギバナが怪訝そうな表情でオニドリルの顔を覗き込む。
「…料理下手だって知ってもらえるのも、1つの進歩……」
そう言いながら駆け足になるオニドリル。
「え? あ、待ってってば~」
それをフシギバナは追いかけながら、2人は皆の待つレッドの実家へと向かうのだった。



    -END-



【要らないあとがき】
(´・ω・`)萌えもんSS初投下です。ほのぼの、ギャグ、シリアスを全部ひっくるめようと思ったら、こんな中途半端な出来に…。セリフも途中からクサイし。フシギバナとオニドリル以外は空気になっちゃったし。
でも自分なりの萌えもんへの愛は書き出せたと思います。現に脳内設定をこれにして萌えもんをプレイしたら、普通のポケモン以上に楽しめました。
またROMに戻りますが、皆さんのSSは楽しんで読ませていただいてますので、これからも頑張ってください。それでは。
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