5スレ>>174


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「んー、いい風だなー」
「そうですね~、船に乗るのも久しぶりですもんね~」

俺たちは今、船に乗って1のしまに向かっている。
いわば社員旅行ってやつだ。ちなみに、うちにいる子たちは桂さんのとこのトレーナーと萌えもんが来て面倒をみている。
正直不安だが桂さんが、「留守の間のことは任せておきなさい!はっはっは!」と言って強引に決めたのだ。
てか、この旅行自体桂さんが決めたものである。
ま、せっかくの好意だし1泊2日だけだから大丈夫だろうとは思う。
そして、今俺はランターンと甲板に来ている。
オオタチは船酔いでぐったりしていて、カラカラはその付き添いだ。
カラカラだけで大丈夫なのか?と思っていたのだがオオタチに思いっきり、
「いいからでて行ってー!…うっ…」
と言われてしまったのでこうしているわけだ。
なぜ出て行けといわれたかはまったくわからん。
ランターンいわく、「マスターは女心がわかってないですね~」とのこと。
ますます意味がわからなくなった。
(ちなみにこの後で説明されたのだが、吐いているところを見せたくなかったとか。
別にそれぐらいいいんじゃね?といったら電撃を浴びました)

「しかし、あの時からもう3年か~。長かったような、短かったような」
「あたしはかなり短く感じましたよ~?あっという間です」
「いろいろあったけどな」
「オオタチちゃんとも出会えましたしね」
ピンポ~ン♪『1のしま到着で~す』
「お、ついたみたいだな。オオタチ起こしていくか」
「わかりました~」


1のしまは温泉で有名なところである。
疲労回復なんかによく効くらしいので、慰安旅行なんかに来る人が多いらしい。
おそらくそういうことで桂さんはここを薦めたのだろう。
若い人ばかりで温泉と言うのもどうかと思うが、カントーにはろくな施設がないからな。
せいぜいタマムシデパートがいいところか。
それでだ、1のしまのジョーイさんが「もっと奥の方に行けば眺めがとてもいい露天のお風呂があるんですよ」なんていうから、
こいつら3人とも行きたいと騒いで、それで折れた俺も悪いんだろうけど、行ってみたら場所がわかんなくてだ。
「ここ、どこだ?」
「しらないですよ~」「知ってるわけないでしょ!」《またか?またなのか?》
「またとかいうな。俺はあれほど奥にかなくてもいいと…」
「人のせいにしないでよ!」
2度あることは3度ある。
つまりはまた迷ったわけだ。どうも俺は方向音痴らしいな。普段は迷うことなんかないからわからなかった。

「どうするかな…とりあえず飯でも食うか。ハンバーガー買ってあったろ?」
「あ~、それじゃあ少し先に広くなってるところがあるからそっちに行きましょう~」
「そうだな。んじゃ、いくか」
せっかくの旅行なので、とことん家事なんかをしないと決め込んでいたから、ウインディーズバーガーで買っておいた。
普段こんなの買ったら、小さい子達も食べたくなるだろ?
こういう機会じゃないと食べれないので買ってみたわけだ。
とは言っても、俺は一回だけ食べたことがあるのだが。
「ん、うまいな」
「そうですね~」
「何なの?この苦いのは?ほんとに食べれるものなの?」
「そりゃピクルスだ。言っとくが普通に食える。いやなら抜いて食べてもいいぞ」
やっぱこういうのは好みがでるな。
ランターンは文句を言わずに食ってるし、オオタチはピクルス相手に苦戦してるし。
カラカラはといえば、他には目もくれずポテトに夢中である。
「カラカラ、普通にハンバーガーを食え」
《やだ、こっちの方がおいしい》
「じゃあ、そのハンバーガーもらっていいか?」
《だめ》
食い意地の張ったやつだ。そんな大文字で書かなくてもいいじゃないか。

腹も膨れたので、俺たちは温泉を目指して歩く。
しばらくして…「あー!ありましたよ!」ランターンがさけぶ。
「あ、本当。湯気が出てるわ」
ぶっちゃけ俺には見えていない。そこは人間と萌えもんの差なのだろう。
俺には何も見えないぞ。と言おうとしたときには2人はもう走り出していた。
「お前はいいのか?」
頭の上のカラカラに聞く。
《べつにいい》
「ああ、お前地面タイプだから水苦手か。じゃあ今度行けたら水とかあんまり関係ないとこにしとくか」
《うん、ぜったいだよ?》
「わかってるよ。でもここの温泉は炎タイプのやつも来るらしいから大丈夫じゃないか?」
そんな会話をしながら、ゆっくり追いかけることにしたが、
「マスター、早くしてくださいよ~!」
「やれやれ、少しは休ませてくれよな」
もう少しだけ、急ぎ足で追いかけることにした。


「うお、こりゃすげえや…」
《きれい…》
「いいながめですね~」
「ホント、すごいきれい…」
切り立った崖の上、実際にはもう少し手前側だが。
こんなところに温泉があるのも驚きだが、なによりも景色がすばらしい。
オーシャンビューとでも言えばいいのだろうか。海がとてもきれいなのだ。
「さて、さっそく入るとするか」
「ですね~」《はいろー》「そうね」

男風呂と女風呂で入り口が分かれていたので分かれて風呂に入る。
…分かれたはずだったのだ。
景色が一望できそうな場所に陣を取って湯につかる。
「お、こっちもいい眺めだな」
独り言のはずだったのに…
「あら、あなたもそう思う?いい眺めでしょ。ここはこの辺なら1番眺めがいい場所なんだから」
俺の隣には知らない女の子の萌えもんがいた。
んーと、ここ男湯のはずだよな?で、いま俺の前には知らない女がいて…
「不思議そうな顔してるわね。考えてることあててあげる。『ここ男湯なのになんで女がいるんだ?』でしょ?」
というか待て。
「お前らもいるならいるって言えよ!」
「だってマスターの裸なんて…」
「まって!近づいてこないで!あっちむいててよ!」
「ああ、悪い」
いや、確かに俺が悪いかもしれないが混浴なんて聞いてないぞ。
「あんた、だれなのさ!こっちむくなー!」
はい?今度はなんだよ?
俺の目の前にもう1人しらない萌えもんがいる。
その娘も風呂に入ってるわけで…
「あら、別にいいじゃない。見られたって減るもんじゃないし」
「あ、あんたはいいかもしれないけどあたいは嫌なのー!」
その萌えもんが爪をたてて攻撃してくる。
当ったら死ぬよな?って冷静なこと考えてる場合じゃなくてだな。
ぎりぎりのタイミングでよける。というかこけただけだが。
ホントに危なかった…。
ってあれ?なんだろうかね、このやわらかい感覚は。
「あー、あんたそれはまずいわ」
転んだときに巻き込んだらしい。目の前にはオオタチ。
なにやら、手にやわらかい感覚がある。
そう、俺の手にはオオタチの胸が。すっごいやわらかくね?とかそうじゃなくてオオタチさんめちゃめちゃ怒ってません?
「いやーーーーー!!」
オオタチの“気合パンチ”。覚えさせた覚えはないんだけどな…。

「あら、起きたのかい?」
目が覚めると、さっきの萌えもんとカラカラに介抱されていた。
その萌えもんのひざまくらはともかく意味もなく乗っかるカラカラをどうにかしてほしい。
《だいじょうぶか?》
「ん、なんとかな」
「ならよかったよ。それにしても役得だったんじゃないのかい?」
「そんなことねえよ。ありゃ事故だ事故」
「ま、それは向こうもわかってるし後で謝っときなよ?」
なんで知らないやつに説教されてんのかな俺は?
「ああ、紹介が遅れたわね。私はソルロック。もう1人はザングースよ」
「あー、どうも。俺は…」
「リク、でしょ?」
「何で知ってんだ?」
「この娘に聞いたのよ。ね?」
《おしえたんだよ》
んー、えらいかもだけど知らない人に教えるのはどうかと思うな…。
あー、だめだ、怒る気力もねーや。
とりあえずカラカラの頭をなでてやる。
とてもうれしそうだからよしとするか。
「へー、ずいぶんあんたに懐いてるわね。いいマスターに出会えて幸せだねぇ」
《マスターはいいひとだよ?》
「見てればわかるわよ」
「あーもう起きれるからどいてくれるかカラカラ」
カラカラは、《わかった》と言って飛び降りる。
「ああそうそう、道に迷ってここに来たのもこの娘に聞いたからさ。私が帰り道教えてあげるよ」
「そりゃ助かるわ。何から何まで悪いな」
カラカラの方をみながら言う。何もわかっちゃいない顔してるなこいつ。


風呂からでたあと、ソルロックに帰り道を教えてもらって萌えもんセンターまで帰る。
オオタチの顔を見ると気まずいが気にしないことにする。
あれだけ迷ったみたいなのが嘘みたいにあっさりとついた。じつは1本道だったようだ。
(時間にして、行くときが4時間ほど、帰りが1時間弱)
「ほら、ここまでくれば方向音痴のあなたでもわかるでしょ?」
「…なんで知ってるんだよ」
「言ったじゃない、私はエスパーだってね。エスパーはなんでも知ってるのよ」
「そんなもんかねぇ」
「そんなもんよ」
こいつはホントに読めないやつだ。そう思ってたらホントに急にわからん発言がでた。
「ねえ、あんたたちってカントーから来たんでしょ?じゃあさ、この娘つれてっていってよ」
「「「「はぁ!?」」」」
全員素っ頓狂な顔をしている。指名を受けたザングースもだ。
「な、なんで人間なんかについていかなきゃだめなのさ!」
それは俺も同じだ。目的がわからん。
「あんた考えてみな?人間と一緒なら自然に船にのれんだよ?また溺れたいのかい?」
「う、それは……」
「だろ?それならこいつについてったほうが遥かに楽だよ?こいつはそれなりに信用できるから」
こいつとかそれなりにとかなかなかひどいこと言ってくれるな。
「まあ、なんだか知らんがカントーにだったらつれてってやるぞ?そのあとは知らんが」
「マスターそれひどくないですか~」
3人の視線が痛い。どうしようもないだろこればっかりは…
「んー、じゃあうちにいてもいいぞ。いるなら少しばかり手伝ってもらうが」
「うちの手伝いって?あんたのうち、なんかしてるわけ?」
ソルロックがたずねる。
「あー、うちな、萌えもんの預かり所なんだよ。それの手伝いをな」
「いいんじゃない?あんたの探し人の情報も来るかもよ?」
ザングースの耳がピクッ!とする。
「ん、そういうのも来るかもな。今のところはないが」
「そ、それならついていってもいいかな…。でもあんたの手持ちになる気はないからね!」
「んー、べつにいいよ。でも船の上だけはそれっぽく動けよ。暴れられたらかなわん」
「わ、わかってるよぅ!」


「…私のやることはもうないわね」
ソルロックがその場を立ち去ろうとする。なんだか寂しそうに。
「あー、お前ら部屋戻ってろ。俺こいつに話があるから」
「はあ?私はあんたに話なんか…」
「お前になくても俺にはあるんだよ」
「早く終わらしてくださいよ~?」
「わかってるから、戻ってろ」
カラカラたちを部屋に返し、ソルロックとの話を始める。
「お前さ、ザングースのこと心配なんじゃないのか?」
「べつに。あの娘とは今日会ったばかりだしね」
「でもさ、俺にはお前があいつを心配しているように見えた。それに俺はあいつからほとんど話を聞いてないからな。
事情を知ってるやつがいれば心強いと思うんだ。お前には心を許してるみたいだし…」
「なに?あんたは私にあの娘のお守りをさせたいの?」
「そうじゃねーよ。そばにいてやってくれっていってるだけだ。それにだな…」
「それになんなのよ」
「俺はお前のことも心配だ」
「はあ?なにそれ?あんたが私の何を知ってるのよ」
まあそう言われても不思議じゃないよな。
でもそう思ったんだ。こればっかりはどうしようもない。
正直聞くのは失礼なのだろう。でも、萌えもんの心のケアが俺の仕事であり、使命みたいなもんだと思ってる。
だから…
「お前、昔になにかあっただろ」
ソルロックの体がビクンとする。
正解だったみたいだけど、あまりうれしくないね。むしろ間違いであってほしかった。
俺はあくまでもオブラートに、言葉を選びながら話していく。
「何があったかなんてのは聞かないけどさ、俺やあいつらはそういうやつの見方なつもりだぜ?」
「…あんたに何がわかるのよ」
とても強い念の圧力。それが俺の周りを包み込む。
「あんたに何がわかるのよ!勝手に捕まえられて、勝手に捨てられて、やっと帰ってきたらここに私の居場所はなかった!
居場所のないやつの気持ちがあんたにわかんのかよ?!どうなのよ!」
だんだん強くなる圧力。あいつ…泣いてんのか…?
正直立ってるのがやっとの状態で、1歩ずつ、ソルロックに近づいていく。
「なによ!近づいて何する気よ!」
俺は手を振り上げる。…とはいってもほとんどあがらないが。
ソルロックは目を瞑っている。殴られるとでも思ってんのか。
「馬鹿じゃねえのか」
俺はソルロックの頭をなでる。
「…え…?」
「そういうことをさ、無理して溜め込んでんじゃねえよ。さっきの風呂のときに相談してくれてもよかったんだぜ?」
念の圧力がなくなっていく。
「でもさ、そういうの相談してもいいわけ?」
「それじゃなきゃ俺の存在意義がなくなる。あとな…」
「あと?」
「うちの連中はお前みたいなのばっかりだ。俺の手持ちも、留守番組も、いうなら俺もな」
「…なるほどね。なんか話をしたらすっきりしたわ」
「そういうことだ。話すだけでも楽になれるもんだぞ?」
「そうね。…あの娘のお守りしてあげてもいいわよ?」
「そうか。それは助かるわ」
「でも、何個かお願い聞いてくれる?」
思ってもいない提案に少し戸惑ったが、「ああ、別にいいぞ」と承諾する。
「じゃあね、1つは私を手持ちにして、絶対に見捨てないと誓って」
「手持ちになるってそれでいいのか?」
「あんたと一緒なら楽しそうだしね。別にいいのよ、あんたが私の居場所になってくれれば」
「…そっか。手持ちが増えるのはうれしいしな、それに俺が萌えもんを見捨てたら本末転倒だ」
「それもそうね。じゃあもう1個、…私が泣いてたの、見なかったことにして」
「は?別にそれぐらいいいけど、なんでだ?」
「なんでもいいの。とにかく、見なかったことにして」
「わかったよ。じゃあ部屋に戻るか」
「ええ、いきましょ」


部屋に戻って、改めてソルロックの紹介をした。
オオタチとカラカラはびっくりしていたし、ザングースはゲッ!とした表情をしていた。
ランターンだけはいつも通りの笑顔で「これからよろしくお願いしますね~」とか言ってた。
…こいつ、この結果わかってたみたいだな。
紹介を一通り済ませたら、ソルロックはボールの中に入ってしまった。
俺は「ボールの外でもいいんだぞ?」と言ったが、ソルロックが「私はこの中結構好きだからいいのよ」といって入っていった。
うちのやつらは全員ボールの中苦手だから珍しいことだった。
カラカラに「お前も見習え」といったら骨で殴られてしまった。
色々あったが、なかなか楽しい社員旅行になったと思う。
新しい仲間も増えた。
「やれやれ、これからまた大変になるな」
でもそれは悪い気がしない。
それで良いんじゃないかと俺は思った。
ツールボックス

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