「あにうえ~、これ~」
「ん? イーブイでは無いか? それは?」
「ぷれぜんと~」
「ふむ?」
我が炬燵でテレビを見ているとイーブイが、
プレゼントの箱を持って現れた。
その持って来た箱とやらを貰えるらしい。
母君からでは無いので素直に受け取る。
一度、母君からの(悪意の篭った)プレゼントで………((((゚Д゚;))))
…思い出すのも恐ろしい。
「? あにうえー?」
「い、いや、何でも無いアルヨ!? 開けてもいいナリか?!」
「うん!」
我のドモリを気にせずに我の質問に答えてくれる。
本人からの許可も出た事だし、微妙に震える手でプレゼントを開封して行く。
「ん? チョコレート?」
「うんー」
『今日はバレンタインデー♪ 彼に手作りチョコをプレゼントしましょう♪』
「ああ、そうであったな。そんな日であったか」
一瞬、『何故』と思ったが点けっ放しにしていたテレビの音に合点が行った。
今日は『バレンタインデー』。ローマ皇帝に処刑されたキリスト司祭のオッサンの命日である。
―――こう考えると有り難くも何とも無いが。
「食べるぞ」
「うん」
綺麗に梱包されたチョコレートの1つをイーブイに断ってから食べ始める。
味は普通。市販のチョコレートでも買ってきたのか…。
そんな疑問も湧いたが、楽しそうに我を見ているイーブイに気になる事を質問した。
「それにしても、バレンタインデーなんぞ誰に聞いたのであるか?」
「ははうえー」
ソレを聞いた瞬間、途端に口の中に広がる違和感。
更には後ろには人の気配。
「今年は食べた様ね。ご苦労様」
「な…!?」
振り返るとまるでイタズラが成功した子供の様ないい笑顔で母君が立っていた。
益々、口の中の違和感が広がる。
「ま、まさか!?」
「そのまさかよ。だって、最近は食べてもくれないじゃないの。
なら、疑われない状況で渡すしか無いじゃない~?」
母君の楽しそうな笑顔を視界に残しつつ我の意識は暗転した。
-恋の劇薬? Fin-
最終更新:2008年02月15日 20:38