5スレ>>208


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※どうも、零です。
企画、もえもん学園を舞台にした、零作、第二弾です。
今回は、剣道部の合宿の物語のハクリューとサンダース視点。
剣道部ということで、鳥嫁氏、メッケーモサヌ初号機氏、440の人氏のキャラをお借りしています。
お暇があればぜひどうぞ。



「おいハクリュー」
「!?…はい」
「みんなを集めろ」

今日の部活が終わり、みな帰り支度も済ませたところで、突然ウソッキー先生が部室にやってきた。
あまりに突然すぎて(今までのウソッキー先生の性格を考えると)驚いたが、とりあえず言われた通りに部員全員を集める。

「…サンダースは?」
「今日はサッカーのほうだと思います…」
「そうか、まぁならいいや、それでだな、明日から3連休だよな?」
「そうですね」
「つーわけで明日から合宿するぞ」
「「…は?」」

あまりに予想外な言葉に、カモネギさんとストライクさんは二人揃って、意味がわからない、とでも言いたげな声を漏らした。
ザングースさん、サイホーンさん、ミニ、アゲハントさんも、表情に怪訝の色を滲ませている。
誰一人としてウソッキー先生の発言の意味を正確に捉えられた者はいないようだ。
かくいう私もそのひとり。

「合宿だよ合宿、遠征して他校と合同合宿」
「「「「「「「ええぇぇぇぇぇ~~~~~~!?」」」」」」」

今度は全員一斉に驚きの声を上げる。
それもそのはず、ウソッキー先生は極端に面倒を嫌い、部活にも週二でしか見てくれない。
こんな風に自主的に試合だとか合宿だとかを組むことなどありえないことだからだ。
後日、話を聞いたところによると、ただそんな話が他校からきて丁度良いと思っただけとのことだったらしいが。

「なんだよお前ら、揃いも揃って大声上げんなよ」
「なんだよって…こっちのセリフだよ先生!なんで急に!」
「お前ら合宿やりてぇやりてぇうるさかっただろ?」
「まぁ…」
「あ、明日雪でも降るんじゃないか…?」
「なんだ、カモネギ、ストライク、嫌ならいいんだが」
「いや!やりますやります!!」「いえ、やりたいです!!」

本来、部活熱心な私たち、合宿や試合なんかは是非やりたい。

「ところで遠征って、どこに行くんですか?」
「あ?ジョウトのタンバシティだと」
「え!?」「マジ!?」「あそこか!?」「!!、強いとこですね」「…!!」「…?」「え!?」

ジョウト地方の南西に位置する孤島、タンバシティには、剣道で有名な学校があり、全国レベルの強さを持つ。
私、カモネギさん、ストライクさん、ザングースさん、サイホーンさん、アゲハントさん、まさかの強敵校との合同合宿に、六者揃って驚きと嬉しさの混ざり合った声を上げる。
ミニだけは、地名だけじゃどこの高校と合宿するのかはわからなかったらしいけど。

「よくあそこと合宿なんて組めましたね…」
「そりゃ部長がいればどことでも組めますよー」
「部長強いですもんねー」
「なんでそうなるんですかっ!」

カモネギさん、ストライクさんとのこんな絡みは日常茶飯事である。

「はいはいはい、つーわけだから、任せるぞ、ハクリュー、アゲハント」
「え?」「?」
「サンダースにも言っとけよ」
「え!?」「え?え?」
「ホラ経費」
「ええぇ!?」「先生引率じゃないんですか!?」
「いや、引率はするけども、俺は面倒が嫌いなんだ」
「は、はぁ…」

やはりと言うか、さすがと言うか、いつも通りといえばそうなのだが。
それにしてもまだわからないことだらけだ。

「あの、先生…」
「それじゃぁな」
「え!?ちょっと!先生!…行っちゃった…」

やる気をだしたと思ったらすぐにこれ、やはり相変わらずなようだ。
なんだかサイホーンさんが怒り始めたようで、凄まじいオーラを体中から発している。
ウソッキー先生の態度が気に入らないようだ。
本当に毎度毎度ウソッキー先生には困ったものである。
いつも適当なせいで後輩達にはあまり理解を得られていない。

(すごい先生なのにな…まったく…)

でもそんなことより、

「…とりあえず…タンバシティ…どう行くのか調べなきゃ…」
「あ、私やりますよ、ハクリューさん」
「え、でも…」
「こんな時のためのマネージャーですから」
「…ありがとう、いつもいつもごめんなさいね」
「いえ」

     **********


~合宿一日目~

「わーい!海だ海だー!」
「うーみー!」

タンバシティに到着したのは翌日の正午近く。
電車、船の中でばっちり睡眠を取ったカモネギさんとサンダースは、案の定海を見て騒ぐ。
他の部員達も睡眠は取っていたけど、はしゃぐ柄ではないようで、二人の姿を近く、あるいは遠くから眺めていた。
私はというと、部員達を見ていなければならないので、睡眠どころか、いつも以上に気を遣わなければならなかった。
というかウソッキー先生まで爆睡とはどういう――…いつも通りといえばいつも通りだけど。
行きの面倒だけで相当の疲労が溜まった様子の私を見て、サイホーンさんとアゲハントさんが、一方は私を気遣い、もう一方は自分を責める。

「大丈夫ですか、部長?」
「あ、はい、大丈夫ですよ」
「ご、ごめんなさい…マネージャーの仕事なのに…寝てしまって…」
「いえ、私がしっかりしなければいけないんです…とりあえず、あの二人呼んできて貰えますか?」
「はい」

合宿地の高校まではバスに揺られて10分弱。
到着すると、開催校の剣道関係者が総出で出迎えてくれた。

“よろしくお願いします!!”

しっかりとした挨拶、きびきびとした行動、さすが全国区の高校だ。
そんなことを思いつつ、割と穏やかそうな相手校の顧問と挨拶を交わす。

「よろしくお願いします、ウソッキー先生」
「あー、はい、こちらこそ、あ、細かい説明はこいつらにも」

そう言って、ウソッキー先生は私とアゲハントさんに視線を送る。

「?、そちらはハクリューさんですね」
「はい、よろしくお願いします、あ、彼女はマネージャーです」
「よろしくお願いします、あの、私だけで大丈夫ですよ、ハクリューさんは休んでても・・・」
「いえ、大丈夫ですよ」
「ほら黙って聞け」
「…それでは――」

…話を聞くところによると、全部で4校合宿に参加するようだ。
カントー地方から私達、ジョウト地方から合宿地の高校、他に、ホウエン地方、シンオウ地方からも一校ずつ参加してるらしい。
どこも、その地方の上位を争う強豪校だった。
というか初耳なんですけど。
ウソッキー先生は素知らぬふりで説明を聞いている――といっても本当に聞いてはいないんだろうけど。
合宿のスケジュールはというと、初日昼、初日夜、二日目朝、二日目夜、それぞれの高校の練習メニューをこなしていくのだとか。
二日目昼は団体戦、最終日は朝までで、個人戦の予定らしい。

「うえー、きつくないですかー?」
「無理だよー」

やはりと言うべきか、カモネギさんとサンダースから不満の声が上がる。
でもなんだかんだいってもカモネギさんはできるから問題ない。
一番心配なのはサンダース、体力はあるだろうが、気力が続くかどうかが問題だ。

「…まぁがんばりましょう」

     **********

――――――夜――。

     **********

カポーン――…

一日目の稽古が終わって、今はみんなでお風呂に入っている。

「あぁ…疲れた…」
「そーいえば部長ー」
「はい?」
「サンダースとはどういう関係なんです?」

カモネギさんが急に変な事を聞いてきた。

「え?幼馴染ですけど…」
「えー?ウソだー」
「ホントですよ」
「んー?」

訝しげな――なのに目が笑った――顔を向けてくる。

「なんですか…?」
「実はラブラブなんでしょー?」
「ブッッ!?何でですかっ!」
「だってさぁ、どうみても恋人同士にしか見えませんよー?」
「違いますよ!というかなんでサイホーンさんもアゲハントさんも興味深々な顔してるんですかっ!」
「あ、いや、真面目な部長にもそんなことがあるんだなと思いまして…」
「だから違いますって!」
「まぁそうだろうとは思ってましたけどね」
「違うって言ってるじゃないですかぁ!」

まったく引き下がってくれない、いや、思い当たる節がないわけでもないんだけ――いやいや、いやいやいや。

「ねー、どうなのミニリュウー?」
「…毎日一緒には寝てますけど」
「ほらー」「!?」「やっぱりですか」
「や…違…それは…もうっ!ミニっ!」
「うぁ、ご、ごめん…!」

だんだんと体が熱くなってきた。
いや、別にサンダースを意識したとかじゃなくて、本当に。
でもなんだか最近かっこいいかなぁとか思ったりもす――いや、いやいやいやいや。

「そんな赤くならないでくださいよー、もうっ、部長も可愛いとこありますねー」

とか言って急に抱きついてきた。

「きゃ!?」
「そしてこの艶めかしい体を毎日…ってわけですかー」
「な!?そんなやましいことはしてませんっ!」
「どうなのミニリュウー?」
「…中学まで――」
「ミニっ!!」
「うぁ!は、はいっ!」
「なるほどー、中学までねー」
「もう!なにニヤニヤしてるんですかっ!…ホラ、抱きつくのもやめてください…」
「えー」

恥ずかしくて死にそう。
なんでこんな目に…。

「あ、あなた達はどうなんですかっ!」
「へ?」「?」「え?」

とりあえずこの流れを断ち切らなければ。

「私ばっか困らせて…私が何も知らないと思わないでくださいよ…?」
「んー、でもいないし」
「嘘です!じゃぁストライクさんとはどうなんですかっ!」
「幼馴染」
「その手は使えませんよっ!」
「いや、幼馴染ですよ」「じゃない?」
「なっ!?アゲハントさんにミニまで…」

上手く流れを変えられた――と思ったが、私の味方は誰もいないようで、あっさりと幼馴染で通ってしまった。

「部長みたいに一緒に寝ませんし、やましいこともしてませんもん」
「私だってしてませんっ!」
「でも中学まで――」
「わー!わー!」
「部長、もうトマトになってますよ」
「だれがさせてるんですかだれがっ!」
「サンダースとやましいことをしてる部長自身ですよー」
「してませんてばっ!」

本当に、熱すぎてどうかしそうだった。
耳まで真っ赤なのが自分でもわかる。

「次っ!アゲハントさんはどうなんですかっ!」
「え!?いや、いませんよ!」
「ふふ…」
「な、なんですか?」
「(ザングースさんでしょう…?)」
「な!?うぇぇぇぇぇ!?」

一瞬にしてアゲハントさんの顔が真っ赤に染まる。

「なになにー!?」
「実はですね、アゲハントさんは――」
「わー!わー!ダメですっ!やめてくださいっ!」
「やめません、実は――」
「ハクリューさぁん!ごめんなさい!私が悪かったです!」
「ふふ、そうやって素直に謝ればいいんですよ」
「うぅ…まさかハクリューさんに…」

顔を手で覆い、今にも泣きそうな声を漏らす。
泣きたいのはこっちだというのに。

「次はサイホーンさんですね」
「…私はいませんけど」
「好きな人くらい――」
「いません」
「え…」

たしかに、サイホーンさんの今までの様子じゃ恋人とかはなさそうだけど。
好きな人もいないとは。

「ちょっと部長ー」
「ミ、ミニは!?そろそろ好きな子ができてもいいんじゃない?」
「…」

一瞬、なんでわたし、と言いたげな顔になったが、すぐさま考え始める。

「………」
「…」「…」「…」「…」

首を傾げて、真剣に考え始める。

「……………いない」
「…」「…」「…」「…」

それだけ悩んでいないで片付けてしまうのか。
本当にミニの将来が心配になる、私達の元から離れていけるのかな?

「…やっぱ部長のこと聞こうかー」
「なんで戻るんですかっ!」
「ぶっちゃけどこまでいったんですかー?」
「だーかーらー!!」

     **********

「だってよー」

みんなさっきからウチの反応を見てニヤニヤしてる。
男湯と女湯は一枚の壁で仕切られているが、天井付近にまでは延びていないので空間が繋がっている、つまり、先程の女湯の会話が筒抜けなわけだ。
まさか向こうの会話が男湯にまで被害を与えるとは。

「なんだサンダース、お前もトマトだな、てことはやっぱり…」
「違うって言ってるじゃん!ハクも!」

向こうには聞こえないように小さく叫ぶ。

「でもハクリューはまんざらでもなさそうだぞ?」
「うぁ…」

まさか中学――のとこまでばらされるとは。
それはさすがに恥ずかしい、恥ずかしくて死んじゃうよ。
またハクが問い詰められだしたし。

「――?」「――!」

「そんなことしてないよー…」

「――!?」「――!!」

「そ、そんなことっ…!」

そんなウチの反応を見てみんなおもしろがってるし。
体が熱い、顔が熱い。
なんでこんな目に…。

「あー、おもしろいなお前」
「うぅ…」

そこに、助け舟――のつもりかどうかはわからないけど、ストライクが話題を変えてくれた。

「というか先生、風呂で酒なんか飲んでていいんですか?」

湯船には、酒の入った柄のない白色の徳利と、こちらも柄のない白色の御猪口を乗せたお盆が浮いている。
酒の中身まではわからなかったけど。
ウソッキー先生は、注意の意も含まれた疑問を軽くあしらって、矛先をストライクへと向ける。

「まぁ気にすんなよ、で、ストライクはどうなんだ?」
「へ?」
「カモネギは幼馴染って言ってるがどうだかな」
「え!?あ、いや、幼馴染ですよ、ホントに…」
「ふーん、でもお前は好きだと」
「うぇ!?」
「大好きなんだろ?カモネギが」
「え、いや…別に…」

ストライクの顔も赤に染まっていく。

「ははは、お前らホントおもしろいな」
「うぅ…」「…」

そこに、

「ところで、アゲハントさんは誰が好きなんでしょうね、あの様子ならいるんでしょう」

ザングースが、話題をそらそうと助け舟をだしてくれた。
しかし、ウソッキー先生はニヤリと笑みを零し、矛先をザングースへと向ける。

「なんだ、気になるのか?」
「いや、まぁ気になるじゃないですかそれは」
「ほう、好きなのか?」
「なんでそうなるんですか」
「まぁあれだな、アゲハントはおそらくザングースだろ」
「は?」
「お前だよ、見てりゃわかる」

最初は呆気に取られた顔も、次第に、少しずつ、赤くなっていく。

「いや、そんなわけないですよ」
「なんでちょっと顔赤いんだ?」
「え?いや、普通ですよ」
「ホントお前らおもしろいな」
「いやだから…」
「…じゃぁ――」

今度はウチが助け舟を出す番――と思って口を開いたが、それを遮る様に、急にウソッキー先生が女湯に向かって叫ぶ。

「おーい!お前ら!全部聞こえてるぞ!」
「――――!?」

ハクの、声とも呼べない叫びが聞こえてきた。
そんな声上げたいのはこっちなんだけどなー…。
そしてウソッキー先生は笑い続けていた。

     **********

――その後、ハクリュー、ストライク、サンダース、アゲハントは、それぞれ、泣き出すまで尋問されたとかそうでないとか。

     **********


~合宿二日目~

今日は朝は稽古、昼に試合、夜に稽古。
試合は4校のリーグ戦。
今日はみんな絶好調だったようで、格上の相手とも同等、もしくはそれ以上の試合を展開させていた。
みんなの頑張りのおかげで、私達もえもん学園は、総合二位になることができた。
さすがに、ほぼ毎年全国に出場している合宿開催校には敵わなかったけど。
――といった感じで、私達はいい成績を残せた。
ウソッキー先生も、まさか二位になれるとは思ってなかったらしく、相当驚いてたようだ。

     **********

――――――またまた夜――。

     **********

後日思い返すと、この夜は異常に相談を持ちかけられていた夜だった。


―case カモネギ―

カモネギさんに相談を持ちかけられたのはお風呂でのこと。

カポーン―…

「部長ー」
「はい?」
「どうしたら部長みたいに強くなれますか?」
「え?」

いつもの絡みではなく、真剣な声で聞いてくるので、少し驚いた。

「カモネギさんだって、今日強かったじゃないですか」
「まぁ今日は調子よかったけど、ここには一回も勝てなかったし」

合宿開催校には、私以外は誰も勝ててなかった。
もちろんいい試合はしたけど。

「でもいい試合でしたよ、一本も取れてたじゃないですか、ここ相手なら十分ですよ」
「…部長は負けてないじゃないですか」

ちなみに今日の試合、私は全勝している。
私と相手のレベル、部長主将の立場から考えて、負けるわけにはいかなかったしね。

「それはまぁ…」
「どうして勝てるんです?」

いつの間にか、他の三人も耳を傾けている。

「それは…試合後にも言ったように――」
「アタシと部長とで何か違うものがあると思うんです」

私の言葉を遮るように話した。

「…」
「技術的にはそうかもしれませんけど、それ以上に何か及ばないものがあるんです」

いつも、負けません、とか言って、高いプライドを持つカモネギさんが、私との差を正確に認めて、自分の足りないものを懸命に探していた。

それが、嬉しかった――

「…そうだとしたら、それは気持ちの問題でしょうね」
「気持ち…精神は強いほうだと思いますけど」

私より下であるという、それを認めさせたという、そういう優越感とかではなく――

「はい、精神の強さなら、私のほうが劣るでしょう、でも、勝るときもあります」
「…?」

カモネギさんが、強くなろうと、それも単純な強さではなく、もっと自分を磨こうと――

「カモネギさんは、日によって、気持ちのコンディションの上下が激しいですし、高まっても、空回りをしてしまうことも多い、そのへんが不安定なのだと思いますよ」
「…」

そう思ってくれていることが、嬉しかった。

「その気持ちのコンディションを整えられるだけで、だいぶ変わると思います」
「…はい」

私は思わず微笑んでいた。
今日をきっかけに、少しずつ姿勢が変わればいいな、そう思って、また微笑んだ。


―case サイホーン―

カモネギさんと話した後、

「私もいいですか?」
「へ?」

遠慮がちにサイホーンさんが口を開く。

「相談に乗ってもらいたいんですけど…」
「あ、はい」

男湯に聞こえないよう、配慮した声で言う。

「先生のアレ、どうにかなんないですかね?」
「え?」
「あの態度にはもう我慢できません」
「あ…」

やはり、ウソッキー先生の態度じゃ理解は得られないか。

「うん、でも、ウソッキー先生はすごい先生ですよ」
「それはわかりますけど…もっと真面目にやってほしいというか」

サイホーンさんの性格から考えれば当たり前の事か。
でも、先生にもいいところはある。

「うん、でも私は先生の教え方、いいと思ってますよ」
「そうですか…」
「はい、精神の修養、基礎に基づいた指導、私はそういうほうがいいと思ってます」

私は本気でそう思ってるし、だからこそ尊敬している。
確かに態度は何とかしなくちゃいけないことではあるけどね。

「態度のことを抜かせば、素晴らしい先生だと思います」
「それは、まぁ…」
「…それじゃ、今度きつく言ってみましょうか」
「あ、お願いします」

どうせ変わりはしないだろうけどね。

「期待はしないでくださいね」

     **********

と、ここまでは日常よくある出来事(カモネギさんは珍しい)だった。
それだけなら良かったのだが、この後持ちかけられた相談は、仕組まれているとしか考えられないようなものだった。

     **********


―case ストライク―

お風呂上りの食堂でお茶を飲んでいたとき。

「部長…」

やけに顔の赤くなったストライクさんが話しかけてくる。

「どうしました?」
「カモネギのことでなんですけど…」
「え?」
「部長、アゲハントさんの好きな人、見破れたんですよね…?」
「あ、いや、それは…」

なんか嫌な予感がするのは気のせいかな…。

「…カモネギは…どうなんでしょう…」
「うぇ…?」

ストライクさんの顔がさらに赤に染まっていく。
恥ずかしいなら聞かなければいいのに・・・。

「うぁ…えっと…カモネギさんはホントにわからないんだけど…」
「…」
「まぁ今は特にいないってのが結論…かな…?」
「は、はぁ…」

残念に思ったんだろうか、それとも安心したんだろうか、よく分からない声と表情。

「…」
「…」

重い沈黙が流れる。
と、そこに、

「スートラーイクー」
「うおっ!?」

カモネギさんが現れた、グットタイミングというのか、バットタイミングというのか。

「あ…」

そしてあっという間にストライクさんを連行していった。

(んん~…アレでよかったのかなぁ…恋愛の事はよくわからないや…)


―case ザングース―

ストライクさんの去った後。
ザングースさんが食堂に顔を出す。

「部長」

顔が赤い。
また嫌な予感が…。

「…どうしました?」
「あの、昨日の風呂での会話、聞こえちゃってたんですけど、アゲハントさんの好きな人って…」
「え!?」

急なお風呂での会話の話題で、こっちまで赤くなる。

「いや、あれは、ホントに違――…へ?」
「い、いや、アゲハントさんに好きな人いるんですよね…?」

え?、ザングースさんが?、アゲハントさんを?、本当に?

「いや!俺は気にしてるわけじゃなくてですね…!これは無理矢理…あ、いや、なんでも…」
「はぁ…」

いつものザングースさんじゃ考えられない行動。
ウソッキー先生あたりが無理矢理やらせてるのだろう。
そう考えると先程のストライクさんも…?

「…まぁ、それは私が言えることじゃありませんから…」
「で、ですよねー!す、すいませんでしたっ!」

そう言って、慌てて去っていった。

(好きな…人かぁ…)


―case アゲハント―

部屋に戻ると、アゲハントさんと、ミニ、ミニはもう既に寝ていたが。
サイホーンさんはどこにいったのだろう?
そして、何故かアゲハントさんは顔が赤い。
またですか。

「あのっ…ハクリューさん…」
「…はい」
「ちょっと…」

帰って早々、また食堂へと連れてかれる。

「ザングースのこと…なにか知ってますか…?」
「何かというと?」
「その…好きな人…とか…」

やはりですか。

「ザングースさんは…わかりませんが…」
「ハクリューさんならわかるんじゃ…」
「いや、そんな簡単に分かるもんじゃないですよ、アゲハントさんは分かりやすいんですけど…」
「え、マジですか…?」
「まぁ…」

すこし慌てた表情を見せる。

「え…ば、バレてないですかね…!?」
「まぁ…みんなの様子じゃぁ大丈夫だとは思いますけど…」

いや、ザングースさんの様子だとウソッキー先生にはばれてるかも。

「うぅ…でもハクリューさんは既に周知の仲ですもんね…」
「へ?だからちがいますってばぁ!」

仕返しなのか、最後に反撃を残して、部屋に戻っていった。


―case サンダース?―

(それにしても、みんな好きな人とかいるんだなぁ・・・)

そんなことを考えて部屋に戻る。
と、

「…!?」

おかしい光景を目の当たりにする。
一旦扉を閉じて、深呼吸する。

(あれ?部屋って、男子と女子で分かれてたはずじゃ…)

部屋が間違ってないかを確認し、落ち着いて部屋に入る。
部屋には、いるはずの人が、誰もいない、寝ていたはずのミニまでもいない。
そのかわり、サンダースが寝ている。

「…」

とりあえず、傍に座って、寝顔を見つめてみる。
案外寝顔は可愛いもん――

(ってあれ!?なにしてんの私!?)

思わず顔が赤くなる。

(うぅ~…うぇ~…?)

いろいろなことに頭を混乱させて悶えていると、サンダースが目を覚ましてしまった。

「んん~…?あれ?ハクぅ…どうしたのぉ…?」

サンダースは、寝ぼけて合宿ということを忘れてる様子。

「ふえっ!?いい、い、いや、そのっ!…な、なんでもないよっ!」
「そう~…むにゃ…」
「…あ」

また寝てしまった。
慣れない合宿で疲れてしまったのだろう。
優しく毛布を掛けてあげる。

「…ふふ」

その可愛い寝顔をみつつ、語りかけるように――しかし小さく――独り言を零す。

「まだ早い…よね」

     **********

その頃、ウソッキー先生と他の部員達。

     **********

「…成功したんじゃないか?」
「そのようですね…」
「もう嫌ですよ…なんでこんな恥ずかしいことを…」
「ははは、おもしろかったぞお前ら」
「え?なにがなにがー?」
「まさか、そのためだけに立てた作戦じゃないですよね…?」
「お前らだってハクリューとサンダースに進展してほしいんだろ?」
「まぁ…」
「…というかなんで私まで――」
「よし、あともう一押しだな」
「「「「へ?」」」」」

この会話を、ハクリューとサンダースが聞くことはなかったが。

     **********


~合宿三日目~

「んん…?」

朝起きると、なにか暖かい感触があった。

「んん~…?」

眠たい眼をよく凝らすと、目の前に…。

「!?」

すぐ目の前に、サンダース。
しかもこの体勢は――抱き合ってる…?

「――!!」

声を漏らさず、起こさないように体を離す。
おかしい、昨日は隣の布団で寝たはずなのに。

(これ、やっぱり、絶対、仕組まれてるな…)

     **********

残りは今日の午前中だけ。
内容は個人個人の申し込み試合。
私は休む暇なく申し込まれられて、この三日間で一番疲れた時間だった。
そして最後は顧問同士の模範試合。
めんどくさいと言いつつも軽く勝ってくるあたり、さすがウソッキー先生だ。

     **********

帰りの電車でのこと。

「なぁハクリュー、サンダースと進展して良かったじゃねぇか」
「…やっぱり先生でしたか…別に進展なんてしてませんよ」
「でも抱き合ってたんだろ?」
「もうっ!それも先生なんでしょう!?」
「ははは、そんな赤くなるなよ」

そのまま、爆睡モード。

「ホントにもう…」

なんだか私も疲れたな。
欠伸をする私を見て、アゲハントさんが気遣ってくれた。

「ハクリューさん、どうぞ休んでください、あとは降りるだけですから」
「…ありがとう」
「ホントに三日間、お疲れ様でした」

こうして、ドタバタな合宿は終わりを告げた。



~~あとがき~~
いやぁ、長いっすねぇ;;
ハクリューとサンダース視点なわけですが、ただ単に一人称しか書けないだけです;;
あと、最後の方、というより全体通してカオスってますね…。
しかも、キャラ借りてるくせに、そのキャラの設定ぶち壊してる気が…。
ホント申し訳ありません…。
次回もカオスな予定;;

この物語は、鳥嫁氏、メッケーモサヌ初号機氏、440の人氏からも、キャラをお借りしています。
お三方と、この企画に携わった全ての方々に、深く感謝いたします。
最後に、こんなものに付き合っていただき、本当にありがとうございました。m(__)m
第三弾、できあがったらまた見てもらえると嬉しい限りです。では
ツールボックス

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