5スレ>>268


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あるトレーナーの家の話。
家の中ではモルフォンが掃除をしている以外は、誰もいない。
マスターは仕事、アメモースは買い物に行っているためである。
「ひゃくごじゅいちの~、ってもう493匹もいるんですよね~♪」
家の中には綺麗好きなモルフォン1人の、のほほんワールドが形成されていた。

ピンポーン。

「もるふぉーん!」
「はいはい、今開けますよ。」
そのワールドをかき消す音。ドアベルの後の呼び声は「ドア開けて!」の合図である。
玄関のドアを開けると、両手にコンビニのビニール袋を提げたアメモースが飛び込んできた。
「ただいま!あー楽しかった!」
「お帰りなさい…って、またたくさん買い込んできましたね。」
「何よ、そのやれやれみたいな言い方。いいじゃん!楽しいんだから。」
満足げな顔のアメモースに比べ、モルフォンは困り眉毛で苦笑していた。
アメモースは机に袋を置き、買ってきた物を整理し始める。今日買ってきたのは、おにぎり2つにチョコ1つだった。

最近のアメモースは買い物がマイブームである。いつもマスターからもらうお小遣いは、全部買い物の費用に消えていく。
しかもそれだけでは飽き足らないのか、モルフォンに借金までして散財している。
当然これは悪いことなのだが、何気にお土産を買ってきたりするので、モルフォンも思わず甘く見てしまう。
だが、そんな彼女も今回ばかりは断らずにはいられない。これ以上貸すとなると、貯金に響くからだ。
「ね、念のため言いますが、もうお金は貸せませんよ?」
「えー、なんでー。」
「それが、私の貯金を崩さないと貸せないほどになってしまって…。」
「貯金?何で貯金なんてしてるの?使っちゃえばいいじゃん。」
アメモースの辞書に貯金という字はない。
「そうは行きませんよ。貯金には理由があるのですから。」
「理由?何、目標か何か?」
アメモースは興味津々にたずねた。
「理由ですか?それはですね…。」
遠い目になるモルフォン。
「私には、長年の夢があるんです…。」

………

私は、汚れた萌えもんだ。

私は、物心ついたときにはすでに虫捕りの少年をマスターとして持っていた。
虫萌えもん・コンパンだった私は、他の虫萌えもん達に比べると、エスパー技を使える分マスターに重用されていた。
必要とされる…そのときの私は満たされていて、幸せだった。
だけど、あの時…仲間のトランセルがバタフリーになったときだ。

「お前、毒タイプだし、バタフリーに比べりゃ汚いし…もういらない。」

…汚い…私が?どうして…私は…華やか蝶には勝てないの…?
ショック…そんなレベルじゃない。私の全てが消え去った気がした。

モンスターボールに入れられたまま私は草むらに捨てられた。
萌えもんは自分からはボールから出られない。マスターはそれを忘れたのだろうか。
それとも、私を消すためにわざと…いや、考えたくない。
いくらもがいてもボールは固くしまったまま開かなかった。

…私は、このまま飢え死ぬのだろうか。

それから何日経っただろうか。私は1人のトレーナーに救われた。
「ボールに入れられたまま何日も放置されてたのか?可愛そうに…。おい、食いもんをあげるんだ。」
「えー、私のお昼ご飯なのに…仕方ないわね、ほら!」
この人に助けられなかったら、私はボールの中で独り寂しく死んでいただろう。
その人はとても優しく介抱してくれた。その人の萌えもんだろう、一緒にいた少女も、文句は言っているものの一生懸命介抱してくれた。
私は決めた。この人の萌えもんになる。この人達を幸せにして、私も幸せになって、そして、絶対に手放さないようにしてやる。

「もう毒なんて撒きません…汚れなんて全て捨てます…だから…ずっと一緒に…居てくれますか…?」

だから私は、自分から毒を消す。そう決めた。
それから時が経ち、私はモルフォンとなり、その人が今のマスターになった。

………

「…というわけで、私はお金を貯めて、萌えもん博士に毒を抜いてもらうように頼もうと思ってるんです。」
「…なるほど、長々とご苦労様。」
「いえいえ…って、ひゃあぁっ!?ま、マスター!?」
俺の前で驚きの声を上げるモルフォン。
何でいきなり俺がいるかというと。
俺が仕事から帰ってきたら、モルフォンが遠い目をしたままぶつぶつとしゃべっていたのだ。
アメモースに聞いてみれば、こいつは過去の回想ワールドに入っているのだとか。
そういうわけで、俺は気づかれないよう黙って話を聞いていたのだ。
「残念だが序盤は聞き逃した。とりあえずバタフリーが出てきたところから聞いてるぜ。」
「そ、そこからでも十分恥ずかしいです…はふぅ…。」
湯気を出さんという勢いで真っ赤になるモルフォン。
「…しかしまぁ、未だにそんなこと考えていたんだな。
 俺はてっきり、あのときの気持ちはもうとっくに捨ててるのかと思ってた。」
「え?…で、でも、私は毒萌えもん、毒の鱗粉も持っていますし…。」
モルフォンは相変わらずもじもじしている。…ええい、じれったい。
俺は唐突に抱きしめてやった。モルフォンは再び声にならない叫びを上げる。
「何言ってやがる。毒が何だ。汚れがどうした。俺はそんなもの気にしていないぜ。」
「ま、マス、ター…。」
モルフォンの体の緊張は、すっと解けていった。
「だから、そんな体質とか気にするな。それはお前の個性ってもんだ。」
「………。」
モルフォンはそのまま答えなかった。首筋に冷たい感触…涙、か。
「…フン、臭いセリフはいちゃってさ!マスターったらあまーいわねぇ、見ているこっちが恥ずかしいわよ!」
…アメモースはそそくさと部屋から出て行った。…焼きもちか?
まぁ、今回はそのほうが効率がよさそうだ。俺はしばらくの間、泣いているモルフォンを抱き続けた。

………

「あれ?モルフォン、貯金やめちゃうの?」
「いえ、やめませんよ?ただ、ちょっと使うだけです。」
あの日からモルフォンは、貯まるに貯まった貯金を少しずつ解放し始めた。
モルフォンは計画性を持ってお金を使い、必要なものを買ってきてくれる。ありがたいことだ。
アメモースもそれを見てか、多少節制が利くようになった様子。
「それでは、行ってまいります!」
モルフォンはさわやかな笑みを浮かべ、元気良く挨拶をして出かけていった。
色んなことがかなり順調に進んでいるようでなによりだ。

「アメモース、あいつ、何を買いに行くって?」
「あまあまなマスターのために、にがーい漢方薬を買ってくるってっ!」
「…まだ怒ってるのかよ。」
ただ、未だにアメモースがとげとげしてやがるのが気になるが…。
ま、ハッピーエンドってことにしておこう。

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※端書
「あたくしは ガですが チョウのように はなやかなものより たしかなあいを もっているのです」
私にとってはいちげき ひっさつ!なこのセリフ。萌えませんか?萌えますよね?
やや暗くなったけど、明るくまとめてよしとしました。アメモースがキレてますが。
駄文ながら最後までお付き合いくださってありがとうございます。

書いた人:蛾
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