5スレ>>289


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「……あれ? ご主人さま……?」
リザードが夜中に不意に目を覚ますと、そこにはトレーナーの姿はなかった。



ここはタマムシシティのもえもんセンター。
今日、一行はタマムシジムのジムリーダー……エリカに勝ち、早めにセンターで休むことにした。
特に一番活躍していたリザードは、疲れていたのか、部屋についてすぐに寝てしまったのだ。
そして今、夜中の二時という中途半端な時間に起きてしまい、今の状態になっている。

きっとすぐに帰ってくるだろう……そう思い、もう一回寝ようとしたが、やはり不安になった。

(やっぱり……ちょっと捜そう)

仲間を起こさないように、足音を立てないように歩いて、リザードは受付に向かった。

受付には、昼夜問わずにジョーイさんがいる。外にいったなら絶対にジョーイさんが見ているはず。
そう思い、リザードはジョーイさんに質問をしてみることにした。

「あ、あの……私のご主人さまを見ませんでしたか?」
さすがにこれだけだとわからないかな……そう思ったが、ジョーイさんは少し眠そうな声で答えを返してくれた

「あぁ……あの子なら、ついさっき外に出て行ったのを見たわ……ふぁぁ」
最後の方は欠伸を堪えようとしていたが、やはり堪える事は無理だったようだ。

リザードは「ありがとう。お仕事頑張って下さい」と言って、外に飛び出した。

夜のタマムシシティは、昼のそれとはまた違う一面を見せる。唯一変わらないのは、ゲームセンター位だろう。
リザードは思考を巡らせる。ご主人さまは騒がしいのが苦手で、静かな所を好む。だからゲームセンターには行かないであろう。
そう考えると、タマムシシティの中で今の時間、一番静かなのは……

「デパートの……屋上?」

そう思って、リザードはタマムシデパートに向かって走っていった。
カントーで一番大きいデパートも、夜になると人が疎らになる。
焦る気持ちを抑えつつ、リザードは屋上に向かった。

屋上に着くと、そこには彼女のトレーナーの姿があった。

「ご主人さま! ここにいたのですか……」
トレーナーの姿を見て、リザードはほっと一息つき、トレーナーの元に向かった。

「ん? あぁ、リザード……起きたのか?」
その事に気づいたトレーナーは、リザードに近づき、

「薄着だと寒いでしょ?」
そう言って着ていたコートをリザードに掛けた。

「でも、ご主人さまは……?」
「俺は元から厚着だから平気。リザードの方こそ、そんな薄着で大丈夫だったの?」

そう言われてリザードは自分が今、寝間着のままトレーナーを捜しに来たことを思い出した。

「だ、だって……急に居なくなっちゃって……うぅ……」
リザードは顔を真っ赤にして、苦しい言い訳をし始めた。

その様子を見て、トレーナーはリザードの頭にポンと手を置き、
「心配になって捜しに来てくれたんでしょ? ありがとう」と言った。

その言葉を聞いて、リザードは嬉しさと恥ずかしさの混じった顔をしてトレーナーを見た。

「と……ところで、ご主人さまは此処で何をしていたのですか?」
リザードはこの場の雰囲気を変えるために、当たり障りのない質問をした。

「ん? あぁ……星を見ていたんだ」
「星……ですか?」
「うん、この時期は空気が澄んでるからね……空を見てごらん?」

言われてリザードは空を見上げた。すると……

「うわぁ……!」
そこには、一面の星の海が広がっていた。

「綺麗でしょ? タマムシでも意外と星って見えるものなんだな……」
そう言ってトレーナーも空を見上げた。

「すごいですね……本当に……」
「本当にね……自分がいかに小さい存在かって改めて思い知らされるよ……」

トレーナーとリザードはその後、暫く空を見上げていた。



「くしゅん!」
ずっと寒空の下にいたので、リザードが思いっきりクシャミをした。

「俺もそろそろ限界だな……帰ろうか、リザード?」
「はい……そうしましょう……」
リザードの体調を事を考慮して、トレーナーとリザードは帰ることにした。



「そう言えば…」
「ん?」
帰りのエレベーターの中、ふとリザードか口を割った。

「さっき、ご主人さまは、自分がいかに小さい存在かって改めて思い知らされる……そう言っていましたよね?」
「あぁ、言ってたけど?」
すると、リザードはトレーナーを真剣な眼差しで見て、こう言った。

「確かに、宇宙とかから見たら、ご主人さまはとっても小さな存在かもしれません。
でも……私からみたら、ご主人さまはとっても大くて……すごく大切な存在です。
だから、自分のことを、そういう風に言わないで下さい」
そこまで言うと、リザードはふと気付いたような顔をして、

「あ……た、大切って言うのは、あ……あの、そう意味じゃなくって……ええと……ええと……」
と、顔を真っ赤にしてあわてふためながらこう付け加えた。

「うん……ありがとう。」
トレーナーがそう言うとエレベーターのドアが開いた。

「どうしたの? 一階に着いたよ?」
「あ……は、はい!」
リザードはふと我にかえって、急いでエレベーターから降りた。





「リザード」
「はい? 何でしょうか?」

トレーナーは一息おいてから、
「さっきの言葉……本当にありがとう。すごく……嬉しかった」
と少し照れくさそうに言った。

リザードはその言葉を聞くと、
「ご主人さまが元気ないと、私も……ううん、みんなも悲しくなりますから……」
そう言ってトレーナーの方を見た。

トレーナーはそれを聞いて、リザードをみて
「そうだな……」
と言い、リザードにフッと笑った。

それを見てリザードも笑顔をトレーナーに返した。

トレーナーもリザードも気持ちはひとつになっていた。

(俺には、リザードがいないと本当に駄目だな……)
(私には、ご主人さまがいないと駄目なんですね……)




「お互い……これからも頑張るか……リザード!」
「はい……!」

そう言って、二人は帰路についた。










































































デパートからの帰ったあと、リザードはふと考えていた。

(ご主人さまが居なかったときに……少し……ううん、すごく不安になったけど……あれは何だったんだろう……?
確かに、誰だって自分のトレーナーが居なくなったら不安になるけど……何だろう……
ご主人さまが居なくなったら、私が私じゃなくなる……そんな感じがした……何で……?)

「リザード? リザード?!」
「は、はいぃ?! 何でしょうか?!」
リザードはトレーナーの呼びかけでふと我にかえった。

「何でしょうかじゃないよ……何か変だぞ? 風邪でもひいたか?」
「だ……大丈夫ですよ!」

(まぁ、いいか……久々に二人きりで話をして緊張しちゃったんだ。きっと……)

リザードがこの感情を「恋」であると気付くのは……多分、もう少し先の話。


今度こそ、完
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