5スレ>>320


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 狂おしい、その気持ちに支配されている感情に抗えない。
頭では判っている、しかし心が言う事を聞かない、止めようのない熱に魘される。

――壊したい、壊してでも手に入れたい。

 ただ一言でいい、伝えれば判る事。

――往きたい、未来永劫歩みを共に。

何故……私はそれを言葉に出来ないの……?

――愛するが故の、苦悩、それ故に。

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  ここは砂漠、砂地(さち)の只中にある静かな村。

  行商や近代都市の人間が来る以外は至って内向的である。

  周囲にあるのは砂、砂、砂、……稀にある潅木や砂漠特有の植物を除けば丘陵の彼方まで見渡す砂の海。

  時折起こる嵐も水を伴わない乾いた風、砂嵐。

  水を求めて立ち寄る旅人も、僅かばかりの貯えを僅かな銭でやり取りする程度。

  ここに居る萌えもん達も皆静かなもの、本来気性の荒いハブネークやリザードンですらまったく平穏に暮らしている。

  そんな穏かな村にひとり、ちょいと境遇の違う人間がいた。




「……私が何したっていうのかね、なんだってこんな……。」

地下牢、そこに私は繋がれている。
村長の地下にある牢屋、その向かいにある部屋に入ろうとしただけなんだ。
事の発端は村長が地下の倉庫から食料を運べって私に言ったから。
この村じゃ村長の命令は絶対だし、私も村長の世話係であるし、ほかの事を命じられた記憶はない。

――ただ、その部屋から聞こえた水音が気になっただけで。

この村じゃ水は非常に貴重品、遠くのオアシスから来る行商人か都会から来る人間から買い上げるしかない。
そもそも村にそう大きな収入源もない、精々近くの鉱山で採れた鉱石をその都会の人間に売りさばく程度だ。

――その水が、まるで湧き出しているかのような水音がした。

都会や水の豊富な場所で暮す人間には判るまい、水を溺れる飲みたいという欲求など。

「それにしたって……、何で村長の家の地下から……。」

水の貯蔵庫は村の中心部にある。
そこを囲うように家々が並び建てられ、村長の家はそこから外に1歩出るような形で据えられている。
貯蔵庫の隣であれば漏れ出した水が、とも考えられようがどの家よりも遠い村長の家。
さらに言えばこの砂の海に水脈や水源などはない、故に如何に地下であろうと水が湧き出るはずは……。

「―――歌?」

そう歌だ、件(くだん)の部屋より歌が聞こえる。
澄んだ鈴の音色の様にころころと転がる美しい歌声、その旋律に身を任せ睡魔に飲まれれば否応なしに最高の眠りを提供してくれるだろう。
そんな歌声が響いていた、実に静かに、また暗いこの場にそぐわぬ清涼な調べ。
全てがどうでもよくなるほど聞き入っている、少しずつ自分の置かれた境遇すらどうでもよくなっていく。
先ほど聞いた水音も、村長の憤怒の顔も忘却し……―――

――何時しか私は本当に睡魔へと身を任せていた、鎖に巻かれた腕の痛みも、冷え切った石畳の冷徹さも忘れて。



  第1話―終―

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【作者暴走会】

あぁ、まずはお詫び。
主人公は作者です、女性ではありません。
上半身に二つほどふくらみがあっても、髪が長くても、声が高くても、161cmでも、37.2kgでも、2X歳でも、一人称が私でも、♂です。
女性だと思って読んでた人、南無。(ぁ

次に、これは終了した煙草シリーズの後釜となるべく書き始めた新シリーズです。
どのくらいの長さになるのか、砂漠から出るのか、まったく不明です。
何しろ明け方5時に20分で適当にあげた話であるから。
短いのはこのくらいの長さでコンスタントに仕上げていくのを目標にした為です。
長いブランクを経ての物になる為、ある意味合いではリハビリなのかもしれません、正直出た所勝負。

そして最後に、この作品、読者にとっては退屈になるかもしれません。
萌えもんSSとして書き上げてる割に萌えもんがとにかく出ない為です。
今作ですら、名前のみ“リザードン・ハブネーク”を使っただけ、登場人物などまだ主人公のみ。
ある絵描きさんには宣言してありますが“まだ使ってない嫁が出ます。”
あぁ、絵描きってもイラストスレの人じゃないので悪しからず。
この程度ですかね、では次回予告……。



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【次回(以降の)予告】

歌を奏でる彼女に見惚れるもそれは許される事。
見る者全てを断罪する村の掟、そして訪れる転機。
彼と共に未来永劫あり続けると望んだ彼女と、彼と共にあり続けた女性。
そして、始まるのは(婿取り)戦争かはたまた(一夫多妻的な)共存か。

次回(?)、――その君へ行く道を。――

お楽しみに……しないでいいや、適当に。
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