5スレ>>323(2)


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「・・・ん・・・・・・・・ここは?」
周りを見渡すといかにも海の側の砂浜みたいな白い所だ。でも海はない。何故か波が押し寄せて来ては引いて行く音だけが虚しく響いている。
「ここは私の夢の中」
「エーフィ?」
にしては少し雰囲気が違う。
「残念ながら私は貴方の言う「エーフィ」ではありません」
「じゃあ、一体・・?」
「それは誰にも分かりません。ここは夢だから私はエーフィであり、「エーフィ」ではない」
「それならエーフィはどこに・・・」
「それは教えられません」
「な・・」
何故・・と言いかけた時
「それは「エーフィ」が貴方とは会いたくないと思っているからです」
「!?」
俺の心の中が読めるのか!?
「はい、浅い所までですが」
じゃあ会話をしなくてもテレパシーのようなもので話が出来るってことか。
「でも貴方の心が読めるのはこの空間にいる私だけです。「エーフィ」にそれは出来ません」
「そうなのか・・・」

「それで、話を戻しますが」
「そうだったな。‥エーフィが俺と会いたくない理由って何なんだ?」
「それは、貴方を傷付けたこと」
「俺を?」
「「エーフィ」は貴方を危険にさらし、傷を負わせたことで後悔しているのです」
「どういう事だ?俺はエーフィに危険にさらされた事もないし、傷を負わされるなんて事ある訳が無い!」
「では、パルキアに襲われた事はどう説明をするんですか?」
「それは・・・元はと言えば俺が異常事態を解決しようとしたのが原因で」
「異常事態を起こしたのが「エーフィ」だとしても?」
「!? そ、そんな事、エーフィがする筈が無い!もしあったとしても何か理由があるはず…」
「どのような理由があろうとも、故意に罪を犯すのは重罪ではないでしょうか」
「それとも、貴方はその犯罪者を庇うとでも言うのですか」
「な!?・・・エーフィの事を言っているのか」
俺は出来るだけ冷静を装って言った。
「当然です。それ以外に誰か居ますか?」
「…お前はエーフィの事を何だと思って・・・!」
「私はあくまで客観的に物事を見ているだけですから」
「……っ!…もういい!」
「諦めるのですか?」
「諦めなんかしない!エーフィを探しに行くだけだ!」
俺は宣戦布告のように言い放った。




「………ふぅ、憎まれ役は好きじゃないですね」






「…とは言ったものの、どうすればいいのか」
「あと、言い忘れてました」
「うわ!?いつの間に‥!」
俺は思わず身構えた。
「ここは「エーフィ」の夢。そして私はここの住人。だから「エーフィ」か私は望めば何でも出来ます」
「…だったらエーフィが俺に会いたくないと思っているならどうすれば・・・。」
今、この「エーフィ」に対して怒っていても状況は何も変わらない。そう思い俺は怒りを抑えて言った。
「ですが、ここは「エーフィ」の夢でもあり貴方の夢でもあります。そうで無ければ貴方はここには存在しません。
 「エーフィ」が私を貴方と会わせたのは望んだのはこれを貴方に伝えるためかもしれません。もっとも、
 私は犯罪者に肩入れするような性格ではありませんが、ここでは「エーフィ」に逆らう事も出来ないので仕方無く協力してるのですよ」
「…俺はそう言う話し方は気に入らないけど…お礼は言っておく。……ありがとう」
「!?」
途端にこの「エーフィ」の顔が赤くなった…気がした。

(な……私は、お礼を言われるなんて‥思ってもいなかったのに…この素直さ…
 …「あの子」がこの人を好きになるのも分かるような気がします)

「ん?何ぶつぶつ独り言言ってんだ?」
「な、何でもありませんよ。私は役割を果たしたので‥失礼します」
と言うと「エーフィ」の姿が消えた。
「何だったんだ、一体」
まあいいさ、それよりも今大事なのはエーフィの事だ。あの「エーフィ」はああ言っていた。
なら今は何を言ってもエーフィには届かないだろう。本当に後悔しているとしたら俺の言葉なんて
怖くて聞きたくないって思っているだろうからな。

それでも、やるべき事は一つ。後戻りは出来ないし、するつもりも無い。
目を閉じて強く思いながら俺は歩き出した。
ただ、エーフィに会いたいと思いながら。



------------------------------


ひたすら歩き続けて数分、俺は立ち止まって目を開けた。
………そこには、さっきと同じ景色が同じように存在するだけだった。






・・・・たった一点を除いて。





「エーフィ…?」
そう言うとエーフィは一瞬、体をビクッとさせて、こっちを見た。
「マ、マスター……?」
声が震えている。エーフィの目にはよっぽど俺が怖く見えてるのだろう。
この様子を見て、エーフィがあの異常事態を引き起こした張本人だと言う事は明白だった。
俺はエーフィに向かって歩き出した。その時、
「こ、来ないで下さい!」
「!?」
体が宙に浮く。これは・・・サイコキネシス・・
「……ぐっ!!」
体が垂直に叩きつけられる。パルキアのアクアテールには及ばないものの、これも相当な衝撃で、悪くすれば意識を失っていたかもしれない。
「…!?マ、マスター!………」
これ以上俺が傷付くのが怖いのか、エーフィは俺から目を背ける様に頭を抱えてしゃがみ込んだ。こんな弱々しいエーフィを見たのは初めてだ。
それでも俺は、エーフィに向かって歩き続ける。
それを見たエーフィは、
「……っ…来ないでって言ってるじゃないですか・・・!!」
そう叫ぶとエーフィの左右の場所から、サイコキネシスの塊の様なものが2つ現れ、俺に目掛けて飛んできた。
さすが、エーフィの夢の中だけあって何でも出来るんだな・・・。
「……クッ!!……っ!?」
2つの塊が直撃した為か、さすがに意識が朦朧として来た。2発目は声すら上げられない程の衝撃だった。
「……!!…‥マスター…ダメですよ…そんなの…マスターの体が…」
エーフィが俺の事を心配している。俺が…………何だって?…
もう…目が霞んで来た……エーフィが泣いている……全く、…泣き虫だな……







「何でそうまでして私の味方になってくれるんですか?」
「え?ああ、それはな。俺にとってエーフィが一番大切な人だと思ってるからだな」
何だこれ?走馬灯か?夢の中でも現実と同じで死ぬ事って出来るんだな。
「ええ!?それってつまり…」
エーフィの顔が赤くなる。
「それに俺は……」
そうだ。俺はこの時、どういう思いでこの言葉を言ったのか。忘れてなんかいない。







「もう…来ないで下さいよ……どうして……どうして私なんかの為に必死になるんですか…!?」
「‥そんな事、‥決まってる…」
「…もう…放っておいて下さい…。」
今、俺が言えるのはこれだけだ。
「俺が‥そういう性格って事、エーフィも知ってるだろ…。だから、俺は・・・」
エーフィに不安を抱えないように、今できる最大限の、弱々しい、優しい笑顔で笑って見せた。
サイコキネシスの塊が止めを刺そうと俺に向かって飛んでくる。今度直撃したら恐らく命は無い。
(ああ、俺はここまでか…短い人生だったな。…そういえば‥エーフィと出会って…まだ一年も経ってないんだな……
 …………これから沢山の思い出を作って、いっぱいふざけ合って…
 …そしてエーフィの笑顔を見て、俺も笑顔で返す……そんな些細な事さえ出来ないほど…俺は‥弱かったんだ……)
もう泣いたりはしない。
もう、どうしようもならない事だと分かっているから。無駄な抵抗は止める事にした。
「‥マ、マスター…………………マスターーー!!!!」
エーフィがそう叫ぶと、エーフィの左右の場所から、更に2つのサイコキネシスの塊が現れた。
俺は死を覚悟した。何故なら、その新たに現れた塊が、俺に向かって飛んできたからだった。

(これは‥確実に終わったな…)

もう既にサイコキネシスの塊との距離はあと十数cm。誰に言われなくても、手段が何も無い事は明白だった。
俺は諦めの意味も込めて目を閉じた。





そしてその時、それが俺の体を貫いた。





「…………」
何だ、死ぬことなんて大したこと無いんだな。そう思った、その時。




「‥大丈夫ですよ、マスター。」
また走馬灯か?…せっかくだし、大人しく見ておくか…
「ん?何がだ?」
「マスターの事は、私が守りますから。たとえ‥どんな事があっても」
「どうしたんだよ、急に」
「えへへ、何でも無いですよ♪」
ああ、これはまだエーフィと出会って間もない頃の記憶か…懐かしいな…




…そうだったな…エーフィはいつでも俺の事を守ってくれた。
今度は‥俺がエーフィを救う番なのかな……救う番?……違う。俺はエーフィを救いたい。
…その気持ちだけでここまで来た…でも今のままでは、エーフィを救う事は出来ず、俺は死んでしまう。
‥そんなのは何の意味もない。ただの無駄死にだ。なら、死ぬ前にやれるべき事はやっておく。幸い、俺はまだ完全に死んだ訳じゃ無い。



そう決意し、俺は目を開けた。



そこには、さっきと同じ光景があった。違う点と言えば、サイコキネシスの塊が一つも無いことと、
エーフィが泣きながらも、微かに安堵の表情を浮かべていることだった。


「……………」
俺は何も言わない。ただ、エーフィに向かって片足を引きずりながら歩き続ける。
エーフィは体をビクビクさせながらも、俺が近付くのを止めようとしない。


そして、エーフィの前まで来た俺は、エーフィを見る。
エーフィは俺と目を合わせると、より一層体をビクッとさせた。しかし、体を震わせながらも俺に対して目を背ける事は無かった。
もう体に力が入らない。それでも俺は・・・

俺はゆっくりと倒れこむようにして、エーフィを優しく抱き締めた。

エーフィもそれで安心したのか、一気に泣き出してしまった。

そして俺は、最初に聞きたかった事を聞いてみる。
「…エーフィ、何であんな事を?」
「…うぅ…ヒック……だって…マスターと出会ってもうすぐ一年になるのに…思い出が…まだ何もないじゃないですか…。
 だから…私…何も事件が無いなら‥作ってしまえばいいって‥そう思って…」

それなら全てが繋がる。それなら異変に気付けるのもエーフィだけで、エーフィが寝ていたり、意識が無い時は雨は降っていた。
「じゃ、じゃあパルキアが出てきた時の事はどう説明すれば…」
「あの人は‥多分…異変を起こした私を…………それなのに、マスターまで巻き込んで…ごめんなさい…マスター……」
「……………」
エーフィは今後悔しているし、十分反省もしている。俺はそう思う。

あの「エーフィ」は、どのような理由があろうとも、故意に罪を犯すのは重罪だと言った。
確かにその通りかもしれない。でも、だからと言ってエーフィ一人の責任にはしない。

「…それならエーフィの罪、俺も背負うよ。‥元はと言えば気をつかってやれなかった俺も悪いしな」
「…そんな‥マスターは悪く無いですよ…」
「‥‥もし、俺が悪くなくても‥エーフィの罪を少しでも背負う事ぐらいは…出来る筈だろ…?」
「……もう‥‥バカですよ…マスターは……」
そう言いつつ、エーフィは泣き止んで目を瞑った。
「マスター・・・」
そして、俺がそれに答えようとした瞬間、




俺は、眠気に誘われるようにどこかへと倒れた。





「……どこだ…ここ…」
辺りは真っ暗だ。エーフィもいない。
「ここは俺の夢の中だ」
「‥‥と…言うことはお前は「俺」であり俺ではないんだな。」
「何だ、分かってるじゃないか。なら話は早い。俺がお前を現実へ覚まさせてやるよ。条件は――」
そう言って「俺」が笑った。




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…目が覚める。そういえば座ったまま寝てたんだったな。おかげで膝が痛い。
「…夢…だよな」
そう、昨日の夜から、さっきの事まで。

しかしエーフィは寝たままだ。
「エーフィ、朝だぞ。そろそろ起きろよ」
エーフィは反応しない。
その時、俺は最悪の状況を思い浮かべてしまった。


―エーフィは、もう二度と目が覚めない―


「…………っ!」
俺はそんな馬鹿な妄想を振り払うかのようにエーフィに言い続けた。
「悪ふざけはやめて早く目を開けろよ…早くしないとエーフィに出会ってから一年が経っちまうだろ…それでもいいのかよ…」

だが反応は無い。

「ほら…早く起きて一緒に思い出を作りに行こう…」

しかし反応は無い。

「エーフィ、俺は‥‥俺だけが存在していても何も出来ないんだ………俺はしっかりしているように見えるかもしれないけど、
 本当はとても弱くて……一人では生きてられない位弱いんだよ………」

それでも反応は無い。

「だから………エーフィ………目を覚ましてくれ………頼む‥‥エーフィ………!」








それが決められていた事だったのか。それとも祈りが通じたのか。
その時、


「‥‥‥‥‥‥ん‥‥」
「!!! エーフィ!?」
「………マ…スター………?」
エーフィの声は弱々しく今にも消え入りそうだった。
「………マスター‥‥私…………怖いんです………だから‥‥手を………」
「手を?」
「……………手を握ってくれませんか?」
「ああ、分かった、エーフィが離していいって言うまで握ってるから…………」
少し泣きそうになりながらも俺は答えた。
「ふふ‥‥ありがとうございます、…………私の好きな、‥‥マスター………」
エーフィは再び眠りについた。それが永遠の眠りなのか、それとも、いつもと同じ一時的な眠りなのか、
このときの俺には分からなかった。
ただ、1つだけ分かっていることは、俺がこの場で何を言おうと、何も状況は変わらないこと。それだけだった。




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あれから何週間が過ぎただろうか。



今年もこの寒い季節がやってきた。とは言っても、それは何週間も前から分かっていた事である。
雪は降らない。
ニュースではそう言っていたが、やっぱり当てにならなかった。
雪は見事に降り、白くなった町並みは、また違った安心感がある。そして今日はクリスマス当日という事もあり、独特の緊張感も漂っていた。


そんな中で、俺は一人病院の廊下にいた。






結局あの後、エーフィは順調に回復。とは言え、まだ無茶は出来ず、定期的にカウンセリングを受けなければならないとの事。
今日はあの喫茶店に2人で行こうかと思っていたのだが、それは叶いそうも無い。
と、その時エーフィが戻ってきた。今日は最後のカウンセリングだったので少し気が楽かもしれない。
「お疲れ様。どうだった、エーフィ」
「どうもこうも無いですよ。いつも通りです」
「そうか。じゃあ家に帰るか。」
「そうですね、マスター。」
「今日は夜に備えて家の飾りつけの続きだな」
「頑張ってくださいね。マスター」
「何言ってんだ、エーフィも手伝うんだよ」
「私がですか!?私病人ですよ!」
「さっきまでな」
「もー・・・マスターったら・・・」
エーフィが少し不機嫌そうに怒る。
「はは‥冗談だよ。エーフィには料理を作るときに手伝ってもらいたいだけだって。」
「本当ですか?まぁそれぐらいなら手伝ってもいいですけど・・」
エーフィが油断している・・・ここで不意打ち。
「・・ありがとう、エーフィ」
最高の笑顔で心から素直に感謝をする。ここまで直球で言ったのは久々だけど。
「!!!!!」
エーフィの顔が瞬時に赤くなった。
「な、ななな何を言うんですか、マスター!?」
「何って・・感謝の気持ちだけど・・・もしかして、今のだけじゃ足りないのか?」
などと、わざとらしく言ってみる。
「な!?ま、まさかマスター最初から!!?」
エーフィの顔はもう真っ赤だ。
「さぁ?どうだろうな?」
「とぼけてないで・・・って待ってください!今日と言う今日は逃がしませんよー!!」



エーフィはあの時、思い出を作りたいから事件を起こしたって言っていたけど、こういう些細な事も思い出じゃないのかなぁ、と俺は思う。
まあ、価値観なんて人によって違うからわからないけど。




そうして家の前まで着く。走って来たからさすがに息が荒い。と、その時、ドアの前に何か置いてあるのが見えた。
オレンジジュース?のようだけど・・・。メモがあったので読んでみた。

「仲良く飲んでくださいね。
         とある喫茶店のマスター」

「・・・・・・」
ああ、そういえばこの前、住所教えたんだっけ。
「ま、待ってください・・マスター・・・。」
そこへエーフィが追い着いてきた。
「はぁ・・はぁ・・・・・・・ん?何ですか、それ?」
「はい」
と言ってメモを渡した。
俺はオレンジジュースを持って、エーフィと家の中へ入って行った。



その夜・・・
「よし!飾りつけ、料理、すべて完了!」
「やっと終わりましたね、マスター」
なんだかんだ言ってエーフィも手伝ってくれた。
「エーフィのおかげで予定より早く終われたな。ありがと、エーフィ。」
「いえいえ、大した事じゃありませんよ。」
と言いつつも照れているのが丸分かりである。

「時間も丁度いい頃合だし、乾杯と行くか」
「はい、そうしましょう♪」
今年最後の行事。2人きりのクリスマス。これは俺とエーフィにとって大事な思い出になるだろう。
明日で俺とエーフィが出会って一年になる。そういった意味でも今日と言う日は俺とエーフィにとって大切なものだった。


「「メリークリスマス!」」
と言って、互いにジュースの入ったコップを交わす。


話題には事欠かない。明日の去年から今日に至るまで、いろんな出来事があった。

その時、エーフィが言った。
「・・・バカですね・・私って・・思い返せばこんなにも沢山の思い出があったなんて」
「でもその1つ1つの思い出を立派な思い出だと思えるのは、エーフィのおかげだと俺は思うけどな」
「でも・・」
「でもは無し!俺が感謝をしてるんだから、今は素直にそれを受け取ればいいんだって」
俺はエーフィの頭を撫でる。…なんで俺、こんなこと言えるんだ?
「・・本当に・・ありがとうございます、マスター」
「ああ。・・・・・・・・・ってあれ?エーフィ、顔が赤いぞ?」
「そ、そういうマスターだって顔、赤いですよ?」
「え?そうなのか?まったく気付かないんだけど・・・」
「・・・なんか私、頭がボーっとしてきました・・・」
「奇遇だな、俺もだ・・・」
なんなんだこの感覚?といっている間にも思考回路が侵食されていく・・・・・
「・・クラクラするけど一応大丈夫みたいだ」
「そうですか・・・私なんか・・・変な感じです・・」
エーフィはあまり正常ではないみたいだ。
「そういえばますたぁ、夢の中のできごとっておぼえてます?」
「? あ、ああ、一応」
「それならさいごに私がなにを望んだか・・・・おぼえてますよね?」
「まぁ、とりあえずは」
この状況は・・・
「あれって結局ますたぁとできなかったんですよねー?」
・・・とてもまずいものを感じる。こういう時の勘は妙に当たる。
「・・・・・」
しまった!黙り込んだのは失敗だった!・・・・もう遅かった。
「と、いうわけでますたぁ、覚悟してくださいね・・・・!」
「何でそうなる!うぅ・・・」
さすがに部屋の中だけあって逃げ場が無い!と迷っていると、
「それじゃあいきますねー・・ますたぁ・・!」
そういってエーフィがゆらりと近づいて来る。…あ、なるほど。あれはジュースではなくお酒だったのか。通りで。
・・って、今更分かっても何の役にも立たないし!
・・くっ・・・俺にもアルコールが回っているため、あまり速く動けない・・・

なので、数分間俺とエーフィは机を中心にぐるぐる歩き回っていた。
(・・どうする・・・このままじゃアルコールが完全に回って俺が倒れるのが先だ!・・・とはいっても今は打つ手が・・・)
と悩みつつ机を中心に歩き回っていると、
「えへへ、ますたぁ、つかまえたー」
と言う声が前からして俺は青ざめた。
「え・・・」
ミスった・・考えに気をとられてエーフィの進行方向が逆になっていた事・・気付かなかった・・・・
「じゃあますたぁ、かくごしてくださいねー」
それはエーフィの勝利宣言だ。奇跡でも起こらない限り俺に勝ち目は・・・無い。

その時、
「あれ?」
とエーフィが言って、足元がふらふらし始めた。
「やった・・この隙に・・・」
この隙に2階の自室に逃げ込んで鍵をかけてしまえば俺の勝ちだ・・。そう思って足を動かした瞬間、
「ますたぁ、にげちゃあダメですよ・・」
と、服を捕まれ、一緒に倒れてしまった。


結果、俺がエーフィを押し倒したようになってしまった。おまけに、
「フッ」
と言って部屋の蛍光灯が切れてしまった。恐らくは停電だろう。クリスマスだからって電力使いすぎだな。
でも、その代わりに窓から射し込む月の光が、俺とエーフィを照らしていた。

「マスター・・・」
エーフィも少し正気に戻ったのか、多少冷静になっていた。
と、思ったら目を瞑って俺に判断を委ねてきた。
「全く、仕方ないな・・・・」
俺はそういって降参し、エーフィにそっと口付けをした。



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「あ・・頭が割れる・・・」

しかしその後の朝、二日酔いで頭痛がしたのは言うまでも無い話だったりする。
                                   
                                   END


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初めまして。初投稿になりますがどうでしょうか。ご意見、ご感想、お待ちしております。
季節外れなのは承知の上で投稿しました。長いSSになってしまいましたが、最後まで読んでくれてありがとうございます。
後編は思ったことをほぼありのまま残して書いたので少し怖いです;
次からはちょくちょく短編の話を書きたいと思うので、よろしくお願いします。
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