5スレ>>325


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「…さて、今日はお疲れ様。明日は2回戦があるから、ゆっくり休んでくれ」

1回戦を圧勝し、俺達は再びホテルの部屋で円になって座っていた。
日は落ちて、すでに夕食もすんでいる。


…しかし、なぜか試合終了から今までそうとう長かったような気がするんだが…?


「次の対戦相手にもよるが、2回戦は今日出れなかった3人に頼むつもりだ。
 …フシギバナ」
「なーに?」
「わかってるとは思うが、『ハードプラント』はなるべく温存しろ。あれは切り札だ、
 見せるのはなるべく遅いに越したことはない」
「うん、分かった!」

…ホントに分かってるんだろうな、こいつ…

「マスター!」
「どした、ライチュウ」
「あたしの出番は!?」
「四天王が出てくるあたりまではお預けだ。おとなしく待ってろ」
「ぶー」








      *  *  *






「……っ!!」

真夜中。…唐突に、目が覚めた。全身、汗で濡れている。
…頭を抱えた。息が荒い。体が火照っていた。夢の中身のせいか。

「はっ…はっ…なんだよ、あの夢…」



それはあってはならない夢。

未来を壊してしまいそうな夢。

俺の最も嫌いな俺の夢だった。


「…っくそ!」

うるさい。黙れ。俺を呼ぶな。あれは夢だ。
体の中にあふれる衝動を必死で抑える。耐えなければ。もしも身を任せれば、今の俺の全てが崩れ落ちる。


(…シャワーでも浴びよう)

熱い湯で汗を流すと、悪夢の名残も同時に流れ落ちた。




次の朝起きたとき、俺の記憶にはこの時間はなかった。





      *  *  *



『さぁ本日2試合目、第二回戦二戦目!
 昨日の一回戦を勝ち抜いた猛者たちをさらにふるいにかける闘いが、今始まろうとしています!
 キキョウシティジムリーダー・ハヤト選手 対 マサラタウンシード枠・クリム選手!
 両者ともに、一回戦で実力を見せつけたつわものです!』


スタジアムの片端に、俺は立っていた。戦闘メンバーは、昨日の6人。コンディションは全員良好。
使用するメンバーも決まっている。一つ目のボールを、腰から外した。

何とはなく、観客席を見まわす。視界の端に、白いワンピースとデンリュウが映った気がした。


『もはや両者に言葉は不要!ここから始まる激闘は、力と技の勝負です!
 ルールは第一回戦と同じく、3VS3の入れ替え形式!まずは一体目の登場です!』

「頼むぞ、プテラ」
『応。最近出番がなくて気になっていたところだ』

『クリム選手はプテラ、ハヤト選手はピジョットを選択!どちらも空中戦を得意とする萌えもんです!』

プテラとピジョットがにらみ合う。フィールドは…草原か。空中戦になるので、あまり意味がないともいえる。





『合意と見てよろしいですね!?

 ただいまこのバトルは全国萌えもん協会における公式バトルと認定されました!

 ハヤト選手のピジョット対クリム選手のプテラの待ったなし一本勝負、

 それでは――萌えもん・ファイトォッ!!』



――― やっぱり、メダロットだよなぁ。っと、気を抜いてる場合じゃないか!



(どう考えたって空中戦だ。相手は生粋の飛行タイプ、飛びまわるだけなら若干不利か…)
「プテラ!『とっしん』だ、つっこめ!」
「承知!」

格闘戦なら、こちらにもチャンスは充分ある!

「いい選択だ、だがっ!ピジョット、破壊光線!」
「はい」

突撃するプテラを迎え撃つ、破壊光線。突撃の姿勢に入っているプテラは、回避ができない。

「プテラ!」
「応!」

―― 直撃。だが、まだ終わってはいない!
   破壊光線を受けて落ちて行くプテラ。…いや、それはプテラではなかった。


『あれは……身がわり、身がわりです!破壊光線を回避するために、間一髪で身変わりを発動して上へと逃げました!
 しかしこれでは突進の速度が失われてしまいます!』


そう。破壊光線は回避できたが、突進は解除せざるをえなかった。だが、それでもいい!

「プテラ!そのまま上から仕掛けろ!」
「ピジョット、やらせるな!」


空中で複雑な軌道を描きながら打ち合う二人。ピジョットが大きく上空へと羽ばたくと、プテラも追って高く飛ぶ。
時折ぶつかりあいながら、風を引き裂いて登っていく。
その姿が見えづらくなってきて、俺は額のゴーグルを降ろして望遠モードを起動した。







プテラは、試合開始直後からしばらくは相手しか見ていなかった。
今までの戦いも、思い返してみればそうだ。戦闘においてはとにかく敵を見据えて突撃あるのみ、それが自分のスタイルだと。
頭脳を使うのは、主人やフーディンの仕事。自分はいわば突撃要因だと割り切っていたのだ。


…けれど、今は違う。視界は広く、頭の中が妙に冴えている。会場の熱気も届かない高い空で、
かつて太古の空を飛んでいたような気分に近い。今なら、何だってできる気がする。

(…主人の、おかげだな)

彼がここまで連れてきてくれた。彼が、目覚めて間もない我を導いてくれた。
今度は自分の番だ。彼に恩を返すために、飛び続ける。……高く、もっと高く!(Take Me Higher!)

求める場所には、きっと辿り着ける。勇気を抱きしめて、強く――!!

ピジョットは前方遠くを飛んでいる。だが、追いつけない距離ではない。

はるか真下から、彼の声が聞こえた気がした。高速で飛行したまま、意識を目の前に集中。
動き回る目標を捕えられない、なんて事は全くない。今の自分に不可能などありはしない。

「…全力…全壊…!!」

勢いよく突撃、こちらへ振り返っていたピジョットに空中で組みつき、頭部を押しつける。




もつれあって落下しながら、プテラはその一撃を放った――!!







轟音ののち、二体の鳥萌えもんが落下してきた。プテラが空中で姿勢を取り戻すのと、
ピジョットが体力を使い果たしてボールへ戻ったのは同時。

…勝った、のか。零距離破壊光線、うまくいったみたいだな。


「…プテラ、よくやった。戻ってくれ」
「…承知」

こちらへやってきたプテラの頭を軽く撫でて、ボールへ戻す。よく見れば、あちこち傷だらけだ。
これが終わったら治療施設に連れて行こう。





『一回戦はクリム選手のプテラが勝利しました!さぁ二回戦、ここからが本番です!』


「シャワーズ、任せたぞ」
「…はい!」

ボールから飛び出すシャワーズ。…うん。気合全開っぽいが、こう言うときは逆に危ない。
トレーナーである俺がしっかりしないと…相手はオニドリルか…




『第二試合、シャワーズVSオニドリル!  それでは―― 萌えもん、ファイトォッ!!』


フィールドは草原。飛行タイプに有利ではあるが、こちらに不利という事でもない。


「シャワーズ、オーロラビーム!」
「オニドリル、こうそくいどう!」

シャワーズが右手から放った冷気の輝きは、オニドリルにはあたらない。
…やはり、スピードでは勝ち目はない…攻撃範囲や耐久力を生かした攻撃をすべきか…!

「くけけけけけ!当たらない当たらない当たらない!そんなんじゃ掠りもしないぞォッ!」

…なんか、ずいぶんクレイジーと言うか…ぶっ飛んだ口調のオニドリルだな。
しかし、当たらないのは事実…格闘戦か、広範囲攻撃か…

「シャワーズ!ギリギリまで引きつけて接近戦だ!」
「はいっ!」

姿勢を低く、跳躍体制に移るシャワーズ。オニドリルが接近してきた瞬間…

「やぁぁあぁっ!!」

跳んだ。前方に跳躍しながら、冷凍パンチを繰り出す…しかし、その攻撃はオニドリルの翼が止めていた。

(鋼の翼かっ!)

着地したシャワーズに向かって、オニドリルが勝ち誇ったように叫ぶ!

「これがカントージムを制覇したというお前の力かっ!だが足りないっ!」

叫んでいる。飛びまわりながらスタジアム全体に聞こえる声で…

「お前に足りないのはッ!情熱思想理想思考気品優雅さ勤勉さ!そして何より――」
「まずいっ…!逃げろ、シャワーズ!」
「くっ!?」

「速 さ が 足 り な い !」 
「あぅぅっ!!」


オニドリルの一撃で、スタジアムの壁に叩きつけられるシャワーズ。
相手は有頂天になって、空をさらに飛び回る。…チャンスは今しかない。相手に聞こえないように、壁から降りたシャワーズに指示を出す。

「この世の理はすなわち速さだと思わないか?物事を早く成し遂げればその分時間が有効につかえる!
 遅いことなら誰でも出来る!20年かければ馬鹿でも傑作小説が書ける!
 有能なのは月刊漫画家より週刊漫画家!週刊よりも日刊です!
 つまり速さこそ有能なのだ!文化の基本法則ぅ!
 そして俺の持ろ…あ、あれっ!?」
「演説は…そこまでです!」

見れば、オニドリルの体がみるみる凍りついて行く。

オニドリルが自分の言葉に酔いしれている間に、シャワーズに「ふぶき」を発動させた。
高速で移動する相手には線の攻撃は無効。ならば、面の攻撃でどうにかするしかない。
しかし、「ふぶき」の発動には非常に時間がかかる。奴の長口上はちょうどいいチャンスだったわけだ。

大きな氷と化したオニドリルが地上に落ちると同時に、シャワーズの勝利が宣言された。

「マスター、私やりました!」
「ああ!よくやったぞ、シャワーズ」

正直なところ、相手がバカで助かった…というのもある。
だが、他のメンバーではオニドリルの攻撃に耐えられなかったかも知れない。耐久力のあるシャワーズだからこその勝利だ。




『2回戦もクリム選手のシャワーズが勝利!実力の差を見せつけました!
 これにより、クリム選手の勝利が自動的に確定!3回戦と進むことになります!
 皆様、二人の選手に、盛大な拍手をー!!』



…意外とあっけなかったな…





「ご主人さま」
「……なんだ」
「ボクの出番は…?」
「…いや…時間が押してるらしいから、次の試合までお預けだな」
「えぇー!?」
「うわ、バカ、勝手にボールから出るな!」
「シャワーズとプテラだけずーるーいー!!」
「痛い痛い痛い噛むな!子供かお前はっ!」


フシギバナの抗議を流しながら、俺はスタジアムから出て、控室に向かう。
何人かのスタッフがいる長い廊下に出て、まっすぐ――

「…っ!?」
「ご主人様?」

廊下の先、つきあたりにいる男と目があった。
少し背の高い、目つきの悪い男…

「あれ…あの人…って、ご主人様!?」

気付けばフシギバナを放って、俺は走り出していた。
間違いない、間違えるはずもない。あの男は――

男はこちらを見て、にやりと笑って俺の視界から消えた。
追いかけなくては――!!




      *  *  *


ずっと追いかけて走っているうちに、スタジアムの外まで出ていた。芝生の広場に出て、俺は周囲を見回す。


「どこだ…!」
「ご主人様、まってよー!」
「…フシギバナか」

息を切らして走ってきたフシギバナが、俺の隣に並ぶ。放ってきてしまったのか。

『マスター、あの人はいったい…』
『私の目に狂いがなければ、マスターとかなり似ているように見えたけど』

シャワーズとフーディンの問いを無視して、俺は狂った獣のように周囲を見回す。

「誰を探してんだ?クリム」
「…!!」

気付けば、奴は俺の正面にいた。さっきまではいなかったはず…いや、それはどうでもいい。

「やっぱりお前か…カルマ…!!」
『カルマ?…マスター、誰ですか?』
『まさか…』

混乱する仲間たちの声を聞きながら、俺は男を睨みつける。
一方で奴は、にやにやと憎たらしい笑みでこちらを見つめていた。

「実の兄にずいぶんな口のきき方するじゃねーか、弟よ。
 昔みたく『お兄ちゃん』とは呼んでくれねぇの?」
「黙れ!何のつもりだ、お前は…!!」

『…やはり…』
『マスターの、お兄さん…』
『ご主人を捨てて屋敷に火をつけた…』
『え?何?何の話?』
『フライゴンは知らないんでしたっけね…』

フーディン・シャワーズ・プテラ・フライゴン・バタフリー。
口々に疑問を並べる仲間たちに、俺は激情を抑えるために説明する。

「そうだ。アイツは俺と血のつながった兄、カルマだ。
 俺がロケット団を目の敵にしているのは、こいつらの行動が許せなかったからだ…!」

冷静さを取り戻そうとする俺の努力をあざ笑うかのように、
奴は軽い口調で答えてきた。


「何のつもりって、ほら、可愛い弟がリーグ出場したと聞いてさ。
 ちょっと様子を見に…!」


ぶつん。


とりもどした落ち着きは、一瞬で消え去ってしまった。


「ふざけんじゃ、ねぇぇっ!!」
「ちょ、ちょっとご主人様!?」


拳を固め、フシギバナの制止を振り切ってカルマに殴りかかる!
距離は16歩。一気に走り寄り、にっくき奴の顔に拳打を浴びせようとして――

その拳が、見えない手につかまれたように止まった。

「な………」
「焦るなよ、クリム。俺達の戦いにはちょうどいいフィールドがあるんだぜ?
 なにも今ここで、無理に決着をつけることもねぇだろ?」
「ぐ…ぅ…!!」

動かせない…!凄い力で止められている…だが、カルマとの距離はまだ数歩ある。
奴が手を出せる距離じゃない…!

『マスター、念力だ!』

フーディンの声。やはりそうか…!
カルマの手持ち萌えもんがどこからか念力で俺の手を止めているのだ。
右腕はすでに押す事も戻すこともできない。だが…

(念力を右手に集中しているなら…!!)

左の手を腰にやって、ボールを投げればいい。
フーディンならこの念力に対応できる。だが…

「無駄だよクリム。お前じゃ『アイツ』には勝てない」
「な、左手も…!?」

ボールを取ろうとした左手も動かない。
まさか、全身が念力に支配されている…!?

「ご主人さま!」
(フシギバナ………くそ、声も出ないのか…)
    
フシギバナの呼びかけにも答えられない。指一本、まぶたさえも動かせないほどの強い念力。
気付けば、俺の体は地面を離れ、宙に浮いていた。

「このぉ、ご主人様を離せえぇっ!!」

フシギバナがカルマに向けて『はっぱカッター』を無数に放つ。
だが、それさえも念力に止められ、地面へおとされる。

「本当に、今日はお前の相手をしにきた訳じゃないんだよな。
 悪いけど俺、もう行くわ。また今度な?ちゃんと勝ち残れよ、可愛い弟クン?」
「ま……て…」
「やれ、『μ2』」

その言葉と同時に。俺は芝生広場の中央から、隅のフェンスに叩きつけられた!

「がっ…!!」


後頭部を強打し、視界が激しく揺らぐ。
仲間たちの声が聞こえるが、声を返せない。これは念力ではなく、単純に気絶しようとしているからか。




薄れゆく意識の中で、大きな音とともにすぐそばのフェンスにフシギバナが叩きつけられるのが見えた。












  カルマ  ♂  ??歳


主人公の兄。ロケット団元幹部(主人公によって壊滅したため)
かつての残虐性をそのままに、主人公の前に姿を現す。その目的は現時点では不明。


名前の由来は 『深紅』を意味する『カーマイン』より。(発音はカルマインに近い?)

これは主人公・クリムの由来である『クリムゾン』と同じ意味を持つ。












  あとがき

なんかもうgdgdでごめんなさい。

久々の投稿、2回戦でした。兄登場シーンを思いついたのと、フシギバナの戦闘シーンが思いつかなかったので

こんな滅茶苦茶な展開に…

次回は3回戦・4回戦…と見せかけて、たぶんもっと上まで飛ぶのではないかと思います。

それではまたお会いしましょう。読んで下さり、ありがとうございました!
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