5スレ>>332


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冬の寒さも結構和らぎ、暖かな春が近付いてくる。
これは、その時に起こったちょっとした事件であり、ちょっとした不幸、そしてちょっとした幸せだった。

「何だかんだいってまた休みになっちゃいましたね。」
「なんでエーフィは不機嫌そうなんだよ」
「だって、少しでも長い休みになるとマスター、だらけきっちゃうじゃないですか。」
「失礼な。俺だってたまには外に出てるだろ。」
「本当、たまにですけどね」
そう言いつつ、エーフィが笑いながら殺気を出している。
(や、やばい…)
「よ、よし。エーフィ、明日にでも買い物に行かないか。」
「え、本当ですか!」
エーフィの殺気が一瞬で消え、いつもの少しほころんだ笑顔に戻った。
(ふぅ…危ない危ない、まぁ、俺も買いたいものがあるから言い出せたけど…もし、それが無かったら今頃俺は…)
その先を想像するのが怖いので、急いで考える事を止めた。
「とりあえず行き先は…あ、そうだ。そういえばまだあのマスターにお礼…じゃなくて、何でお酒を送ったのか聞いてなかったな」
「そうですね。しっかりお礼をしなきゃいけませんね。」
「だからお礼じゃないって‥」
「何言ってるんですかマスター、受けた恩はちゃんと返さないと。それともマスター…まさか‥
 …恩を仇で返すような真似はしないですよね。」
「まあ、そんな事はしないつもりだけど・・でも」
「でも…何ですか?場合によっては‥私‥‥怒りますよ?」
「いえ、何でもありません…」
この時俺が思ったことは・・
(お酒を送ったのがあの事故(?)の引き金だった、なんて言ったら絶対に怒るだろうな・・)
そ、それはともかく、行き先は決まった。


次の日、

「…それでは次のニュースです」
最近は特に目立った事件は無い。平穏無事、とても良いことだ。この前の事件を思い出し、そう思う。
と、その時
「マスター、早くして下さいよー」
と言うエーフィの声が玄関の方から聞こえた。
「ああ、すぐ行く。」
テレビの電源を消し、手提げを持って玄関へ向かった。


程なくして、街に着いた。やっぱり目的地があるのと無いのは掛かる時間に差がつく。
「ところでマスター、一体何を買うつもりなんですか?私は特に決めて無いんですけど」
「なんだ、決めて無かったのか。ま、その方が都合は良いんだけどな」
「マスターは決めてるんですね。教えて下さい!」
エーフィが目を輝かせて聞いてくる。
「え…あ‥それは…その」
「いいじゃないですかマスター。もったいぶってないで、ほら、言って下さいよー」
まぁ…どうせ後で言うつもりだったから別にいいか。
「服だよ。服」
「服…ですか。…マスターのですか?」
「ああ。それに…エーフィの服もな」
「え!?わ、私のですか!?」
「エーフィっていつも同じ服装だろ。だから、いつもと違う服でも欲しいかなって思ってな。
 あと、あまり大声出すなよ。恥ずかしいだろ。」
「マスター‥私の為に……………」
聞いてないし。
「エ、エーフィ?」
「………ありがとうございます!大好きです、マスター!!」
エーフィは何の躊躇も無しに俺に抱き付いて来た。
「!!!!!」
瞬時に顔が真っ赤になる。人が見てるので、凄く恥ずかしい。でも喜んでくれて嬉しい。
そんな少し複雑な気持ちになりながらも、人が見ているのでとりあえずその場を移動した。
「エーフィ…」
「すみません、マスター。あまりにも嬉しくてつい…」
「ま、まあ悪気があってやった訳じゃないんだろ。だったらいいって」
(それに、俺も嬉しかったし)
「マスター?どうしたんです?」
「何でも無いよ。それより早く行こう。」





「マスター、これなんかどうです?」
そう言ってエーフィが持って来たのは黒い上着で、色々な絵が適当な場所に縫い付けてある服だった。
「結構いいな。よし、俺はこれを買うよ。ありがと、エーフィ。」
「えへへ、喜んでくれて何よりです。」
「実は俺もエーフィの服を探してたんだ。これとか似合うんじゃないか?」
俺はエーフィが足まで届きそうな真っ白なワンピースを見せた。
「あの…マスター、これ試着してみてもいいですか?」
「ああ、着てみてよ」
エーフィは気に入ってくれたのか分からないが、試着するって事は恐らくそうなのだろう。
「はい。では早速・・・」

数分後…

「マスター、着替えました」
試着室からエーフィの声がした。
「ん、じゃあ出てきてくれないか」
「分かりました。」
試着室のカーテンが開く。
「あはは、どうですか?マスター。」
「…か、可愛いと思う…その、凄く…」
自分で言って赤くなる。でもそれは嘘ではなく正直な感想だった。
「そ、そうですか?じゃあ私、これにします・・・」
エーフィも顔が真っ赤だった。


「マスター、次はどこ行くんですか?」
「次か・・そこまでは決めてないんだよな。昼までは時間あるし・・・」
「だったら、喫茶店のマスターさんにお礼のお返し、買って行きましょうよ。」
「・・ああ、そうだな」
断ることなんか出来ない。でも一応、
「実は、店のマスターに買うものは決まってるんだ」
「それじゃあ早速買いに行きましょう!」


「でもマスター、一体何を買うつもりなんですか?」
「オレンジジュースだよ。」
マスターへの皮肉の意味も込めてな。


そして、昼


「マスター、そろそろ昼ですよ。」
「じゃ、行くか。」
そういって俺とエーフィは喫茶店に足を運んだ。

「おや、また来てくれたんですね。嬉しい限りです」
「ああ、また来ちゃいましたよ」
「こんにちは、マスターさん」
「はい。こんにちは、エーフィさん」
? 何かいつもと違うと思い、店内を見回すと、見たことが無い娘がいた。
「あれ?マスター、あの娘は・・・」
「ああ、あれはプテラさん、と言って先週からバイトしてるんですよ。」
「へー、バイトの娘ですか」
さすがに一人で全ての作業をこなすのは難しい、と言う事なのだろう。最近、客足も少しだけ増えてきたように見えるし。
まぁ、それはともかくとして、本題に入る。と、その前に。
「ちなみに貴方達とほぼ同年代ですよ」
「…とりあえずミートスパゲティください。」
「私は昼限定のランチセットをお願いします」
「わかりました。プテラさん、キッチンに入って貰えますか。」
「はーい、分かりました」
そして俺はさりげなく、
「エーフィも手伝ってあげたら?」
「そうですね。せっかくですし、手伝って来ます。」
エーフィはプテラって娘と一緒にキッチンへ入って行った。

ここでようやく本題に入る。
「それで、マスター何でお酒なんか送ったんですか」
「おやおや、親しいお客さんには「店長」と呼んで貰いたいものです。」
「・・・店長、話を逸らさないでください」
「いえいえ、あれはお二人の仲を縮めれたら、と思ったのですよ」
「マス・・店長、もうあんな事止めてくださいよ。そのおかげで、こっちはひどい目にあったんですから。」
「ははは、そうですか。では次からはもう少し弱い物を送りますね」
(全然分かってない・・・・)


そこへ、料理を持った二人が戻ってきた。
あれ?一品多いような・・
「店長さん、私も休憩入りますね」
「どうぞ、お構いなく」
「ありがと、店長さん」
そう言うとプテラって娘は俺の隣に座ってハンバーグを置いた。
「私、プテラっていうの。私のことは呼び捨てでいいから宜しくね。」
「ああ、こちらこそ宜しく」
ちょっと強気そうな娘だなぁ・・
「それじゃ、マスター食べましょう」
「そうだな」
「? あれ?なんで「マスター」って呼ぶの?」
プテラが首を傾げる。
「それは・・まぁ・・何となく…かな」
「なに言ってるんですか。名残ですよ名残」
「名残?」
そう言われてますます分からなくなってそうだ。
「これでもマスターは・・・もがもが」
俺は慌ててエーフィの口を塞ぐ。
「な、なんでも無いって」
「・・ぷはぁ、マスター、何するんですか!私はただ事実を」
「言わなくていいって」
「でも・・・」
「??? あのー・・・」
とプテラが何が何だか分からなさそうに口を挟んだ。
「わ、悪い、何でもないんだ」
「ふーん・・・」
とプテラ。
「・・・・・・」
黙って不機嫌そうにしているエーフィ。




その日の夕刻・・・


「あ、店長俺達そろそろ帰りますね」
「はい。またいらして下さい」
「エーフィ、行こう」
「・・・・はい」
まだ機嫌悪いのか。困ったもんだ。
「1950円になります。」
マスター以外の人がレジに立ってるなんて何か新鮮だなぁ。
と思いつつ、店を出た。


「・・マスター、何で私達がリーグ制覇した経験がある事言っちゃダメだったんですか?」
「まだそれ引きずってたのか・・・」
「そりゃそうです。疑問は解決しないと」
「はぁ・・・俺は呆れるよ、エーフィ」
「? 何でですか?」
「なんの為に俺達がこっちへ引っ越してきたか、忘れたのか?」
「! あ、あーそういえばそうでしたね・・・」
「忘れてたのかよ・・・」
「えへへ、すいませんマスター。確かジョウト、カントー、ホウエン、シンオウにも引っ越さないのは
 色々面倒臭いからでしたよね。でも、もう新しいチャンピョンって誕生しましたよね。」
「そうそう。だから別に帰ってもいいんだけどな・・ここが結構気に入ってるから離れたく無いんだよなー。
 何か重大な事件でも起きたら一時的にでも戻るつもりだけど」
「恐らく、ボックス内の皆さん、マスターの帰りを待ってますよ。」
「あはは。いつか戻るときが来たら謝らないとな。」



帰る途中の公園で、俺は重大な事に気付いた。
(やばっ・・!あれ買ってない・・・!)
「エ、エーフィ、俺買い忘れた物があったから買いに行って来る!すぐ戻るから待ってて!」
「は、はぁ・・・分かりました」


その頃、喫茶店では・・・
「店長さん、私もうそろそろ上がりますね」
「はい。今日もお疲れ様でした」
「店長さんもお疲れ様です~」
カランカラン。と扉のベルが鳴り響いた。

「さってと、今日も頑張ったな私。」
思いっきり腕を伸ばしてみる。
「う~ん、はぁ。・・・ってあれ、エーフィじゃん。」
「あ、プテラさん」
「「さん」はいらないって。」
「そうですね・・すみません・・」
「暗いね。・・・まだ気にしてるの?」
「はい。一応・・」
「そっか。でも、私は違うと思うんだけどね。」
「でも・・・」
「そんなに深刻になるなら聞いてみればいいんじゃない?
 ・・・じゃ、私は帰るから。頑張って」
「はい。ありがとうございます、プテラ・・さん」
「「さん」はいらないってー!あと敬語もー!」
そう言いながらプテラ・・は帰っていった。


「エーフィー!」
マスターが戻って来た。
「ごめん、待たせたな」
「あの、マスター・・・」
私は聞いてみることにした。
「エーフィ?どうしたんだ?」
「マスター・・私、聞いたんです」
「聞いたって、何を?」
「それは・・・マスターが・・店長と話している所を」
「そ、そうか・・あれを・・聞いたんだな・・・」
「・・・・ぐすっ・・」
目から涙が溢れるのを押さえきれなかった。
「マスター!そんなに私と・・口付けをしたくなかったんですか・・!」
私は泣きながらそう言うと、
「・・・ああ、嫌だったな」
それを聞いて私は泣き崩れた。

「少なくとも、あの時のエーフィとはな。」
「え?・・・・」
私はマスターを見上げた。
「・・・だから、あんな酔っ払ったエーフィとその・・
 ・・・・したってあんまり嬉しく無かったんだよ」
「だから・・俺は普段のエーフィが好きだ。いつものように笑ったり、泣いたり、
 怒ったりするエーフィが好きなんだよ。だから・・そんな顔するなって」
ああ、私は何を勘違いしていたのだろう。マスターはいつまで経ってもマスターだ。
それに変わりは無いのに。
「マスター・・・」
「な、何だ?エーフィ」
「・・ありがとうございます、今までも、そしてこれからも宜しくお願いしますね。マスター。」
私は笑った。それが今の私に出来る精一杯の事だと思ったから。
「・・・やっぱり、エーフィはエーフィのままが一番だよ。」
そう言ってマスターは一瞬のうちに私の唇を奪った。私が勝手に一瞬と思っただけかもしれない。
でも、それでもいい。私はマスターが好きです。その気持ちは変わらないから。


「やっぱり、エーフィはああ言ってたけど、仲いいなぁ。
 でも、私もまだ諦めた訳じゃないからね。その時は覚悟してよ、エーフィ」




夜。俺は、エーフィに聞きたい事があった。
「「そういえば」」
え?
「ど、どうした?エーフィ」
「マ、マスターこそ、どうしたんですか?」
「いや、昼にエーフィとプテラがキッチンの中で何話してたのかなって」
「私は最後にマスターが何を買ったのかなー、と」
「「・・・・・・・・・」」

(全く・・俺がエーフィのために指輪を買ったなんて、今言える訳ないだろ・・まぁ、いつかは言うけど・・・)

(もう・・キッチンでプテラにライバル宣言されたなんて言える訳ないじゃないですか・・)
あの時、



「あの人って良い人だよね」
「え!?マスターの事ですか?」
「うん、店長さんから色々聞いたんだ。でもあなたの事ばかり気にしてるから私にはチャンス無いかな」
「そうですか?マスターは自分の事はあまり気にしない方なのでそう見えるだけですよ」
「へー、それなら私、思い切って告白してみようかな」
「えぇ!?な、何でですか!?」
「はは、・・なんてね。今はまだ告白しないけど、いつか・・ね。
  ・・って事で覚悟しといてよ~・・えーと・・」
「あ、私、エーフィです」
「私はプテラ。宜しくね」


という事があった。



「「・・・・・・・・・・」」
((言えない・・と言うより言いたくない・・・))

そうして、一夜限りの互いに赤面しながら沈黙する夜が過ぎていくのであった。
                                  END.

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知っている方、こんにちは。知らない方、初めまして。どうも、mlです。
あれ・・・予定ではもう少し短めになると思っていたのですが・・・(-_-;)
それはともかく、今回はどうだったでしょうか。(ちなみに「娘」は「こ」と読んでいます。これで正しいのでしょうか?)
ご感想やご意見などがありましたら是非書き込んで頂けると光栄です。それでは、また会う日まで。
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