5スレ>>339


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あるトレーナーの家の話。

アメモースが寝付いた後、俺はモルフォンと密談していた。
「で、重要な話とは何でしょうか?」
「…モルフォン。お前、アメモースにいやがらせされてないか?」
「え?…あの、おっしゃっている意味が分かりませんが…。」
モルフォンはきょとんとした顔をして首をかしげている。なんだか可愛い…と、楽しんでいる場合じゃない。

今夜の密談の理由は、ただひとつ。
アメモースのやつの焼きもちだ。
どうやら先日モルフォンを抱きしめたのが癪に障ったらしい(前話参照)。
どうせ寝て起きれば忘れるだろう、と軽く考えていたんだが、1日経ってもご機嫌ナナメ。
あの時は「都合がいい」とか「ハッピーエンド」とか考えていたのだが、今になってツケが回って来た、ということで…。

「…なるほど、アメモースちゃんが最近とげとげしかったのは、そういう理由だったのですね。」
「そうなんだよ。まぁ、1回くらいであそこまで怒らないでほしいものなんだが。」
「マスター、女の子にとっては、1回も一大事なんですよ。」
「そうなのかねぇ…、まぁそれはさておき。
 今回の件、何か解決策はないか?同じ萌えもんのお前なら何かわかるだろ。」
「あら、簡単じゃないですか♪」
モルフォンは立ち上がってカーテンを開けた。
「アメモースちゃんと二人きりで、ゆっくり散歩に行けばいいのです。」
「…夜道は危険だぞ。」
「何言ってるんですか、もちろん晴れの日のお昼ですよ。
 日本晴れの暖かい日差しの中、草むらに座り込んで初春の風を楽しむ…ああ、考えただけで楽しそう…。」
「…本当にそれだけでいいのか?」
「ええ、もちろんです。きっとうまくいきますから♪」
モルフォンは心なしかうきうきしているように見える。萌えもんは散歩が好きだというが、こいつも例外じゃないのか。
「うーむ、じゃ明日にでも行ってみるとするか。ありがとうモルフォン。」
さすがモルフォン。ここまで簡潔に答えを出すとは思っても見なかった。
何とか明日中には解決しますように。俺は多少の望みを願掛けして、床につくことにした。

「うふふ…マスターは優しい。アメモースちゃんも私も、しっかりと心配してくださる…。
 一人の幸せより、みんなの幸せ…。独り占めしたい…なんて、考えちゃ駄目ですよね…。」

………

「んん~っ、すがすがしい風。今日はあったかいわね。」
アメモースは小高い丘に登り、海を眺めて大きく伸びをした。

俺達がやってきたのは緑の散歩道、6の島の海沿いにある小島の1つだ。
潮風もそれほど強くなく、天気も穏やか。絶好の散歩コースといえる。
アメモースは楽しそうに走り回っていた…と思ったら、意外にも騒がないでいる。
「…どうした?」
「マスター、裏があるわね?」
こいつ、意外にも根に持つタイプだな。
「そんなわけないだろうが。俺はお前との関係改善を思ってだな。」
「フン、私の機嫌をこんなことで取ろうったって、そうはいかないんだからね!」
「…そういう割にはついてきてるじゃないか。」
「う、うるさいわね!仕方なくよ!」
素直じゃねえなぁ…、まぁ楽しみにしてはいたようだ。

「…こうやって空を眺めるのは何ヶ月ぶりだ?」
「さあ?」
俺とアメモースは草むらにごろんと寝転がっていた。
弁当だのシートだのは持ってこなかった。そもそも必要とは思ってなかったからだ。
モルフォンがしっかり準備してくれてはいたのだが、ピクニックじゃないんだからと断っちまった。
あいつ、ちょっと残念そうな顔してたな…。今頃1人で家で寂しくしてるんだろうか?
「…断ったのはまずかったかな。」
「え?あー、マスター、またモルフォンのこと考えてたでしょ。」
アメモースは相変わらずモルフォンのことを気にしてるらしい。
「お前さ、モルフォンモルフォンって、あいつのこと嫌いなのか好きなのかどっちなんだよ。」
「もちろん好きだったわ。だけどね、マスターがひいきしてるから嫌いになってるの。」
俺は起き上がってアメモースを見た。同時にアメモースも起き上がってぺたん座りになった。
「なんのこっちゃ。ひいきなんてしてるわけないだろ。」
「してるわよ。マスター、モルフォンにばっかり優しいじゃん。」
「まぁ、お前のことは怒ってばかりだがなぁ。」
「でしょ?私に恨みがあるんだか知らないけど、やめてほしいのよ。」
お前がドジだのイタズラだのしょっちゅうするのがいけないんだろうが、と心の中で叫ぶ。
…ってか、ドジはこいつの場合体質…?なのか?
「そいつは悪かったな。今度からモルフォンもしっかり叱ってやるよ。」
「そうじゃないの!私をもっとほめてほしいの!」
「ほめるねぇ…。うん、お前可愛い。いいこいいこ。」
「ば、バカッ!そんな適当なほめ方じゃうれしくないわよ!
 ほら、モルフォンにしているように、もっと愛を込めて、さ。」
赤くなりながら何を言っているんだこいつは。
「モルフォンにしているように、と?」
「そう。優しく、おふざけなしでほめて!」
「…つまりは、モルフォンがうらやましいんだろ?」
「え、そ、そんなことないわよ。うらやましいんじゃなくて…ほら、その…。」
あくまで素直にならないアメモース。
…じれったい。とにかくじれったい、こんなときには。

ぎゅっ

「!!?!?」
抱きしめてなでてやる、こうに限る。
どんな生き物だって、こうしてやると落ち着くんだ。俺だってそうだし。
「お前、もっと素直になれよ。そんなんじゃ、お前の気持ち、誰にもわかってもらえないぜ?」
「ううう…。」
最初は髪の毛が逆立たんばかりに驚いていたアメモースも、次第に緊張がほぐれていった。

…アメモースとの付き合いは長い。
なんせ、俺が現役トレーナーだった伯父からこいつをもらい、トレーナーへの第一歩を歩みだしたとき以来のパートナー。
まさに、俺のトレーナー人生をずっと見てきた、たった1人の萌えもんといえる。

それゆえなのかもしれない。俺がアメモースに割ときつくあたっていたのは。
長い付き合いゆえの遠慮のなさ。相手をよく知っているがゆえのお世辞のなさ。
旅の途中で仲間になったモルフォンには見せない、きつさ、鋭さ、冷たさ。
知らず知らずのうちに、俺は二人に対して不公平になっていたんだろうか?

…もう少し、考え直してみるか。

そんなことを考えている間に、アメモースは俺の胸にすりすりと頭をこすりつけていた。
「ん~…マスター、わかってるじゃない。えらいえらい。」
「…お前にほめられるほど俺は落ちたのか。」
小春日和の太陽の下。俺とアメモースの時間は、長く、ゆっくりと流れていった。

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※端書
今回でマスターの家が6のしまにあることが判明しました(どうでもいいですが
何かぐだぐだな気がしないでもなくて申し訳ない。進んでるんだか回ってるんだか。
ところで、私には抱き癖があるのでしょうか。1話につき1回はハグしてます。妙です。
駄文ながら最後までお付き合いくださってありがとうございます。

書いた人:蛾
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