5スレ>>353


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ある深い深い洞窟の話。
それは、封印されし3人のための世界。
外界より隔離されたその世界の中は静寂の天下であり、悠々自適が横行する。
そんな世界の下、3人の宴が今夜も始まる…。

「…ロック、姉さんは悲しいぞ。」
「藪から棒に何や姉さん。」
「お前はちょっと荒っぽいところがあると思っていたんだが、まさか人間を拉致してくるとは…。」
「アホか、こんなちっこい人間いるわけないやろ。」
レジロックの手には、「今日の収穫品」である、小さな人の形をした置物が乗せられていた。
三人は大人とほぼ同じ体格。赤ちゃんでもさすがにここまでは小さくない。
「しかしまあ、今回は不気味な物を拾ってきたわね。」
「ああ、あたいも正直途中で捨てようと思ったんや。だけど、どうしても気になってしもうて捨てられへん。」
「レジロックは のろわれた!…ということか。」
「嫌やこと言うなぁ…、でも。」
レジロックは置物を机の上にひょいと放り投げた。
「呪われてるなら、こんなことできへんやろ?」
「なっ…ロック、私を謀ったな!?」
「ちょっ、姉さんが勝手に勘違いしてるんやないか!もう…、逆ギレされても困るわ。」
「そこ、そんな些細なことで喧嘩しない。しかし何でしょうね、これは。」
レジスチルはじっくりと机の上の置物を観察してみる。
「ずいぶんと派手に飾られているわ。しかも変な髪型…何かの儀式用かしら。」
「そう言えば、昔の人間は私達に生け贄を捧げていたな。正直何の意味もないのだが。」
「じゃ、これは生け贄にされるために用意されたんか。」
「…ロック、この置物はどこにあったのかしら?」
「山の麓に落ちてた箱の中や。何か、中に段があって、その一番上…やったかな?そこに…。」
「そ れ だ !」
突然レジアイスが叫び、ビッとレジロックを指差した。
「な、何や姉さん。」
「つまり、その段こそが、生け贄を捧げる供養台だったんだよ!」
「な、なんだってー!って誰が何のために生け贄を捧げてるんや?」
「ふむ、確かに…。ちょっと待てよ…。」
レジアイスは真剣な顔で考え込んでいる。反面レジスチルは呆れたような顔。
「…はっ。さてはジラーチが生け贄を欲しているのか!?」
「違うわね。ジラーチは1000年の眠りの最中よ。今562年目…だったかしら?」
「ならばグラードンだ!そうに違いない!
 おのれグラードン、生け贄なんて取ってどうする気だ!許せんッ!」
「ちょいと待ってや姉さん、何の根拠もなしにノリで結論を…。」
「ロックよ、私は正義を遂行する!」
レジアイスはどたどたと部屋を後にした。
「…姉さん、勢いづいてるなぁ。どうしたんやろ。」
「馬鹿になるスイッチでも入ったんでしょ。ほっときなさい。」
レジスチルはCOOLだった。

「それにしても、どう考えてもやっぱりこれは何かの儀式の道具としか考えられないわ。」
レジスチルは置物を持ち上げてみたり、振ってみたり、ひっくり返してみたりしたが、特に置物に変化はない。
「ん~、だとしたら、何の儀式なんや?」
「アイスはああ言っていたけど、生け贄なんて恐ろしいものではないでしょ。
 むしろ、お供え物的なニュアンスだと思うわ。安全とか豊穣とかを祈ったりする感覚ね。」
「こんなものお供えされてもうれしくもなんともないんやけどな。むしろ不気味で嫌がらせにも思えるわ。」
「こら、これは一方的ではあるけど、人間の信心や好意の表れよ。そんな言い方しないの。」
「う…、さすが姉さん、人が出来てるなぁ。」
「当たり前でしょ。もう何百年あなた達を母様の代わりに世話していると思っているの。」
「つまり、すっかり“若奥様”が定着したってことやな。」
「やめなさい、その言い方は…あら?」
玄関方面から物音。何だかおぼつかない足音が聞こえてくる。
「帰ってきたようね、問題児が。」
二人が議論を交わしている間に、問題児―レジアイスが帰ってきたのだった。
その鎧はところどころ砕け、切り傷擦り傷も目立ち、足取りもふらふら。なんとも痛々しい姿だ。
「…やられた。」
「そう、ご苦労さま。」
レジスチルはCOOLだった。

レジアイスは不機嫌そうにどっかりと岩に座り込む。
「おのれ、グラードン。私の冗談を本気にするなんて…。ロック、やけ氷水だ、氷水持って来い。」
「そのどこぞの肥えたおっさんみたいな態度はやめとき。イメージダウンやで。」
 にしても、あれ、やっぱり冗談やったんか。姉さんは死因が冗談にでもなりそうやな。」
「私が冗談で死ぬなら、お前はその置物の呪いで死ぬぞ。」
「姉さんの冗談と置物の呪いのどこに因果があるねん。」
「くっ…今日は一体なんだというのだ。ここまで風当たりが強いなんて、ひどいものだ…。」
レジロックの突っ込みはいつものこと。しかし、自分の調子が悪いと、何事も悪く考えてしまうもので。
今のレジアイスにとって、今日の突っ込みは余計鋭く感じられていた。
気分を変えるためか、レジアイスはおもむろに置物を手にとって眺める。
「で、これの鑑定は終わったのか?」
「終わったわよ。やっぱり儀式の道具だと結論したわ。もちろん、生け贄じゃなくてお供え物としてね。」
「これは一方的ではあるけど、人間の信心や好意の表れだ。って姉さんが言ってた。」
「あら…、そんなこと言ったかしら。」
「え、なんやて?」
「…あぁ、何でもないわ。」
レジ三姉妹共通の(?)必殺技、ドわすれ発動。
にしてもこの長姉、威厳があるんだかないんだか。
「しかし、それではつまらないな。
 もっとこう、地下帝国の遺産を手に入れるキーアイテムとか、そういうものを期待したんだが。」
「そんなファンタジーな置物がほいほい放置されてるわけないやろ。」
「RPGでは道路に技マシンが落ちてたりするそうだぞ?」
「ゲームの世界を現実に当てはめるのは一種の病気よ。
 まあ何はともあれ、あなた達にはいらないものだってことくらいはわかったでしょ?」
ひょいと、レジスチルはレジアイスの手から置物を取り上げる。
「せっかく私達へのお供え物なんだし、私が有効に使わさせていただくわ。」
「出た、独り占め。姉という権力の乱用だな。まぁ私は全くいらないからかまわないが。」
「あたいもかまわんで、姉さんにあげるわ…、そういや、それ、本当にあたいらへのお供え物なんやろか?」
「まあいいじゃないの。あのままずっと放置されているよりはましだわ。」
「しかし何に使う気だ?釘なら貸してやるが。」
「誰が呪いをかけるなんて言ったのよ。そういうのじゃなくて、もっといい方法が思いついたのよ。
 だから、この置物のことは忘れること、いいわね。」
レジスチルはCOOLだった。

………

その夜。三人が寝付こうとしているとき。
「姉さん。それ、有効に使うとは聞いたんやけど、まさか抱いて寝るなんて予想外やで。」
「べ、別にいいでしょ。これ以上ない、いい方法だとは思わないのかしら?」
レジスチルはしっかりと置物を抱きかかえてベッドに入ろうとしている。まるで子供のような仕草。
「単に悪趣味で幼稚に見えるだけだぞ。やめておけ。」
「幼稚ですって?アイス、私に喧嘩を売ってるのかしら?」
レジスチルの爪が闇の中でギラリと光る。
「う…、この亭主関白め。」
「大間違いやで、その用法。
 まぁ、姉さんは寂しがりやのオカルト趣味ってことで、めでたしめでたしや。」
「待ちなさいロック、私の爪が火を噴くわよ。」
「おやすみなさいまし~。」
レジロックは素早くベッドに入り、目を閉じてしまった。
「…チッ、なんとなく逃げ切られたようでやるせないわ。
 まあ、どうせまた明日になれば忘れているでしょう。ねぇ、アイス。」
「………。」
返事がない。ただの眠り姫のようだ。
「あら、今度は私への風当たりが強いってわけ?…まあいいわ。」
レジスチルはやりきれない思いのまま置物を抱いてベットに入った。
「しかし…ちょっと抱いて寝るには硬いわね。もっと効率よく抱くには…あっ。」
もぞもぞと動いているうちに、ふとした弾みで置物に爪が刺さってしまった。
引っこ抜いてみたら、完全に吹き抜けが出来ている。
「…ばれないわ。きっと。気にしないで寝ましょう。」
レジスチルは最後までCOOLだった。

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※端書
何だこのゆるゆる。微妙な空気が流れてますね。笑える…のか?
その割には結構こだわってる部分が多い。こだわって自滅な気もしますが。こだわりスカーフ状態。
にしても、日本の伝統行事に対して失礼な言動が飛び交ってる気がします。まぁブラックユーモアってことで許してください。
駄文ながら最後までお付き合いくださってありがとうございます。

○P.S.
レジロックの関西弁、これで正しいのでしょうか?教えて関西の方。

書いた人:蛾
掘り出し物:雛人形
ツールボックス

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