5スレ>>413


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 夜。
 それも世間一般では、草木も眠る丑三つ時とも言われる深夜。
 シオンタウンの萌えもんセンターは、いまだに灯りがついていた。
 もちろん、この日…というか、前の日の営業時間は終わっている。
 灯りがついているのはとある個室…ヨルノズクのホウに割り当てられている部屋であった。

「………(ぱりぱりもぐもぐ」

 彼女はスナック菓子をぱくつきながら、「週間萌えもんの友」という雑誌をめくっていた。
 時々喉が渇くらしく、横においてあるミックスオレを一口。

「…ん、やっぱり夜更かしのお供はミックスオレ」

 そこらへんは彼女なりに中々拘りがあるらしい。
 再び菓子に手をつけ、雑誌をめくる。
 記事はニュースからコラム、ゴシップや漫画まで様々。
 それらの殆どに目を通し、独り言を呟く。

「今週号はあまり面白そうな記事が……!?」

 と、そこでめくるのを止め、とある記事を凝視する。

「……じゅるり…」

 そう呟いた彼女の表情は、相変わらず無表情に見える。
 だが、この場に彼女のことをよく知る人物が居たならばこう言っただろう。
 「何かを企んでいる表情だ」と。
 彼女はそのまま、そろそろと部屋を出て行く。
 部屋には、食べかけの夜食と開いたままの雑誌が残された。


     『シオンタウン大規模夢喰い事件(前編)』


 翌朝。
 デルはいつものように早起きして、アキラたちの朝食を準備していた。

「ふふふふ~ん♪ふんふふふ~ん♪」

 良い夢でも見れたのか、ずいぶんとご機嫌なデル。
 センターの中で流れているBGMに合わせ、鼻歌を歌いながらてきぱきと準備をする。
 黒いワンピースに白いエプロン姿で家事をするその姿は、さながらメイドのようである。
 というか、彼女自身はメイドのつもりでやっているので当然かもしれないが。
 と、そこに瞼をこすりながらメリィが現れた。

「うぅ…おはよう、デルちゃん…」
「あ、おはようございます」

 ご機嫌なデルとは裏腹に、脱力したように食卓に着くメリィ。

「ふみゅぅ~…」
「いったいどうしたんです? なんだか疲れてるみたいですけど」
「ぅー…なんだか夕べは夢見が悪くて…」
「あら、悪い夢でも?」
「ううん…夢を見なかったの…」
「え?」

 デルは少し考え込む。
 夢を見なかっただけで、ここまで脱力するだろうか。
 それはない、と彼女は結論付ける。
 実際彼女自身、夢を見なかった夜は少なくない。
 しかし、あそこまで憔悴するようなことはなかった。

「それじゃわからないんですけど…」
「うーん、見なかったというより…食べられたって感じかな」
「食べられた?」
「うん、『夢喰い』でもされたような感じ」
「…やっぱり私にはわからないですね。私は『夢喰い』はされたことがないので」
「そっか、デルちゃんは悪タイプだから…」
「ええ…では、誰かに夢を食べられたのでしょうか…」

 と、そこでまた一人食卓へと人が現れる。
 その人物…アキラも、疲れたような感じで食卓に突っ伏した。

「おーっす、おはよう…」
「おはようございます、ご主人様」
「あ、おはよぅマスター…」
「あの…もしかしてご主人様も夢が?」
「えー、なんでわかったんだ…?」

 驚いたような声で、しかし顔は上げずに受け答えするアキラ。
 それにデルが答えるのを遮るように、館内放送が鳴った。

『お客様の中にジムバッジを4個以上お持ちの方がいらっしゃいましたら、至急1Fロビーまでお越しください。繰り返します…』
「「「……」」」

 顔を見合わせる三人。
 一応カントーに来る前に、ジョウトのジムは制覇していたのでバッジは足りている。
 数瞬の後、アキラは覚悟を決めたように席を立った。

「しゃーない、行くか…」
「何があったのでしょうか…?」
「マスター、いってらっしゃい」
「おーう、行ってくる…」

 ふらついた足取りのまま、アキラはロビーへと向かうのであった。




 アキラがロビーへと到着すると、既にそこそこの人数のトレーナーが集まっていた。
 アキラもその中に加わって少しすると、奥から青い制服に身を包んだユキメノコが現れた。

「トレーナーのみなさん、おはようございます。私は萌えもん警察シオンタウン支部所属のユキメといいます」

 ユキメは簡潔に挨拶を済ますと、状況の説明に入った。
 余談だが、シオン支部所属の萌えもんはゴーストタイプが多いらしい。

「昨夜から今朝にかけて、シオンタウン全域で大規模な夢喰いによる安眠妨害が発生しました。
 我々警察では土地的な条件を考え、萌えもんタワーの結界が破れて野生のゴースト萌えもんが町を徘徊した結果だと判断致しました。
 今回皆さんに集まっていただいたのは、結界修復時に祈祷師の方々を護衛していただくためです。
 今回の事件は、規模を考えると敵はあまりにも強力か数が多いと思われます。
 なお、協力は任意で結構です。何か質問のある方はどうぞ」

 静まり返るロビー。
 ユキメは一通りトレーナーを見渡して確認して言う。

「…それでは、ご協力いただける方は30分後にまたここに集まってください。では、解散」



「…だとさ。結構な大事になってるみたいだ」

 アキラは朝食を食べながら、先ほど受けた説明をデルとメリィにしていた。

「それは…見過ごしてはおけませんね」
「ほっといたら、文字通りゴーストタウンになっちゃうかも…」
「だな。んじゃ、飯食い終わったら行くぞ」
「あ、ご主人様。ホウさんはまだ寝てますけどどうしましょうか」
「そういえば、暢気に『もうお腹いっぱい…』とか寝言言ってたよ」
「ったくあいつ、また夜更かししてたのか」

 ホウの夜更かしに、アキラはやれやれといった感じでぼやく。
 だが彼女の夜更かしは今に始まったことではないし、生活リズムには種族的な所も多く出るので仕方がないとあきらめていた。

「しゃーない、ホウはおいてこう」
「わかりました。あ、荷物の準備はしてありますから」
「おう、毎度毎度ありがとな」
「いえ、そんな褒められる程のことでは…///」

 アキラがデルの頭を優しく撫でてやると、デルは頬を染めて嬉しそうにしていた。
 一方でメリィは、目の前でいちゃつかれてあまりいい気分ではないようで。

「…マスター、ごゆっくりどーぞ」

 さっさと朝食を平らげ、寂しそうにそう言い残して部屋に戻ってしまった。

「あ、メリィ…」
「ご主人様、荷物のことなんですけど…実は殆ど、メリィさんが準備してくれたんです」
「ああ、そうか…しまったな」
「ですから…今はメリィさんの所へ行ってあげてください。片付けは私がやっておきますから」
「すまんな。じゃ、いってくら」

 皿に少しだけ残っていた朝食をかきこみ、アキラは席を立つ。
 そしてどうメリィを宥めるか考えながら、彼女の部屋へと向かった。

 ちなみに、彼女の機嫌を直す代償はサイコソーダ1本で事足りたのであった。


(後半へ続く)

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・後書き

 どうもこんばんわ。3度目の曹長です。
 今回はシオンタウンを舞台に、アキラと愉快な仲間たちが大活躍する(予定の)お話です。
 後半はまだ書いてませんが、前半だけで結構長くなったので先走って投稿しちゃいました(ォィ

 次回は意外な結末が待っているかもしれません。
 では。
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