5スレ>>406


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 夢ってよく、寝てから見ろとか言いますが、実際は夢、叶えたい夢の方を見ていますよね。

 人の夢、萌えもんの夢、動物達の夢、星の夢、数多の夢がある中でアナタの夢は叶う物ですか?

 叶えられる夢は努力で実ります、得てしてそういう口上を述べる人が居ますね、無責任にも程がある、自分でしない努力を相手に押し付けているのだから。

 さて、この物語の主人公達は果たして叶う夢を見ているのか? それとも叶わぬ幻想を抱いているのか?

 先の見えぬ闇の中を歩いている人生、夢なんてモノを諦め、捨て去る事もまたひとつの道なのかもしれませんね。

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 炎上した家屋、吹き散らされ風紋を刻む砂、人々の悲鳴は遥か遠く既に怨嗟の様相を呈している。
果て無く続く夜の闇に響き渡る声は、うら若き乙女の物であり怨嗟の声すらも掻き消す美しき調べ。
……そう思えるのは当事者でない者だけであり、事実私は死の極地へと立たされているし、何よりそろそろコゲるかもしれない。
地獄の業火を彷彿とさせるキュウコンの炎熱は、最早止める術をもたず狂気に駆られ、当初の目的通りに私やミロカロスまでを飲み込まんとしている。
キュウコンが正気を失い、この思考へ至るまで凡そ5秒、この間も彼女の扱う炎の規模はうなぎ登りに肥大し、今や地下を吹き飛ばした時以上となった。

「……浮気って何だろう、キュウコンさんや、お願い、落ち着いてくださいませんか?」

恐る恐るという体で彼女に伺う。 ……のだが、既に耳に入っていないのか私の言葉に反応すらしない。
……何かい? ここで愛でも叫んで落ち着かせろといいますか?
無理な相談であると言おう。私はキュウコンと2人だけの時ですら愛を紡いだ記憶が無い。
ましてこの様な状況下で叫ぶ様な度胸など、持ち合わせてはいない。
どうする、どうする私? しかし残念な事にLi○ec○rdなどという便利な選択肢的なものはこの時の私はまだ知らない。
しかし、何故かミロカロスは落ち着き払っている。この状況に甘んじて死を受け入れるとでも言うのだろうか。
怯えず、恐怖せず、竦まず、戸惑わず。何がミロカロスをそうさせているのか、私には理解しがたい。
彼女が作り出す水のヴェール、あれを使えば或いは? と、思わないでもない。しかしあれに頼る訳にも行かないのだ。
何故か、と言うのは簡単な事だ、この場には水がない。
彼女自身水を操り生み出す事が出来るのだろうが、その水が無く、まして生み出せるほどの力が残っているとは考えにくい。
あの水蒸気爆発を発生させたのも、その衝撃を殺してくれたのも、まさに湖の“水”であり彼女の生み出した“水”なのだから。

「私の後ろから動かないでくださいませ。」

ミロカロスは前に出ると、自らの髪を数本抜き出し、あろう事かキュウコンの足元に燻る炎にくべてしまった。
何をしているのかさっぱり理解できない。彼女の行動原理はやはり私の理解の範疇外、遥か彼方の遠方だ。
そんな些細な事には一切目もくれないキュウコン、その怒りは膨れ上がり際限のない劫火はまさに昇龍の如きうねりと迫力を得るに至った。
そうしている内に、ミロカロスのくべた毛髪は灰になり白い煙と化して消えていった。それで何になるというのか、まさかあの煙で燻すとでも?
私の内心葛藤とは裏腹に彼女は自身を喪失してはいなかった、いや、むしろ逆だ。まるで何かが上手く進んでいると確信するかのような光に満ちた瞳をキュウコンに向けている。

「……ちゃえ……て……んじゃ……」

言葉にならない言葉とはこういう物なのか。
呻きの様に、囁きの様に。生きる意志という光を失った瞳を持つ彼女にはもう何も見えてはいないのだろう、憎悪と怨嗟を向ける相手、そう私以外は何も。
立ち塞がるミロカロスも、怒りに呼ばれ巻きあがる炎も、熱に煽られ吹き荒れる暴風も、そして恐らく自分自身が成そうとしている事すらも。
その時、唐突に、まるで何の気も無しに手を差し伸べる様に、彼女は腕を私(正しくは私の前にいるミロカロス)に振り上げた。

表現に足る音など無かろう。無音に近い唸りを上げ腕の直線状に炎が、振り回される大木の様に辺りをなぎ払っていく。

「……ッ……!」

驚異的な熱量を持ち実体を得た炎が、私とミロカロスを軽々と吹き飛ばす。その衝撃に一瞬息を詰まらせるがそれ以上の物が私を襲う。
一気に宙に舞う、服は焼け焦げ、肌は熱に炙られ、全身に走る痛みに悲鳴すらも形にならない。
上空高く舞い上がり意識すらも焼け焦げた様に黒く染まりつつある、が、そこに再び激痛が走った。痛みに意識は引き戻され否応にもその熱い痛みを知覚させる。
炎で貫かれたのだ。左の太ももには黒々と焦げ痕を残した孔が空いていた、弾痕などよりもよほど刺激的であろう、肉は炭化し骨は貫かれているのだから。
私は全身の痛みに断末魔もかくやという悲鳴を上げた。これだけのものを受けていながら声も上げないのは逆におかしいというもの、しかしそれは誰の耳にも届かなかった……。

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 赤と言う色、それは熱さを持つ色。

 命の色、血の色、炎の色。

 過剰なまでに荒れ狂う躍動を内包した色。

 果たして、それを打ち消し色を無くすのは同じ赤か、逆色の青か。

 少なくとも彼の隣にはそれぞれの色が揃っている。

 渇望する赤、貞淑なる青。

 望むべくはどちらなのか知れぬが、しかしこの時は赤が優勢であろうのは間違いなかった。

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作者言い訳あとがきVol.4
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はい、今回は予告ぶっちぎりでお姫様抱っこが消えました。
そのうえ主人公フルボッコ、ミロカロスも吹っ飛びました。

……はぁ、無計画素晴らしい。

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次回予告
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ただ熱かった。
傷も、世界も、地も、空も、陽光も、ただ熱かった。

赤き赤銅の砂も、煌々と照りつける太陽も、何故こんなにも暑いのか。

焼け爛れた傷も、熱に炙られた体も、何故こんなにも熱いのか。

……何故“彼女”は熱さを求めるのか。

私には、理解できない、理解なんかしたくは……。

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それでは次回、Seeyou ByCapri
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