5スレ>>397(1)


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あるトレーナーの家の話。

タマムシシティで買い物観光を済ませた俺達は、シオンタウンへと立ち寄っていた。
相変わらず何もない、静かで厳かな雰囲気。両手に買い物袋の3人組は、この雰囲気に比べるとだいぶ異分子な感じだ。
「なんだか、私達…見られてますよ。」
「そりゃ、買い物袋を提げて来るような場所じゃないからな。」
「うー、なんか恥さらし…。マスター、用事なんてさっさと終わらせてね。」
「わかってるさ。ほら、付いて来い。」
この刺さる視線から逃げるように、俺は一軒の家の戸を叩いた。

「よく来なさった、お若いの。観光に来たのかね?」
俺達が入った家、それは「萌えもんハウス」と呼ばれる小さな施設だった。
「いや、観光に来たというより、観光帰りに寄ったというか…。」
「まぁそうだろう。ここは本当になんにもない町だからなぁ。」
この施設の管理人、フジ老人は温和に笑っている。
この「萌えもんハウス」は、飼い主に虐待されたり、親とはぐれた萌えもん達を引き取って世話をしている、ボランティア団体だ。
そのためか、この施設には幼い萌えもんが多く、また子供もよく集まっている様子。
「わぁー!この子、かわいいー!お持ち帰りぃー!」
「はぅ…、ずっとこうやって抱いていたいです…。」
幼い萌えもんはやっぱり可愛いわけで。アメモースとモルフォンは、入って早々こんな調子で萌えもんと戯れている。
見ていてほほえましいが、油断すると誘拐でもしそうな勢いだな。
「それで、この萌えもんハウスに何用かな?」
「あぁ、それなんですがね。」
二人はこのままほっといて、俺はさっさと用事を終わらせることにする。

俺の今回の用事をもたらしたのは、古い友人からの1本の留守電だった。

『やぁ、久しぶりだね。僕だ、ユウイチだよ。
 実は、君の力を見込んで頼みがあるんだ。萌えもんハウスに来てくれ。詳細はそこで話すよ。』
ピッ ツー ツー ツー

…とまぁ、有無を言わさないこの留守電で、半ば強引に用事を作られちまったわけだ。
昔は強引なヤツだったが、今でも変わらず強引らしい。

「なるほど…、ユウイチ君が呼んだというお友達の方とは、君の事だったのか。」
にこにこ笑いながらフジ老人は話を聞いている。
…この爺さん、真面目に聞いてるのか?
「…とにかく、ユウイチはどこに?」
「ああ、今は萌えもんタワーにいっておるよ。」
「チッ、人を呼んでおいて留守とか、何を考えてやがるんだ…。
 まぁいいか。爺さん、ちょっとここで待たせてもらえますかね。」
「ああいいとも。いくらでも待っていくといい。」
フジ老人は快く承諾してくれた。ちょっと怪しいところをのぞけば、いい人のようだった。

………

「おせぇ…。」
かれこれ待って2時間弱。未だヤツは帰ってこない。
アメモース達は時間も忘れて楽しくやっているようだが、正直俺は退屈だった。
萌えもんが楽しむ姿を見るのは飽きないものだが、それでも待つのが性に合わない俺にはもう我慢ならない。
「おかしいなぁ…。いつもなら、とっくに戻っているはずなんだが。」
フジ老人がそんなことをつぶやいた、その刹那。

バン!と激しく打ち付ける音とともに破壊されるドア。
そして1人の女性…いや、萌えもんが、真っ青な顔をして飛び込んできた。
「ふ、フジさん!た、た、大変ですッ!」
「お、ネイティオ君ではないか。ユウイチ君の手持ちの。」
…家のドアを破壊されて、落ち着いていられる人間も珍しい。
「お、落ち着いている場合じゃないです!結界が…結界が、破られてしまいました!」
「結界?…ああ…ってなんと!?」
結界という言葉を聞いた途端、フジ老人は一気に顔面蒼白になる。忙しい爺さんだな。
「何ということだ!今タワーにはゴーストが溢れているのではないかね?」
「はい!祈祷師さん達でも手が負えないくらいに…。」
飛び込んできた萌えもん…ネイティオとフジ老人は慌しく現状を話し合っている。
何だかよく分からないが、相当やばいことが起きたらしい。
「マスター、これは…。」
「うるさいわね、何があったってのよ。」
モルフォンもただならぬ空気に反応してか、緊迫した様子で俺の元にやってきた。
アメモースはさして事態を理解してないようだ。…まったく。
しかし、タワーで事件が…?何だか嫌な予感がする。俺はフジ老人に尋ねた。
「爺さん。まさか、ユウイチのヤツ、タワーに取り残されたんじゃ?」
「はっ、そうだ!ネイティオ君、ユウイチ君は?」
「ま、まだタワーの中に…。」
「チッ、やっぱりか…。」
俺の嫌な予感はよく的中するぜ…俺は反射的に飛び出した。
「あっマスター!」
「お前等はそこで待ってろ!」
いくらいい加減なヤツだからって、放っておいてはおけない。
嫌な予感がぬぐえぬまま、俺はタワーに突入した。

元々萌えもんタワーは、命を終えた萌えもん達が安置される場所。それゆえ、ゴースト萌えもんが暴れる事件は何度かあったらしい。
だが、今回は結界だの、手に負えないだの、かなりやばい状況なのが分かる言葉が聞こえている。
それゆえか、タワーの1階ロビーは物々しい警備がしかれ、2階に上がる階段は、祈祷師によって封鎖されていた。
「…通してくれないか。」
「ならぬ。」
「いいから通してくれ。俺の友人が上にいるんだ。」
「それでもならぬ。人間が1人で行けば、幽霊に体を乗っ取られるぞ。」
頑なに道を塞ぐ祈祷師。危険なのは承知のうえだってのに。
…じれったい、こうなったら強引にでも…。
「何考えてるの、トレーナーさん。」
後ろから突然、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
振り返ってみると、そこには緑の髪に翼の腕を持つ萌えもん…ネイティオが立っていた。
「…お前は。」
「1人で行く気なんでしょ。だめよ、危険すぎるわ。」
ネイティオは俺の行動を見透かしてるかのようになだめてきた。
読み取れたのはこいつがエスパー萌えもんだからか?
「マスター!私達をおいてくなんてひどいじゃない!」
「すこし落ち着いてください。焦っては駄目ですよ。」
ネイティオのあとを追ってきたんだろう、アメモースとモルフォンもロビーに入ってきた。
「お前等…、待ってろって言っただろ。」
「何でよ。」「何故ですか?」
「当たり前だろ、お前等を危ない目に会わせるわけにはいかない。」
アメモースが突然、俺の腕をつかんで食って掛かってきた。
「マスターのアホ!何で危ないって知ってて一人で行くのよ!
 人間のマスターが、私達萌えもんの攻撃を食らったらどうなると思ってるの!?」
そうなんだよな。萌えもんの攻撃を人間の俺がまともに食らうと、ヘタをすると死ぬかもしれないんだ。
「だがな、お前等を傷つけたくはないんだよ。わかるだろ?」
そう、これが俺の率直な気持ちだ。俺がトレーナーを休職している理由でもあるし。
しかし、俺の言葉を聞いた二人は、呆れたような、うれしそうな表情で反論する。
「そりゃ、私だって痛い目にはあいたくないわよ。
 だからってマスターが死ぬかもしれないのをほっとくと思う?」
「…マスターの心遣いはうれしいです。でも…私達も同じ気持ちなんです。
 マスターを傷つけたくはない…だからこそ、マスターと一緒に行くんです。」
「お前等…。」
まったく、こいつ等も俺と同じバカなんだろうな。俺の心遣いを全く受け取らない。
「それはあなたも同じでしょ。」
ネイティオが俺の脳内会話に突っ込みを入れる。…チッ、やりにくい。
「仕方ねえなぁ…付いてこい。だが。」
俺は二人をじっと見据えた。
「無茶するなよ。無理だと思ったら遠慮せず退け。わかったな?」
「「それはこっちのセリフ!」」
アメモースとモルフォンが同じ言葉を返してくる。ははは…今回は完全に俺が押されちまってるな。
「まぁいい…いくぜお前等!」
「OK、マスター!」

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※端書
ね、シオンタウンだからギャグな流れじゃない(ぉぃ
さー、なんか話がそれて冒険チックになってきました。今回は2つ連作でお届けします。
書いている内に1つに収まらなくなった、なんて言えないです(ぁ
にしてもまた7kbだよ…どうにかならないのかな、これ。
駄文ながら最後までお付き合いくださってありがとうございます。

書いた人:蛾
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