5スレ>>396


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何故一緒にいるのだろう
何故離れられないのだろう

何故 あの間の抜けた笑顔を見ると 胸の中が熱くなるのだろう


         

「何ぼーっとしてんだ。もうへばったのか?タマムシまでまだ長いぞ」

思考にふける私に向かって 前を歩く一人の男が呆れたような言動で語りかけてきた
ふと我に返る。そうだ……今は先に向かって歩かなくちゃ

「そんなわけないでしょ!少し考え事してただけよ」

そう言い放って早足で歩き始める
少し気にかかったので『コイツ』を抜くくらいの速さで


                  
                         -おんがえし-



今はシオンを抜け、タマムシに向かう最中

……今日は天気も気候もよく暖かく太陽の光も眩しい
頭の葉で光合成も出来て気分はいい感じ

「おぉぃ……ベイリーフぅぅ……待ってくれよぉぉ……」

そのいい気分があっという間に壊された。
後方から聞こえる情け無い声
振り向くとその声の主が『アイツ』である事を完全に認識した
肩を落として息を切っている姿が視界に映る

「……最初の偉そうな勢いはなんだったのよ」
「ぜぃぜぃ……はは。さすがに山道歩いた後だ、少しの休憩じゃ足りなかったようだな!」

胸を張って言い切られた
この堂々とした開き直りには何も言い返せない

「はぁ……少し休憩させてあげるからもう少し頑張りなさいよっ」

『コイツ』から背を向ける
『コイツ』は至って真面目な時もあればこうやって馬鹿みたいな時もあって
今になっては目が離せなく、私がいなければ何も出来ないみたいな感じになってる
だから……仕方なく旅の……パートナーとなってるわけで……
……?

「ひぃあっ!!?」

急に声をあげてしまう
突然頭の上に暖かい感触を感じたから

「気ぃ使ってもらってありがとなベイリーフ」
「……」

その感触は頭の上で髪を撫でるように動いている
撫でられてる?
……。

「後ろから急に触らないでよバカ!」
「うあっ」

その手を振りほどき『コイツ』に指を指す
『コイツ』は驚いたのか目を見開いてる

「わかったわかった。それじゃ正面から撫でてやんよ」
「ちょっ……!」

そう言ってそのまま右手を私の頭の上に置き無造作に動かしてくる
……うぅ。少しむず痒い。

「……止めてよ!さっさと次の町行くんでしょ!」

再び手を払い、『コイツ』の背後に回りこみ、首根っこの部分の襟を掴む

「ぐえっ」

何か声が聞こえた気がするけどきっと気のせい
掴んだままタマムシ方向に引っ張り、歩く。
この状態なら無駄口も無いし疲れる事も無いだろうから
道中助けを求める声が聞こえた気がするけどそれも気のせい。



―――――


タマムシシティに到着
今まで旅してきた中でも一段大きい町
これを見て私の背後で衰弱してた『アイツ』はすぐに元気を取り戻していた
「ベイリーフはここで待ってろ。俺は少し用があるからな」
そんな勝手な事を言って町中に消えてしまった。

そして今私は一人きり。



「……」

一人なんて、滅多になかったな
気づいたらいつも『アイツ』の隣に居た。『アイツ』の隣に居るのが当然だった
何か物足りなさを覚える。

隣でへらへら笑ってる『アイツ』が居ないから?
……でもどうしてそんな事を気にするのだろう

「一人にすると何やらかすかわからないから……心配になるだけだよね」

小声で呟く。
しかしその答えで胸の中に引っかかる何かは取れなかった。



「次はここの町のジムですよね?」
「あぁ。草タイプの使い手だ 相性はこちらが有利。だが油断するな、心してかかれよ!」
「はいマスター!」

会話が聞こえてくる
私達と同じようにこの町についたばかりのトレーナーとそのパートナーだろうか

「俺達の力見せてやろう。勝ったら祝勝会だ!」
「頑張りますよっ」

2人の手と手でぱん、と叩いた。
そしてとても仲良さそうに町の中へ消えてゆく


胸が痛い


私の境遇とまったく違うから、私達より仲がよさそうだから?
そんな言葉が心をよぎる
でも私は別に『アイツ』とああいう仲になりたいなんて願望は無い
『アイツ』をマスターと呼びたいなんて事も無い
本当に?
じゃあなんで?なんで嫉妬のような想いを今感じるの?



誰か……答えを……教えてよ……!



「今戻ったぞベイリーフー」

あ……。
私の事も何もわかってないようなへらへらとした顔で『アイツ』が戻ってきた
とたんに怒りがこみあげてくる。でも、同時に……小さいながらの喜びも

「ッ!何いきなり一人で―――」
「これを見るんだ。この町でしか売ってない技マシンを入手してきたぜ!」

得意げに『ソレ』を突き出し、私の言葉に割り込むように入られた
そのせいでもう怒る気力も無くなってしまった

その差し出された手にはディスクケースのような物、技マシンが握られている

「……何よそれ」
「ん。物理型のお前だ、今覚えてる技より数段強い。メインアタックスキルとなるだろう」

でもそんなのを一人で買いに行ってたの?
別に一人で行くような物では――

「その……『おんがえし』って技マシンなんだけどな」
「おんがえ……し?」
「トレーナーを信頼してるほど力が出る技だそうだ。ど、どうだ……?お、覚えてみないか?」

何やら噛み噛みな言葉をかけてくる おんがえし を覚える?
私がその技を使いこなせると思って勧めたの?

私は『コイツ』なんて信頼……して……

「……信頼なんて」

「俺じゃ値しないか?」
「……」

答えが出ない。
考えると胸が苦しくなる
それは少しは信頼してないと『コイツ』と一緒に旅なんてしてない
でも言葉に出来ない、頭の中が渦を巻くようにぐちゃぐちゃになってくる


「いいさ、他にも技あるよな……次の成長に見送ろう」
「……んっ」

落ち込んだような表情でバックにしまおうとした
そのディスクケースを横から強引に取る

「覚えればいいんでしょ。これで強くなれるなら使うわよ
 ……いい?足手まといになりたくないだけ
 それにこのまま使わないとお金ももったいないから。勘違いしないでよね」

『コイツ』に指を指し、誤解を生まないように確認させた後
中身のディスクを取り出し、頭に押し当てる
これで力が出なかったらそれだけ。その程度と言う事 そんな技忘れちゃえばいい
出たら……そのまま使い続ければいいと思う 他に意味なんて……無いから

「あ、あぁ!」

ぱーっと笑顔になった
この笑顔だ。この笑顔を見ると胸の中が疼いてしまう――



―――――



「そ、そんなに調子乗らないでよ。ただ今回は相手の防御が……!」
「にしし」

結果、いつもの数倍の力が出てしまった。
『コイツ』が凄く緩んだ表情で私を見ている。

信頼、してたんだ。ずっと心の中では『コイツ』の事、ただの足手まといとか
ただのバカとか……そういう認識しかなかった。
ううん、信頼してるということを自ら拒否してた気がする……。
そんな事口には出せないけど。

「ふ、ふん。せ、精々この威力を弱めるような真似はしない事ね!わかった?!」
「ぷっ……  くくく……はーっはっは!」
「な、何よっ」

突然声をあげて笑い出した『コイツ』
そして自らの発言を思い出し、凄く恥ずかしくなってきた

「やっぱお前って最高だな。大丈夫だ、威力を下げるよーな事なんてしねーよ
 俺だってお前を信頼してここまで一緒に来てるんだしな」

俺だって…か。
嬉しい。誰でも当然信頼してると言われればこの感情を覚えるのだろうけど……
少し、胸の奥で引っかかってた物が取れた気がする。答えの一部が解った気がする


「……当然じゃない。信頼してないなんて言ったら許すはずないんだから!
 これからも一緒にいるのよ!離れちゃ駄目なんだからね!」

急に顔に熱が走った。私何言っ……


「あれ……?」
「お、おい?ベイリーフ?どうした……?!」

体の様子がおかしい、血が流れる鼓動が大きく聞こえる―――

「んきゅぅー……」

一瞬視界が真っ白になり
気がついたら『コイツ』を近くに感じる……ううん、距離が近くなってる
……身長が伸びてる





数秒の無言の間の後、口を開いたままきょとんとしてた『コイツ』が言葉を発した

「はは。おめでとう、ベイリー……じゃないな、メガニウム」
「え……?」

へらへら笑う『コイツ』と自分の体や手足を眺め、確信した
進化、したんだ

「いい開花だ。綺麗だぜ」
「……バカ。そんな事言われても……」
「えー。折角褒めたのにバカはないぜー」
「……むぅ。今日だけだからね。 
                  ……あ……りがと」




―――

少しして、進化の祝いだとリーフの石を加工した髪飾りを貰った
私を置いて行った時に買ったみたい。
……。

そして、私だけの名前を貰った……。
どうせ呼び名が変わるなら自分達でつけた方の呼び名の方が親しみやすいとか
余計なお世話って言っちゃったけど……少し嬉しかった

flowerから取って「フラウ(flow)」

誰でも思い浮かびそうな単純でありがちな『アイツ』らしい考えの名前




    『おんがえし』に私に出来る精一杯な事は……するつもり
                        
                        だからこれからも隣に居させてね。『   』










―――あとがき―――
おんがえしを売ってる金銀verに感謝。

製作……2週間かかったのさ……この性格で彼女視点……何回発狂した事やら。
思い出の1ページ 複雑な想いのお年頃 なベイリーフなメガニウム(フラウ)でした。

しかし信頼と愛は別次元。本当の気持ちに気づくのはもう少し先の事……。
想いを言葉に出来ないと物語進行が難航に難航
だがそれがいい。乗り越えて乗り越えて得る物はプライスレス。


ここまで読んでくれた物好きな人に盛大に感謝しつつ
今日も明日も嫁スレで暴れるメガニウム&ポワルンの人でした。


――登場人物説明――


・トレーナー『   』

優しいバカ。別名愛すべきバカ


・フラウ(ベイリーフ→メガニウム)

ツンデレではない!『自分の気持ちに素直になれなく、つい意地を張ってしまう女の子』だ!
……ごめんなさいツンデレって断言できないのですorz

あとせっかくニックネームついてるので出しちゃった。次回作あればNNは解りにくいかもなので
NNにメガニウムフィルターつけるってことで……。
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