『浦島少女』
むかしむかし、といってもやっぱりそんなむかしでもないとき。
とある浜辺に、浦島太郎という名前の少女がいました。
「こんどはちゃんとしゅやくなのよっ!」
いきなりみもふたもないこと言わんでください。
ある日、太郎が釣りをしようと浜辺へ行くと1人のカメール(以下亀さん)がクラゲにいじめられていました。
「…ほら、ここ?ここがいいの?」
「やっ……あっ…やめ……あぁん…らめぇ…っ!」
「…こことかどう?ほらほら。」
最初から雰囲気が怪しいですね。あれは足の裏とかをくすぐってるだけですよ?念のため。
太郎はしょうがないとかめんどくさいとか思わず、あくまで善意で助けようとしました。
「あー、そこのくらげー、しょくしゅをはなせー。」
やる気がなさそうなのは気のせいです。
決してクラゲに呆れてるとかそんなのではありません。
「…うわー太郎が来たからニゲロー。」
棒読みはやめてください。あからさま過ぎです。
太郎は亀さんの所に駆け寄っていきます。
「えーと、かめさんだいじょうぶ?」
亀さんは恍惚とした表情をしていましたが、はっ、っと意識を取り戻し、
「あ、はい、大丈夫です。」
と太郎に言いました。
何かダメ人間のにおいがプンプンします。
「あの、助けてもらったお礼がしたいので一緒についてきてください!」
「いえ、えんりょします。」
「あぅ!なんでですかぁ~!」
「いや、しらないひとにはついていっちゃだめだっていわれてるので……」
まぁ社会の常識ですよね。
でも話続かないのでついてってもらいます。
ほとんど誘拐のかたちで亀さんの背中に乗せられ、どこかへと向かいました。
「ねぇ、まだつかないの~?」
「も、もうすこしですよぅ。」
しばらくして、太郎が辺りを見回すとそこには四季折々の花が咲き乱れなんともいえない光景が広がっていました。
「きれい……」
「キレイでしょう?さぁもうすぐ龍宮城につきますよ?」
「龍宮城?」
亀さんが太郎を連れてきた場所は龍宮城といい、とても立派な建物がそこにありました。
その中から、
「ようこそ、お待ちしておりました。」
とても美しい萌えもんがたくさんの部下を従えて現れました。
「私はここ、龍宮城の主キングドラ…まぁ乙姫と言ったほうがいいかしら?」
聞かないでください。
乙姫さんはそれはもう美しく、扇子で口元隠したりとか妖艶な感じに女の太郎でも惚れてしまいそうな程です。
「このたびはうちのカメールを助けていただき、ホントに有難うございます。…カメール?後でちょっと…ね?」
「ふえぇ?!そんなぁ~。」
嬉しそうなのは気のせいでしょうか?
「まぁそれはともかく、久々の客人ですので歓迎させていただきますね?」
入り口から案内され、1番奥の大広間。
そこで繰り広げられる祭りのような大騒ぎ。
コイキングやらトサキントの踊りにおいしい料理。
隣の部屋から聞こえる嬉しそうな悲鳴。
そこはまさに天国のような場所でした。
「太郎様?どうです?楽しいでしょう?」
「うんっ。とっひぇもたのひいのぉ~。」
太郎は龍宮城でとても楽しい日々を送りました。
呂律が回ってないのは何かの気のせいです。決してアルコールが入ってるとかではないです。
そして、何日も何日も過ぎたある日、
「うーん、そろそろおうちにかえんなくちゃなのぉ……」
太郎はそうもらしました。
「このままずっとここにいても良いのですよ?」
乙姫さんがそういいますが太郎は、
「おとうさんとか(いちおう)しんぱいだし……」
「そうですか…それでは、カメール?」
「は、はいっ!太郎さんこれをどうぞ。玉手箱です。」
渡されたのは割と大き目の箱。紐で厳重に縛られています。
「まぁお土産のようなものです?でも、絶対あけたらダメですよ?」
「うん、わかったのぉ~。」
太郎は来たとき同様亀さんの背中に乗り、元来た浜辺へと帰っていきました。
「かめさん、すてきなけいけんをありがとうなのぉ。」
「いやいや、こっちこそ浜辺ではありがとうですよぉ。じゃあ私は帰りますね。」
「バイバイなのぉ。」
亀さんと別れ、少女が家に帰ろうとしたとき何かおかしいことに気づきます。
そこにあるはずの家がありません。
というか何もありません。遊泳禁止の看板しかないです。こんなのなかったのに。
「あれ…?ここうちのちかくのはまべだよね…?」
太郎はわけがわからなくなっていました。
「あっ!そうだっ!」
太郎は玉手箱を開ければ何かわかるかもと思い、開けることにしました。
すると、中から大量の煙が出て、太郎はおばあさんになってしまいました。
煙に包まれながら太郎は龍宮城でのことを思い出していました。
「そっかー…そんなにじかんがすぎていたのね……」
龍宮城に太郎がいたのは2~3日のことですが、実際には何年も何年も経っていました。
太郎はそのまま息を引き取りましたとさ……
めでたしめでたし?
※ ※ ※
少女「しんでおわりとかなっとくいかないのー!!」
作者「いや、でも浦島太郎ってホントにそんな話だからさ……ね?」
少女「むりやりにでもハッピーエンドにしなさいよこのバカ作者!」
作者「ちょっ……クラゲさんとかマグさんとか出して何する気?!」
少女「きまってんでしょ……“バブルこうせん”!“ねっぷう”!」
作者「ちょ…ま…乙姫さんたすk…アッー!」
キングドラ「はぁ…どうしようもないですねぇ?」
※ ※ ※
~あとがき~
|’’)むかし~むかし~うらしまは~たすけたかめに~つれられて~♪
あらためてやぁ。作者です。死に掛けです。
今回も童話モチーフのSSです。題材は「浦島太郎」。
2回目にして究極の2番煎じです。
まぁその話はおいておくとしましょうか。
さてこの「浦島太郎」、地方や書かれた時代によって様々な諸説がありどの説で書こうかすごく悩みました。
使ったものもあれば使わなかったものも多数。
「助けた亀=乙姫」なんてのが1番の例でしょうか。
正直、あのカメールのキャラ設定で乙姫は無理があるだろ……。
ってことで没になったんですけどね。
で、乙姫役はキングドラに。
龍宮→ドラゴンタイプ→キングドラ
単純ですよね。
ちなみに元々の「浦島太郎」では亀はいじめられてたのではなく太郎に釣られ、なおかつ食べられそうになったんだとか。
もうひとつ悩んだのが玉手箱を開けた後。
よく知られる「お爺さんになる」や「鶴になって飛んでいく」など、これも多く説がありました。
そのなかで使ったのが「走馬灯に包まれながら死ぬ」というもの。これもホントはお爺さんになりながら死にます。
少女が別の人(生き物)変化するというのがどうしても思いつかなかったんですよね…。
一応「少女や萌えもんが劇のような形でやっている」という設定の上なので。
まぁ最後のくだりで許してくださいな。
最後に。
「北風と太陽」には教訓がありましたが、「浦島太郎」にはないです。
日本の童話は無い方が多いようにも思えます。
無理やり教訓をつけるなら「約束は守ろう」でしょうか。
「鶴の恩返し」なんかにもいえますね。
まぁこの辺は全部余談なので読み飛ばしてくれてかまいません。
ひきつづき童話のアイディア募集中なので、よろしくなのです。
ではまたつぎのきかいにでも……。
|’’)ノシばいにー
最終更新:2008年06月07日 10:59