この前町外れを見回っていた時、無数のおにすずめに囲まれ突かれている萌えもんを発見した。
一応萌えもんレンジャーの資格を持っている俺は、
その萌えもんを保護する為に専用の道具を展開しておにすずめ達の輪に向かった。
俺がおにすずめ達の輪に接近し鋭く威嚇すると、おにすずめ達は驚いて慌てて逃げていった。
なんとか威嚇だけでおにすずめ達を傷つけることなく済んだ事に安堵する。
そしておにすずめ達に襲われていた萌えもんを保護する為に傷ついた萌えもんにさらに近づいた。
ぼろぼろになっているが、その娘の格好、髪型から『ひんばす』という萌えもんのようだ。
そして水中ではなく陸上にいると所を見るとどうやらその娘は何かの事情で捨てられたらしい。
近くを探索してみると、泥まみれのゴージャスボールと手紙を発見した。
手紙にはこの娘のマスターの簡単な事情とひんばすを見つけた人への言葉が記されていた。
どうやら元マスターはこのひんばすをとても大切にしていたようだが、
エリートトレーナーで厳格な両親は最弱といわれるひんばすを毛嫌いし、
結果捨てざる負えなくなったようだ。
最初は友人達に頼む道も考えていたようだが……両親はそれすらも許さなかったらしい。
本来萌えもんレンジャーの資格を持つ俺は、このような萌えもんを発見した場合の行動は
即時保護の後、しかるべき手順をふんだ後に萌えもんを自然に帰すのが仕事だ。
ただ、俺は手紙を読んだ時点でその考えは既に消え去り、一つの別の考えが浮かんでいた。
『そうだ、このひんばすを育てこの娘とマスターを引き裂いた両親に目に物見せてやろう』と。
俺の考えはこうだ。
ひんばすは一番醜い萌えもんといわれている萌えもんだ。
ただ、ひんばすには一つの伝説があった。
それは心身ともに美しきひんばすは究極の進化を遂げるというもの。
この伝説が本当かどうかは俺も知らない。
だが、もし本当だとしたら……俺はそれを想像すると自然と顔がにやけていた。
だってそうだろ?
今まで散々貶されていた萌えもんが進化し、貶していたやつらに一矢酬いるんだぞ?
これほど嬉しいことは無い!
そう決めると、ひんばすをこれ以上怖がらせないために道具をしまい、優しく話しかける。
だが、かなり衰弱しているのか細い呼吸だけしか返さなかった。
俺はひんばすの様子からかなり危険な状態だと判断すると慎重に抱き上げ、
なるべく振動を与えないようにしながら街に向かって走った。
そして萌えもんセンターに向かい、知り合いの医師にひんばすを預けると、
俺は薬局に向かい回復の薬を一ダース分買っておいた。
少なくともこれだけあれば一週間は大丈夫なはずだ。
その後ひんばすの状態の説明を受け、次に治療に来る日と、ひんばすのマスターの調査について話しあった。
そしてひんばすを療養させる為に一路自宅に向かった。
待ってろひんばす、絶対に強くしてお前の大好きなマスターに逢わせてやるからな!
最終更新:2008年06月16日 23:08