5スレ>>457


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萌えっ娘もんすたぁEM SS

第一話


「・・・ス、ター・・・マスター」

マスター?おれのことか?

「起きてください、時間です」

ダメだ、体が重い。起き上がれない。
そもそも、この声は何だ?夢か?
その割には、随分質量のある・・・いや、これは。

「仕方ありませんね、失礼します」

ふっと、体が軽くなり、
次の瞬間、強烈な衝撃がみぞおちを貫いた。
ああ、そうだ・・・こいつは・・・

「か、勘弁してください、ミズキさん・・・」

我ながら、情けない声だった。
痛みをこらえ、必死で呼吸しながら、馬乗りになったそいつを見上げる。
まさか、腹の上で飛び跳ねるとは。

「おはようございます、マスター」

眼鏡の奥の瞳が、冷たく笑う。
そう、おれは・・・このミズゴロウのマスターになったのだった。


事の起こりは、こうだ。

一週間前。
おれは、親父の仕事の都合で、ミシロタウンに引っ越してきた。
苦節30年かけて、ようやく念願のジムリーダー資格を得たとかで、
両親そろって、それはもう、凄まじい入れ込みようだった。

しかし、萌えもんトレーナーといってもピンキリの浮き草稼業。
あんまり蓄えもないものだから、
ジムのあるトウカシティには引っ越せなかったのだ。
そこで、親父と旧知の仲のオダマキ博士のつてで、
ジムまで徒歩で、一時間はかかるだろう郊外に、借家することになったのだった。

問題はここからだ。
このオダマキ博士が、萌えもんの図鑑を作るとかで
自分の娘のハルカだけでは手が足りず、おれに手伝ってほしいと依頼してきたのだ。
おれとしては断りたいところだったが、なんと親父が勝手に「快諾」してしまった。

「男は、旅に出るもんや!」

親父は笑いながら言い放つと、おれに一個のボールを手渡し、寒空の下に放り出したのだ。
MOEMONセンターは24時間営業だから、野宿せずに済むとはいえ・・・
この一週間で、所持金は底をつきかけていた。

そして何より、親父に渡されたボールの中身・・・。
このミズゴロウ。


「すでに正午です。あと2時間で本日のカナズミジムへの挑戦受付が締め切られます」

女の子を学名で呼ぶのも味気ないので、
ミズキと名づけたのだが・・・。

「あと昨日の夕食で残金が500円になりました。何らかの対策が・・・」

そう、何よりコイツの対応が味気ないのだ。
くいっと、眼鏡を上げる姿は、いい風に言えばクールビューティ。
悪く言えば鉄仮面。

「全く、聞いてますか、マスター」

ああ、と生返事をすると、ため息が返ってきた。

「わかってるよ、今日こそジムの試合に行くさ」

主要な町には、トレーナージムが存在する。
トレーナーを目指すものたちは、
それぞれのジムの認定証ともいえるバッジを求めて旅をするのが常だ。
だが、おれたちの場合、事情はもっと切実だ。

早い話がバトルの賞金が、そのまま生活費になるのだ。
ジムの場合は正規のファイトマネーが支給されるが、野試合は「握った」額が賞金になる。
つまりは賭けバトルというわけだ。

今のところ、カナズミシティの外れで開かれる試合では、ミズキは負けなしだった。
もっとも趣味程度のおっさんや、よくわかってないジャリども相手の話だが。
逆に言えば、そんな相手と握ったところで、大した額にはならない。
一度、勘違いしたおぼっちゃんから巻き上げたが、それっきり来なくなった。
その意味でも、やはり、ジムに挑戦する必要がある。

「ところで、ミズキ」

「なんでしょうか」

この相棒は冷静なくせに、どこかズレている。

「いつまで、おれの上に乗っかっているつもりだ」

指摘されると、真っ赤になって、ぴょんと飛びのいた。
こういうのを、愛嬌というのか。

朝昼を兼ねて、二人で食事を取る。
よく言えばブランチだ、優雅だろ、と言ってやると
二人合わせても、ワンコインですけどね、と、珍しく軽口を叩いてきた。
財布の中身は、きれいに空っぽになっていた。
外は雨。
絶好のバトル日和だ。


...to be continued.

文責 Suzuki(旦那の人)
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