ブラックハート≪No.616≫

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『人間』止める事を、自分に納得させたあの日…………あたしゃ、夜通し泣いたね…………

いや…………『泣いた』なんて、可愛いもんじゃねぇ…………『叫んだ』…………一晩中叫んだ…………



ブラックハート(Black Heart)
『絶狂の黒金』

【人物】
銀色のウェーブがかったロングヘアーに、黒のライダースーツで全身を固めた、目元をサングラスで隠す、毒々しい赤い口紅が印象的な女性


カノッサ機関のNo.616。23歳
本名を『ドルトナー=アークライン』と言うが、この名前は現在は意味の無い物として、人前では使用していない

機関内のプロジェクト『人工強化プロジェクト』の『試験体サイボーグ』
現状では、プロジェクトの内容は明らかにはなっていない

かつては、ごく普通の家庭に生まれた一人の人間に過ぎなかった
しかし、先天性の免疫不全と言う体質を持ってこの世に生を受けてしまい、また、家庭は比較的貧しい環境にあった為、彼女の治療費に莫大な費用が掛かり、両親から『金食い虫』と罵られながら育つ
更に、18歳になった時、家庭の経済状態は借金頼みのギリギリの状態に陥っていた
そこに目をつけたのが、『人工強化プロジェクト』のメンバーで、免疫不全の体質、そして成長を終えた状態にある肉体を利用する為に、両親をそそのかし、薬品を利用して彼女を誘拐する
そうして、両親は『借金の担保』としてドルトナーを差し出す事で、自分たちの生活を改善させ、ドルトナーは、逆らえば殺される状況下で、やむなくサイボーグ手術を受け入れた

こうした過去を経験している為、その言動からは煮えたぎるような『人間』への憎悪、そして殺人衝動が渦巻いている事が良く分かる
行動の自由が利く際には、度々その身一つで一般人を襲撃し、いたぶる様な残虐な殺しに明け暮れている
機関内部の仲間、人間ではない知性体、そして自分と同じように他人を害する様な人間に対しては、多少なりとも友好的な態度を見せるが、それ以外の『人間』に対しては、よほどの事がない限り名前で呼ぶ事さえも拒絶し、ひたすら殺意の赴くままに行動する

普段は機関の施設内に与えられた『個室』で過ごしている
青白い殺菌灯で照らされた無菌室で、コンタミネーションガード(感染予防)のための特別処置である
また、同室にはサイボーグ機関のメンテナンス用の機器も設置されており、カプセルの中で過ごす事も珍しくない
更に、移動拠点として、この『個室』と同等の機能を有するトレーラー、通称『Factory』も保有している
これらの処置も、彼女の免疫不全を補う為に必要なものであった

服を着た上からでは、普通の人間の様にしか見えないが、胴体部(特に胸部)には、大型の箍が露出しており、機械的な機構を持つ人間である事が一目でわかる
また、背面にも何らかのケーブルを接続するためと思しき端子の様なものが体表面に存在する
日頃から、スーツなどの生地の厚い服装をしているのは、これらを隠す意図がある

『改造』を受けて後、身体は更に機械化が進んでいる。現状は、両腕が義手になり、髪も放熱用の金属部品に、そして両目もカメラ化されている事が確認されている

また、首には自身の存在を誇示するかのように、『Canossa 616』と刻み込まれたプレートのついた、金属製の首輪がはめ込まれている
ただし、機関員としての身分を隠しながら行動する必要がある際には、スカーフ代わりのハンカチを首に巻き、この首輪を隠している

その肉体は、維持のために血液ですら人工のものに置き換えられ、彼女の肉体を循環させる血液は、薄い肌色で、透明度の高い、おおよそ血液とは思えないものになっている
故に、食事などにも非常に気を使い、余計な食物を摂取する事は一切許されていない

定期メンテナンスを受けなければ、4日で限界に達すると言う説があり、これが彼女を機関に繋ぎ止めている鎖であり、同時に彼女が機関に対して『酷く歪んだ形での厚い忠誠』を誓う、命綱でもある
これは、人工血液の洗浄と、サイボーグ機構の補修の両面の意味であり、それだけに彼女には、『人間を憎むか否か』に関係なく、機関の外に居場所を作る事は出来なくなっている



【足跡】
各地で任務を遂行している
その多くは『襲撃』や『虐殺』など、直接的なものである

機関の議員であるシェン・ロンドの円満脱退の際の仕事である光の国へのテロに参加し、Justice識槻 朔夜と戦闘
既に別働隊が敗北し撤退したにもかかわらず戦闘行為を続行し、やや不利寄りの引き分けと言う形で撤退する事になる

その後、路地裏にて殺しに明け暮れていた際に、エルネスティーネと名乗る人型兵器と接触
機関百家 羅山への伝言を頼まれて快諾。その旨を“データベース”に記載する

ある夜、変わらず人殺しを行っていた際に血の色を髪をした女の妨害を受ける
冷静さを欠いたに対し容赦の無い攻撃を仕掛け、その左腕を切断するが、慢心から痛み分けの状態となってしまい、『哲学者の卵』を命中させて逃亡する事になる

この女とは、元機関員である夢幻檸檬であり、ここでの『』の被弾が遠因となり、機関に復帰する事になる
しかし、そうした状況を把握していなかったために、ここでの負傷が癒えた後に“データベース”に『血の色の髪をした、女の敵対能力者』の情報を書き込む
それを、夢幻檸檬が所属している氷の国支部の支部長であるパッション・プレイが確認し、事実関係の確認のために、氷の国支部にて会談を行う事になる
ここで、『夢幻檸檬は、先の戦闘後に機関に復帰した』と、パッション・プレイから説明を受け、『元機関員が、何故『正義の徒』としてのアイデンティティを振りかざして襲いかかってきたのか』という疑問を残すも、『』が被弾していたと言う事実に一応の納得を見せ、敵対能力者としての情報を訂正する

ある夜、いつものように街中で住民を殺戮し、ゴーストタウンの様相を呈する中で星空を楽しんでいるところに、Justice谷山 基樹の襲撃を受ける
“データベース”に上がっていたパッション・プレイからの情報を参考にしながら、優勢に戦闘を展開し、アートマンと『モード:アイアン・メイデン』を互いに発動しての総力戦となる
その結果、谷山の右目を潰し、更に“データベース”に補強のための情報を入手する事に成功するが、同時に、左わき腹を抉られてしまい、それが原因で止めを刺せずに撤退する事になる

翌日、谷山との戦闘の傷も癒えぬ間に、気晴らしのために再び殺戮を行うべく機関の施設を抜け出した際に、夢幻檸檬に遭遇
始めは、夢幻檸檬森島 京との間に『檸檬への増援』と言う形で割りこもうとしたのだが、ここで檸檬が再び機関から距離を取って、自分の成すべき事を考えてみたがっていると言う事、森島 京が、以前機関を裏切った、元≪No.105≫その人である事を知る
そして森島と共に往こうとする檸檬に対して、檸檬森島に、感情的にほだされている事を見抜いたブラックハートは『答えを出すために行くと言うのなら、どちらかに寄りかかるのは止めろ。でなければ『裏切り者』として討つ』と、傷による体調不良にもかかわらず、必死に檸檬に対して説得をする
結局、『裏切り者である森島が生きていたと言う事実』と『檸檬が再び叛意を持ったと言う事実』を、任務ではない、偶然の遭遇と言う立場を利用して、“データベース”に報告しないと言う交換条件を成立させ、檸檬を一人で(森島と別れて)立ち去らせる事に成功する
その際に、檸檬に対して『前回は敵同士だったとはいえ、左腕を切り落としてしまって済まなかった』と謝罪し(もっとも、別な要因で檸檬の左腕は復活していたのだが)、同時に自分を『人間ではない。化物だ』と言った檸檬に対して『『人間』で無いと言うのなら、もう害意は持たない。その答えも最大限尊重する。しかし、出来る事なら戦いたくはない』と、自分にできる最大限の誠意を見せた
また、『信用ならないなら、一緒に来い』と言う森島に対しては『メンテナンスを受けずに4日過ぎれば、自分は『壊れる』』と拒絶し、代わりに、その生存を機関に対して今回限りは黙秘する『見返り』に、治療のためのハンカチを受け取り『次に遭遇した時は容赦しないが、今回はこれで互いに貸し借り無し』と、すっきりと関係を清算する

水の国のディモルキャスト平原での戦乱(通称ディモルキャスト会戦)では、以前に会ったエルネスティーネと共に、Blue justiceゼビレイ、そして敵対者の青年と対峙する
水の国国軍の一般兵をなぎ払い、このに対しても、それなりな戦闘を展開していたのだが、本隊である百家 羅山が裏切りに会い壊滅し、自身もゼビレイとの交戦によって、右腕を欠落させてしまう
結局、かろうじて敵を無力化すると、救援を呼び寄せてエルネスティーネを回収、共に戦場を落ち延びて行った

帰還後、修復と同時に大掛かりな『改造』を施され、治療やリハビリの過程で魔斬 香月≪No.41≫メアリー・シェリー《№58》と交流を持っている
香月とは、ルビーシャに残された兵隊たちの為に、正義組織と交渉をすると言う計画を話し合い、ルビーシャの機関兵撤退の布石を打ってもらう
また、メアリーとは、突然の≪No.58≫交代劇があったものの、仲間として受け入れると言う態度を見せた

水の国支部の支部長であるレギンが運用する〝事象生体概念兵器 O・A〟の1体を貰いうける為に、水の国支部へと赴き、そこで『type---07 〝Netzach〟(ネツァク)』を支給される
強大な力を得た事に、狂気をはらんだ愉悦を隠そうともせずに高笑いする一方で、同じくO・Aを受け取った者の中に夢幻檸檬がいると言う事を知り、「なんらかの形で吹っ切れたのだろうが、それはどの方向に向かうのか」と、一抹の不安を抱える事にもなった

懲りもせずに機関の施設を抜けだし、殺戮に興じていたところ、大剣を背負った男に攻撃を受け、更に増援としてサイボーグらしき奇妙な二人組が乱入し、1対3の苦戦を強いられる
結果、ブラックハートの左腕は欠落し、先日入手したばかりのネツァクを利用して、強引に離脱を決行する羽目になる

左腕が欠落したまま、気晴らしに抜け出した草原にて、“データベース”に載っていた南雲利織の現状に対し、望まぬままに機関に協力させられると言う境遇に、自分と似た物を感じて、反発する旨を“データベース”に書き込んでいた所、先に妨害してきた二人組であるジャーニッド・シュタインシンデレラの二人組と再会する
シンデレラに同胞意識を感じて、自分の過去の経験を吐露し、それを受けたジャーニッドに『家族』になろうと提案される
機関の外に絆を結ぶような行為に「仲間たちに対する裏切りではないか」と、檸檬香月らの事を思い出して躊躇したが、結局『機関の事は機関の事で、これまで通りにする』と言う条件付きで、その盟約を受け入れた

欠落した左腕を新たな義手で補い、機嫌が良いままに路地裏をうろついていた所で、夢幻檸檬と再会する
機関に残るか否かの答えを出したと言う檸檬の言葉に耳を傾けるも、そこにはまだ躊躇いの様な物が混じっている事を感じ取ったブラックハートは「中途半端では、いずれ絶対に後悔する事になる」と、檸檬に対して説得をし、結果的に檸檬機関からの脱退を決意する
自分の体を本気で心配してくれた檸檬と敵対する事を、実質的に後押した事に後悔しかけるが「そうした『身勝手さ』こそ、人間を許せない理由だったはずだ」と、自分の迷いを押し殺して、檸檬を送り出す
その際に、「自分と同じような境遇になるかもしれない事が、我慢ならない」と、南雲利織の救出を正義組織へと働きかけてくれ、と言う伝言と、森島 京及び谷山 基樹に「次は決着をつける」と言う伝言を頼みこんだ



【所持品】
携帯用の装備として持ち歩いている備品
投擲用の武器として使用するために、特別に鋭いニードル状に加工が施されている
詳細については、該当項目を参照されたし

  • 黒いハンカチ
森島 京から投げて寄こされた物
互いの『交渉』が成立した時に、散々に吐血をしていたのを見て、森島から渡された物
これを受け取る事で、『貸し借り無し』として、今後遭遇した時には改めて敵味方として戦える様に、自分の心を戒めた

また、人ごみの中などを行動する必要がある際には、このハンカチをスカーフ代わりに首に巻いて、首輪を隠すために使用する事もある

  • オメガ・アイン『ネツァク』
〝事象生体概念兵器 O・A〟の一つ。普段は携帯端末の内部にデータとして格納している
詳しくは該当項目を参照

  • ハンドカフス
機関を脱退する意思を固めた夢幻檸檬から託された物
≪No.90≫の刻印が入っている

  • 十字架型ドッグタグネックレス
上記のハンドカフスと同じく、機関を脱退する意思を固めた夢幻檸檬から託された物
氷の国支部所属である事を示す、一種のユニフォームの役割を果たしている



【能力】
内蔵火器
サイボーグとして全身に改造を施されたため、外見上からは判断の難しい武装などを装備している
主に使用されるのは、右腕に搭載された、超高温で対象を破壊する、あるいは電離を発生させ電気攻撃を行う『プラズマナックル』

『モード:アイアン・メイデン』
サイボーグ機関として備え付けられた機構
主に、搭載している生体(ブラックハート自身)に生命の危機が迫った際に自動で発動する
肉体の制御が搭載された戦闘プログラムに切り替わる上に、通常時には使用できない様々な内蔵装備(中型ビームガトリング4門や、斬撃用の8本の機械鎌など)を使用可能になる

『改良機動』
ディモルキャストでの敗戦以降、機構に改良が加えられ、一度に使用する個数に限定が成されるものの、上記『モード:アイアン・メイデン』によってしか使用できなかった機構が、通常形態でも使用可能になった
それに伴い、8本の機械鎌はバリエーションが増加し、鎌は4本に減少され、代わりに、連射は効かないものの破壊力の高い緑色のビームを放つ『ツインレイ』他、様々な武装が使用可能になる
4門の中型ガトリングと、8本の武装アームの内、4機までが、通常形態での運用限界となっている



【戦闘】
戦闘用に改造された存在であるため、戦闘能力は比較的高い
内蔵機構を使用しない状態であっても、筋力などは常人の比ではない
しかし、『モード:アイアン・メイデン』が起動するまでは、そこそこ優秀な戦士といった範疇を超えない

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最終更新:1970年01月01日 09:00