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「天ヶ谷 昴」(2011/05/25 (水) 13:30:37) の最新版変更点
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*天ヶ谷 昴(あまがや すばる)
ドクロの飾りが付いた黒いハットを被り、首にベルトチョーカーを巻いた少女。
パッと見セミショートだが後ろで長い髪を一つ結びにしており、
襟と袖にファーが付き、至る所にベルトをあしらった、
細身のシルエットの黒いフルジップジャケットを着込んでいる。
ジーンズは暗い灰色のものを着用し、靴にもドクロのワンポイントの装飾が施されており、
また、左腕にもベルトタイプのレザーブレスレットを着用している。
そして首から鏡映しのような逆向きの「S」を象った銀色のペンダントを下げている。
基本描写には組み込まれていないが、『蒼穹のような色の瞳』を持つ[[兄>天ヶ谷 双葉]]と対称的に、
まるで『海のような色の瞳』――アクア・マリン――を持つ。
年齢は見た目から判断すると大体17~18歳くらい。
身長は同年代の中では微妙に高い方で、出で立ちも相俟ってスラッとして見える。
ぱっちりと開かれた意志の強そうな瞳に表れているように、気が強く決意力も有る。
また、割りと判断力や洞察力もあるようだが、やや未熟。
常に何処か余裕がある風に喋り、結構自分の価値観をしっかり持っているが、
その本質は結局「楽しそうなほうに転がっていくだけ」に収束する。
しかし登場一回目で[[ルーミア>ルーミア・ゴールドウィン]]と物凄い哲学的な会話を繰り広げたあたり、微妙に侮れないのかも。
コイントスが好きで、どうでもいいことをよくコイントスで決めている。
曰く、「表か裏か、スッパリいけるところが良い」らしい。
ルーミアとの謎のコイントス哲学論を繰り広げてから、余計好きになったとか。
また、それが関係しているのか定かではないが、[[友人>愛野 海里]]の「ペルソナ」には
『審判』の能力が覚醒したようだ。コイントス、白と黒。確かに「審判」なのかもしれない。
料理出来そうなカンジではあるが、料理は全然まったくからっきし、らしい。
[[美しき姉弟愛によってこの子だけは食べられるが>天ヶ谷 命]]、それ以外の人には危険な領域。
好きな物はBLTサンドイッチとパフェ。パフェの中では何故かプリンパフェが好きらしい。
また、お酒を少量でも飲むと幼児退行する謎の酔い方をするので注意。
※お酒は二十歳になってから!
実は「孤独になること」「現在の幸せを失うこと」を異常なまでに恐れている。
そして実は無類の可愛いもの好き。
もともとドクロが好きなこともあって[[ジェムちゃん>レイド=E=ヴェイス&ジェム]]とかはドストライクらしい。
おまけに先日、[[某電波>ルカス・トゥアティ]]によって電波の世界に引きずり込まれた。哀れ。
日ごとに若干抜け出してきてはいるが、未だに片足突っ込んだ状態である。
**――家族構成
[[天>天ヶ谷 双葉]][[ヶ>天ヶ谷 命]][[谷>天ヶ谷 真]][[家>天ヶ谷 蛍]]の一員である。
[[命君>天ヶ谷 命]]と[[真君>天ヶ谷 真]]と[[蛍ちゃん>天ヶ谷 蛍]]の姉にあたり、
そして[[双葉ちゃん>天ヶ谷 双葉]]の妹にあたる。
ちなみに双葉を一番最初に「双葉ちゃん」と呼んだのは彼女。諸悪(?)の根源。
そして[[ブラコン>天ヶ谷 命]]。とても[[ブラコン>天ヶ谷 命]]。清々しいほどに[[ブラコン>天ヶ谷 命]]。ただし[[命君>天ヶ谷 命]]限定。
[[彼>天ヶ谷 命]]の前ではもう性格が破綻する。余裕とか冷静さとかは多次元宇宙の彼方へブッ飛んでいくので注意されたし。
[[豆腐マン>毒牙 巳異]]……じゃなくて[[毒牙 巳異]]に向かって“私の[[命君>天ヶ谷 命]]”と宣言したこともあるほど。大丈夫か。
ついでに、[[向こう>天ヶ谷 命]]もバッチリ重度のシスコン。
多分、もうどうしようもない。
……と思ったら[[お兄ちゃん>天ヶ谷 双葉]]に対してもブラコンのケを見せた。家族だいすきっこ。
その[[弟>天ヶ谷 命]]と、ものすっごいくだらない理由で喧嘩して家出していたが、最近仲直りしたようだ。よかったね。
因みに喧嘩の理由は[[弟のページ>天ヶ谷 命]]参照。くだらなさ過ぎてどうにかしても責任は取らない。
なお、よく見れば解るが、[[命>天ヶ谷 命]]とはお揃いのレザーブレスレットをしている。どんだけ。
とても家族想いではあるが、その感情はやや行き過ぎているところがある。
そのために以前、[[兄>天ヶ谷 双葉]]と「感情のすれ違い」を起こし、気まずい状態にあったことも。
「見放される事」を異常なまでに恐れる昴にとって、この事実はかなり重いものだったようだ。
現在はなんとか関係は修復されている。
**――最近の過去
数年間ほど、足を負傷していたために家から動けない日々が続いていたようだ。
走り回れるようになり、出歩けるようになったのはごく最近らしく、若干世間知らずな面がある。
ちなみにその間、看病や面倒は主に[[天ヶ谷 命]]が見てくれたそうな。仲の良い姉弟ですこと。
そして本人はその間ヒマでヒマで仕方なかったので、編物とかもやっていたらしい。
[[命>天ヶ谷 命]]が身に付けているマフラーや手袋も、彼女が編んだもの。ほんっと、仲の良い姉弟ですこと。
なお、この「足の負傷」には、彼女の壮絶なる過去が関係しているようだが、後述する。
**――目的?
どうやら、『シャル』と[[『紅丸』>紅丸 紅斗]]という男を捜しているらしい。
もしも2人に出会ったら、「スバルは生きている」という伝言をとりつけて欲しいと頼んだことがある。
……様々な出会いにより、矢張りというべきか。
「シャル」という人物とは、[[この男>クシャルクス・クロワール・レッドスカイ]]と判明。
彼が“生存している”と知った時、彼女は相当な嬉しさ――感動、喜び――を表した。
曰く、「シャル」「紅丸」とは『幼馴染』で、『最近は連絡すら取っていない』らしい。
それ以外にも深い理由がありそうだが――彼女は未だ、それを語らない。
ただ、判明した彼女の過去から、それを推測するのは比較的容易になってきている。
**――近況
[[金の国]]における、[[ルーミア・ゴールドウィン]]の公開処刑。
昴にとって初めての友人であるルーミアが叛乱を起こし、その果てに敗れたことを、昴は知らなかった。
友人のために何も出来なかったと嘆いた昴は、兄と共に処刑の場を訪れる。
せめて、ルーミアの覚悟を最後まで見届けることが、友人として出来る最後のことだと考えたからだ。
だが、ルーミアの部下であった騎士ウォルフが彼女を解放せんと処刑台に迫ったとき、
昴の自責の念は歪んだ形で膨張する。
即ち、「ルーミアのために何も出来なかった」という思考が「ルーミアのためになるなら何でもする」というものに変化し、
最終的に「ルーミアの望むことを全力で成し遂げる」というものに落ち着いた。
……処刑を中断され、無様に助けおおせられ、生き延びることをルーミアは望むだろうか。
彼女はとても誇り高い人物だ。きっと、敗北すらも覚悟の上だったのだろう……
……このまま処刑されれば、ルーミアは一種の「哀れな革命家」として死亡する。
だが、助けられれば「無様に逃げ延びた逃亡者」として、永遠に蔑まれる……
……そんなこと、ルーミアは望んでいないはずだ、と。そう考えるようになる。
ルーミアには死んでほしくないが、ルーミアは生き延びては成らない。
そんな複雑な葛藤を抱えたまま、昴は思わず戦場へと躍り出て……――――
……やがて、その悩みもルーミアの覚悟も何もかもを、[[≪R.I.P.≫]]の[[ザンシア>〝ピンク・スクァーレル〟ザンシア]]がぶち壊す。
ルーミアの叛乱は、最初から国民軍の軍師として紛れ込んでいたザンシアの策略だった。
それに絶望するルーミアに手を伸ばさんとする昴であったが、乱入してきた[[カーネル>カーネル=アドルフ・レルゼクム]]によって重傷を負わされてしまう。
ザンシアとその部下が撤退した後、彼女は兄である双葉の手でルーミアの元まで運ばれ。
全てを失い、まるで抜け殻のようになってしまったルーミアを優しく抱きしめると、
偽らぬ本心である、「ルーミアが死ぬことがたまらなく嫌だった」「生きていてくれてありがとう」という想いをぶつける。
その場に居た[[クルス]]もまた、ルーミアを受け入れ。それが届いたのかは定かではないが、ルーミアの心は崩壊を止めたようだ。
それに安心した昴はそのまま意識を失い、現在は病院にて治療中。
既に意識は戻っているようだが、戦闘で受けたダメージが大きく、暫くは安静だろう。
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*崩壊
大会エキシビジョン・ひな祭り杯によって[[兄>天ヶ谷 双葉]]の異変に気付き、
[[ルクス>ルクス・カガチ≪No.14≫]]との会話によって、その兄が「対機関連合」なるものを立ち上げていたことを知る。
今まで嘘をつかれていた、何も知らなかったという衝撃は信じられない程に彼女を打ちのめし、
双葉に対機関連合設立を持ちかけたルクスを全ての元凶と思い込むことで崩壊を免れる。
普段の彼女からは想像できないような暴走錯乱した殺意でルクスを殺しにかかったが――
ルクスの巧みな言葉により惑わされ――全てが虚言でもないが――錯乱は狂乱へと至る。
やがて狂乱は悲観という名の逃走を経て、その狂気を深めゆく……
そして彼女は、護れなかった双葉を今度こそ護るため、彼の「影の刃」と成ることを決意。
……聞こえは良いが、その実は。
双葉に害成すものを全て徹底的に殺戮しようという捻じ曲がったものである。
更にその狂乱を加速させるのは、ルクスが彼女に手渡した[[哲学者の卵>哲学者の卵【道具】]]――
……壊れきった狂歪たる哄笑の後。
彼女の瞳は、夜の如き暗黒に染まっていた。
そうして彼女はゆらりと動き出す。
大切なものを護るため、“正義”のために。
同じく卵によって堕ちた[[弟>天ヶ谷 命]]とともに、漆黒なる太陽の元を歩んでいたが……
**決別と転落
些細な運命の悪戯により、友人であった[[レイド、ジェム>レイド=E=ヴェイス&ジェム]]と決別。
昴のためを思って彼女らが嘘を吐いたことを知るも、卵により狂った昴は。
その「嘘を吐かれた」という事実だけを捉え、極度の不信状態に陥る。
更にレイドには自身が双葉の「影の刃」として行動していたことを知られていたゆえ、
「嘘をつくような奴に自らの秘密を教えておくことはできない」という答えにたどり着き――
……ある夜、昴は。ヴェイスの屋敷にて、レイドに銃口を向ける。
狂乱し錯綜する意識の中、昴は「大切な親友だと思ってた」と言い放ち、レイドを撃とうとするが――
――その瞬間、窓から飛び込んだ閃光の弾丸に昴は胸部を貫かれてしまう。
狙撃したのは何の因果か、[[≪四刃≫>≪R.I.P.≫]]の隊長、[[カーネル>カーネル・フェンダンス【≪四刃隊長≫】]]。
本来なら即死であったはずのその傷だが、昴は皮肉にも卵により増幅された力と、
ジェムの必死の治療、レイドの妹であるリイロの能力でなんとか一命を取り留める。
昴にとどめを刺そうとしたカーネルはリイロの使い魔・ファルガらの奮闘により退けることに成功するが、
昴はそのまま病院に搬送。かなり長い入院生活を送ることになった。
……これによりレイドは自らの所為で大切な人が不幸になると思い込み、精神を崩壊させ。
退いたカーネルは、昴のことを「裏切り者」と。「≪穿光≫のスバル」と呼び。
昴はあまりのショックから記憶障害を引き起こし、レイドのことを忘れてしまった。
……と、思われたが本当は深層の意識では覚えているようで。
あまりにも事実が衝撃的であったことから、昴の本能が保身のため記憶を書き換えているようだ。
だがそれも[[ライク>ライク・ヴェルトゥス]]にもたらされた真実によって脆いものとなっており、
昴は都合のよい偽りの記憶に浸りたい心と、苦しくも真実を受け入れたい心の狭間で葛藤する。
そのため精神的に不安定な状態にあり、精神安定薬を常用するようにすらなっていた。
…………だが。
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*≪R.I.P.≫――“スバル”
**――異変の胎動
そんな昴の退院予定日。カーネルは、今度こそ昴を殺害するために≪四刃≫を率いて病院を襲撃。
事前に情報を手にしていた[[リイロ>リイロ=M=ヴェイス&ファルガ]]や[[アストラ>アストラ=O=ヴェイス&ダハル]]、
兄である双葉、友人である[[サラ]]やアリエル、通りかかった[[無道 武美]]、[[吟雪]]、[[シオン]]と共にこれを迎え撃つ。
敵のターゲットである昴はリイロやアリエルらに守られていたが、敵方に居た[[キャノンボール・O.Z.]]の砲撃に脅威を感じ。
自らのことはいいからキャノンボール・O.Z.を倒してくれとリイロらに懇願する。
この願いを聞き入れ昴の元を離れたリイロたちだが、これはカーネルの作戦の内だった。
能力者全員を昴の傍から引き離すことに成功したカーネルは、この隙に昴を捕らえることに成功。
殺害しようとするが、寸前に現れた[[≪R.I.P.≫]]総帥、[[暴帝ポポル>グレミュール・ポポル]]に止められる。
ポポルは気絶した昴を「まだ利用できる」と言って、連れ去ってしまう……
……この時、彼の口から、真実が明かされた。
昴はかつて≪R.I.P.≫のメンバーで、突撃部隊≪四刃≫の一員であったという。
≪穿光のスバル≫と呼ばれた実力者で、幹部候補ですらあったようだ。
だが、ある日。理由は不明だが、昴はカーネルを、組織を裏切る。
この時カーネルを撃ち瀕死に追いやっており、これがカーネルが昴に執着する理由となっている。
……ポポルたちは、裏切り者である昴のことを偽名のはずの「スバル=エルデピアス」という名で呼び。
実兄であるはずの双葉は「もう昴は天ヶ谷 昴なんだ」と悲痛な叫びをあげた。
ここには、まだ知らぬ「隠された真実」があることは明白。
それが明かされるのはいつなのか?
≪R.I.P.≫との戦いは、昴を守れなかった能力者たちの慟哭と、幾多の謎と共に、開幕を告げた――。
**――≪虚夢の穿光≫
昴を奪還するため、多くの彼女の友人や能力者が≪R.I.P.≫との戦いを決意していた矢先。
≪R.I.P.≫の[[金の国]]宣戦布告戦において、その事実は衝撃として関係者間を駆け巡った。
現れた突撃隊≪四刃≫隊長の[[カーネル>カーネル・フェンダンス【≪四刃隊長≫】]]に付き添うようにして現われ、
戦っていた[[ライク>ライク・ヴェルトゥス]]、[[愛野 海里>海里]]、[[ルシア>ルシア・マリカ]]らの前に立ちふさがったのは、
ほかでもない、その瞳から一切の光を失った、変わり果てた姿の彼女だった。
どうやら、何らかの方法で洗脳され、記憶操作を受けたらしく、
昴は自らを≪四刃≫の一員、スバル=エルデピアスと名乗り、ライクらに牙を剥く。
海里やルシアらはかつての友人であったが、それを攻撃することにも一切の躊躇は見られなかった。
≪四刃≫における彼女は≪R.I.P.≫内の裏切り者・危険因子の処分を担当しており、
どちらかというと暗殺的な任務を請け負うことが多く、
全てが黒で統一された服装は、夜闇に潜み標的を撃ち抜くがためである。
本人の攻撃性はかなり高い一方で、まるで人形のように振舞うことがあり、
痛みにも殆ど動じる様子を見せない。確かにダメージは通っているが、精神的には怯まない。
そのため自身の身を省みず攻撃を重ねてくる事が多く、或る意味≪四刃≫で最も危険な人物。
また、隊長であるカーネルへの忠誠心も高い。
ひとたびカーネルの身が危険に晒されれば、何の躊躇いも無く身代わりになるほどである。
なお、この状態の彼女の感情表現はきわめて薄いが、感情が全く無いわけではない。
廃工場裏手において[[武美>無道 武美]]&[[朝顔]]と対峙した際は、
朝顔に自らの持論(≪R.I.P.≫の思想)を悉く覆され、多少感情的になるシーンが見受けられた。
基本思想は≪R.I.P.≫メンバーのもの、特にカーネルのそれと同じで、
この世に正義も悪も無く、あるのは「信念」を最重要視するという見方。
そして信念とは力で押し通し、力なき者はその正否に関わらず強者に屈服するしかないというもの。
加えて、そのために発生する犠牲も『必要な犠牲』と言い切り、
「コインは表と裏を同時には向けない。必ず日のあたらない方が存在する」
「下に傾いた天秤が上に昇るには、もう片方を下に叩き落さなくてはならない」との言葉も。
メンバーたちのそれより、平均して自らの行為を正当化しようとする文言が多いのが見受けられる。
同時に、恐らく[[『理想郷』>ノクト・アルカディア]]を望む心も、メンバーの中でかなり強いのだろう。
[[金の国]]宣戦布告戦では、暴走した[[イービルフェイス・D.D.]]を『粛清』。
ヴァイパーの一撃で腹部に風穴を開けた後、即座に魔術による風の鎚撃で圧殺した。
対象がかつての仲間であっても、そこに一切の躊躇は見られない。
それは「昴」時の友人であっても同じであり、上述の海里やルシアの他、
[[光の国]]物資運搬列車襲撃戦で自らが弟のように可愛がっていたアリエルと対峙した際も、
何も戸惑いなく殺意を見せていた。
とはいえ、ほんの僅かにアリエルの言葉に反応する節も見せたが――?
**――過去……『スバル=エルデピアス』
そして、とある夜の日。海沿いの断崖絶壁――『黒夜の墓標』と呼ばれている――の崖下。
何かに導かれるようにして其処に現れた彼女は、ついに兄である[[天ヶ谷 双葉]]と再会する。
兄である双葉の言葉にも反応することはなく、両者は戦闘に突入。
戦いは、彼女の魔術の師でもある双葉が有利に進めていたが、いざ攻撃をする瞬間に躊躇。
その隙をついたスバルの攻撃で双葉が大きなダメージを負い、戦いは死闘の領域へと至る。
しかし、戦いを重ねるうちにスバルは自らの内面の奇妙な感情に惑わされ、
やがて突如心内に響く『声』に頭を抱え、大きな隙を見せる。
この隙に双葉が自身最大の術を決め、戦いは双葉の勝利に終わった。
敗北し満身創意となったスバルは、自らの身を省みず攻撃を重ねた双葉に問う。
「お前は死ぬことが怖くないのか」と。
これに「怖くないわけない。それ以上に、喪うのが怖い」と返した双葉。
それに何を思ったのか、スバルは静かに自らの過去を語りだす。
自分にはうしなうものは一切無い……『家族』も『名前』も無い、『捨て子』であったこと。
そこを≪R.I.P.≫に拾われ、『スバル=エルデピアス』という暗号名を与えられたこと。
この名前は、星空に浮かぶ「プレアデス星団」――もじってつけられた名前であり、
即ち『PLEIADES(プレアデス)』のアナグラムである『ELDEPIAS(エルデピアス)』と、
星団の和名である『すばる(SUBARU)』をイコールで繋げただけの単純な名前だった。
≪R.I.P.≫に従って対象を殺害することこそが生きがいと感じていたスバルだったが、
ある時いいように利用されていると気づき、これに反旗を翻す。
しかし力及ばず敗北し、絶海の断崖から崖下に落下。≪R.I.P.≫には死亡したと思われていた。
だが、彼女はすさまじい重傷を負うものの一命をとりとめており、しかし足を骨折して動くことはできず、
このまま出血によって苦痛のまま死亡するしか無い――そう「絶望」した、その時のことだった。
「 ――…ねぇ、そのときに、ね?…わたしを、たすけっ、…たすけてくれた、ひとが、…いたんだ…
ふつう、さぁ…こんなところ、で…ちまみれで、たおれてたら…かかわりたく、ない、はずなのにっ…
そのひと、たちっ…ほんとにっ、やさしくて…こんな、こんなぁ…なにも、いわない、わたしをっ…!
【“少女”は声をふるわせて、閉じた瞳からぼろぼろと涙を溢しながら、必死になって、言葉を紡いでいた】
【聞いてほしいから…知ってほしいから、もう、隠さない「ぜんぶ」……―そして】
うそ、ついて…きおくがっ、っく、きおくが、ないって、うそ、ついてっ…うそ、…だったの、…ひっく…
ねぇ、そしたらっ、そしたら、そのひと…わたしにっ、そんな、ひきょぉな、わたしに…ねぇ…!
『なまえ』…くれてぇっ…!きょおから、おまえは…『かぞく』だって…!『いもうと』って、…『ねえさん』って、ぇ…!
ほん、とにっ…!ほんとに、うれしかった…、…はじめて、だれかに、『あいされ』てっ…!
でも…だけれど、…それなの、にっ…わたし、は…それすらっ、…てばなし、ちゃった…
【まるで幼子のように嗚咽を漏らしながら、語る、絞り出す――想いのたけが、あふれ出す】
……ひどい、こと…したよ……っく…ともだち、も…いっぱい、きずつけたよ……
……だい、すきなっ…ほんとに、だいすきな…わたしを、たすけてくれたひとも、…ころそうと、してっ…
もう……わたしの、いばしょなんて……こんどこそ、なくなっちゃった、って…………
……きょうのしっぱいで、≪R.I.P.≫ともおわかれ……
わたしをかぞくっていってくれたひとは、わたしがぼろぼろにきずつけた……
ねぇ……なにも、ないの…『わたし』は……『だれ?』…ねぇ、…これから、どうしたら…いいのさ、… 」
『 ……いいんだよ、別に。
傷なんて、時間が癒してくれるし。
居場所がなければ、作ればいい。
お前の好きなように、やりたいようにやればいい。
もう、自由なんだから、さ。
【当然のように、思いを篭めて、語りかけていき───】
…………そんなの、決まってるだろ。
お前の名前は"天ヶ谷 昴"
俺、天ヶ谷 双葉の──たった一人の、"妹"だ。 』
「 …… “おにい、ちゃん”っ…… 」
――そうして、再び眼を開いた彼女の瞳には、澄んだアクア・マリンの瞳が戻っていた。
かくして彼女は完全に記憶を取り戻し――『スバル=エルデピアス』と、完全に決別したのである。
補足しておくと、崖下で倒れていた彼女を助けたのが天ヶ谷の家であり、
≪R.I.P.≫との関わりがばれては迷惑がかかると考えたスバルは
記憶が無いとウソをつき、自身の名前を『すばる』とだけ名乗った。
そして、双葉は行き場の無いそんな彼女を受け入れ、『家族』とし、
『天ヶ谷 昴』という名前を授けた――のである。
やるときはやるぞ、おにいちゃん。
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*能力 ≪ Viper ~ ヴァイパー ≫
アートマンのようだがアートマンではない、不思議な能力形態をもつ。
発動と同時にスバルの右手の肘から先に銀色の装甲が纏われ、
回転式拳銃のシリンダーからバレルまでをそのまま超巨大化させたような『銃砲』が出現。
銃口は上下ふたつついており、撃鉄や引き金は無い。本当にシリンダーからバレルまでである。
銃口は拳が2つ入りそうなほど大きく、最早スケールが違う。
そしてバレル側面には≪V.I.P.E.R.≫の文字が刻まれている。
なお、この間昴の右手そのものは銃砲の中心部に保護されるように存在しているようだ。
能力発動中、左手で≪魔力≫を集中させて≪弾丸≫を生成することができる。
この≪弾丸≫は実体ではなく、あくまでも「魔力の塊」のようなモノである。
これを右手の銃砲のシリンダーに装弾し、様々なかたちで発射する。
単純な属性弾としての砲撃以外にも、幅広い応用性を持つようだ。
だがしかし、装弾中はどうしても無防備にならざるを得ない。
ちなみに装弾数は3発である。
やや少ないかもしれないが、弾丸生成に時間がかかる能力の特徴ゆえ、
実戦的な数としては3が限界であろう。
そして回転式なのに何故か発射後にカートリッジのようなものが排莢される。
撃つ前は実体ではないのにカートリッジらしきものは実体である。謎である。
しかし、これすらも再利用され、昴の武器となる。
この中に魔力を込めれば、その魔力に応じた「手榴弾」のような武器になるのだ。
威力は決して高くは無いが、昴の戦い方には欠かせない要素である。
ちなみに昴曰く、右手の銃砲の名前は
『超45アトラス(スーパーフォーティーファイブアトラス)』。
全く素晴らしいセンスである。
なお、「45」は「45口径」という意味ではないらしい。
**――戦闘スタイル
上記能力≪ヴァイパー≫による砲撃などの中~遠距離攻撃や空薬莢再利用の魔力爆弾に加え、
後述する『天ヶ谷流魔術』を行使して戦う。本人曰く「一応魔術師」。
しかし基本的にこの魔術は「弾丸」として利用される。魔術そのものとして放つことはやや少ない。
対応力はやや高く、砲身自体に防御力があるため堅実な戦い方が可能だが、
ほぼ全ての行動に準備を要するため、立ち上がりを突かれたり速攻には弱い。所謂スロー・スターターである。
また魔力弾を装填した後でも、撃ち尽くせば再び同じ状況に陥ってしまう。
ゆえにその隙を補うために、「空砲」などのフェイクもよく使用するようだ。
そして、砲撃の高威力に捉われがちではあるが、昴はあまりこれを連射などしてこない。
この威力のイメージを焼き付けておいて隙を作り、そこを崩すような戦い方を得意とする。
ゆえに高威力の砲撃は、最初の接近のための切り込みや防御以外にはあまり用いないようだ。
パワー・タイプに見えるが、その実は何処までもテクニック・タイプである。
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*天ヶ谷流魔術
[[天>天ヶ谷 双葉]][[ヶ>天ヶ谷 命]][[谷>天ヶ谷 真]][[家>天ヶ谷 蛍]]の人間のみが使える特殊な持つ魔術。
『天属性』という属性を操り行使することができるようだ。
即ち「晴れ=炎や光」「雨=水」「雪=氷」といった具合の属性操作であり、多属性を内包している。
かなりのセンスがあれば、それは天候を操るレベルにまで達するらしい。
魔力の「色」も特徴的であり、『空色の魔力』を持つ。
昴はこの中でも、『嵐と雷』……即ち『風と電撃』の扱いに長けており、
特に『風属性』の扱いだけは彼女が魔術師として尊敬する[[兄>天ヶ谷 双葉]]のそれを超えている。
また、どうやら昴は魔術の中でも比較的近距離射程の魔術を好むようだ。
強烈な質量を持つ風を直下に叩き付ける『風墜(かざおとし)』は彼女が多用する術のひとつ。
[[瑠雪 晃]]から彼の手書きの魔術書「治癒魔術(合成編)」を購入し、治癒術も学んでいるようだ。
また同じく彼からのアドバイスを受け、独自の魔術行使の方程式も開発しようとしている。
具体的には『天ヶ谷流魔術』+『普通の魔術』の組み合わせ、などを模索しているようだ。
なお、昴は正確にいえば天ヶ谷家の家系ではなく、この術は使えないはずだが、
前述の大怪我の治療の際、血液型が一致した弟の天ヶ谷 命から大量の血液を輸血。
その際、天ヶ谷の血に溶け込んだこの術の記憶・魔力が、彼女の身体に浸透したようだ。
そして双葉に魔術指導を賜り、今に至るというわけである。
**――使用魔術&銃技リスト
・風墜(かざおとし)
昴が最も多用する術のひとつ。風(嵐)の属性を持つ。
強い質量を持った風を振り下ろすように前方に叩きつけ、それで攻撃するという非常にシンプルな技。
だがその威力は昴が使用する術の中では最も高いといっても過言ではなく、
これを腕で防御した人物の、その腕の骨にヒビを入れた実績があるほど。
ただし、それに反して射程距離は最も短く、かなり接近していないと当てられない。
・雷鎌(シックル)
電撃(雷)の属性を持つ魔術。左手からいかずちの斬撃を放つ。
切断力はそこまで高くないが、発生が早く扱いやすい。射程距離もそこそこある。
・雷針(ピアス)
雷の天候の力を内包した術。前方に鋭く細い電撃の針を放つ。
発生速度及び射出速度は昴が扱う魔術の中で最速。射程距離はあまり長くない。
雷針が突き刺さるダメージは微々たるもので、メインの目的は電撃による動作の妨害。
この攻撃を受けた箇所には暫く痺れが残ることになるだろう。
・≪アルカ・ネム・メローテ≫
銃砲ヴァイパーの最大火力。蒼穹色の魔力を3発分使用する。
凄まじい破壊力を誇るレーザーを前方にブッ放すという、とても明快かつ豪快な技。
射程距離はかなり長く、威力もズバ抜けて高い。欠点は準備にかかる時間の遅さと射出後の反動。
レーザーの内部には風と電撃が渦巻いており、まるで暴風雨をそのまま閉じ込めたような様子である。
・治療術
名称は無い。上述する晃から購入した魔術書で学び、習得したもの。
通常の治癒術と、天ヶ谷流魔術の「光」と「水」を合成してあるらしい。
まだ練習中ということもあり、その回復力は小さい。
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*天ヶ谷 昴(あまがや すばる)
ドクロの飾りがついた髪留めを付け、首にベルトチョーカーを巻いた少女。
パッと見セミショートだが後ろで長い髪を一つ結びにしており、
白いシャツにベストを羽織って、七分丈のジーンズに青いチェックのスカーフベルトを着用。
また、左腕にもベルトタイプのレザーブレスレットを着用している。
そして首から鏡映しのような逆向きの「S」を象った銀色のペンダントを下げている。
最近イメチェンしたらしく、服装が随分涼しげになった。
以前は髪留めの代わりにドクロの飾りが付いた黒いハットを被り、
襟と袖にファーが付き、至る所にベルトをあしらった、細身のシルエットの黒いフルジップジャケットを着込んでいた。
ジーンズは暗い灰色のもので、靴にもドクロのワンポイントの装飾が施されていたのだが、
この服装もこの服装で気に入っているらしく、おそらくまた寒くなってくれば此方に着替える、かもしれない。
基本描写には組み込まれていないが、『蒼穹のような色の瞳』を持つ[[兄>天ヶ谷 双葉]]と対称的に、
まるで『海のような色の瞳』――アクア・マリン――を持つ。
年齢は見た目から判断すると大体17~18歳くらい。
身長は同年代の中では微妙に高い方で、出で立ちも相俟ってスラッとして見える。
ぱっちりと開かれた意志の強そうな瞳に表れているように、気が強く決意力も有る。
また、割りと判断力や洞察力もあるようだが、やや未熟。
常に何処か余裕がある風に喋り、結構自分の価値観をしっかり持っているが、
その本質は結局「楽しそうなほうに転がっていくだけ」に収束する。
しかし登場一回目で[[ルーミア>ルーミア・ゴールドウィン]]と物凄い哲学的な会話を繰り広げたあたり、微妙に侮れないのかも。
コイントスが好きで、どうでもいいことをよくコイントスで決めている。
曰く、「表か裏か、スッパリいけるところが良い」らしい。
ルーミアとの謎のコイントス哲学論を繰り広げてから、余計好きになったとか。
また、それが関係しているのか定かではないが、[[友人>愛野 海里]]の「ペルソナ」には
『審判』の能力が覚醒したようだ。コイントス、白と黒。確かに「審判」なのかもしれない。
料理出来そうなカンジではあるが、料理は全然まったくからっきし、らしい。
[[美しき姉弟愛によってこの子だけは食べられるが>天ヶ谷 命]]、それ以外の人には危険な領域。
好きな物はBLTサンドイッチとパフェ。パフェの中では何故かプリンパフェが好きらしい。
また、お酒を少量でも飲むと幼児退行する謎の酔い方をするので注意。
※お酒は二十歳になってから!
実は「孤独になること」「現在の幸せを失うこと」を異常なまでに恐れている。
そして実は無類の可愛いもの好き。
もともとドクロが好きなこともあって[[ジェムちゃん>レイド=E=ヴェイス&ジェム]]とかはドストライクらしい。
おまけに先日、[[某電波>ルカス・トゥアティ]]によって電波の世界に引きずり込まれた。哀れ。
日ごとに若干抜け出してきてはいるが、未だに片足突っ込んだ状態である。
[[クロワ>クシャルクス・クロワール・レッドスカイ]]と[[紅丸>紅丸 紅斗]]とは幼いころからの付き合い。
ふたりをまるで家族のように慕っているが、それは後述する過去が関係する。
**――家族構成
[[天>天ヶ谷 双葉]][[ヶ>天ヶ谷 命]][[谷>天ヶ谷 真]][[家>天ヶ谷 蛍]]の一員である。
[[命君>天ヶ谷 命]]と[[真君>天ヶ谷 真]]と[[蛍ちゃん>天ヶ谷 蛍]]の姉にあたり、
そして[[双葉ちゃん>天ヶ谷 双葉]]の妹にあたる。
ちなみに双葉を一番最初に「双葉ちゃん」と呼んだのは彼女。諸悪(?)の根源。
そして[[ブラコン>天ヶ谷 命]]。とても[[ブラコン>天ヶ谷 命]]。清々しいほどに[[ブラコン>天ヶ谷 命]]。ただし[[命君>天ヶ谷 命]]限定。
[[彼>天ヶ谷 命]]の前ではもう性格が破綻する。余裕とか冷静さとかは多次元宇宙の彼方へブッ飛んでいくので注意されたし。
[[豆腐マン>毒牙 巳異]]……じゃなくて[[毒牙 巳異]]に向かって“私の[[命君>天ヶ谷 命]]”と宣言したこともあるほど。大丈夫か。
ついでに、[[向こう>天ヶ谷 命]]もバッチリ重度のシスコン。
多分、もうどうしようもない。
……と思ったら[[お兄ちゃん>天ヶ谷 双葉]]に対してもブラコンのケを見せた。家族だいすきっこ。
その[[弟>天ヶ谷 命]]と、ものすっごいくだらない理由で喧嘩して家出していたが、最近仲直りしたようだ。よかったね。
因みに喧嘩の理由は[[弟のページ>天ヶ谷 命]]参照。くだらなさ過ぎてどうにかしても責任は取らない。
なお、よく見れば解るが、[[命>天ヶ谷 命]]とはお揃いのレザーブレスレットをしている。どんだけ。
とても家族想いではあるが、その感情はやや行き過ぎているところがある。
そのために以前、[[兄>天ヶ谷 双葉]]と「感情のすれ違い」を起こし、気まずい状態にあったことも。
「見放される事」を異常なまでに恐れる昴にとって、この事実はかなり重いものだったようだ。
現在はなんとか関係は修復されている。
**――最近の過去
数年間ほど、足を負傷していたために家から動けない日々が続いていたようだ。
走り回れるようになり、出歩けるようになったのはごく最近らしく、若干世間知らずな面がある。
ちなみにその間、看病や面倒は主に[[天ヶ谷 命]]が見てくれたそうな。仲の良い姉弟ですこと。
そして本人はその間ヒマでヒマで仕方なかったので、編物とかもやっていたらしい。
[[命>天ヶ谷 命]]が身に付けているマフラーや手袋も、彼女が編んだもの。ほんっと、仲の良い姉弟ですこと。
なお、この「足の負傷」には、彼女の壮絶なる過去が関係しているようだが、後述する。
**――近況
[[金の国]]における、[[ルーミア・ゴールドウィン]]の公開処刑。
昴にとって初めての友人であるルーミアが叛乱を起こし、その果てに敗れたことを、昴は知らなかった。
友人のために何も出来なかったと嘆いた昴は、兄と共に処刑の場を訪れる。
せめて、ルーミアの覚悟を最後まで見届けることが、友人として出来る最後のことだと考えたからだ。
だが、ルーミアの部下であった騎士ウォルフが彼女を解放せんと処刑台に迫ったとき、
昴の自責の念は歪んだ形で膨張する。
即ち、「ルーミアのために何も出来なかった」という思考が「ルーミアのためになるなら何でもする」というものに変化し、
最終的に「ルーミアの望むことを全力で成し遂げる」というものに落ち着いた。
……処刑を中断され、無様に助けおおせられ、生き延びることをルーミアは望むだろうか。
彼女はとても誇り高い人物だ。きっと、敗北すらも覚悟の上だったのだろう……
……このまま処刑されれば、ルーミアは一種の「哀れな革命家」として死亡する。
だが、助けられれば「無様に逃げ延びた逃亡者」として、永遠に蔑まれる……
……そんなこと、ルーミアは望んでいないはずだ、と。そう考えるようになる。
ルーミアには死んでほしくないが、ルーミアは生き延びては成らない。
そんな複雑な葛藤を抱えたまま、昴は思わず戦場へと躍り出て……――――
……やがて、その悩みもルーミアの覚悟も何もかもを、[[≪R.I.P.≫]]の[[ザンシア>〝ピンク・スクァーレル〟ザンシア]]がぶち壊す。
ルーミアの叛乱は、最初から国民軍の軍師として紛れ込んでいたザンシアの策略だった。
それに絶望するルーミアに手を伸ばさんとする昴であったが、乱入してきた[[カーネル>カーネル=アドルフ・レルゼクム]]によって重傷を負わされてしまう。
ザンシアとその部下が撤退した後、彼女は兄である双葉の手でルーミアの元まで運ばれ。
全てを失い、まるで抜け殻のようになってしまったルーミアを優しく抱きしめると、
偽らぬ本心である、「ルーミアが死ぬことがたまらなく嫌だった」「生きていてくれてありがとう」という想いをぶつける。
その場に居た[[クルス]]もまた、ルーミアを受け入れ。それが届いたのかは定かではないが、ルーミアの心は崩壊を止めたようだ。
それに安心した昴はそのまま意識を失い、現在は病院にて治療中。
既に意識は戻っているようだが、戦闘で受けたダメージが大きく、暫くは安静だろう。
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*崩壊
大会エキシビジョン・ひな祭り杯によって[[兄>天ヶ谷 双葉]]の異変に気付き、
[[ルクス>ルクス・カガチ≪No.14≫]]との会話によって、その兄が「対機関連合」なるものを立ち上げていたことを知る。
今まで嘘をつかれていた、何も知らなかったという衝撃は信じられない程に彼女を打ちのめし、
双葉に対機関連合設立を持ちかけたルクスを全ての元凶と思い込むことで崩壊を免れる。
普段の彼女からは想像できないような暴走錯乱した殺意でルクスを殺しにかかったが――
ルクスの巧みな言葉により惑わされ――全てが虚言でもないが――錯乱は狂乱へと至る。
やがて狂乱は悲観という名の逃走を経て、その狂気を深めゆく……
そして彼女は、護れなかった双葉を今度こそ護るため、彼の「影の刃」と成ることを決意。
……聞こえは良いが、その実は。
双葉に害成すものを全て徹底的に殺戮しようという捻じ曲がったものである。
更にその狂乱を加速させるのは、ルクスが彼女に手渡した[[哲学者の卵>哲学者の卵【道具】]]――
……壊れきった狂歪たる哄笑の後。
彼女の瞳は、夜の如き暗黒に染まっていた。
そうして彼女はゆらりと動き出す。
大切なものを護るため、“正義”のために。
同じく卵によって堕ちた[[弟>天ヶ谷 命]]とともに、漆黒なる太陽の元を歩んでいたが……
**決別と転落
些細な運命の悪戯により、友人であった[[レイド、ジェム>レイド=E=ヴェイス&ジェム]]と決別。
昴のためを思って彼女らが嘘を吐いたことを知るも、卵により狂った昴は。
その「嘘を吐かれた」という事実だけを捉え、極度の不信状態に陥る。
更にレイドには自身が双葉の「影の刃」として行動していたことを知られていたゆえ、
「嘘をつくような奴に自らの秘密を教えておくことはできない」という答えにたどり着き――
……ある夜、昴は。ヴェイスの屋敷にて、レイドに銃口を向ける。
狂乱し錯綜する意識の中、昴は「大切な親友だと思ってた」と言い放ち、レイドを撃とうとするが――
――その瞬間、窓から飛び込んだ閃光の弾丸に昴は胸部を貫かれてしまう。
狙撃したのは何の因果か、[[≪四刃≫>≪R.I.P.≫]]の隊長、[[カーネル>カーネル・フェンダンス【≪四刃隊長≫】]]。
本来なら即死であったはずのその傷だが、昴は皮肉にも卵により増幅された力と、
ジェムの必死の治療、レイドの妹であるリイロの能力でなんとか一命を取り留める。
昴にとどめを刺そうとしたカーネルはリイロの使い魔・ファルガらの奮闘により退けることに成功するが、
昴はそのまま病院に搬送。かなり長い入院生活を送ることになった。
……これによりレイドは自らの所為で大切な人が不幸になると思い込み、精神を崩壊させ。
退いたカーネルは、昴のことを「裏切り者」と。「≪穿光≫のスバル」と呼び。
昴はあまりのショックから記憶障害を引き起こし、レイドのことを忘れてしまった。
……と、思われたが本当は深層の意識では覚えているようで。
あまりにも事実が衝撃的であったことから、昴の本能が保身のため記憶を書き換えているようだ。
だがそれも[[ライク>ライク・ヴェルトゥス]]にもたらされた真実によって脆いものとなっており、
昴は都合のよい偽りの記憶に浸りたい心と、苦しくも真実を受け入れたい心の狭間で葛藤する。
そのため精神的に不安定な状態にあり、精神安定薬を常用するようにすらなっていた。
…………だが。
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*≪R.I.P.≫――“スバル”
**――異変の胎動
そんな昴の退院予定日。カーネルは、今度こそ昴を殺害するために≪四刃≫を率いて病院を襲撃。
事前に情報を手にしていた[[リイロ>リイロ=M=ヴェイス&ファルガ]]や[[アストラ>アストラ=O=ヴェイス&ダハル]]、
兄である双葉、友人である[[サラ]]やアリエル、通りかかった[[無道 武美]]、[[吟雪]]、[[シオン]]と共にこれを迎え撃つ。
敵のターゲットである昴はリイロやアリエルらに守られていたが、敵方に居た[[キャノンボール・O.Z.]]の砲撃に脅威を感じ。
自らのことはいいからキャノンボール・O.Z.を倒してくれとリイロらに懇願する。
この願いを聞き入れ昴の元を離れたリイロたちだが、これはカーネルの作戦の内だった。
能力者全員を昴の傍から引き離すことに成功したカーネルは、この隙に昴を捕らえることに成功。
殺害しようとするが、寸前に現れた[[≪R.I.P.≫]]総帥、[[暴帝ポポル>グレミュール・ポポル]]に止められる。
ポポルは気絶した昴を「まだ利用できる」と言って、連れ去ってしまう……
……この時、彼の口から、真実が明かされた。
昴はかつて≪R.I.P.≫のメンバーで、突撃部隊≪四刃≫の一員であったという。
≪穿光のスバル≫と呼ばれた実力者で、幹部候補ですらあったようだ。
だが、ある日。理由は不明だが、昴はカーネルを、組織を裏切る。
この時カーネルを撃ち瀕死に追いやっており、これがカーネルが昴に執着する理由となっている。
……ポポルたちは、裏切り者である昴のことを偽名のはずの「スバル=エルデピアス」という名で呼び。
実兄であるはずの双葉は「もう昴は天ヶ谷 昴なんだ」と悲痛な叫びをあげた。
ここには、まだ知らぬ「隠された真実」があることは明白。
それが明かされるのはいつなのか?
≪R.I.P.≫との戦いは、昴を守れなかった能力者たちの慟哭と、幾多の謎と共に、開幕を告げた――。
**――≪虚夢の穿光≫
昴を奪還するため、多くの彼女の友人や能力者が≪R.I.P.≫との戦いを決意していた矢先。
≪R.I.P.≫の[[金の国]]宣戦布告戦において、その事実は衝撃として関係者間を駆け巡った。
現れた突撃隊≪四刃≫隊長の[[カーネル>カーネル・フェンダンス【≪四刃隊長≫】]]に付き添うようにして現われ、
戦っていた[[ライク>ライク・ヴェルトゥス]]、[[愛野 海里>海里]]、[[ルシア>ルシア・マリカ]]らの前に立ちふさがったのは、
ほかでもない、その瞳から一切の光を失った、変わり果てた姿の彼女だった。
どうやら、何らかの方法で洗脳され、記憶操作を受けたらしく、
昴は自らを≪四刃≫の一員、スバル=エルデピアスと名乗り、ライクらに牙を剥く。
海里やルシアらはかつての友人であったが、それを攻撃することにも一切の躊躇は見られなかった。
≪四刃≫における彼女は≪R.I.P.≫内の裏切り者・危険因子の処分を担当しており、
どちらかというと暗殺的な任務を請け負うことが多く、
全てが黒で統一された服装は、夜闇に潜み標的を撃ち抜くがためである。
本人の攻撃性はかなり高い一方で、まるで人形のように振舞うことがあり、
痛みにも殆ど動じる様子を見せない。確かにダメージは通っているが、精神的には怯まない。
そのため自身の身を省みず攻撃を重ねてくる事が多く、或る意味≪四刃≫で最も危険な人物。
また、隊長であるカーネルへの忠誠心も高い。
ひとたびカーネルの身が危険に晒されれば、何の躊躇いも無く身代わりになるほどである。
なお、この状態の彼女の感情表現はきわめて薄いが、感情が全く無いわけではない。
廃工場裏手において[[武美>無道 武美]]&[[朝顔]]と対峙した際は、
朝顔に自らの持論(≪R.I.P.≫の思想)を悉く覆され、多少感情的になるシーンが見受けられた。
基本思想は≪R.I.P.≫メンバーのもの、特にカーネルのそれと同じで、
この世に正義も悪も無く、あるのは「信念」を最重要視するという見方。
そして信念とは力で押し通し、力なき者はその正否に関わらず強者に屈服するしかないというもの。
加えて、そのために発生する犠牲も『必要な犠牲』と言い切り、
「コインは表と裏を同時には向けない。必ず日のあたらない方が存在する」
「下に傾いた天秤が上に昇るには、もう片方を下に叩き落さなくてはならない」との言葉も。
メンバーたちのそれより、平均して自らの行為を正当化しようとする文言が多いのが見受けられる。
同時に、恐らく[[『理想郷』>ノクト・アルカディア]]を望む心も、メンバーの中でかなり強いのだろう。
[[金の国]]宣戦布告戦では、暴走した[[イービルフェイス・D.D.]]を『粛清』。
ヴァイパーの一撃で腹部に風穴を開けた後、即座に魔術による風の鎚撃で圧殺した。
対象がかつての仲間であっても、そこに一切の躊躇は見られない。
それは「昴」時の友人であっても同じであり、上述の海里やルシアの他、
[[光の国]]物資運搬列車襲撃戦で自らが弟のように可愛がっていたアリエルと対峙した際も、
何も戸惑いなく殺意を見せていた。
とはいえ、ほんの僅かにアリエルの言葉に反応する節も見せたが――?
**――過去……『スバル=エルデピアス』
そして、とある夜の日。海沿いの断崖絶壁――『黒夜の墓標』と呼ばれている――の崖下。
何かに導かれるようにして其処に現れた彼女は、ついに兄である[[天ヶ谷 双葉]]と再会する。
兄である双葉の言葉にも反応することはなく、両者は戦闘に突入。
戦いは、彼女の魔術の師でもある双葉が有利に進めていたが、いざ攻撃をする瞬間に躊躇。
その隙をついたスバルの攻撃で双葉が大きなダメージを負い、戦いは死闘の領域へと至る。
しかし、戦いを重ねるうちにスバルは自らの内面の奇妙な感情に惑わされ、
やがて突如心内に響く『声』に頭を抱え、大きな隙を見せる。
この隙に双葉が自身最大の術を決め、戦いは双葉の勝利に終わった。
敗北し満身創意となったスバルは、自らの身を省みず攻撃を重ねた双葉に問う。
「お前は死ぬことが怖くないのか」と。
これに「怖くないわけない。それ以上に、喪うのが怖い」と返した双葉。
それに何を思ったのか、スバルは静かに自らの過去を語りだす。
自分にはうしなうものは一切無い……『家族』も『名前』も無い、『捨て子』であったこと。
そこを≪R.I.P.≫に拾われ、『スバル=エルデピアス』という暗号名を与えられたこと。
この名前は、星空に浮かぶ「プレアデス星団」――もじってつけられた名前であり、
即ち『PLEIADES(プレアデス)』のアナグラムである『ELDEPIAS(エルデピアス)』と、
星団の和名である『すばる(SUBARU)』をイコールで繋げただけの単純な名前だった。
≪R.I.P.≫に従って対象を殺害することこそが生きがいと感じていたスバルだったが、
ある時いいように利用されていると気づき、これに反旗を翻す。
しかし力及ばず敗北し、絶海の断崖から崖下に落下。≪R.I.P.≫には死亡したと思われていた。
だが、彼女はすさまじい重傷を負うものの一命をとりとめており、しかし足を骨折して動くことはできず、
このまま出血によって苦痛のまま死亡するしか無い――そう「絶望」した、その時のことだった。
「 ――…ねぇ、そのときに、ね?…わたしを、たすけっ、…たすけてくれた、ひとが、…いたんだ…
ふつう、さぁ…こんなところ、で…ちまみれで、たおれてたら…かかわりたく、ない、はずなのにっ…
そのひと、たちっ…ほんとにっ、やさしくて…こんな、こんなぁ…なにも、いわない、わたしをっ…!
【“少女”は声をふるわせて、閉じた瞳からぼろぼろと涙を溢しながら、必死になって、言葉を紡いでいた】
【聞いてほしいから…知ってほしいから、もう、隠さない「ぜんぶ」……―そして】
うそ、ついて…きおくがっ、っく、きおくが、ないって、うそ、ついてっ…うそ、…だったの、…ひっく…
ねぇ、そしたらっ、そしたら、そのひと…わたしにっ、そんな、ひきょぉな、わたしに…ねぇ…!
『なまえ』…くれてぇっ…!きょおから、おまえは…『かぞく』だって…!『いもうと』って、…『ねえさん』って、ぇ…!
ほん、とにっ…!ほんとに、うれしかった…、…はじめて、だれかに、『あいされ』てっ…!
でも…だけれど、…それなの、にっ…わたし、は…それすらっ、…てばなし、ちゃった…
【まるで幼子のように嗚咽を漏らしながら、語る、絞り出す――想いのたけが、あふれ出す】
……ひどい、こと…したよ……っく…ともだち、も…いっぱい、きずつけたよ……
……だい、すきなっ…ほんとに、だいすきな…わたしを、たすけてくれたひとも、…ころそうと、してっ…
もう……わたしの、いばしょなんて……こんどこそ、なくなっちゃった、って…………
……きょうのしっぱいで、≪R.I.P.≫ともおわかれ……
わたしをかぞくっていってくれたひとは、わたしがぼろぼろにきずつけた……
ねぇ……なにも、ないの…『わたし』は……『だれ?』…ねぇ、…これから、どうしたら…いいのさ、… 」
『 ……いいんだよ、別に。
傷なんて、時間が癒してくれるし。
居場所がなければ、作ればいい。
お前の好きなように、やりたいようにやればいい。
もう、自由なんだから、さ。
【当然のように、思いを篭めて、語りかけていき───】
…………そんなの、決まってるだろ。
お前の名前は"天ヶ谷 昴"
俺、天ヶ谷 双葉の──たった一人の、"妹"だ。 』
「 …… “おにい、ちゃん”っ…… 」
――そうして、再び眼を開いた彼女の瞳には、澄んだアクア・マリンの瞳が戻っていた。
かくして彼女は完全に記憶を取り戻し――『スバル=エルデピアス』と、完全に決別したのである。
補足しておくと、崖下で倒れていた彼女を助けたのが天ヶ谷の家であり、
≪R.I.P.≫との関わりがばれては迷惑がかかると考えたスバルは
記憶が無いとウソをつき、自身の名前を『すばる』とだけ名乗った。
そして、双葉は行き場の無いそんな彼女を受け入れ、『家族』とし、
『天ヶ谷 昴』という名前を授けた――のである。
やるときはやるぞ、おにいちゃん。
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*能力 ≪ Viper ~ ヴァイパー ≫
アートマンのようだがアートマンではない、不思議な能力形態をもつ。
発動と同時にスバルの右手の肘から先に銀色の装甲が纏われ、
回転式拳銃のシリンダーからバレルまでをそのまま超巨大化させたような『銃砲』が出現。
銃口は上下ふたつついており、撃鉄や引き金は無い。本当にシリンダーからバレルまでである。
銃口は拳が2つ入りそうなほど大きく、最早スケールが違う。
そしてバレル側面には≪V.I.P.E.R.≫の文字が刻まれている。
なお、この間昴の右手そのものは銃砲の中心部に保護されるように存在しているようだ。
能力発動中、左手で≪魔力≫を集中させて≪弾丸≫を生成することができる。
この≪弾丸≫は実体ではなく、あくまでも「魔力の塊」のようなモノである。
これを右手の銃砲のシリンダーに装弾し、様々なかたちで発射する。
単純な属性弾としての砲撃以外にも、幅広い応用性を持つようだ。
だがしかし、装弾中はどうしても無防備にならざるを得ない。
ちなみに装弾数は3発である。
やや少ないかもしれないが、弾丸生成に時間がかかる能力の特徴ゆえ、
実戦的な数としては3が限界であろう。
そして回転式なのに何故か発射後にカートリッジのようなものが排莢される。
撃つ前は実体ではないのにカートリッジらしきものは実体である。謎である。
しかし、これすらも再利用され、昴の武器となる。
この中に魔力を込めれば、その魔力に応じた「手榴弾」のような武器になるのだ。
威力は決して高くは無いが、昴の戦い方には欠かせない要素である。
ちなみに昴曰く、右手の銃砲の名前は
『超45アトラス(スーパーフォーティーファイブアトラス)』。
全く素晴らしいセンスである。
なお、「45」は「45口径」という意味ではないらしい。
**――戦闘スタイル
上記能力≪ヴァイパー≫による砲撃などの中~遠距離攻撃や空薬莢再利用の魔力爆弾に加え、
後述する『天ヶ谷流魔術』を行使して戦う。本人曰く「一応魔術師」。
しかし基本的にこの魔術は「弾丸」として利用される。魔術そのものとして放つことはやや少ない。
対応力はやや高く、砲身自体に防御力があるため堅実な戦い方が可能だが、
ほぼ全ての行動に準備を要するため、立ち上がりを突かれたり速攻には弱い。所謂スロー・スターターである。
また魔力弾を装填した後でも、撃ち尽くせば再び同じ状況に陥ってしまう。
ゆえにその隙を補うために、「空砲」などのフェイクもよく使用するようだ。
そして、砲撃の高威力に捉われがちではあるが、昴はあまりこれを連射などしてこない。
この威力のイメージを焼き付けておいて隙を作り、そこを崩すような戦い方を得意とする。
ゆえに高威力の砲撃は、最初の接近のための切り込みや防御以外にはあまり用いないようだ。
パワー・タイプに見えるが、その実は何処までもテクニック・タイプである。
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*天ヶ谷流魔術
[[天>天ヶ谷 双葉]][[ヶ>天ヶ谷 命]][[谷>天ヶ谷 真]][[家>天ヶ谷 蛍]]の人間のみが使える特殊な持つ魔術。
『天属性』という属性を操り行使することができるようだ。
即ち「晴れ=炎や光」「雨=水」「雪=氷」といった具合の属性操作であり、多属性を内包している。
かなりのセンスがあれば、それは天候を操るレベルにまで達するらしい。
魔力の「色」も特徴的であり、『空色の魔力』を持つ。
昴はこの中でも、『嵐と雷』……即ち『風と電撃』の扱いに長けており、
特に『風属性』の扱いだけは彼女が魔術師として尊敬する[[兄>天ヶ谷 双葉]]のそれを超えている。
また、どうやら昴は魔術の中でも比較的近距離射程の魔術を好むようだ。
強烈な質量を持つ風を直下に叩き付ける『風墜(かざおとし)』は彼女が多用する術のひとつ。
[[瑠雪 晃]]から彼の手書きの魔術書「治癒魔術(合成編)」を購入し、治癒術も学んでいるようだ。
また同じく彼からのアドバイスを受け、独自の魔術行使の方程式も開発しようとしている。
具体的には『天ヶ谷流魔術』+『普通の魔術』の組み合わせ、などを模索しているようだ。
なお、昴は正確にいえば天ヶ谷家の家系ではなく、この術は使えないはずだが、
前述の大怪我の治療の際、血液型が一致した弟の天ヶ谷 命から大量の血液を輸血。
その際、天ヶ谷の血に溶け込んだこの術の記憶・魔力が、彼女の身体に浸透したようだ。
そして双葉に魔術指導を賜り、今に至るというわけである。
**――使用魔術&銃技リスト
・風墜(かざおとし)
昴が最も多用する術のひとつ。風(嵐)の属性を持つ。
強い質量を持った風を振り下ろすように前方に叩きつけ、それで攻撃するという非常にシンプルな技。
だがその威力は昴が使用する術の中では最も高いといっても過言ではなく、
これを腕で防御した人物の、その腕の骨にヒビを入れた実績があるほど。
ただし、それに反して射程距離は最も短く、かなり接近していないと当てられない。
・風翔(かざかけ)
風の属性を秘めた術。中距離射程の真空の刃を撃ち出す技。
なお、描写には組み込まれていないが真空刃のイメージは翼を広げた鳥のような形状。
射出速度が速く、高い切断性能を誇るが直接的な威力は低い。
元が風であるため、少し硬度のある盾などを用いれば防ぐのは容易。
・雷鎌(シックル)
電撃(雷)の属性を持つ魔術。左手からいかずちの斬撃を放つ。
切断力はそこまで高くないが、発生が早く扱いやすい。射程距離もそこそこある。
・雷針(ピアス)
雷の天候の力を内包した術。前方に鋭く細い電撃の針を放つ。
発生速度及び射出速度は昴が扱う魔術の中で最速。射程距離はあまり長くない。
雷針が突き刺さるダメージは微々たるもので、メインの目的は電撃による動作の妨害。
この攻撃を受けた箇所には暫く痺れが残ることになるだろう。
・≪アルカ・ネム・メローテ≫
銃砲ヴァイパーの最大火力。蒼穹色の魔力を3発分使用する。
凄まじい破壊力を誇るレーザーを前方にブッ放すという、とても明快かつ豪快な技。
射程距離はかなり長く、威力もズバ抜けて高い。欠点は準備にかかる時間の遅さと射出後の反動。
レーザーの内部には風と電撃が渦巻いており、まるで暴風雨をそのまま閉じ込めたような様子である。
・治療術
名称は無い。上述する晃から購入した魔術書で学び、習得したもの。
通常の治癒術と、天ヶ谷流魔術の「光」と「水」を合成してあるらしい。
まだ練習中ということもあり、その回復力は小さい。