エスケープ・シャドウ


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私の名前は日影乃 切絵、性別は女、年齢は22、スリーサイズは想像にお任せするよ、胸は無い方じゃないと思う。
職業は画家のようなものをやっている。
趣味は人物スケッチ、好きなものは他人の笑顔。

妙に滑舌だなって?
文章もいちいちあのテンポでやっていたらグダグダになってしまう。
少しは考えた方がいいよ。

私は、生まれた時から特殊な能力を持っている。
私が念じると必ずやってくる、魔術師のような格好をした画家。
画家の左手に持ったライト・イレイザーと右手に持ったシャドウ・ペンは闇を消したり、光を遮断することができる。
それによって影絵を作り出す、ゆえに私はその画家を影絵師と呼んでいる。

さっき言ったが、私は他人の笑顔が好きだ。
私は表情を作るのが下手なんだ、だから他人のそういう所に惹かれるのかもしれない。
いつも無愛想な顔をしている…正直、自分が笑っている姿を想像することができない。
ちなみにメイドも好きだ、とてもじゃないがあんな可愛い服を自分で着る気にはなれないからね。
だから、私はたまたま見つけた裸の八極拳士に…この話はやめておこう。話を戻す。

──影絵師には影絵を描く以外に、もう一つ力がある、影絵を実体化する能力だ。
私は考えた、自分の影を実体化させて、笑わせてみてはどうか…と。

自分の笑顔──私にとっては未知の世界だ、だからいきなり自分の影を実体化させて笑わせる度胸は無かった。
とりあえず、実験として影絵師の影を実体化させた。
分かっていたことだが、実体化したとはいえ、元は影…真っ黒だ。表情が一切ない、能面だ。
そもそも、影絵師には顔が無く、表情を作ることはできない。

だが、私には秘策があった。
クレヨンで影絵師の影に目を作ってやるのだ。
私の無愛想な目をモデルに、デフォルメしたようなジト目を白色のクレヨンで描いてやった。
本番だ。私は実体化した影絵師の影の顔の部分を両手でがっしりと掴み。

「さあ……笑え……」

そう呟く。笑ってくれなかった。

「……笑え……笑うんだ……さあ……」

笑うまで何度も呟く。笑ってもらわないと困る。
こいつが笑ってくれなかったら、私の影を実体化させて笑わせる事ができない。
何度も何度も呟く。すると影絵師の影は私の手を振りほどき。

『ゲゲェ!!こんな笑い辛い目ぇ描いといて無茶苦茶言ってくれるな────!!もう、勘弁してくれぇ─!』

なんと、いきなり喋りだし、脱走した。何故、影に自我が生まれたのだろうか…。
…もしかすると、3時間も呟いたのが原因だったかもしれない。

影絵師は自分の影という半身を失い、その日以来、実体を失ったうえに影を実体化する能力も消えてしまった。
だが、私はこれでよかったと思っている───…やはり、自分の笑顔を見るのは少し怖いから。