戦闘体系『拳魔併用対生物殺傷術』




『拳魔併用対生物殺傷術』とは?


  吟雪の、人狼としての身体能力と、装備、身に付けた体術と魔術。それらを全て用いた戦闘技術。
  軽量故の一撃の軽さをフォローする為に、様々な手段を用いている。
  その名称の通り、生物との戦闘を。また、不殺制圧よりも殺害目的の戦闘を得意とする。
  装備技術その他、何一つ欠けずに存在する事を前提として、考察する。
  故に、他者が使用する事が有るとすれば、それはもう完全に別の物となる。




基礎スペック


これらの前提無しに語る事が出来ない技術であるため、敢えて示す。

種族



概要


  人間と狼の特徴を兼ね備えた亜人の種族、人狼である。
  基本的に肉食に傾いた雑食であり、肉類を食べていれば生命の維持は可能。
  夜行性に近いものの、生活リズムを調節する事で、昼行性になる事もある。
  人、狼、人狼、いずれとの交配も可能であるが、それにも関らず個体数は減少している。
  魔術的な要素を介入させずに、人と狼の姿を自由に切り替えられる。
  寿命は最長で六十年程。


身体的特徴


  人間の姿の時は、通常の人間と見分ける手段は無い。
  敢えて言うなら、優れた嗅覚を持ってすれば、その体臭から狼に近いと判断出来るかもしれない。
  また、体温が高い為、接触すれば判断出来ない事も無い。

  狼の姿になると、これまた狼そのものだ。
  だが、通常の狼に比べて非常に大型の固体となる為、これは認識しやすいだろう。

  中間形態は、本人の意思によって随分と外見を調節出来る。
  狼面に人の体の、物語に現れる人狼の姿も取れるし、人をベースに狼のパーツが少々増えるだけの姿にもなれる。
  吟雪は、後者の姿を取る事が多い。人間に紛れ込むなら此方の方が警戒されにくいからだろう。
  この姿では、体毛の量が大きく増え、体温の調節が容易となる。
  また、犬歯の肥大化、四肢の爪の形状変化など、狩りに用いる部位の強化が見られる。


身体能力


  脚力と四肢の末端、顎の力が極めて強い。また、人の姿でもその身体能力を遜色なく発揮する。
  二足歩行で有りながら四足歩行の狼と並走可能な脚力は、打撃にも跳躍にも大きな力を見せる。
  指と顎の力は、獲物の体から肉を食い千切る事も、獲物を何処かへと運んで行く事も容易にする。

  外部からの衝撃に対する耐久力は、両脚を除いては人間と大差は無い。
  体毛による皮膚の保護はあるが、体毛自体の強度も然程高くは無い。

  夜間の集光能力と動体視力、遠視能力、聴覚、嗅覚と言った、所謂感覚が鋭い。
  特に嗅覚は、接近する獲物の種族と数、距離を探る事が出来る程だ。
  触覚は人間準拠、味覚は少々大雑把な所が有る。

  人間に比べれば魔術的な素質は低いのか、扱える属性は単一。
  然し、之は個体差もあるだろう為、はっきりとは断定出来ない。



装備



古赤龍の籠手


  新大陸に存在する赤古龍種の鱗から作られた、手の甲から肘までを覆う真紅の籠手。
  手首から先の形状を変化させて戦えるよう、指は保護されていない。
  火の属性の魔力を込めた石が組みこまれており、使用者の魔力とは関係無しに炎を起こす事が出来る。

  赤古龍種の鱗の特性として、高い強度と対魔力性能、魔力に反応しての炎の噴出がある。
  素材の特性をほぼ完全な形で残したこの籠手は、防御性能は非常に高い。
  本人が魔術を使用する際、腕を保護するという目立たぬながら重要な役割も持つ。

  オカルトショップ氷水でのオーダーメイド品である。


魔石の指輪


  オカルトショップ氷水にて購入した、二つの指輪。両手の人差し指に一つずつ装備する。
  右手に付けているものは黄色の魔力石を使い、雷の属性を持ち、
  左手に付けているものは黄土色の魔力石を使い、地の属性を持つ。

  この指輪の魔力石は、流しこまれた魔力を、石が持つ属性へと変化させる性質を持つ。
  吟雪本人が扱えるのは水の属性だけだが、これらを用いる事により、複数属性を扱える
  尚、吟雪の扱う『灰色四元術方』においては、雷は「火」と「風」と解釈する。
  よって、両手の指輪を合わせて、ようやっと四属性を揃えられている。


ペンダント


  首から常に下げている、聖ユダのメダイのペンダント。
  元はマリア・ブラッドレイと〝一対の翼になる〟契約の証しとして受け取った物。

  吟雪が考案した特殊術式、『平行制御術式』の核として作用する。
  術式を維持する条件が「身体に触れている事」なため、どれだけ短い時間だろうと肌から離す事は無い。



戦闘技術




体術


  空手や中国拳法、古武術、ボクシングなど、様々な技術を特にこだわりなく掻き集めている。
  その基本思想は、「如何に軽量級のハンデを補い、高威力の一撃を放てるか」だ。


基礎的な格闘技術


技術名 用途、解説 およその間合い(一歩の踏み込みを用いて)
拳打 速度を利して先制の一打、顎や鳩尾などの急所を狙っての止めなど、幅広く用いられる基礎技術。
直線的に打ち抜くストレートを多用し、フックは余程近づかない限り然程用いない。
40cm~2m
爪撃 拳より数cm間合いを伸ばせる攻撃。皮膚や肉を斬り裂く事が狙いで、骨へのダメージは期待できない。
フックなどよりも更に大振りに、横や下から薙ぎ払う形で放つ。
力を用いずとも有効な「切断」の特性上、密着状態での使用が可能。
0~2m
蹴り 下段から上段まで打ち分けの利く、比較的高威力の攻撃。然し、拳打より隙は大きい。
側面から相手を打ち据える廻し蹴りを中心に用い、前蹴りは間合いを引き離すもしくは踏み込みとワンセットで使う。
拳に比べて、踏み込みの威力を乗せやすく、射程を伸ばし易い。
80cm~3m
肘打ち 肘の硬い骨を用いての打撃。射程は短いが体重を非常に乗せやすく、体内に響く一撃を放てる。
軸回避動作とワンセットでの、カウンター気味の使用が多い。
30~1.5m
踏みつけ 倒れ込んだ相手を、踵に体重を乗せて強く踏みつける。一撃必殺を狙える超高威力の攻撃。
基本は足元の相手狙いだが、一歩の踏み込みから放てば、意外に間合いは広い。
0~1.5m
噛みつき 強靭な顎と鋭い牙を用いて、相手の骨を噛み砕き肉を食い千切る。
相手が生物であれば一撃で致命傷も有り得る、密着戦の切り札。
0~1m

多少高度な技術


技術名 用途、解説 およその間合い(一歩の踏み込みを用いて)
掌底 速度は拳打撃と大差無く、攻撃の性質は「砕く」ではなく「響く」。急所に的確に当てなければ少々効果は薄い。
自分の拳が砕ける心配が無いため、遠慮なしに放てるという利点がある。
30cm~1.5m
後ろ廻し蹴り 蹴りの中でも特に高威力且つ相手の意表を突いての一撃。格闘の心得が無い者に対しては相当有効。
射程の微妙な調節が難しい事と、相手に一瞬でも背を向ける事が弱点。
1.2m~2m
四本貫手 真っ直ぐ揃えた四本の指の先端で相手の身体を貫く、「斬撃」に近い性質の技術。
少々遠い間合いからでも、身体を槍のようにして飛び込んでの一撃を狙える。
空手の技術の一つで、本来なら指を相当鍛えなくては扱えないもの。
吟雪は、これを生まれ持っての本能で習得し、ありとあらゆる局面で命を預けている。
40cm~3m
受け 相手の攻撃を防ぐための技術を言うが、中でも特に空手の受けに近い物を此処では差す。
肘を直角に曲げ前腕部を地面と平行にし、鳩尾から頭部に掛けての攻撃を跳ね上がる「上げ受け」、
同じく肘を直角に曲げ、前腕部を外側から叩きつけるようにして相手の攻撃を逸らす「外受け」、
「外受け」に形は似ているが、体の内側から外側へと押しだす「内受け」を使用する。
ほぼ40cm

特殊な技術


技術名 用途、解説 間合い
穿弓腿(センキュウタイ) 自分の前方の地面に両手を着いて、脚と腕を縮めて背中を丸めた逆立ちの姿勢となり、次の瞬間それを伸ばして相手の顎を蹴り上げる。
相手の攻撃を回避しつつのカウンター、ふらついた隙を狙っての一撃必殺、使い道はそれなりに多い。
下段から垂直にせり上がる攻撃は防御手段も少なく、防ぎ辛い。
20cm~1m
鎧大筒(ヨロイオオヅツ) 片手を相手の腹部に触れさせ、もう片手でそれを強打し押し込む。衝撃は身体の表面ではなく、筋肉を貫いて内臓まで響く。
射程は極めて短いものの、相手の耐久力や装甲に係わらず、内部にダメージを通せる優秀な技。
軽量の吟雪が好んで用いる、所謂必殺技の一つ。
30cm~60cm
崩甲冑(ホウカッチュウ) 手の甲を相手の顎などに触れさせ、もう片手の拳を掌に打ち込み、衝撃で砕く。
狙う部位の関係上射程は非常に短いが、物理的破壊力が非常に高い。
30cm前後
退歩狼壁(タイホロウヘキ) 身体の各関節を完全に固定し、籠手で相手の打撃を受ける。関節を縮めての衝撃吸収を捨て、作用反作用の法則で相手にダメージを返す。
相手は全力で古赤龍の鱗の壁に攻撃を叩きこむのと同程度のダメージを受ける事になる。
その分自分自身も、受けない筈だったダメージを、関節に余分に受ける事になる。
0
寸勁(スンケイ) 身体の関節を同時に動作させる事により、拳や掌底の加速を瞬時に完了、3cm程度の間合いから打撃を打ち込む。
肘を伸ばし切った状態からでもそれなりのダメージを見込める為、一応数十センチの間合いは確保できる。
ほぼ0~50cm
“トランス” マリア・ブラッドレイのそれを、能力である≪水鏡≫で〝引き継いだ〟もの。
モルヒネの6.5倍もの鎮痛作用を持つβ-エンドルフィンと、心理的限界を解除するドーパミンを、自分の意志で大量分泌させる。
自分の身体が壊れる事程の制御不能の筋力と、それを厭わない心理状態を生み出す、強化/狂化の極地。
-
疑似『0-100-0(ゼロ-マックス-ゼロ)』 “トランス”同様引き継いだ、高速機動技術。
股関節の柔軟な動作により、行動の起点を高位置化する事で重心に近づけ、始動と加速完了のラグを限りなくゼロに近づける。
高速移動から完全な静止へと転じ、その加速を四肢の末端に伝える事で、加速が完了した打撃を放つ。
-
『灰狼〝槍/爪〟』 左後屈立ちの姿勢から、疑似『0-100-0』を用いて全関節の加速を行い、上体を押し出しつつの右四本貫手を放つ。
愚地克巳の音速拳を四本貫手で放つと書けば、分かる人にはすぐ分かる。
80~90cm
『紅魔銀槍』 “トランス”による異常身体能力と疑似『0-100-0』の急制動を合わせた、音を置き去りにする魔域の四本貫手。
動作の完了と同時に響く空気の破裂音が、その技の存在を示す。
放てば右手を、命中すれば更に右腕全体を、完膚なきまでに粉砕する諸刃の剣。
一歩の踏み込みで放たれるが、“トランス”下の一歩は、地を飛ぶが如き一歩になる。
1m~4m


魔術


術名 用途、解説
魔弾・エレナの聖釘 属性を持たせない魔力を、釘状にして打ち出す。連射は利かないが、射程と速度はそれなり。
貴重な中遠距離の牽制手段であり、相手の足を地面に止めるえげつない使い方も可能。
水術「水上走破」 吟雪が最初に身に付けた魔術。水面を数分間、自由に歩き回れるようになる。
水であれば移動出来る為、誰かが魔術などで作り出した水流の上も移動可能。
水術「水爪鋭牙」 水の魔力を手に集めて爪の形に固定、爪のリーチと鋭さを増して属性を付加する。
水術「水柱往路」 掌から水の柱を相手に向かって打ち出す。一瞬の足止めと、水の上を移動しての接近。更には雷の魔術に繋げる事も狙える。
水術「水癒創身」 対象一人の傷口を治癒、失われた血液の回復も図る。魔力の消費は大きいが、熟練度に応じて減らす事も可能。
水弾・重瀑布 長時間掛けて水の魔力を球状に集め、相手の頭上へ。破裂させ、大量の水を滝のように落す。
水術・長言術式「幻海万里」 自分が存在する世界における「水」二点を、異世界の海を経由して繋ぎ合わせる。
二点の内、一点でも事前に術式を組んで準備しておけば、魔力の消費は抑えられる。
事前の用意無しに行えば、魔力と体力全てが枯渇する程の危険な術式。
水術「誘堕のローレライ」 相手の鼻と口を手で塞ぎ、水流を強引に気管に叩きこんで溺れさせる拷問技。
実際に発動させる事は難しいが、通常の生物に対して成功すれば、その戦力を大きく削ぎ落す事が出来る。
雷術「雷帝憤怒」 ただ単純に、蓄積した雷の魔力を電流として放つ。単純だが、回避や防御の手段が限られるために、強い。
水の魔術を得意とする吟雪には、繋げる元の選択肢が多い。
炎弾・轟瀑布 水弾・重瀑布と基本は同じだが、其れを炎の魔力を用いて放つ。炎の滝は、殺傷力は十分以上だ。
『平行制御術式』 同時に五種までの術式を登録し、任意の即刻発動を可能とする術式。
1~4番:不明 5番:『Trickster登録システム』


複合技術


技術名 用途、解説
水体術「水鎧刃脚」 脚に水の魔力を纏わせ、刃に形成する。刃物に対する防御、生身の相手への斬撃、有効な局面は多い。
蹴りの技術をそのまま用いて攻撃が出来る為、局面を選ばず使用できる優秀な術だ。
雷体術「双雷大筒」 「鎧大筒」を放つ予備動作として、相手の身体に電流を流し、一時的に麻痺させる。
筋肉を硬直させての防御や、身体をずらしての直撃の回避すら許さない、戦闘不能へ持ち込む為には十分な技と言える。
雷拳術「雷神交叉」 右腕の関節に雷魔力を蓄積、電流を流して筋肉を強制的に動かし、意識的に放つ以上の速度でカウンターを放つ。
相手の左の拳を誘い、それに合わせるのが主な使い方。その為、使用可能な状況を作るのがやや難しい。
その分、放つ事が出来れば、一撃で相手の意識を刈り取るのに十分な大技である。




攻略情報


  視覚聴覚が優れているという点は、裏を返せばそれらへの攻撃にも敏感だという事。
  スタングレネードの類は非常に有効だろう。
  動きも素早く、動作の開始までのラグも少ない。それも言いかえれば、カウンターを回避する時間を自ら失うという事。
  更に体重が軽く骨格も強靭とは言えない。攻撃が直撃すれば、一撃でも十分なダメージが入る。

  行動パターンとしては、戦闘開始と同時に接近。近接戦闘主体の相手には脚、そうでなければ胴体か肩への攻撃を放つ事が多い。
  脚への攻撃は、よほどの事が無い限り脚。肩への攻撃は爪または拳。胴体への攻撃のみ、少々絞りづらい。
  いずれにせよ、最初のワンアクションはまず確実に接近。その間に、一手を進める事が出来る。

  上述の通り密着状態で放てる技が多く、爪と牙は少ない力で相手へダメージを与えられる。
  その為、近接格闘に自信が無い場合、必要以上に接近させるのは得策とは言えない。
  種族のアドバンテージに加えて当人の格闘技術も有り、力が有るだけの素人などでは対処は難しい。
  反面、技術も極めている訳ではない為、格闘の専門家なら、むしろ打ち合う方が有利なのかも知れない。

  両腕の籠手は防御力が高く、炎の魔力も持つ為、用途は広い。
  長袖の衣服を着ている場合、袖の下に籠手が隠れている事が多い。装備していないのは珍しい。
  両手に装備する指輪と本人の扱える魔力を組み合わせ、魔術も複数種類使用可能。
  魔術は、主に四肢にまとわせて打撃の威力を増す物であり、飛ばして使う物は少ない。
  人差し指を向ければ、釘状の魔力を飛ばす『エレナの聖釘』。
  掌なら、雷の魔力を打ち出す『雷帝憤怒』か、水を柱のように打ち出す『水柱往路』。
  前者は速度と威力に優れ、後者は持続時間が長い。また、後者の後に前者を打ち出すという手段も取った事が有る。

  体術も魔術も、それを極めている者には及ばない。しかし、組み合わせて、身体能力の優位性を持って、戦う。
  それが、吟雪の戦闘スタイルとなる。
  打ち破るなら、自分の専門の領域で。吟雪に付き合って、不利な場所で戦う必要はない。

  そして、最後に。


  吟雪が追い詰められたまたは獲物を追い詰めた時、最後に使用する技は、ほぼ間違いなく右の四本貫手である。



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最終更新:2011年04月02日 00:10