『六王』……この世界の、神さまみたいな人たちだよ。人じゃないと思うけど。
この世界と一緒に生まれて、この世界を護るために居るんだって。
『六王教団』は、その六王の下で働く……私たちを護ってくれる組織、……みたいなものかな
『炎』を司る、炎統王ヴォルケイトス。
『風』を司る、風統王ウィンドル。
『水』を司る、水統王アクエリアス。
『地』を司る、地統王グランジア。
そして、断罪王アルキュノスと……――
――この世界の中心部。『光の国』の『聖都スラウロット』に本部を構え……
六王教団の中でも『最強』と謳われる、『聖都勝利王師団』が仕える六王。
勝利王、ヴィクトリアス……――
えっと、そうだね……どう説明すればいいのかな。
ちょっと、順番を追って説明するね。
いきなりで悪いけど、この世界の治安はあんまり良くないんだ。
強い能力者や、強い魔術が使える人間は、自然と大きなものを手にしようとする……
色んなテロ組織や、世間一般に言う『悪』の組織が、この世界には跋扈してる。
有名どころでは、一年くらい前に世界の全土を戦争に巻き込もうとした≪ネル・ナハト≫。
ここのボスで凄まじく強い能力者だったキルベルク・シルバーソードは、対抗する能力者の活躍で討ち取られて、≪ネル・ナハト≫は瓦解した。
その次くらいに有名だったのが、妖怪で構成された集団『櫻が夜行』。
人ならざる者の集団……大将の華秋太白は強力な妖だったみたいだけど、これも打ち倒されてる。
今活動してるのは……『カーネル』っていう男をリーダーに据えた、≪R.I.P.≫って呼ばれてるテロ組織。
それと、ピエロ・リュネールっていう名前も少し聞くね。ごめん、こっちはあんまり詳しくないんだ。
そして……――最古参であり、最大規模であり、最も知られている『悪』。
それが、『カノッサ機関』。
とにかく、規模のケタが違う。全国に支部があって、本部は何処にあるんだかよくわからない。
彼らは『ナンバーズ』って呼ばれてる、全部で何人居るか分からない部隊が主力なんだ。
皆、服装の何処かしらに『番号』をつけてる……それが『カノッサ機関のナンバーズ』の証になる。
そして、ナンバーズの上に、各支部の『支部長』が居る。……最近は、カノッサ自体も目的がバラバラみたい。
ほとんど、この『支部長』によって独立された部隊になってる、ってところなのかな?
でも、機関員はどいつもこいつもクセ者の実力派揃い……関わらないのが、吉かな。
――うん、カーネルは軍隊の出身者。昔は『大佐』の地位にあったんだって。
フルネームは『カーネル=アドルフ・レルゼクム』。その大佐の地位に対する誇りが強いから、今も名乗ってるみたい。
【握手していた手を離し、右手でアイスティーのグラスを傾けて】
【それから、メモの件に関しては、また快諾するのだろう】
そういうこと。そんなに悪いテロ組織が乱立してるなら、当然それに対抗する組織だって、ある。
君が所属していたっていう『陸上自衛官』?のように、一般民衆を悪の手から護る組織。
≪ネル・ナハト≫や『櫻が夜行』みたいな強力な『悪』が倒されたのも、彼らのお陰ってところが大きいかな。
まず、さっき説明した『六王教団』でしょ。
でも、教団は主に街そのものの治安を、安全を守ることが多いから、あんまり戦いには出てこない。
逆に言えば、六王教団が街を守ってくれてるから、他の組織が敵との戦いに専念できるんだ。
そして、今の世間で所謂『正義の組織』の『筆頭』なのが、『Justice』。
凄くわかりやすいネーミングで良いよね。規模も結構大きい。
リーダーは『貴宝院 織守』っていう、さっき言った≪ネル・ナハト≫の乱での英雄。
もともと、Justiceの前身になった組織が、≪ネル・ナハト≫に対抗した人たちの集まりらしいしね。
その『Justice』との横のつながりが強いのが、『対機関連合』。
名前から分かるとおり、設立当初は『カノッサ機関』に対抗する組織として立ち上げられたんだ。
今では路線変更して、すべての『悪』の組織と敵対し、打ち倒すのが目的だけどさ。
で、『対機関連合』のトップの名前が、『天ヶ谷 双葉(あまがや ふたば)』。