水の国天下一武道会
水の国自警団が開催したフルーソスタジアムで行われる「最強を決める大会」。開催は不定期。トーナメント方式で、相手を殺すことは禁止・即失格となる。
リングアウト有り降参有りで、石畳のフィールドは30平方メートルの正方形をとっている。
第一回開催理由
突如開催された理由としては主に3つあり、1つは度重なるカノッサ機関などのテロ行為により減少した観光客数の改善の為である。
2つ目は
ルルーメン国際会議で討論・制作されていた
戦闘用アンドロイドが完成し、テストの場が欲しい為である。
最後の理由として、前述した彼女の宣伝、そして水の国自警団への国民の信頼を回復させる為である。
彼女が水の国自警団に配備されることを利用し、度重なるカノッサなどのテロにより下がりきった国民の信頼を彼女の活躍により取り戻そうとしたのだ。
しかし彼女は2回戦敗退となり、第三の目的は達成されたとは言いがたい。
過去に何回かテロの被害を受けている水の国に他国からも多くの人々が集まるのは非常に危険だと言えるだろう。そこを狙われてテロが起きれば被害は最大級となるからだ。
それを解ってながらも大会を強行した理由としては、水の国が集中的に機関に狙われていたことがあった。
以下、自警団員
中邑 瑛月が
サリード=ヴァルマンウェ&レメゲドン、
ヴォーダン=ドグラに語った内容である。
『正直に言うと、今の上層部はまともな判断ができていない…!「もし機関が襲ってきたらどうする」「他国まで巻き込む気か」…などと問い詰めたら何と返って来たと思う?』
『「他国の民が巻き込まれれば、その国も機関に反感を持たざるを得ない…他国と共に叩く」などとほざくのだ―――まるで他国に被害が及ぶのを待つかのようにな…!』
――もはや自警団は、腐った上層部により治安維持組織として役に立たない制御を失った暴力装置となっていたのだ
第一回順位
第一回大会賞品一覧
優勝者にのみ、以下の賞金と賞品の中から1つ貰える権利が与えられる。優勝者の
八攫 柊は、賞品として覚悟の脇差を受け取った。
どんな怪我でも治すと言われる無色透明の液体。金の小瓶に入っており、1回のみ使える。しかし故人を甦らせるのは不可能。身体だけでなく心の病気にも有効。
淡いピンクに染まった、水晶のカケラの様なもの。握って額に当てることで忘れていた記憶の一部が復活するとか。使い捨て。
アンドロイドに内蔵しているものと同等のクオリティを誇る黄色のマギタイト。ボーリング玉のようで大変重く持ち歩くのは難しい。大変高価。
しかし加工もしやすく用途は豊富で、武器に魔力を付加したり、大型の魔術を行う際の補助などにも役に立つ。雷属性。
自身を刺すことで、一時的に筋力・魔力・精神力が上昇する脇差。まさに両刃の剣である。鞘も刀身も紅に染まっている。3回使うと壊れる。
精神に悪影響を及ぼすモノから自身を守るアクセサリー。十字架のペンダントに埋め込まれた白の宝石が黒く染まるまで効能を発揮する。(3回程度で使えなくなる)
凄いカワイイデザインだと今時の女子から評判。
大会結果
【1回戦 第1試合】
勝者…鉄槌代行
決まり手…マジェスティック・シャウト(反動に耐え切れず)
大会初戦は傭兵対アイドルという異質の戦いとなり、下馬評では圧倒的にフロウが不利。にもかかわらず序盤から圧倒したのはまさかのフロウであった。
マジェスティック・シャウトでカウンターに成功すると、さらに魔力に乗るという離れ業を魅せつけて完全に流れはフロウへ。
しかし鉄槌代行は魔力の超加速による拳を完璧にフロウに合わせ、一撃で戦況をひっくり返す。
ここで決まったと思われたが、アイドルの意地なのか驚異的なタフさを見せつけるフロウ。
ここからはひたすら技を衝突させ合うという展開となり、フロウの決死覚悟の超至近距離マジェスティック・シャウトを鉄槌代行が耐える。
フロウは自身が放った技の反動に耐え切れず、自滅という形となり、フロウの勢いを実力と経験で防ぎきった鉄槌代行が2回戦へと駒を進めた。
個人的ながらもベストバウトである。
【1回戦 第2試合】
勝者…サリード=ヴァルマンウェ
決まり手…降参
互いに牽制から入る静かなスタートとなる。
お互いに近接武器(サリードは大剣、ラッシュはナイフ)なため単純な接近戦を感じさせたが、サリードがラッシュの回し蹴りに魔術(衝撃波のようなもの)を合わせる。
結果的に先制攻撃に成功したが、先に手の内を見せたためにラッシュは警戒か武器をナイフから長柄の剣にチェンジ。
ここで読み合いが発生したのか、またしても互いが牽制しあう状況に。やや硬直状態になるが、互いに繰り出した攻撃がヒット。
痛みに耐えながらもラッシュが彼の後ろに回り込み、横一閃。サリードは致命傷を上手く避けるも、これ以上のダメージの蓄積を嫌がりここで勝負を決めにかかる。
ラッシュもそれに応え、繰り出したのは武器の投擲。一方サリードは『天霊』からの振り下ろしを繰り出すが、今まで隠していた技「フルンティング」で撃ち落とす。
決着は付いたように思えたが、まさかのラッシュの方が降参。立ってはいたが、フルンティングで全ての力を使い果たしたということだろうか。
観客にとっては納得のできない決着であろうが、隠れた名勝負と言えよう。
【1回戦 第3試合】
勝者…八攫 柊
決まり手…降参
野生児、シルバーキャット(以下、銀猫)に対するは実力者八攫。お互いに桁外れのスピードを持っており、事実上大会最速決定戦と言えよう。
まず銀猫が刃を恐れずにダッシュストレートを韋駄天のごとく放つと、八攫はそれを刀身で受け止めて牽制気味の横薙ぎを繰り出す。
銀猫はそれを難なく躱し、やや下がる八攫に対し追い切れないほどの速度で詰めての膝。しかし速度では八攫も負けてはいない。
こちらも難なく交わし瞬時に回転斬りでカウンターを試みるも、こちらも躱すのが銀猫。やはり互いに大会最速の名は譲れない、ということか。
躱した後にサマーソルトを撃つ銀猫だが、先程の回転斬りは彼女の肌を微かながらも裂いていた。
しかしついに銀猫の蹴りが八攫の顎を捉える。八攫はこの一撃を耐えるも、始めて有効打があったことから戦況はやや銀猫有利。
だがその状況を覆すのが八攫の神速の刃であり、確かな技術である。低い疾走から繰り出したのは異次元の軌道。
その姿勢から昇り龍と形容できるほどの切り上げを予想できる猛者は、数少ないであろう。
そして銀猫の右足を剣が捉えた―――が、銀猫も負けじと渾身の右ストレート。直撃したかに見えたが、八攫が倒れることは無かった。
直後に銀猫は地面に倒れ、降参。残された力を振り絞っての拳だったのだろう。神速同士の戦いを制したのは、八攫であった。
【1回戦 第4試合】
勝者…ミリア
決まり手…神槍
今回注目は、世界の頭脳の一人ガルボ博士が作り上げた魔術使用アンドロイドのミリア。それに対するは金属を操る少女、叢雲 茜。
遠距離戦を得意とするミリアに対し、武器で戦う叢雲は近づかなければならない。間合い管理がモノを言う試合となった。
まず仕掛けたのはミリア。光の兎を3匹生み出すも、これは攻撃手段ではなくあくまで補助。魔法陣を地面に刻むという魔法である。
しかし得体の知れないモノに攻撃するのは相当な勇気がいる為に、叢雲は様子見の防御。結果ミリアは失うもの無く攻撃の布石を撒くことに成功。
さぁ準備は整った、と言わんばかりに魔法陣からは花が生え銀の閃光を叢雲に飛ばすも、叢雲は回避に成功しミリアが作り上げた有利な状況を凌ぎ切る。
凌ぎ切られたことでミリアに動揺が走ったのか、叢雲の接近を許し右腕に大きな傷を負う。
この傷でアームキャノンが封じられ一気にピンチに陥るが、彼女の隠し技である目眩ましが成功し、ピンチを回避。
アームキャノンを封じられたミリアは、次の一撃に全てを賭けんと全魔力を体に纏いはじめる。
叢雲はそれに対し武器を投擲するも、槍を弾くほどの突撃「神槍」がクリーンヒットし戦闘不能。身投げに近い一撃が見事に決まりミリアが勝利を掴んだ。
【2回戦 第1試合】
勝者…鉄槌代行
決まり手…鉄拳
試合早々激しい激突が起こる展開となる。鉄槌代行の鉄拳を回避しサリードは左足を大剣で狙うも、防刃性に優れた彼女のコートが防ぎきる。
弾かれた所に鉄槌代行は体当たりを仕掛けるも、ここでサリードは『天霊』を発動。
驚異的な身体能力を付与するものなのか、大剣を持ちながら彼女の頭を一回転しながら飛び越える身軽さを見せて回避。
そのまま回転ざまに一撃を叩きこもうとするも、なんと大剣を義手で掴みとると言う荒業。鉄槌代行がそのままサリードを叩きつけた。
流れは彼女か、と思われたがここでサリードはラッシュ戦でも見せた衝撃波『地霊』を発動。彼女の追撃を何とか阻止することに成功した。
ややよろめいた隙にサリードは彼女の左肘目掛けて大剣で突く。これがクリーンヒットし、完全に彼女の左腕を封じる。
ここで決めんとサリードは1回戦と同じ『天霊』からの振り下ろしを繰り出すも、鉄槌代行も魔力による超加速の拳を振り抜く。
超威力同士の激突の末、立っていたのは鉄槌代行であった。鉄壁の装備を誇る鉄槌代行が、最強決定戦への切符をいち早く手にした。
【2回戦 第2試合】
勝者…八攫 柊
決まり手…降参
接近戦では無類の強さを誇る八攫に対するは、遠距離から光魔術で攻めるミリア。八攫のスピードにどうミリアが対処するかが問われる試合である。
初戦と同じくまずは兎を3匹放ちながら、距離を開ける。八攫はまさかの飛び道具、地表をスライスして石刃のようなものを飛ばし兎を1匹狩ることに成功。
そのまま神速で彼女との距離を詰めるが、それは許さないと他の兎が刻んだ魔法陣、そこから生える銀華がビームを八攫に飛ばす。
ダメージを恐れずミリアの右肩に切り込む八攫は、脇腹に銀閃を浴びながらもミリアの右腕を封じる。
ここでミリアはもう1つの華からビームを飛ばすも、八攫は見事に回避。ここでミリアは距離を取ると思われたが、まさかのダウン。
右肩の損傷が全身に回る電気信号を鈍らせていたらしく、無念の降参を漏らした。一瞬ながら濃厚な攻防を制した八攫が圧勝で最終決戦に赴く。
【決勝戦】
勝者…八攫 柊
決まり手…横一文字
決勝に残ったのは、鉄壁を誇る鉄槌代行と神速を持つ八攫といった対照的な2人。八攫が如何にして鉄槌代行の鉄壁を崩すかが問われる試合展開が予想される。
…と思いきや、八攫の初撃により、鉄槌の装甲が半分無力化することが判明する。一転八攫が優勢かと思いきや、その不利を覆すのが鉄槌代行の技術と経験である。
八攫の繰り出す攻撃に対しカウンターを連続で決め、八攫を満身創痍に追い込み状況は鉄槌代行が圧倒的有利。
しかしながら八攫の捨て身覚悟の超高速斬撃が鉄槌代行の装甲を切り裂き大きなダメージを与えるが、八攫も鉄槌の反撃を更に受けてしまう。
そしてお互いの体力がが限界に達した所に八攫の渾身の横一文字が決まり、鉄槌代行は仰向けに倒れ、戦闘不能に陥った。
中盤の鉄槌の猛攻に耐え切った八攫が辛勝し、第一回水の国天下一武道会優勝者となった。
最終更新:2012年12月21日 00:22