"トゥリーモニシャ"

目次

第1幕

  • 南北戦争が終わり、奴隷解放がなされた南部のアーカンソー州、白人たちが農場を放棄し、黒人たちのコミュニティが作られています。ただこれまで奴隷の階級に押し込まれていた彼らには迷信を信じる者も多く、そんな者たちをカモにして金儲けをする「魔術師」たちもはびこっておりました。
  • そんな魔術師のひとりゾデトリックは今日も農夫ネッドの妻モニシャに幸運のお守りを高く売りつけようとします。あやうく引っかかって買いそうになる彼女のところに夫のネッドが登場し、そんなものは必要ないとゾデトリックを追い返すのでした。
  • すごすごと帰ろうとする彼を一人の少女が呼び止めます。彼女はトゥリーモニシャ、ネッドとモニシャの娘です。彼女はこのコミュニティでただ一人教育を受けていましたので、こういう迷信がはびこる村の様子に心を痛めておりました。そこで魔術師ゾデトリックを捕まえて一言説教しようというのです。それに加勢する彼女の幼馴染レムス、しかし若造どもの言うことなど聞いてられるかと「覚悟して置け」の捨て台詞を残し彼は去って行きます。
  • そのあと、コーンの皮むきに若者たちがやってきて仕事前の一踊りとなります。
  • それが一段落すると仲間の娘たちが奇麗な木の葉の冠をつけているのを見て、自分もひとつ作ろうとトゥリーモニシャは友達のルーシーと一緒に近くにある大木に近づきます。それを慌てて止めるモニシャ、実はトゥリーモニシャは彼女の実の娘ではなく、18年前のある日、この大木の陰に捨てられていた孤児だったのでした。
  • この木に守られて一夜を明かし、ネッドとモニシャに拾われて実の娘として育てられたのだから、この木は大切にしなさいと告げられ、トゥリーモニシャとルーシーは別の木を探しに森の中へと入って行ったのでした。
  • 牧師オールトークがそこに入って来て「隣人を大切にするように」と説教をし、一同跪いて祈りを捧げます。それが終わりオールトークが去って行ったところに、猿轡をかまされ、後ろ手に縛られたルーシーが駆け込んできました。先程の説教を恨みに思ったゾデトリックが仲間のルドゥッドと語らってトゥリーモニシャを誘拐したのでした。彼女を連れ戻そうと駆け出して行く若者たち、幼馴染レムスは彼らが迷信深いことを逆手に、かかしの衣装を身に着けた妖しい怪物の姿となってかけて行きます。

第2幕

  • 魔術師とその信者たちが集まるアジト、魔術師のひとりサイモンが彼らを前に歌っています。そこへトゥリーモニシャを連れたゾデトリックたちが登場、彼女が自分たちの商売を邪魔すると魔術師たちに訴えます。このような女には罰を与えねばならないとサイモン、3つ数えたら彼女を近くのスズメバチの巣に投げ込む算段をします。彼が二つまで数えたところに妖しい魔物が登場、魔術師たちは驚いて逃げ出します。これはもちろんレムスの変装でした。
  • 二人は農場へと帰って行きます。帰り道に通りがかった農場では仕事を終えた農民たちが楽しくダンスを踊るのでした。

第3幕

  • 連れ去られてしまった娘のことを嘆くモニシャとネッド、そこへレムスと一緒にトゥリーモニシャが帰って来ます。喜ぶ二人。そこへ村の皆も集まって来ます。
  • 誘拐犯のゾデトリックたちを捕まえて戻ってきた若者たち、罰を与えようといきり立つ村人たちを前に、トゥリーモニシャは彼らを許すように諭します。
  • レムスやネッドの色々な意見も交わされますが、結局トゥリーモニシャの言う通り彼らは許されました。トゥリーモニシャはこれからの村を率いるリーダーが必要だと訴え、村のみんなは彼女こそそれにふさわしいと推挙します。それを受けて皆を導きますと宣言するトゥリーモニシャ、皆で未来に向かっての希望のダンスを踊って幕となります。

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@ 藤井宏行


最終更新:2017年12月29日 17:31