対訳
登場人物
- 包囲された都市の司令官(バリトン)
- その妻マリア(ソプラノ)
- 要塞の軍曹(バス)
- 要塞の狙撃兵(テノール)
- 要塞の砲兵(テノール)
- 要塞のマスケット銃兵(バス)
- 要塞のラッパ手(バス)
- 将校(バリトン)
- 前線の士官(バリトン)
- ピエモンテ人(テノール)
- ホルシュタイン人司令官(バス)
- 包囲された市の市長(テノール)
- 司教(バリトン)
- 市民の女(ソプラノ)
- 兵士たち、都市の長老たちと代表団の女性たち、民衆
時と場所
- 1648年10月24日、ドイツ30年戦争(1618~1648)の最後の日
- ドイツのあるカトリックの都市(まち)の要塞、ホルシュタインのプロテスタント軍に包囲されている
あらすじ
- 30年続くカトリックとプロテスタントの戦争の最中、皇帝の城砦はいまだに敵の包囲攻撃に持ちこたえ、司令官をはじめ兵士たちが籠っている。ピエモンテ出身のイタリア人の若者が、敵軍の中を抜けて司令官に皇帝の親書を持ってきた。ピエモンテの若者は故郷を懐かしんでイタリア語で歌う。
- 都市(まち)ではもう食料が尽き、人々は飢餓に苦しんでいる。市長と老司教を先頭に都市の代表団がやって来て、降伏して開城するようにと司令官に嘆願する。司令官は聞く耳を持たず昼まで待つように告げると、代表団は願いが聞き入れられたと思って立ち去る。次に前線の士官がやって来て、火薬も弾もないので、地下室の弾薬を使わせてほしいと頼むが断られる。
- 皇帝の親書はこの都市を死守しろと命じている。司令官は内密に城砦を爆破することを考え、戦場で部下に助けられた思い出を語って感謝し、準備をしたらここを去っていいと言うが、皆ここに残ることを選択する。
- 司令官の妻のマリアが、やって来る。マリアは「私が結婚したのは、夫ではなくて戦争だった!」と嘆く。マリアに立ち去るようにと命じる夫が死を覚悟していることに気づき、マリアは夫と運命を共にしようと決意する。
- その時、大砲の音が聞こえ、続いてあちこちの鐘の音が鳴り響く。市長や代表団の人々は戦争が終わった合図だと言って大喜びする。敵が連隊旗を飾り立て、白旗を揚げて行進してくるが、司令官は敵の罠だと思って信用しない。
- そこへ敵軍のホルシュタイン人の司令官がやって来て、ミュンスターで講和会議が開かれ、30年戦争が終結したことを伝える。頑なな司令官は剣を抜き、ホルシュタイン人と対峙し合うが、マリアが割って入り、新しき支配者を見よ、それは平和だと説く。剣を捨て、二人の司令官は抱擁し、人々は平和を喜び、大合唱となる。
訳者より
- このオペラの台本を書いたのはヨーゼフ・グレゴールだが、最初にこの作品をシュトラウスに提案したのは、シュテファン・ツヴァイクである。シュトラウスとツヴァイクは『無口な女』(1935初演)で一緒に仕事をし、シュトラウスは続けてツヴァイクとオペラを創ることを望んでいたが、ツヴァイクはユダヤ人のため亡命し、作品をグレゴールに委ねた。そして1938年にクレメンス・クラウスの指揮によりミュンヘンで初演された。
- 戦争の空しさをテーマとするこのオペラが、ナチスが台頭してくるこの時期によく上演できたものである。しかも翌1939年6月にウィーンで、シュトラウスの75歳の誕生日を祝う式典の一部として上演された時には、ヒトラーをはじめナチスのメンバーが出席している。その後第二次世界大戦が始まると上演できなくなり、次に上演されるのは1949年、シュトラウス85歳の誕生日を祝っての時である。
- このオペラは上演時間が1時間15分くらいと短いので、当初シュトラウスは『ダフネ』とのダブル・ビルを考えていたが、『ダフネ』が思っていたよりスケールの大きな作品になったため、別々に上演されることになった。
Blogs on 平和の日
平和の日とは
- 平和の日の70%はハッタリで出来ています。
- 平和の日の30%は媚びで出来ています。
最終更新:2022年12月25日 14:24