第3幕

(荒涼とした土地。舞台後方に向かって険しく切り立っている岩山のふもと。 夜。嵐と雷雨。稲妻、激しい雷鳴。雷鳴が鳴りやんでも、稲妻は長い間、雲の合い間を行きかっている)



前奏曲と第1場
(さすらい人、エルダ)

<さすらい人>
(舞台前方の岩には冥界への入口のような洞窟への扉がうがたれており、さすらい人は、決然とした足取りで、そこに歩み寄る。その場に陣取って槍にもたれると、さすらい人は、洞窟の入口に向かって、次のセリフで呼びかける)
起きろ、ヴァーラよ!ヴァーラよ!目覚めよ!
長い眠りにまどろむお前を、
わしは起こしに来た。
お前を呼んでいるのだ・・・
上がって来い!上がって来い!
霧深き冥界、
闇夜の地底から、上がって来るのだ!
エルダ!エルダ!永遠なる女!
地の底から高みへと浮かび上がれ!
お前の目を覚ます歌を、わしは歌うぞ。
瞑想の眠りから、お前の目を覚ますのだ。
全知の女よ!原初の世界を知る女よ!
エルダ!エルダ!永遠なる女!
起きろ、目覚めよ、ヴァーラよ!目覚めよ!

(洞窟は、次第に明るみを帯びて来る。青みがかった光。その光に照らし出されたエルダは、次のセリフを語りながら、とてもゆっくりと下から浮かび上がってくる。彼女の体は、あたかも一面霜に覆われているかのようで、髪の毛と衣裳は、きらきらと輝いている)


<エルダ>
歌が大声で呼びかける・・・
魔力が、激しく惹きつける。
知恵をめぐらす眠りから、私は目覚めた・・・
私の眠りを邪魔するのは、だれ?

<さすらい人>
起こしたのは、わしだ。わしが歌っているのだ・・・
どんなに深く眠っている者をも
目覚めさせる歌を。
わしは世界を駆けめぐり、
あちこちへとさすらい、知らせを手にし、
原初の知恵にあふれた助言を得ようとした。
だが、お前以上の知恵を持つ者は、誰もいない・・・
お前は知っている・・・地底に隠されているものを、
山や谷、水や大気に織り込まれているものを。
命うごめく所、必ず、お前の息はそよぎ、
思念の及ぶ所、必ずお前の想いが注がれている・・・
皆が口を揃えて、お前の知らないことはないと言う。
だから、わしは、知らせを得るために、
お前を眠りから覚ますのだ!

<エルダ>
私の眠りとは、夢を見ること。
私の夢とは、想いをいたすこと。
私の想いとは、知をつかさどること。
だけど、私が寝ていても、
ノルン達は、起きています・・・
あの子たちが、綱を編み、
私が知っていることを紡いでいるはず。
なぜ、ノルン達に訊ねないのです?

<さすらい人>
ノルン達は、この世界に強制されて編むだけで、
何一つ変えることは、できやしない。
だが、お前の知恵ならば、
わしに良い助言を与えぬでもない・・・
どうしたら、この回り続ける車輪を止めることができるのだ?

<エルダ>
男達の行為は私の心を暗くする・・・
私という知の女神ですら、
この世を支配する神ヴォータンには強制され、
あなたのために、望みの乙女を産んだわ・・・
ヴォータンが、その乙女に命じたのは、
勇者を選んで連れて来ること。
あの子は、勇敢で、しかも賢い・・・。
わざわざ私の目を覚ますのは、なぜなの?
なぜ、エルダとヴォータンの子供に訊ねないの?

<さすらい人>
あのヴァルキューレの小娘のことだな?
ブリュンヒルデのことを言っているのだな?
あの娘は、嵐を支配するこのわしに叛逆したのだ。
自分の心を無理やり抑えたわしに・・・。
戦場の支配者であるわしが
その望みを抱いたことは否定しない。
しかし、わしはその望みを抑えたのだ・・・自分の心に反しても。ところが、わしが全幅の信頼を置いていたあの娘は
勝手に、その望みを果たそうとした。
激しい戦の最中に、あのブリュンヒルデがな。
戦の神として、わしは、あの娘に罰を与えた・・・
その目に眠りを下すと、
岩山の上の深い眠りへと寝かしつけた・・・
女神だったあの娘が目を覚ますのは、
人間の男の妻となる時だけだ。
いまさら、あの娘に訊ねて、どうなると言うのだ?

<エルダ>
(深い物思いに沈み、長い沈黙の後でようやく語り出す)

目覚めてから、頭が混乱することばかりだわ・・・
この世界は、もう、もつれにもつれてしまっている!
ヴァーラの娘であるヴァルキューレの長女が
眠りに閉ざされ、罪を償っているですって?
この知恵深き母が眠っている間に・・・?
反抗を教えた男が、反抗を罰するなんて?
行為を唆した男が、その行為に激怒するなんて?
法を守り、誓いを守るべき者が、
その法を犯し、偽りの誓いで支配するなんて?
もう降りて行かせて!
私の知識など、もう眠りに閉ざされてしまえばいい!

<さすらい人>
お前を・・・母なるお前を、わしは行かせはしない。
わしには、それだけの魔力があるのだ。
太古の昔を知るお前は、かつて不安のとげを、
ヴォータンの向う見ずな心に突き刺したな・・・
お前の知恵は、ヴォータンの心を、
敵意と屈辱にまみれた終末への恐怖で満たし、
その心を不安に縛り付けたのだ。
お前が、世界で最も賢い女ならば・・・
さあ、教えてくれ。
どうしたら、神は、この不安に打ち勝てるのだ?

<エルダ>
あなたは・・・口ほどの男ではない!
強情で乱暴な男だわ!なぜ、あなたは、
ヴァーラの眠りの邪魔をしに来たわけ?

<さすらい人>
お前とて・・・
自分で自惚れているほどの女ではないぞ!
太古の母の知恵も、もう終わりだ・・・
お前の知恵など、わしの意志の前では、
風に乗って消えてしまう。
わからないのか?ヴォータンの意図が?
(長い沈黙)
無知なお前の耳に、わしは呼び掛けるから、
お前は、もう心配をせず、永遠に眠り続けろ!
神々の終末は、もうわしの心を不安に満たさない。
なぜなら、今やそれはわし自身の望みだからだ!
かつては、激しい板挟みの苦悶にとらわれて、
絶望の中で決断したことを、
今、わしは心楽しく実行している。
すでに、わしは狂おしい吐き気を感じつつ、
ニーベルングの男の妬みに、この世界を委ねたが、
あの素晴らしいヴェルズングの若者には、
わしの遺産をくれてやるつもりだ。
わしに選ばれたくせに、わしのことを知らぬ
あの大胆きわまりない子は、わしの指示を受けず、
ニーベルングの指輪を手に入れたのだ。
愛を楽しみ、妬みを持たぬ、あの高貴な少年の前では
アルベリヒの呪いすら、その力を失ってしまう・・・。
なぜなら、この子は恐怖と無縁だからだ。
この勇者は、お前が、わしに産んでくれた
ブリュンヒルデを、やさしく目覚めさせるはずだ・・・
そうすれば、悟りゆくお前の娘は、目を覚まし、
世界を救う行為を成し遂げるのだ・・・。
だから、眠るがいい・・・目を閉じよ・・・
わしの最期を夢に見届けるがいい!
もはや、誰が何をしようと、
わしは、喜んで、あの永遠に若い少年に道を譲るのだ。
降りて行け!エルダ!太古の母の恐れよ!
世の初めの不安よ!
降りて行け!降りて、永遠の眠りにつくがいい!

(すでにエルダは目を閉じ、徐々に舞台深く沈んでしまっていたが、今や完全に見えなくなり、洞窟の入口も再び真っ暗になってしまう。月明りが徐々に舞台を照らし出すと、いつしか嵐は吹きやんでいる)



第2場
さすらい人、ジークフリート

(さすらい人は洞窟の近くに進み、舞台のほうに顔を向けながら、背中を岩にもたせかける)


<さすらい人>
ジークフリートがやって来たようだ。

(さすらい人は、洞窟の脇の同じ場所に居続ける。ジークフリートを導く森の小鳥が舞台前方に向かって飛んで来る。だが、突然、まっすぐ進むのをやめると、脅えたようにあちこち羽ばたきながら、あわてて舞台後方へと飛び去ってしまう)

<ジークフリート>
(舞台の右手前方に現れて、立ち止まる)
小鳥が、どっかに行ってしまった!
パタパタ羽ばたき、かわいい歌声で、
楽しそうに、ぼくを案内してくれていたのに・・・
どっか遠くに消えてしまった!
自分で、山道を探したほうがいいみたいだ・・・
小鳥が教えてくれた方角へ、
もう少し行ってみることにしよう。

(舞台の奥へと歩いて行く)

<さすらい人>
(相変わらず洞窟の脇の同じ場所で)
少年よ・・・どこに行くのだ?

<ジークフリート>
(立ち止まって、振り返る)
誰かの声がする・・・
ぼくに道を教えてくれるのかな。
(さすらい人に近付いて行く)
ぼくは、岩山を探しているんだ。
その岩山の周りには炎が取り巻き、
女の人が一人で眠っている。
ぼくは、そのひとを目覚めさせたいんだ。

<さすらい人>
誰がお前に言ったのだ?その岩を探すようにと・・・
その女を求めよと、誰がお前に言ったのだ?

<ジークフリート>
森の小鳥の歌が教えてくれた。
ぼくに良いことを教えてくれる小鳥さ。

<さすらい人>
小鳥は、いろんなことをさえずるが、
誰にも、その意味は分からぬものだ。
なぜ、お前には小鳥の歌の意味が分かったのだ?

<ジークフリート>
龍の血のおかげだよ。龍は、ぼくに討たれて
嫉妬の洞窟の前で息絶えたが、
その血を舐めるや否や、ぼくの舌は熱くなり、
ぼくは、小鳥の歌声を聞き分けられるようになったんだ。

<さすらい人>
お前は大きな龍を退治したのだな?
だが、お前に、その強い龍を倒すよう
そそのかしたのは誰なんだ?

<ジークフリート>
ずるい小びとのミーメが、ぼくを連れて来て、
ぼくに恐怖を教えようとしたんだ・・・。
だけど、ぼくが剣の一撃で、
あの龍を討ったのは、
龍がぼくを挑発したからさ。
ぼくを呑みこもうと、大きな口を開けたんだから。

<さすらい人>
誰が、そんな硬くて鋭い剣を作ったんだ?
そんな手強い敵すら倒してしまうとは・・・。

<ジークフリート>
ぼく自身が、つなぎあわせたのさ。
あの鍛冶屋のミーメにはできなかったからな。
そうでなきゃ、ぼくは、まだ剣も持たぬ身さ。

<さすらい人>
だが、お前の剣の材料となった硬い破片は、
そもそも誰が作ったんだろうな?

<ジークフリート>
そんなこと、ぼくが知るかい!
わかっていたのは、
破片だけじゃ何の役にも立たないことだけさ。
ぼく自身が、新たに剣を作り直さない限りは。

<さすらい人>
(嬉しそうに、気分良さげに大笑いする)
なるほどな!わしも全く同感だ!

(ジークフリートを満足げに見つめる)

<ジークフリート>
(いぶかしみながら)
なぜ、ぼくのことを笑うんだ?
質問好きの年寄りめ!いい加減にしろ。
ぼくをこれ以上、おしゃべりに付き合わせないでくれ!
道を教えるつもりなら、早く言えよ・・・
できないのなら、ムダ口をきくのはよせ!

<さすらい人>
まあ、待て、若いの!わしを年寄りと言うのなら、
それだけの敬意を払わなけりゃいけないぞ。

<ジークフリート>
これで、うんざりするなってのか!
ぼくが生まれてこのかた、
いつも行く手を遮るのは、年寄りだった。
だから、そいつをお払い箱にしてやったところだ。
あんたも、しつこくぼくの道を阻み続ける気なら、
せいぜい気をつけたほうがいいぞ・・・
(セリフに合わせた身振りで)
ミーメみたいな目にあわないようにな!
(さすらい人に向かって、さらに近付いて行く)
あんたは、なんて格好をしてるんだ・・・?
何だよ?このでっかい帽子は?
どうして、こんなに顔を覆っているんだ?

<さすらい人>
(相変わらず、その場から動かずに)
さすらい人は、こうするものだ・・・
向かい風の中を行く時には。

<ジークフリート>
(ますます近づいて、じろじろ見つめながら)
それに、帽子の下には、片目がない!
きっと、前に、別の男の行く手も遮ったので、
殴られて、目ん玉が飛び出ちまったんだろう?
さあ、さっさと立ち去れ。
さもないと、もう一つの目も、
失うことになってしまうぞ。

<さすらい人>
せがれよ・・・自分が知らないことについては、
学ばねばならぬというものだ。
わしが失ってしまった片方の目のおかげで、
お前は、わしに残された
もう一つの目を見ているのだからな。

<ジークフリート>
(注意深く聞いていたが、思わず大声で笑い出す)

愉快な爺さんだ!笑わせてくれるよ!
だがな、おしゃべりもこれぐらいにするんだ。
さっさと、ぼくに道を教えて、
自分の道を進んでくれ。
あんたが、ぼくの役に立つのは、道案内だけなんだから、
早く教えろ!さもなくば、体当たりしてぶっ飛ばすぞ!

<さすらい人>
(やさしげに)
勇気ある若者よ・・・お前がわしを誰だか知ったら、
そんな悪口は言わないだろうにな!
昔から気にかけていたお前から、
そんなに脅されては、わしは、とてもつらくなる。
わしは昔から、輝かしいお前の一族を愛していた。
激怒して、恐怖に突き落としたこともあったがな。
至高の存在であるわしが、こんなにも優しくしているのだから、 嫉妬の念をかき立てたりはしないでくれ・・・
そうなったら、わしとお前は破滅だぞ!

<ジークフリート>
教えないというのか?頑固な奴だ!
それならば、そこをどけ。
わかっているぞ。そこを進めば、
眠る女の人にたどりつくんだ。
あの小鳥が、そう教えてくれたんだ。
ここに来たら、逃げてしまったあの小鳥が。

(急に、辺りは、また真っ暗になる)

<さすらい人>
(怒りを爆発させ、命令するような姿勢で)
あの小鳥は、身を守るため逃げたのだ!
カラス達の主がここにいると気付いたからだ・・・。
カラス達につかまっては、大変だからな!
お前だって、あの小鳥に教わった道を、
このまま進むことはできないぞ!

<ジークフリート>
(大いに驚き、反抗的な態度のまま、後じさりする)
おいおい!ぼくを止めようというのか!
あんたは誰なんだ?
ぼくの行く手を邪魔しようと言うのか?

<さすらい人>
この岩山の主を恐れるがいい!
眠る乙女を閉じ込めたのは、
わしの力だ・・・。
あの乙女を起こして、我が物にしようという者は、
わしを永遠に無力の存在にせねばならぬ!
火の海が、あの女を包み込み、
赤い炎が、岩山を取り巻く・・・
さればこそ、あの乙女を花嫁にと望む男には、
火焔が燃えて向かってくるのだ。
(さすらい人は、槍で、岩山の頂を指し示す)
あの頂きを見るがいい!
光が見えるか?
あの光は、さらに明るく輝き、
炎は大きくふくらむ・・・
焼き焦がす雲と、ゆらめく炎は、
燃えて、はじけて、こちらへ転がり落ちて来る・・・
光の海が、お前の頭を包み込むぞ・・・
(岩山の頂からは、ゆらめく炎が反射して、次第に明るさを増してくる)
燃える炎が、すぐにも、お前を飲み込み、焼き焦がすぞ。
引き下がれ!乱暴な小わっぱめ!

<ジークフリート>
引き下がるのはあんたのほうだ!大ぼら吹きめ!
(前進しようとするジークフリートの前に、さすらい人が立ちはだかる)
あの炎の燃える場所・・・
ブリュンヒルデのもとへと、ぼくは行くんだ!

<さすらい人>
炎を恐れないと言うのか?
(槍を前に差し出しながら)
ならば、わしの槍で、道をふさいでやる!
まだ、世界の支配権は、このわしの手中にあるのだ・・・
今、お前が振るっている剣を、
わしは昔、この槍の柄で粉々にしたのだぞ・・・
もう一度、この永遠の槍で打ち砕いてやる!

(槍を前に突き出す)

<ジークフリート>
(剣を抜きながら)
お父さんのかたきだったか!ここで出会うとは?
仇討ちできるとは、願ってもない!
さあ、槍を振るうがいい・・・
ぼくの剣で、粉々にしてやるぞ!

(ジークフリートが、さすらい人の槍を一撃のもとに真っ二つにすると、そこから発した稲妻は岩山の頂きへと飛んで行く。すると、その瞬間から、岩山の頂きの弱々しい光の反射は、ますます明るさを増す炎として輝き始める。 ジークフリートの一撃は、強い雷鳴を伴っているが、その雷鳴はすぐに静まる。真っ二つになった槍の破片は、さすらい人の足下に転がっているが、さすらい人は落ち着いてそれを拾い上げる)

<さすらい人>
(後じさりしながら)
行け!もう、わしには、お前を止められない!

(さすらい人は、突然、真っ暗闇の中に消えてしまう)

<ジークフリート>
臆病者め!武器をやられたから逃げたんだな?
(どんどん下のほうに垂れこめて行く火の雲が、ますます明るくなって、ジークフリートの目をとらえる)
ああ!何て素敵な炎だ!素晴らしい輝きだ!
今は遮るものもなく、ぼくの行く手を照らしている。
さあ、炎を浴びに行こう!
炎の中に、花嫁を見つけに行こう・・・
ホホー!いざ行こう!
かわいい仲間を、呼び寄せに行こう!

(ジークフリートは、ホルンを口に当て、獣を呼び寄せる時のメロディーを吹き鳴らしながら、波打つ炎の中へ飛び込んでいく。 山頂から押し寄せていた炎は、今や舞台前方に広がっている。ジークフリートの姿はすぐに見えなくなってしまうが、彼は山頂を目指して進んでいるように思われる。 明るさが最高潮に達するところで炎は弱まりはじめ、あたかも曙光に照らし出されたような、ますます繊細な雲の輝きへと変化していく)




第3場
(ジークフリート、ブリュンヒルデ)

(ますます薄くなっていく雲は、バラ色の細かい霧のヴェールへと溶けていき、千切れ千切れになってしまう。薄もやも次第に上へと消えて行き、ついには完全に消え去ると、そこには晴れ渡る青い天空だけが望まれるようになる。
その間、「ワルキューレ」第3幕と全く同じ岩山が徐々に見えるようになって来る。その縁には、曙光を反射する霧のヴェールがはりついたままになっているが、その色は、まだ下の方で燃え盛っている魔の炎をも思い起こさせる。
舞台上は「ワルキューレ」の幕切れと全く同じである。前景には、枝をこんもりと茂らせたもみの木の下で、ブリュンヒルデが、きらめく武具にびっしりと身をつつみ、兜に頭をくるまれ、大きな盾に隠されて、深い眠りについている)




<ジークフリート>
(外から来て、岩山の端にたどりつき、初めは上半身だけを出している。長い間、驚いて、ぐるぐる辺りを見渡している)

静かだけどさみしい所だ。この陽当たりのいい丘の上は!

(すっかり登り切ると、舞台後方の斜面にある岩の上に立ちながら、いぶかしげに舞台のほうを眺める。舞台の脇にあるモミの木に目をやると、やや前進する)

モミの木の陰で、何かが寝ているぞ?
馬だ!休んでぐっすりと眠っている!
(ゆっくりと近寄ってくるが、やや離れた所から早くもブリュンヒルデの姿に気付き、驚いて立ち止まる。)

あそこに輝いているのは何だ?
金物細工が光っているのかな?
さっきの炎のせいで、まだ目が変なのかな?
(さらに近くにやって来ると)
きれいな武器だ!持ち上げてみようかな?
(ブリュンヒルデの盾を持ち上げて、彼女の姿を見るが、ブリュンヒルデの顔は、まだほとんどが兜に覆われている)

わあ!武装した男だ・・・
この姿は、ぼくを何だか嬉しい気持ちにさせるぞ!
兜なんか着けて、頭がきつくないのかな?
身につけているものを取ったら、楽になるかも・・・

(丁寧に金具をゆるめながら、眠るブリュンヒルデの頭から兜を取り外すと、そこから長い巻き髪がこぼれ落ちる。ジークフリートはびっくりする)
ああ!なんて美しいんだ!
(その姿にずっと見とれ続ける)
ほのかに光る波打つ雲が、
晴れやかな天の海を取り巻いているみたいだ。
お日さまの笑い輝く姿が、
雲の波を貫いて、射し込んでくるようだ!
(さらに深く、眠るブリュンヒルデに屈み込む)
息を吸い込むたびに、胸が上下に揺れている・・・
胸を締め上げているこの鎧を取ってあげようかな?
(とても気を遣いながら、鎧を外そうとする)

さあ、剣よ、金具を切り裂け!
(剣を抜くと、細心の注意を払って、鎧の両側にあるつなぎ目を断ち切り、鎧と籠手とを取り外す。 すると、女らしいたおやかな衣装に包まれたブリュンヒルデが目の前に現れるので、ジークフリートは激しく驚き、目を見張って立ち上がる)


えっ?男じゃないぞ!
(極度に興奮して、眠るブリュンヒルデを見つめる)

燃えるような魔力が心に火をつける。
火のような不安に、目が釘付けになる。
頭がぼおっとして目まいがする!
(極度の混乱に陥って)
いったい誰を呼んで、救いを求めりゃいいんだ?
お母さん!お母さん!ぼくを忘れないで!
(まるで気絶したようにブリュンヒルデの胸に顔をつける。長い沈黙。やがて、ジークフリートはため息をつきながら体を起こす)
どうやったら、この女の人を起こして、
目を開かせることができるんだろう?
ぼくに向けて目を開かせる・・・?
見つめられたら、ぼくの目はつぶれちゃわないか?
それでも、やっぱりやるべきなのか?
この光に耐えられるのか?
ああ、もう、クラクラ・・・。フラフラでグラグラだ・・・
ぼくの周りじゅう、みんな!
あこがれ焦がれて、何も感じられない・・・
心臓がどきどきして、手がふるえる!
ぼくは、こんなに臆病だったのか?
これが「恐怖」というものなのか?
ああ、母さん!母さん!ぼくは母さんの勇敢な息子だ!
でも、あそこに寝ている女性は・・・
このぼくに「恐怖」を教えた!
どうしたら、この恐怖は終わる?
どうやったら勇気を取り戻せる?
ぼく自身を目覚めさせるためには、
この子に目覚ましてもらわないといけないのか!?
(眠るブリュンヒルデにもう一度近付いて行くと、ますます繊細な感情に捉えられ、彼女の姿に見入る。深く深く体を沈めると)
花のような口が、可愛らしく震えている。
ぴくりとかすかに動いて、この臆病なぼくを魅惑する!
ああ!この息吹き・・・
何て心地よく温かい香り!
(まるで絶望したかのように)
目覚めて!目覚めて!聖らかな女性よ!
(ブリュンヒルデをじっと見つめる)
聞こえていないのか。
(気持ちを抑えつつも耐えきれないような表情で、ブリュンヒルデの上に覆いかぶさりながら)
それなら、ぼくは、いのちを吸い込もう。
この可愛い唇から、ぼくの中へと・・・。
そのために、ぼくが死んで消えてしまおうと!

(まるで息絶えたかのように、眠るブリュンヒルデの上に体を沈めると、目を閉じたまま、その口に唇をふれる。するとブリュンヒルデはパッと目を開く。 ジークフリートはあわてて立ち上がり、その前に立ちすくむ。 ブリュンヒルデは、ゆっくりと上半身をもたげて座る。空と大地を目にすると、手を高く上げる荘厳な身振りを、この世界に戻ってきたことへの挨拶代わりとする)

<ブリュンヒルデ>
お日さま・・・ありがとう!
光よ・・・ありがとう!
ありがとう・・・輝きの昼!
長い眠りだったけど・・・
いま目覚めたわ。
私を眠りから覚ました勇者はだれ?

<ジークフリート>
(ブリュンヒルデの眼差しと声に厳かなものを感じ、心を打たれて、金縛りにあったように立ちすくむ)
岩山を取り巻く
炎を越えて来たんだ・・・
固い兜を剥ぎ取ったんだ・・・
あなたを眠りから覚ましたぼくはジークフリート。

<ブリュンヒルデ>
(背筋を伸ばして座りながら)
神々よ・・・ありがとう!
世界よ・・・ありがとう!
ありがとう・・・輝かしき大地!
私の眠りは、終わったわ。
目覚めた私の目の前にいる・・・
私を眠りから覚ました人はジークフリート!

<ジークフリート>
(感極まってすっかり我を忘れたかのように)
ああ、お母さん、ありがとう。ぼくを産んでくれて・・・
大地よ、ありがとう。ぼくを育ててくれて!
ぼくが見つめるこの瞳は、
今この幸せなぼくに微笑んでいる!

<ブリュンヒルデ>
(この上なく心を打たれて)
ああ、あなたを産んだお母さん、ありがとう。
大地よ、ありがとう。あなたを育てた大地!
あなたの瞳だけが私を見つめていいのよ。
私、あなたのためだけに目覚める定めだったの!
(二人は、輝きわたる恍惚感に満たされ、互いに我を忘れて見つめ合ったままでいる)
ああ、ジークフリート!幸せな勇者!
命を目覚めさせる勝利の光!
ねえ、知ってるかしら?世に歓びをもたらす人!
どんなに、あたしがあなたを愛していたか!
あなたこそ、あたしが心から想った人、
そして心から悩んだ人なの!
かわいいあなたのお世話をしたのよ。
それは、あなたが生まれる前・・・
あなたが命を得る前に、
あなたを守ったのは、このあたしの盾・・・
その頃からずっと、ジークフリートを愛していたのよ!

<ジークフリート>
(小声で、おずおずと)
それなら、お母さんは死んでなかったのかい?
ただ眠っているだけだったのかい?

<ブリュンヒルデ>
(微笑みながら、親しみを込めて、ジークフリートに手を伸ばす)かわいい子ね!
お母さんはもう戻って来ないわ。
でも、幸せな私を愛してくれれば、
私は、あなた自身になるのよ。
あなたが知らないことを、
私は、あなたの代わりに知っている。
でも、私が「悟った」理由は、ただ一つ・・・
あなたを愛しているからよ!
ああ、ジークフリート!勝利の光!
ずっと愛していたの・・・
私だけが、ヴォータンの「想い」を悟ったからよ。
あの日、私は、その「想い」を言い表せなかった。
そう・・・「考えた」のではない。ただ「感じた」だけだったから・・・
でも、そのために、もがき、戦い、争い、
それを考えた人にさえ逆らったのよ。
それゆえに、私は罪を償い、罰せられる身となった。
「考えた」のではなく、ただ「感じた」がゆえに!
その「想い」とは・・・わかるでしょ!・・・
ただ、あなたへの愛だったのよ!
<ジークフリート>
まるで奇蹟のように楽しげな歌を歌うけれど、
その意味は、ぼんやりとしている。
あなたのきらめく瞳を目にし、
あたたかい吐息を感じ、
甘い歌声を耳にしているというのに、
それに乗せて語られる言葉は、
ぼくには理解できず、途方に暮れる。
そんな縁遠い話なんか分かるはずがない!
今、ぼくの五感のすべては、あなたを感じ、見ているんだ!
あなたは、ぼくを「恐怖」でとらえた。
あなただけが、恐怖の不安を教えてくれた。
もうこのまま、ぼくの気持ちを、固い縄に
結えつけたまま、閉じ込めておかないで!

(きわめて興奮して、憧れのこもった眼差しを彼女に向ける)


<ブリュンヒルデ>
(穏やかに顔を脇にそらし、モミの木の森に眼差しを向ける)

あら?グラーネがいたわ。
かわいい、あたしの馬・・・
元気に草を食んでいる・・・
私と一緒に眠っていたのに!
ジークフリートが一緒に起こしてしまったのね。

<ジークフリート>
(これまでと同じようにブリュンヒルデを見つめながら)
ぼくの目は、あの歓びの口に癒されている・・・
でも、ぼくの唇は火照るような渇きに燃えている。
ああ、目を癒すあの口が、ぼくの唇をも鎮めてくれれば!

<ブリュンヒルデ>
(目に入った武具をジークフリートに指差して)
あそこに・・・私が勇者たちを守った
盾があったわ・・・
私の頭を覆っていた
兜もある・・・
でも、もう盾も兜もあたしを守ってくれない!


<ジークフリート>
可愛らしい少女が、ぼくの心を傷つけた。
そのひとは、ぼくの頭に死の傷を負わせた・・・
だって、兜も盾も持たずに、ぼくは来たんだよ!

<ブリュンヒルデ>
(憂いを募らせながら)
あそこに、きらきら光る鉄の鎧が転がっている・・・
鋭い剣で真っ二つにされちゃったのね・・・
乙女が体にまとっていた武装は剥がされてしまった。
盾となるものは何も無い・・・。
身を防ぐこともできない、ただの哀れな女だわ!

<ジークフリート>
燃え盛る炎を越えて、ぼくはあなたに会いに来た!
ぼくは鎧も兜も着けていなかった・・・
そして、その炎は、この胸にじかに燃え移ってきた。
燃え盛る火焔に血が沸き立ち、
焼き尽くす炎が燃え上がる・・・
ブリュンヒルデの岩山を取り囲んでいた炎が、
いまこの胸に燃えているんだ!
ああ、どうか、この業火を鎮めて下さい!
この赤く燃える灼熱を!

(ジークフリートが強くブリュンヒルデを抱きしめると、彼女は飛びのき、不安に駆られて全力で身を守り、舞台の反対側に逃げていく)

<ブリュンヒルデ>
神ですら、私に近寄らせはしなかった!
勇者も目を合わせるのを躊躇するほどの乙女だったのに・・・
きよらかなまま、ヴァルハラを離れた乙女だというのに!
何てこと!何てことなの!
こんな恥辱!こんな恥ずべき苦しみ!
私を目覚めさせる男が、私を傷つけたなんて!
鎧も兜もみな剥がされて・・・。そんな私は、
もう「鎧をまとう女戦士(ブリュンヒルデ)」ではない!

<ジークフリート>
あなたはまだ夢見る少女のままなのですか?
ブリュンヒルデの眠りを、ぼくは破れなかったのでしょうか?
さあ、目を覚まして!ぼくの妻になって下さい!

<ブリュンヒルデ>
(気を失いそうになりながら)
想いが千々に砕けゆくのに、
知識は何も教えてくれない・・・
私は知恵すらも失くす定めだったの?

<ジークフリート>
さっき歌いませんでしたか?
あなたの持っている知識とは、
輝くばかりに、ぼくを愛することだと。

<ブリュンヒルデ>
(一点を凝視しながら)
眼差しを曇らせる悲しい闇・・・
目はぼやけ、光は消える・・・
辺りをすっかり夜が包む。
霧と薄暗がりの中から、
狂ったように不安がのたくり始める・・・
恐怖がひたひたと、私に襲いかかろうとする!

(両手で激しく目を覆う)

<ジークフリート>
(彼女の両手を目の前から取り払いながら)
目隠しされた目には、夜しか見えない。
目隠しを取れば、暗いおののきは消えるはずです。
暗闇から目を上げて、見て下さい・・・
この燦々(さんさん)と輝く昼の光を!

<ブリュンヒルデ>
(激しく心を傷つけたように)
光り輝く?昼の光は私を辱めるだけだわ!
ああ、ジークフリート!ジークフリート!
この不安な気持ちをわかって!
(心に快いイメージが浮かんだことが、ブリュンヒルデの表情から読み取られる。彼女は、再び優しい眼差しをジークフリートに向ける。)
永劫の昔から、ずっと何時(いつ)も、
甘い憧れの歓びを永久(とわ)に感じながら、
永遠(とわ)にあなたの幸せを願って来たのよ。
ジークフリート!すてきな人!この世の宝!
大地のいのち!笑顔の勇者!
放して。かまわないで。あたしをほっといて!
熱くなって近づいてこないで!
強い力で
むりやり強制なんかして、
友だちの心をメチャクチャにしないで!
ねえ、澄み切った小川に顔を映したことがある?
陽気なあなただもの、きっとうれしかったでしょ?
でもその水を波立てて、
澄んだ水面(みなも)をかき回してしまうと
顔は見えなくなってしまって、
残るのは、ゆらゆら揺れる波紋だけよ!
だから、触れたりしないで!
濁したりしないで!
永久(とわ)に明るく、優しく
笑いかけてくれれば、あなたは
ずっと元気で陽気な勇者でいられるわ!
ねえ、ジークフリート!かがやく若い芽!
自分を大事にして、私のことはほっといて・・・
あなたのものである私を台無しにしないで!

<ジークフリート>
愛しているんだ・・・だから、あなたのほうも!
もう、気持ちをおさえられない・・・
ああ、あなたがほしい!
ものすごい洪水が押し寄せて来るんだ・・・
だから全身全霊で、その逆巻く波を
見つめるしかない。
水面(みなも)のぼくの姿は、もう乱されたんだから、
燃え上がる炎は、この波で冷やすしかないんだ。
だからぼくは、このまま
小川に身を投げるよ。
ああ、そうすれば、ぼくを飲み込む波が、
あこがれを静めてくれるはずさ!
目覚めてください、ブリュンヒルデ!
乙女よ、起きて下さい!
笑って生きるのです、歓びの女性(ひと)!
ぼくのものになって!ぼくのものに!

<ブリュンヒルデ>
(まごころを込めて)
ねえ、ジークフリート!ずっと前からあなたのものよ!

<ジークフリート>
(火のように激しく)
ずっと前から?「いま」そうなって下さい!

<ブリュンヒルデ>
これから永久にあなたのものよ!

SIEGFRIED
これから?「今日」そうなって下さい!
ぼくの腕があなたをとらえて、
ひっしと抱きしめるとき、
ぼくの胸は、熱烈に
あなたの胸を打つよ・・・
まなざしは燃え上がり、
呼吸は途絶えそう。
目と目、口と口・・・
そしたら、あなたは、ぼくにとって
過去も未来もそうだった存在になるはず!
でも、一つだけ、焼け焦げるほど不安なんだ・・・
「いま」ブリュンヒルデは、ぼくのものなのかい?

(そう言いながら抱きしめている)

<ブリュンヒルデ>
今、あなたのものかですって?
神々しい安らぎは、逆巻く波濤になったわ。
清らかな光は、炎になったわ。
天上の知恵など、どっかに行ってしまった。
愛の歓喜に追い払われてしまったの!
今、あなたのものかですって?
ジークフリート!ジークフリート!
わからないの?
あたしのこの目でじっと見つめたら、
あなた失明しちゃわない?
あたしの腕をぎゅっと押しつけたら、
あなた燃え出してしまわない?
あたしの血潮が滝のように、あなたに向かって流れ込む・・・
この荒々しい炎を感じないの?
こわくないの?ジークフリート、
こわくないの?この荒れ狂う女が?

(ジークフリートを激しく抱きしめる)

<ジークフリート>
(喜びながらも驚いて)
わあ!血潮がどっと燃え立つぞ!
瞳が見つめ合って火花を上げるぞ!
腕どうしがぎゅっと絡み合うぞ・・・!
やっと勇気が戻って来たぞ。
でも、あれっ?「恐怖」はどこに行った?
つまり、ぼくは何にも分からずじまいか?
ついさっき、教えてくれたばかりだのに・・・
どうも・・・「恐怖」とやらを・・・
バカなぼくは、もうすっかり忘れちゃったみたい!

(最後のセリフを言いながら、思わずブリュンヒルデを離してしまう)

<ブリュンヒルデ>
(愛の歓びがきわまって、荒々しく笑い出す)
なんて子供っぽい勇者さん!
なんて素晴らしい男の子!
何も知らずに神聖な行為を成し遂げる人!
あたし、笑いながら愛するわ、
笑いながら、失明するわ、
ともに笑いながら、滅びましょう、
ともに笑いながら、没落しましょう!
消え去れ!輝くヴァルハラの世界など!
壮麗な城よ!崩れ落ちて塵になれ!
神々の栄華よ、さようなら!
歓喜のうちに滅びよ!不死の一族!
さあ、ノルンたち!運命の綱を引きちぎれ!
神々の黄昏よ、たそがれ始めて!
滅亡の夜よ、立ちこめて!
いま私を照らすのは、ジークフリートの星座だけ!
永遠の男性(ひと)、ずっと一緒よ!
あたしのたった一つの宝物・・・
輝きながら愛し、笑いながら死のう!

<ジークフリート>
笑いながら目覚める歓びの女性(ひと)・・・
ブリュンヒルデがここにいて、微笑んでいる!
称えあれ!ぼくたちをつつむ昼の輝き!
称えあれ!ぼくたちを照らす太陽!
称えあれ!夜から浮かび上がる光!
称えあれ!ブリュンヒルデのいる世界!
あのひとが起き、生きている。
ぼくに微笑みかけている。
きらきら光れ!ブリュンヒルデの星座よ!
永遠の女性(ひと)、ずっと一緒だ!
ぼくのたった一つの宝物・・・
輝きながら愛し、笑いながら死のう!

(ブリュンヒルデはジークフリートの腕の中に飛び込む。幕が下りる)
DRITTER AUFZUG

Wilde Gegend, am Fusse eines Felsenberges, welcher links nach hinten steil aufsteigt. Nacht, Sturm und Wetter, Blitz und heftiger Donner, welch letzterer dann schweigt, während Blitze noch längere Zeit die Wolken durchkreuzen

VORSPIEL UND ERSTE SZENE
Wanderer, Erda

WANDERER
schreitet entschlossen auf ein gruftähnliches Höhlentor in einem Felsen des Vordergrundes zu und nimmt dort, auf seinen Speer gestützt, eine Stellung ein, während er das Folgende dem Eingange der Höhle zu ruft
Wache, Wala! Wala! Erwach'!
Aus langem Schlaf
weck' ich dich Schlummernde wach.
Ich rufe dich auf:
Herauf! Herauf!
Aus nebliger Gruft,
aus nächtigem Grunde herauf!
Erda! Erda! Ewiges Weib!
Aus heimischer Tiefe tauche zur Höh!
Dein Wecklied sing' ich, dass du erwachest;
aus sinnendem Schlafe weck' ich dich auf.
Allwissende! Urweltweise!
Erda! Erda! Ewiges Weib!
Wache, erwache, du Wala! Erwache!

Die Höhlengruft erdämmert. Bläulicher Lichtschein: von ihm beleuchtet steigt mit dem Folgenden Erda sehr allmählich aus der Tiefe auf. Sie erscheint wie von Reif bedeckt: Haar und Gewand werfen einen glitzernden Schimmer von sich


ERDA
Stark ruft das Lied;
kräftig reizt der Zauber.
Ich bin erwacht aus wissendem Schlaf:
wer scheucht den Schlummer mir?

WANDERER
Der Weckrufer bin ich, und Weisen üb' ich,
dass weithin wache,
was fester Schlaf verschliesst.
Die Welt durchzog ich,
wanderte viel, Kunde zu werben,
urweisen Rat zu gewinnen.
Kundiger gibt es keine als dich;
bekannt ist dir, was die Tiefe birgt,
was Berg und Tal, Luft und Wasser durchwebt.
Wo Wesen sind, wehet dein Atem;
wo Hirne sinnen, haftet dein Sinn:
alles, sagt man, sei dir bekannt.
Dass ich nun Kunde gewänne,
weck' ich dich aus dem Schlaf!

ERDA
Mein Schlaf ist Träumen,
mein Träumen Sinnen,
mein Sinnen Walten des Wissens.
Doch wenn ich schlafe,
wachen Nornen:
sie weben das Seil
und spinnen fromm, was ich weiss.
Was frägst du nicht die Nornen?

WANDERER
Im Zwange der Welt weben die Nornen:
sie können nichts wenden noch wandeln.
Doch deiner Weisheit
dankt' ich den Rat wohl,
wie zu hemmen ein rollendes Rad?

ERDA
Männertaten umdämmern mir den Mut:
mich Wissende selbst
bezwang ein Waltender einst.
Ein Wunschmädchen gebar ich Wotan:
der Helden Wal
hiess für sich er sie küren.
Kühn ist sie und weise auch:
was weckst du mich und frägst um Kunde
nicht Erdas und Wotans Kind?

WANDERER
Die Walküre meinst du,
Brünnhild', die Maid?
Sie trotzte dem Stürmebezwinger,
wo er am stärksten selbst sich bezwang:
was den Lenker der Schlacht zu tun verlangte,

doch dem er wehrte - zuwider sich selbst -,
allzu vertraut wagte die Trotzige,
das für sich zu vollbringen,
Brünnhild' in brennender Schlacht.
Streitvater strafte die Maid:
in ihr Auge drückte er Schlaf;
auf dem Felsen schläft sie fest:
erwachen wird die Weihliche nur,
um einen Mann zu minnen als Weib.
Frommten mir Fragen an sie?

ERDA
ist in Sinnen versunken und beginnt erst nach längerem Schweigen
Wirr wird mir, seit ich erwacht:
wild und kraus kreist die Welt!
Die Walküre, der Wala Kind,
büsst' in Banden des Schlafs,
als die wissende Mutter schlief?
Der den Trotz lehrte, straft den Trotz?
Der die Tat entzündet, zürnt um die Tat?
Der die Rechte wahrt, der die Eide hütet,
wehret dem Recht, herrscht durch Meineid? -
Lass mich wieder hinab!
Schlaf verschliesse mein Wissen!

WANDERER
Dich, Mutter, lass' ich nicht ziehn,
da des Zaubers mächtig ich bin.
Urwissend stachest du einst
der Sorge Stachel in Wotans wagendes Herz:
mit Furcht vor schmachvoll feindlichem Ende
füllt' ihn dein Wissen,
dass Bangen band seinen Mut.
Bist du der Welt weisestes Weib,
sage mir nun:
wie besiegt die Sorge der Gott?

ERDA
Du bist - nicht was du dich nennst!
Was kamst du, störrischer Wilder,
zu stören der Wala Schlaf?

WANDERER
Du bist - nicht,
was du dich wähnst!
Urmütter-Weisheit geht zu Ende:
dein Wissen verweht
vor meinem Willen.
Weisst du, was Wotan will?
Langes Schweigen
Dir Unweisen ruf' ich ins Ohr,
dass sorglos ewig du nun schläfst!
Um der Götter Ende grämt mich die Angst nicht,
seit mein Wunsch es will!
Was in des Zwiespalts wildem Schmerze
verzweifelnd einst ich beschloss,
froh und freudig führe frei ich nun aus.
Weiht' ich in wütendem Ekel
des Niblungen Neid schon die Welt,
dem herrlichsten Wälsung
weis' ich mein Erbe nun an.
Der von mir erkoren, doch nie mich gekannt,
ein kühnester Knabe, bar meines Rates,
errang des Niblungen Ring.
Liebesfroh, ledig des Neides,
erlahmt an dem Edlen Alberichs Fluch;
denn fremd bleibt ihm die Furcht.
Die du mir gebarst, Brünnhild',
weckt sich hold der Held:
wachend wirkt dein wissendes Kind
erlösende Weltentat. -
Drum schlafe nun du, schliesse dein Auge;
träumend erschau' mein Ende!
Was jene auch wirken,
dem ewig Jungen weicht in Wonne der Gott.
Hinab denn, Erda! Urmütterfurcht!
Ursorge!
Hinab! Hinab, zu ewigem Schlaf!

Nachdem Erda bereits die Augen geschlossen hat und allmählich tiefer versunken ist, verschwindet sie jetzt gänzlich; auch die Höhle ist jetzt wiederum durchaus verfinstert. Monddämmerung erhellt die Bühne, der Sturm hat aufgehört


ZWEITE SZENE
Wanderer, Siegfried

Der Wanderer ist dicht an die Höhle getreten und lehnt sich dann mit dem Rücken an das Gestein derselben, das Gesicht der Szene zugewandt

WANDERER
Dort seh' ich Siegfried nahn.

Er verbleibt in seiner Stellung an der Höhle. Siegfrieds Waldvogel flattert dem Vordergrunde zu. Plötzlich hält der Vogel in seiner Richtung ein, flattert ängstlich hin und her und verschwindet hastig dem Hintergrunde zu

SIEGFRIED
tritt rechts im Vordergrunde auf und hält an
Mein Vöglein schwebte mir fort!
Mit flatterndem Flug und süssem Sang
wies es mich wonnig des Wegs:
nun schwand es fern mir davon!
Am besten find' ich mir selbst nun den Berg:
wohin mein Führer mich wies,
dahin wandr' ich jetzt fort.

Er schreitet weiter nach hinten

WANDERER
in seiner Stellung an der Höhle verbleibend
Wohin, Knabe, heisst dich dein Weg?

SIEGFRIED
hält an und wendet sich um
Da redet's ja:
wohl rät das mir den Weg.
Er tritt dem Wanderer näher
Einen Felsen such' ich,
von Feuer ist der umwabert:
dort schläft ein Weib,
das ich wecken will.

WANDERER
Wer sagt' es dir, den Fels zu suchen?
Wer, nach der Frau dich zu sehnen?

SIEGFRIED
Mich wies ein singend Waldvöglein:
das gab mir gute Kunde.

WANDERER
Ein Vöglein schwatzt wohl manches;
kein Mensch doch kann's verstehn.
Wie mochtest du Sinn dem Sang entnehmen?

SIEGFRIED
Das wirkte das Blut eines wilden Wurms,
der mir vor Neidhöhl' erblasste:
kaum netzt' es zündend die Zunge mir,
da verstand ich der Vöglein Gestimm'.

WANDERER
Erschlugst den Riesen du,
wer reizte dich,
den starken Wurm zu bestehn?

SIEGFRIED
Mich führte Mime, ein falscher Zwerg;
das Fürchten wollt' er mich lehren:
zum Schwertstreich aber,
der ihn erschlug,
reizte der Wurm mich selbst;
seinen Rachen riss er mir auf.

WANDERER
Wer schuf das Schwert so scharf und hart,
dass der stärkste Feind ihm fiel?

SIEGFRIED
Das schweisst' ich mir selbst,
da's der Schmied nicht konnte:
schwertlos noch wär' ich wohl sonst.

WANDERER
Doch, wer schuf die starken Stücken,
daraus das Schwert du dir geschweisst?

SIEGFRIED
Was weiss ich davon?
Ich weiss allein,
dass die Stücke mir nichts nützten,
schuf ich das Schwert mir nicht neu.

WANDERER
bricht in ein freudig gemütliches Lachen aus
Das mein' ich wohl auch!

Er betrachtet Siegfried wohlgefällig

SIEGFRIED
verwundert
Was lachst du mich aus?
Alter Frager! Hör' einmal auf;
lass mich nicht länger hier schwatzen!
Kannst du den Weg mir weisen, so rede:
vermagst du's nicht, so halte dein Maul!

WANDERER
Geduld, du Knabe! Dünk' ich dich alt,
so sollst du Achtung mir bieten.

SIEGFRIED
Das wär' nicht übel!
Solang' ich lebe,
stand mir ein Alter stets im Wege;
den hab' ich nun fortgefegt.
Stemmst du dort länger steif dich mir entgegen,
sieh dich vor, sag' ich,
mit entsprechender Gebärde
dass du wie Mime nicht fährst!
Er tritt noch näher an den Wanderer heran
Wie siehst du denn aus?
Was hast du gar für 'nen grossen Hut?
Warum hängt er dir so ins Gesicht?

WANDERER
immer ohne seine Stellung zu verlassen
Das ist so Wand'rers Weise,
wenn dem Wind entgegen er geht.

SIEGFRIED
immer näher ihn betrachtend
Doch darunter fehlt dir ein Auge!
Das schlug dir einer gewiss schon aus,
dem du zu trotzig den Weg vertratst?
Mach dich jetzt fort,
sonst könntest du leicht
das andere auch noch verlieren.

WANDERER
Ich seh', mein Sohn, wo du nichts weisst,
da weisst du dir leicht zu helfen.
Mit dem Auge, das als andres mir fehlt,
erblickst du selber das eine,
das mir zum Sehen verblieb.

SIEGFRIED
der sinnend zugehört hat, bricht jetzt unwillkürlich in helles Lachen aus
Zum Lachen bist du mir lustig!
Doch hör', nun schwatz' ich nicht länger:
geschwind, zeig' mir den Weg,
deines Weges ziehe dann du;
zu nichts andrem acht' ich dich nütz':
drum sprich, sonst spreng' ich dich fort!

WANDERER
weich
Kenntest du mich, kühner Spross,
den Schimpf spartest du mir!
Dir so vertraut,
trifft mich schmerzlich dein Dräuen.
Liebt' ich von je deine lichte Art,
Grauen auch zeugt' ihr mein zürnender Grimm.
Dem ich so hold bin, Allzuhehrer,
heut' nicht wecke mir Neid:
er vernichtete dich und mich!

SIEGFRIED
Bleibst du mir stumm, störrischer Wicht?
Weich' von der Stelle,
denn dorthin, ich weiss,
führt es zur schlafenden Frau.
So wies es mein Vöglein,
das hier erst flüchtig entfloh.

Es wird schnell wieder ganz finster

WANDERER
in Zorn ausbrechend und in gebieterischer Stellung
Es floh dir zu seinem Heil!
Den Herrn der Raben erriet es hier:
weh' ihm, holen sie's ein!
Den Weg, den es zeigte,
sollst du nicht ziehn!

SIEGFRIED
tritt mit Verwunderung in trotziger Stellung zurück
Hoho! Du Verbieter!
Wer bist du denn,
dass du mir wehren willst?

WANDERER
Fürchte des Felsens Hüter!
Verschlossen hält meine Macht
die schlafende Maid:
wer sie erweckte, wer sie gewänne,
machtlos macht' er mich ewig!
Ein Feuermeer umflutet die Frau,
glühende Lohe umleckt den Fels:
wer die Braut begehrt,
dem brennt entgegen die Brunst.
Er winkt mit dem Speere nach der Felsenhöhe
Blick' nach der Höh'!
Erlugst du das Licht?
Es wächst der Schein,
es schwillt die Glut;
sengende Wolken, wabernde Lohe
wälzen sich brennend und prasselnd herab:
ein Lichtmeer umleuchtet dein Haupt:
Mit wachsender Helle zeigt sich von der Höhe des Felsens her ein wabernder Feuerschein
bald frisst und zehrt dich zündendes Feuer.
Zurück denn, rasendes Kind!

SIEGFRIED
Zurück, du Prahler, mit dir!
Er schreitet weiter, der Wanderer stellt sich ihm entgegen

Dort, wo die Brünste brennen,
zu Brünnhilde muss ich dahin!

WANDERER
Fürchtest das Feuer du nicht,
den Speer vorhaltend
so sperre mein Speer dir den Weg!
Noch hält meine Hand der Herrschaft Haft:
das Schwert, das du schwingst,
zerschlug einst dieser Schaft:
noch einmal denn zerspring' es am ew'gen Speer!

Er streckt den Speer vor

SIEGFRIED
das Schwert ziehend
Meines Vaters Feind! Find' ich dich hier?
Herrlich zur Rache geriet mir das!
Schwing' deinen Speer:
in Stücken spalt' ihn mein Schwert!

Er haut dem Wanderer mit einem Schlage den Speer in zwei Stücken; ein Blitzstrahl fährt daraus nach der Felsenhöhe zu, wo von nun an der bisher mattere Schein in immer helleren Feuerflammen zu lodern beginnt. Starker Donner, der schnell sich abschwächt, begleitet den Schlag. Die Speerstücken rollen zu des Wanderers Füssen. Er rafft sie ruhig auf

WANDERER
zurückweichend
Zieh hin! Ich kann dich nicht halten!

Er verschwindet plötzlich in völliger Finsternis

SIEGFRIED
Mit zerfocht'ner Waffe wich mir der Feige?
Die wachsende Helle der immer tiefer sich senkenden Feuerwolken trifft Siegfrieds Blick
Ha! Wonnige Glut! Leuchtender Glanz!
Strahlend nun offen steht mir die Strasse.
Im Feuer mich baden!
Im Feuer zu finden die Braut -
Hoho! Hahei!
Jetzt lock' ich ein liebes Gesell!

Siegfried setzt sein Horn an und stürzt, seine Lockweise blasend, sich in das wogende Feuer, welches sich, von der Höhe herabdringend, nun auch über den Vordergrund ausbreitet. Siegfried, den man bald nicht mehr erblickt, scheint sich nach der Höhe zu entfernen. Hellstes Leuchten der Flammen. Danach beginnt die Glut zu erbleichen und löst sich allmählich in ein immer feineres, wie durch die Morgenröte beleuchtetes Gewölk auf


DRITTE SZENE
Siegfried, Brünnhilde

Das immer zarter gewordene Gewölk hat sich in einen feinen Nebelschleier von rosiger Färbung aufgelöst und zerteilt sich nun in der Weise, dass der Duft sich gänzlich nach oben verzieht und endlich nur noch den heiteren, blauen Tageshimmel erblicken lässt, während am Saume der nun sichtbar werdenden Felsenhöhe - ganz die gleiche Szene wie im dritten Aufzug der "Walküre" - ein morgenrötlicher Nebelschleier haften bleibt, welcher zugleich an die in der Tiefe noch lodernde Zauberlohe erinnert. Die Anordnung der Szene ist durchaus dieselbe wie am Schlusse der "Walküre": im Vordergrunde, unter der breitästigen Tanne, liegt Brünnhilde in vollständiger, glänzender Panzerrüstung, mit dem Helm auf dem Haupte, den langen Schild über sich gedeckt, in tiefem Schlafe

SIEGFRIED
gelangt von aussen her auf den felsigen Saum der Höhe und zeigt sich dort zuerst nur mit dem Oberleibe: so blickt er lange staunend um sich
Selige Öde auf sonniger Höh'!

Er steigt vollends herauf und betrachtet, auf einem Felsensteine des hinteren Abhanges stehend, mit Verwunderung die Szene. Er blickt zur Seite in den Tann und schreitet etwas vor
Was ruht dort schlummernd im schattigen Tann?
Ein Ross ist's, rastend in tiefem Schlaf!
Langsam näher kommend, hält er verwundert an, als er noch aus einiger Entfernung Brünnhildes Gestalt wahrnimmt
Was strahlt mir dort entgegen?
Welch glänzendes Stahlgeschmeid?
Blendet mir noch die Lohe den Blick?
Er tritt näher hinzu
Helle Waffen! Heb' ich sie auf?
Er hebt den Schild ab und erblickt Brünnhildes Gestalt, während ihr Gesicht jedoch noch zum grossen Teil vom Helm verdeckt ist
Ha! In Waffen ein Mann:
wie mahnt mich wonnig sein Bild!
Das hehre Haupt drückt wohl der Helm?
Leichter würd' ihm, löst' ich den Schmuck.

Vorsichtig löst er den Helm und hebt ihn der Schlafenden vom Haupte ab: langes lockiges Haar bricht hervor. Siegfried erschrickt
Ach! Wie schön!
Er bleibt in den Anblick versunken
Schimmernde Wolken säumen in Wellen
den hellen Himmelssee;
leuchtender Sonne lachendes Bild
strahlt durch das Wogengewölk!
Er neigt sich tiefer zu der Schlafenden hinab
Von schwellendem Atem schwingt sich die Brust:
brech' ich die engende Brünne?
Er versucht mit grosser Behutsamkeit, die Brünne zu lösen
Komm, mein Schwert, schneide das Eisen!
Er zieht sein Schwert, durchschneidet mit zarter Vorsicht die Panzerringe zu beiden Seiten der ganzen Rüstung und hebt dann die Brünne und die Schienen ab, so dass nun Brünnhilde in einem weichen weiblichen Gewande vor ihm liegt. Er fährt erschreckt und staunend auf

Das ist kein Mann!
Er starrt mit höchster Aufgeregtheit auf die Schlafende hin
Brennender Zauber zückt mir ins Herz;
feurige Angst fasst meine Augen:
mir schwankt und schwindelt der Sinn!
Er gerät in höchste Beklemmung
Wen ruf' ich zum Heil, dass er mir helfe?
Mutter! Mutter! Gedenke mein!
Er sinkt, wie ohnmächtig, an Brünnhildes Busen. Langes Schweigen. Dann fährt er seufzend auf

Wie weck' ich die Maid,
dass sie ihr Auge mir öffne?
Das Auge mir öffne?
Blende mich auch noch der Blick?
Wagt' es mein Trotz?
Ertrüg' ich das Licht?
Mir schwebt und schwankt
und schwirrt es umher!
Sehrendes Sehnen zehrt meine Sinne;
am zagenden Herzen zittert die Hand!
Wie ist mir Feigem?
Ist dies das Fürchten?
O Mutter! Mutter! Dein mutiges Kind!
Im Schlafe liegt eine Frau:
die hat ihn das Fürchten gelehrt!
Wie end' ich die Furcht?
Wie fass' ich Mut?
Dass ich selbst erwache,
muss die Maid mich erwecken!
Indem er sich der Schlafenden von neuem nähert, wird er wieder von zarteren Empfindungen an ihren Anblick gefesselt. Er neigt sich tiefer hinab
Süss erbebt mir ihr blühender Mund.
Wie mild erzitternd mich Zagen er reizt!
Ach! Dieses Atems
wonnig warmes Gedüft!
wie in Verzweiflung
Erwache! Erwache! Heiliges Weib!
Er starrt auf sie hin
Sie hört mich nicht.
gedehnt mit gepresstem, drängendem Ausdruck

So saug' ich mir Leben
aus süssesten Lippen,
sollt' ich auch sterbend vergehn!

Er sinkt, wie ersterbend, auf die Schlafende und heftet mit geschlossenen Augen seine Lippen auf ihren Mund. Brünnhilde schlägt die Augen auf. Siegfried fährt auf und bleibt vor ihr stehen. Brünnhilde richtet sich langsam zum Sitze auf. Sie begrüsst mit feierlichen Gebärden der erhobenen Arme ihre Rückkehr zur Wahrnehmung der Erde und des Himmels

BRÜNNHILDE
Heil dir, Sonne!
Heil dir, Licht!
Heil dir, leuchtender Tag!
Lang war mein Schlaf;
ich bin erwacht.
Wer ist der Held, der mich erweckt'?

SIEGFRIED
von ihrem Blicke und ihrer Stimme feierlich ergriffen, steht wie festgebannt
Durch das Feuer drang ich,
das den Fels umbrann;
ich erbrach dir den festen Helm:
Siegfried bin ich, der dich erweckt'.

BRÜNNHILDE
hoch aufgerichtet sitzend
Heil euch, Götter!
Heil dir, Welt!
Heil dir, prangende Erde!
Zu End' ist nun mein Schlaf;
erwacht, seh' ich:
Siegfried ist es, der mich erweckt!

SIEGFRIED
in erhabenste Verzückung ausbrechend
O Heil der Mutter, die mich gebar;
Heil der Erde, die mich genährt!
Dass ich das Aug' erschaut,
das jetzt mir Seligem lacht!

BRÜNNHILDE
mit grösster Bewegtheit
O Heil der Mutter, die dich gebar!
Heil der Erde, die dich genährt!
Nur dein Blick durfte mich schau'n,
erwachen durft' ich nur dir!
Beide bleiben voll strahlenden Entzückens in ihren gegenseitigen Anblick verloren
O Siegfried! Siegfried! Seliger Held!
Du Wecker des Lebens, siegendes Licht!
O wüsstest du, Lust der Welt,
wie ich dich je geliebt!
Du warst mein Sinnen,
mein Sorgen du!
Dich Zarten nährt' ich,
noch eh' du gezeugt;
noch eh' du geboren,
barg dich mein Schild:
so lang' lieb' ich dich, Siegfried!

SIEGFRIED
leise und schüchtern
So starb nicht meine Mutter?
Schlief die minnige nur?

BRÜNNHILDE
lächelnd, freundlich die Hand nach ihm ausstreckend
Du wonniges Kind!
Deine Mutter kehrt dir nicht wieder.
Du selbst bin ich,
wenn du mich Selige liebst.
Was du nicht weisst,
weiss ich für dich;
doch wissend bin ich
nur - weil ich dich liebe!
O Siegfried! Siegfried! Siegendes Licht!
Dich liebt' ich immer;
denn mir allein erdünkte Wotans Gedanke.
Der Gedanke, den ich nie nennen durfte;
den ich nicht dachte, sondern nur fühlte;
für den ich focht, kämpfte und stritt;
für den ich trotzte dem, der ihn dachte;
für den ich büsste, Strafe mich band,
weil ich nicht ihn dachte und nur empfand!
Denn der Gedanke - dürftest du's lösen! -
mir war er nur Liebe zu dir!

SIEGFRIED
Wie Wunder tönt, was wonnig du singst;
doch dunkel dünkt mich der Sinn.
Deines Auges Leuchten seh' ich licht;
deines Atems Wehen fühl' ich warm;
deiner Stimme Singen hör' ich süss:
doch was du singend mir sagst,
staunend versteh' ich's nicht.
Nicht kann ich das Ferne sinnig erfassen,
wenn alle Sinne dich nur sehen und fühlen!
Mit banger Furcht fesselst du mich:
du Einz'ge hast ihre Angst mich gelehrt.
Den du gebunden in mächtigen Banden,
birg meinen Mut mir nicht mehr!

Er verweilt in grosser Aufregung, sehnsuchtsvollen Blick auf sie heftend

BRÜNNHILDE
wendet sanft das Haupt zur Seite und richtet ihren Blick nach dem Tann
Dort seh' ich Grane,
mein selig Ross:
wie weidet er munter,
der mit mir schlief!
Mit mir hat ihn Siegfried erweckt.

SIEGFRIED
in der vorigen Stellung verbleibend
Auf wonnigem Munde weidet mein Auge:
in brünstigem Durst doch brennen die Lippen,
dass der Augen Weide sie labe!

BRÜNNHILDE
deutet ihm mit der Hand nach ihren Waffen, die sie gewahrt
Dort seh' ich den Schild,
der Helden schirmte;
dort seh' ich den Helm,
der das Haupt mir barg:
er schirmt, er birgt mich nicht mehr!

SIEGFRIED
Eine selige Maid versehrte mein Herz;
Wunden dem Haupte schlug mir ein Weib:
ich kam ohne Schild und Helm!

BRÜNNHILDE
mit gesteigertem Wehmut
Ich sehe der Brünne prangenden Stahl:
ein scharfes Schwert schnitt sie entzwei;
von dem maidlichen Leibe löst' es die Wehr:
ich bin ohne Schutz und Schirm,
ohne Trutz ein trauriges Weib!

SIEGFRIED
Durch brennendes Feuer fuhr ich zu dir!
Nicht Brünne noch Panzer barg meinen Leib:
nun brach die Lohe mir in die Brust.
Es braust mein Blut in blühender Brunst;
ein zehrendes Feuer ist mir entzündet:
die Glut, die Brünnhilds Felsen umbrann,
die brennt mir nun in der Brust!
O Weib, jetzt lösche den Brand!
Schweige die schäumende Glut!

Er hat sie heftig umfasst: sie springt auf, wehrt ihm mit der höchsten Kraft der Angst, und entflieht nach der anderen Seite

BRÜNNHILDE
Kein Gott nahte mir je!
Der Jungfrau neigten scheu sich die Helden:
heilig schied sie aus Walhall!
Wehe! Wehe!
Wehe der Schmach, der schmählichen Not!
Verwundet hat mich, der mich erweckt!
Er erbrach mir Brünne und Helm:
Brünnhilde bin ich nicht mehr!

SIEGFRIED
Noch bist du mir die träumende Maid:
Brünnhildes Schlaf brach ich noch nicht.
Erwache, sei mir ein Weib!

BRÜNNHILDE
in Betäubung
Mir schwirren die Sinne,
mein Wissen schweigt:
soll mir die Weisheit schwinden?

SIEGFRIED
Sangst du mir nicht,
dein Wissen sei
das Leuchten der Liebe zu mir?

BRÜNNHILDE
vor sich hinstarrend
Trauriges Dunkel trübt meinen Blick;
mein Auge dämmert, das Licht verlischt:
Nacht wird's um mich.
Aus Nebel und Grau'n
windet sich wütend ein Angstgewirr:
Schrecken schreitet und bäumt sich empor!

Sie birgt heftig die Augen mit beiden Händen

SIEGFRIED
indem er ihr sanft die Hände von den Augen löst
Nacht umfängt gebund'ne Augen.
Mit den Fesseln schwindet das finstre Grau'n.
Tauch' aus dem Dunkel und sieh:
sonnenhell leuchtet der Tag!

BRÜNNHILDE
in höchster Ergriffenheit
Sonnenhell leuchtet der Tag meiner Schmach!
O Siegfried! Siegfried!
Sieh' meine Angst!
Ihre Miene verrät, dass ihr ein anmutiges Bild vor die Seele tritt, von welchem ab sie den Blick mit Sanftmut wieder auf Siegfried richtet
Ewig war ich, ewig bin ich,
ewig in süss sehnender Wonne,
doch ewig zu deinem Heil!
O Siegfried! Herrlicher! Hort der Welt!
Leben der Erde! Lachender Held!
Lass, ach lass, lasse von mir!
Nahe mir nicht mit der wütenden Nähe!
Zwinge mich nicht
mit dem brechenden Zwang,
zertrümmre die Traute dir nicht!
Sahst du dein Bild im klaren Bach?
Hat es dich Frohen erfreut?
Rührtest zur Woge das Wasser du auf,
zerflösse die klare Fläche des Bachs:
dein Bild sähst du nicht mehr,
nur der Welle schwankend Gewog'!
So berühre mich nicht,
trübe mich nicht!
Ewig licht lachst du selig dann
aus mir dir entgegen,
froh und heiter ein Held!
O Siegfried! Leuchtender Spross!
Liebe dich und lasse von mir:
vernichte dein Eigen nicht!

SIEGFRIED
Dich lieb' ich: o liebtest mich du!
Nicht hab' ich mehr mich:
o, hätte ich dich!
Ein herrlich Gewässer wogt vor mir;
mit allen Sinnen seh' ich nur sie,
die wonnig wogende Welle.
Brach sie mein Bild, so brenn' ich nun selbst,
sengende Glut in der Flut zu kühlen;
ich selbst, wie ich bin,
spring' in den Bach:
o, dass seine Wogen mich selig verschlängen,
mein Sehnen schwänd' in der Flut!
Erwache, Brünnhilde!
Wache, du Maid!
Lache und lebe, süsseste Lust!
Sei mein! Sei mein! Sei mein!

BRÜNNHILDE
sehr innig
O Siegfried! Dein war ich von je!

SIEGFRIED
feurig
Warst du's von je, so sei es jetzt!

BRÜNNHILDE
Dein werd' ich ewig sein!

SIEGFRIED
Was du sein wirst, sei es mir heut'!
Fasst dich mein Arm,
umschling' ich dich fest;
schlägt meine Brust
brünstig die deine;
zünden die Blicke,
zehren die Atem sich;
Aug' in Auge, Mund an Mund:
dann bist du mir,
was bang du mir warst und wirst!
Dann brach sich die brennende Sorge,
ob jetzt Brünnhilde mein?

Er hat sie umfasst

BRÜNNHILDE
Ob jetzt ich dein?
Göttliche Ruhe rast mir in Wogen;
keuschestes Licht lodert in Gluten:
himmlisches Wissen stürmt mir dahin,
Jauchzen der Liebe jagt es davon!
Ob jetzt ich dein?
Siegfried! Siegfried!
Siehst du mich nicht?
Wie mein Blick dich verzehrt,
erblindest du nicht?
Wie mein Arm dich presst,
entbrennst du mir nicht?
Wie in Strömen mein Blut entgegen dir stürmt,
das wilde Feuer, fühlst du es nicht?
Fürchtest du, Siegfried,
fürchtest du nicht das wild wütende Weib?

Sie umfasst ihn heftig

SIEGFRIED
in freudigem Schreck
Ha! Wie des Blutes Ströme sich zünden,
wie der Blicke Strahlen sich zehren,
Wie die Arme brünstig sich pressen, -
kehrt mir zurück mein kühner Mut,
und das Fürchten, ach!
Das ich nie gelernt,
das Fürchten, das du mich kaum gelehrt:
das Fürchten, - mich dünkt -
ich Dummer vergass es nun ganz!

Er hat bei den letzten Worten Brünnhilde unwillkürlich losgelassen

BRÜNNHILDE
im höchsten Liebesjubel wild auflachend
O kindischer Held!
O herrlicher Knabe!
Du hehrster Taten töriger Hort!
Lachend muss ich dich lieben,
lachend will ich erblinden,
lachend lass uns verderben,
lachend zugrunde gehn!
Fahr' hin, Walhalls leuchtende Welt!
Zerfall in Staub deine stolze Burg!
Leb' wohl, prangende Götterpracht!
End' in Wonne, du ewig Geschlecht!
Zerreisst, ihr Nornen, das Runenseil!
Götterdämm'rung, dunkle herauf!
Nacht der Vernichtung, neble herein!
Mir strahlt zur Stunde Siegfrieds Stern;
er ist mir ewig, ist mir immer,
Erb' und Eigen, ein' und all':
leuchtende Liebe, lachender Tod!

SIEGFRIED
Lachend erwachst du Wonnige mir:
Brünnhilde lebt, Brünnhilde lacht!
Heil dem Tage, der uns umleuchtet!
Heil der Sonne, die uns bescheint!
Heil dem Licht, das der Nacht enttaucht!
Heil der Welt, der Brünnhilde lebt!
Sie wacht, sie lebt,
sie lacht mir entgegen.
Prangend strahlt mir Brünnhildes Stern!
Sie ist mir ewig, ist mir immer,
Erb' und Eigen, ein' und all':
leuchtende Liebe, lachender Tod!

Brünnhilde stürzt sich in Siegfrieds Arme. Der Vorhang fällt


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最終更新:2016年05月14日 09:56