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"マハゴニー市の興亡"border="0"

目次

作品について

  • 「マハゴニィ市の興亡(Aufstieg und Fall der Stadt Mahagonny)」(1930)は「歌芝居マハゴニィ(Songspiel Mahagonny)」(1927)「三文オペラ(Die Dreigroßenoper)」(1928) に続く、クルト・ヴァイルとベルトルト・ブレヒトが共同で制作したオペラ作品です。ヴァイル=ブレヒトの最高傑作と言ってもよいかもしれません。
  • ブレヒトがマハゴニィの元となった一連の詩「マハゴニィ歌集」を書いたのは1924年のことでしたが、当時からブレヒトはそれを舞台作品にする構想を持っていたそうです。1927年にブレヒトはヴァイルと知り合い、マハゴニーのオペラ化の話を持ちかけました。マハゴニィはまず1927年のバーデン=バーデン音楽祭での「歌芝居マハゴニィ」の形で形を表しました。「マハゴニィ歌集」の5つの詩に短いエピローグを加え、ボクシングのリングを舞台装置とした舞台の詳細は残されていません。どんな舞台だったのかは音楽と当時の舞台写真から想像するしかありません。舞台写真では、おそらく「アラバマ・ソング」を歌っていると思われるトランクに座って歌うロッテ・レーニャの様子や、おそらくラストのデモ行進の場面で登場人物がプラカードを掲げている様子(ここでレーニャの持っているプラカードには「ヴァイルに賛成」と書かれています)が映されています。
  • マハゴニィをオペラ化する試みは「歌芝居マハゴニィ」の公演後、直ちに取りかかられました。途中、「三文オペラ」の制作のため中断されましたが、1927年の末頃には既にオペラ用の台本の初稿は完成していました。オペラ「マハゴニィ」は「歌芝居マハゴニィ」のプロットを元に、マハゴニィを牛耳るお尋ね者の三人組やアラスカ帰りの森林労働者、ハリケーンのエピソードなどが加わり、大きく膨らませたものとなりました。
  • 1930年のライプツィヒでの初演はナチスの妨害に遭い混乱を極め、初めて成功を収めるのは翌1931年のジェニィ役にロッテ・レーニャを迎えたベルリン公演であったことがレーニャの伝記に記されています。ライプツィヒ初演とベルリン公演の間にヴァイルはオペラ歌手ではないレーニャのために曲の書き直しや追加を行っています。
  • その後、ナチスの台頭に伴いドイツにいられなくなったヴァイルはフランスに逃れ、最終的にはアメリカに亡命することになります。1932年のコペンハーゲン公演を最後に、ヴァイルの生前は完全な形でオペラ「マハゴニィ」が演奏されることはありませんでした。ヴァイルは「歌芝居マハゴニィ」にオペラ「マハゴニィ」のソングのいくつかを取り込んだ短縮版の「小マハゴニィ(Das kleine Mahagonny)」(パリ版)を作成し、オペラの代わりに演奏することを許可したのでした。
  • マハゴニィが再び演奏されるようになったのは戦後、ヴァイルの死後になってからでした。50年代にレーニャのプロデュースによるウィルヘルム・ブリュックナー=リュッゲベルク指揮のレコードが多数作成され、マハゴニィもレーニャがジェニィを歌う形で全曲版が作成されました。特筆すべきものは1979年、メトロポリタンオペラでのジェイムズ・レヴァイン指揮の公演です。ロッテ・レーニャがスーパーバイザーをつとめた上、テレサ・ストラータスが演じたジェニィをレーニャが絶賛したことが知られています。現在も世界各地で様々な歌劇場で様々な演出で公演が行われています。

禁じられた「小マハゴニー」

  • 1963年、東独の劇団ベルリナーアンサンブルはオペラ「マハゴニィ」の台本とヴァイルの音楽を元に1時間程度の舞台を制作し、「小マハゴニィ(Das kleine Mahagonny)」のタイトルで上演を行いました。これは「歌芝居」とも「パリ版」とも異なる内容で、オペラ版で歌っている部分を普通の台詞として俳優が読んだり、曲順を大胆に改変したり、オペラになかった部分を「歌芝居」から補ったり、大きな改変を加えたものでした。作品に対するヴァイルの権利を訴えたレーニャと、ブレヒトの未亡人へレーネ・ヴァイゲルの間に確執が生まれ、訴訟沙汰にまで発展しました。最終的にベルリナーアンサンブル版「小マハゴニィ」はベルリナーアンサンブル以外での上演を認められないことになりました。「ブレヒト戯曲全集」の解説によると、日本では岩淵達治によりこのバージョンでの上演が行われたことがあるそうです。レコードで出版されたことがあり、全曲をYouTubeで聞くことができます(2014年9月現在)。

録音・映像など

  • いずれも輸入版になりますが、マハゴニィの全曲録音は2014年9月現在で、CD2種類、DVD4種類が発売されています。
  • まずCDで出ているものでは「作品について」でも紹介したブリュックナー=リュッゲベルク版。ジェニィをヴァイル未亡人のロッテ・レーニャが歌っています。「三文オペラ」や「七つの大罪」と同様に、レーニャの音域に合わせてキーが下げられています。ト書きでスライドで表示するように指示されている部分を一部、読み上げているのも「三文オペラ」と同様です。スコアと見比べてみると、若干、カットされている部分があります。逆に「歌芝居マハゴニィ」の歌詞を足している部分もあります。
  • もう1つのCDは1988年のヤン・ラタム=クーニヒ版。アーニャ・ジーリャがジェニィ。CDで聞くことを意識した演出で、冒頭のトラックのエンコする効果音やハリケーンの音などが楽しいです。ただ、裁判の場面で歌にかぶせて元の台本になかった台詞を付け加えるのは、分かりやすくなったのは認めるけど、どうかと思います。こちらも歌の一部を「歌芝居」から補っています。所謂「ツルのデュエット」と呼ばれている歌がカットされているのが残念です。
  • 映像で出ているものでは、まず1998年のザルツブルク音楽祭版。指揮はデニス・ラッセル・デイビス。ジェニィはキャサリン・マルフィターノ。ジミィはジェリー・ハドレー。映像ではこれが唯一のオリジナルのドイツ語版での上演です。これも「歌芝居」から一部の歌詞が補完されています。かなりテンポが速いです。一部、明らかに歌詞と演奏がズレています…。ちょっと演出が過激です。こちらの版では台本でスライド投影の指示のある表題をナレーターの少女が読み上げています。
  • 「作品について」でも紹介したMETのジェームズ・レヴァイン版。ジェームズ・レヴァインのメトロポリタン・オペラでのデビュー40周年を記念した21枚組のDVDの1枚として出ていて、分売できないのかと思っていましたが、METの通販サイトでバラ売りしていました。テレサ・ストラータスのジェニィです。英語訳での上演です。
  • 2007年のロス・アンゼルス・オペラ版ではジェイムズ・コンロン。METのものとは翻訳が違うため、主人公の名前がジミィ・マッキンタイアになっていたりします。ベクビク役をミュージカル「エビータ」や「レ・ミゼラブル」で有名なパティ・ルポンが歌っています。
  • 一番最近のものでは2010年のスペインのテアトロ・レアル版。パブロ・テラス=カサド指揮。こちらも英語版で台本はロス・アンゼルスと同じ。こちらだけBluRayでも発売されています。こちらは台詞と歌は英語ですが、スコア通りの演奏のようですが「Kraniche-Duett」はカットされています。プラカードがスペイン語です。
  • 全曲版ではないけれど興味深いのは、歴史的録音で1932年に吹き込まれたメドレー版。オペラの聞き所をコンパクトにまとめていて、いわば5分で分かるマハゴニィ。ロッテ・レーニャの若い頃の声を聞くことができます。

翻訳に使用したリブレットについて

  • 翻訳の底本にはユニバーサル・エディションから出ているピアノ・スコアを使用しています。ブレヒトの最終的な出版台本については、原本が手元になかったので、岩淵達治の翻訳を参考にしています。ブレヒトが後から足したり削ったり書き換えたりした部分がオペラの音楽と合わないところがあるので、あくまで参考にとどめています。スコアにない台詞について、CDの歌詞カードにあるリブレットから補完しています。歌についてはCDで「歌芝居」から補っている部分については、以前「歌芝居」を全訳 しているので、そちらを参考にして頂ければよいかなと思い、現時点では補完していません。
  • ブレヒトの最終稿はまだ手に入れておりませんが、ドイツ語の文献では「Brecht/Weill Mahagonny」と言う本を参考にしています。この本には「歌芝居」「小マハゴニィ(パリ版)」「オペラ版マハゴニィ(初版)」が納められていており、また上演記録での役名の変遷など、参考になる部分が多々ありました。
  • ブレヒトの最終稿を元にした日本語訳は自分が知る限り3種類出ています。1つはブレヒトの翻訳ではおなじみとも言える岩淵達治訳(「ブレヒト戯曲全集 第2巻」)。本文はもちろん、細かい注釈が役に立ちます。もう1つは市川明訳(「ブレヒト 音楽と舞台」)。これはブレヒトの最終稿を元に、ヴァイルの音楽を使用せず、新たな音楽をつけて音楽劇として上演すると言う目的の台本だったので、ト書きの部分はあんまり参考になりませんでした…。もう1つ野村修が訳したものがあるのですが、文学全集の一部で収録書籍名が分かりません…。自分が一番好きなのは野村訳です。

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@ hanmyo
Weill,Kurt/Aufstieg und Fall der Stadt Mahagonny



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