"乞食学生"

目次


  • 作曲:カール・ミレッカー
  • 台本:フリードリヒ・ツェル&リヒャルト・ジュネ―
  • 物語の舞台:1704年、ザクセン選帝侯アウグストニ世が治世していたころのポーランド、クラクフ

登場人物

  • オレンドルフ大佐(Br) ― アウグスト二世に仕える軍総司令官。
  • ノヴァルスカ伯爵夫人パルマティカ(A) ― プライドだけは高い没落貴族。
  • ラウラ(S) ― パルマティカの姉娘。母親に似て少々気位が高い。
  • ブロニスラヴァ(S) ― パルマティカの妹娘。屈託のないおてんばで、身分などは気にしない。
  • シモン(T) ― 大学の貧しい学生。密猟したため囚人となっている。
  • アーダム(ヤン)(T) ― ポーランド独立革命の首領だが、学生のふりをしてヤンと名乗っている。
  • エンテリヒ(T) ― 牢獄の看守。いつも半ば酔っぱらっているが人は好い。

幕が上がるまえの物語

  • オレンドルフ大佐は舞踏会の折り、美しいラウラに一目惚れし、肩にキスするが、そのお返しに扇で顔を叩かれてしまう。パルマティカが彼を嘲笑い、娘の夫には少なくとも侯爵でなければ認めないという手紙を送ったため、オレンドルフはいっそう激怒し、復讐を誓う。

第一幕

  • 牢獄の庭。女たちが門前に押しかけ、政治犯として捕らわれている夫に会わせてほしいとすがっている。看守のエンテリヒははじめ渋るものの、ついにかわいそうになって囚人たちを出し、会わせてやる(Nr.1-導入)。そこにオレンドルフが視察にやってくるので、エンテリヒはあわてて囚人たちを戻す。しかし、オレンドルフは今はそれどころではなく、例の扇で叩かれた一件で頭がいっぱいである(Nr.2-登場のリート)。オレンドルフは囚人の一人をラウラと結婚させて恥をかかせようと企み、エンテリヒから陽気な性格だと聞く二人の学生シモンとヤンを牢から出させる。二人は外に出てくると、持ち前の陽気さを発揮してユーモア賛歌を歌う(Nr.3-登場の二重唱)。オレンドルフは二人を釈放し、シモンをヴィビスキー侯爵として、ヤンをその従者として連れて行くことにする。
  • 場面変わって市が立つ広場。人々は買い物をしたり、見世物を楽しんだりしている(Nr. 4 - 合唱とアンサンブル)。ノヴァルスカ伯爵夫人も二人の娘を連れて現れるが、貧しい彼らは何も買えず、それでも見栄を張ろうと奮闘する(Nr. 5 - 登場の三重唱)。オレンドルフが現れ、「ヴィビスキー侯爵が嫁選びにいらしている」と、もっともらしく紹介。ラウラたちは大いに興味を持ち、すっかり騎士になりきったシモンはオレンドルフの指図のままラウラに近づく(Nr. 6 - アンサンブルとリート)。ラウラはすっかりシモンに惹かれ、<ヴィビスキー侯爵>は彼女を花嫁に選んだことを発表する。伯爵夫人は狂喜し、市は二人を祝って歓呼の嵐となる(Nr. 7 - フィナーレ)。

第二幕

  • ノヴァルスカ伯爵夫人の邸宅。娘たちは結婚式の身支度に余念がない(Nr. 8 - 三重唱)。妹娘のブロニスラヴァはヴィビスキー侯爵の従者を務めるヤンと恋に落ちていて、二人は仲良く寄り添い合う(Nr. 9 - 二重唱)。シモンは軽い気持ちでオレンドルフの芝居に乗ったことを後悔し、ラウラに本当の身分を伝えようと試みるが、なかなか言いだせない(Nr. 10 - 二重唱)。シモンはオレンドルフに向かって「これ以上人を騙したくない」と宣言し、ラウラに宛てて自分の正体を記した手紙を書くが、この手紙はオレンドルフに握りつぶされてしまう。花嫁の行列が近づき、付き添いの少女たちに伴われてラウラが現れる。シモンは彼女が手紙を読んだものと思い込んで赦しを乞うが、何も知らないラウラは「私が愛するのはあなたの心だけ」と答えるので、互いに誤解したまま結婚式場に向かう(Nr. 11 - アンサンブル)。
  • オレンドルフはノヴァルスカ伯爵家に革命の首領アーダム公爵が潜んでいると知り、政治犯のヤンに向かって「おまえは公爵の部下、オパリンスキ伯爵だろう。公爵を引き渡してくれれば、20万グルデンやるが」と、持ち掛ける。ヤンはいったん拒むが、ふとこのお金で看守を買収して囚われている仲間を助け出そうと思いつき、提案をのんだふりをする。担がれているとは知らず、オレンドルフは我ながらうまくやったとばかり悦に入る(Nr. 12 - クープレ)。
  • 結婚式が終わり、戻ってきたシモンとラウラは周りから祝福され、パーティーが始まるが、そこへオレンドルフの手引きでエンテリヒが現れ、シモンが囚人だったことを暴露。待ってましたとばかりオレンドルフは芝居のからくりを明かし、復讐の達成を喜ぶ。シモンは手紙が届いていなかったことを知って愕然となり、ラウラたちはショックを受けて大騒動のうちに幕(Nr. 13 - フィナーレ)。

第三幕

  • 人々は先の結婚式の騒ぎを噂して笑い合い、ブロニスラヴァもこの事件について思いをめぐらせる。(Nr. 15 - 導入)。ヤンはシモンを励まし、ともに国を救おうと呼びかけ、シモンも決意を固める(Nr. 16 - クープレ)。ヤンはオレンドルフからお金を受け取り、敵の目をくらませるためにシモンをアーダム公爵として送り込む。シモンの姿を見つけたノヴァルスカ伯爵夫人は怒り狂い、さんざんな罵声を浴びせるが、彼が公爵と知るととたんに態度を変え、「やはりあなたはわたくしの娘婿ですわ」と、しなつくる。オレンドルフはシモンを逮捕しようとするが、そこへラウラが家の中から走り出てきて、「この人が貴族だろうと乞食だろうと私は彼に忠誠を尽くします」と、慈悲を乞う(Nr. 17 - アンサンブル)。そこへ本物のアーダム公爵率いる軍政がなだれ込み、ザクセンは失脚。この公爵こそかのヤンである。アーダム公爵はシモンの協力に感謝して伯爵の称号を与え、オレンドルフを赦して自らはブロニスラヴァを妻に迎える。こうして二組のカップルが成立し、ポーランドには明るい未来が約束されることになる(Nr. 18 - 終曲)。


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© Maria Fujioka