1960年から1970年にかけて、「マカロニウエスタン」なるイタリア製の西部劇映画が世界的に大流行しました。これはそのオペラ版、1910年の作品でニューヨーク・メトロポリタン歌劇場にてトスカニーニの指揮で初演、初物に弱いプッチーニのオペラとしては大成功を収めたのだそうです。もとは「蝶々夫人」と同じアメリカの劇作家デヴィッド・ベラスコの戯曲「黄金の西部の娘 The Girl of the Golden West」(1905)のオペラ化です。全体のプロットの荒唐無稽なのはともかく、ディテールの人物描写はなかなか良くできていますし、音楽もスケールの大きなドラマティックなもの、第1幕の導入部分などはプッチーニの研究のたまものでしょうか、生粋のアメリカの作曲家アーロン・コープランドの音楽を彷彿とさせるようなアメリカンな雰囲気に満ち溢れています。