第2幕

(染物師の家。兄弟たちは荷を背負い、ドアの所から室内を覗いている。染物師も荷を背負い、皇妃が女中として、その手伝いをしている)

<乳母>
(ドアに走り寄り、染物師の前に土下座して)
ご主人様。すぐ戻ってきて下さいね。
奥様は、あなたがいなければ、
こがれ死んでしまいますよ!
(バラクはそのまま行ってしまう。乳母はバラクの妻のほうへ駆け寄る)(小声で)
きれいな空気。かけがえのない時間!
あの男に呼びかけましょうか?
やってくるはずですわ。
(バラクの妻は腰を下ろし、頭に巻き付けた布を取ると、その髪には真珠の飾りが結えつけられている。皇妃は、その前にひざまずき、鏡を立てる)
ああ・・・今日から、あなた様を奥様と仰ぎます。
何かお言葉を!
何か必要なものは?
間に合っておりますか?
それとも、やはりあの男を?
呼び声は、あこがれを込めて?
それとも、朗らかな声で呼びましょうか?

<バラクの妻>
(金切り声で)
男って、一体だれのことよ?

<乳母>
(小声で)
あの男ですよ。奥様の胸はそのことでいっぱい。
だから、そんなに、きれいな格好をしたくせに!

<バラクの妻>
(落ち着いた声で)
心の中は空っぽ。誰もいないわ。
着飾ったのは、
鏡に映してみたかっただけ。

<乳母>
(ずるがしこそうに)
聞かなくてもわかりますって。
ねえ、そうでしょう、奥様!
私が言っているのは、あの憧れに燃えた男のこと。
その男は、あなたの髪が風に流れるのを、
夢には見ても、うつつには見られないので、
憔悴しきって、膝をガクガクさせているのです・・・
お許し下されば、あの男を呼んでまいります!
憧憬と成就の戸口に連れてまいります!

<バラクの妻>
(立ち上がって)
そんな男は知らないわ。
たった今、この家から出て行った人以外にはね。

<乳母>
(ぴったり寄り添って)
ああ、夢の中のその瞳!
たった一目見ただけなのに、心ひそかに憧れて、
眼を閉じていても見えちゃうんでしょう・・・。
そんなに心を捉えられているのなら、
その男に言葉をかけてあげれば、
ようございましょう!

<バラクの妻>
(真っ赤になって、取り乱して)
何なのよ、あんたは?
あたしを何だと思ってるの?

<乳母>
(勝ち誇ったように、早口で)
それでは連れてまいります。
たった今の
真っ赤なお顔で、
あなた様のお考えはようく分かりました!

<バラクの妻>
ふん、
とんだお笑い草だわ!

言ったじゃない・・・
道ばたで
そんな男に会ったことなんてないし、
街角で
名前を聴いたことすらないわ!

<乳母>
さあ、眼を閉じて、
呼んでください!
眼を開ければ、
そこにいますよ!

<バラクの妻>
(物思いにふけるように)
人でごった返す
橋を渡る時、
誰かが向こうからやって来る。
子どもみたいな若い男だった。
でも、あたしなんかに気を留めたりしなかったわ・・・

<乳母>
(こそこそと床から、藁で編んだ箒を取り上げると)
箒よ、姿を貸しなさい!
やかんよ、声を貸しなさい!

<皇妃>
(乳母に)
やだわ!眼の前で
こんなことするなんて?

<乳母>
(小声で)
いい取引ですよ。
あなた様のためにするのです。
(バラクの妻に忍び足で近寄り、背中に藁ぼうきを隠す)

眼は閉じていてください。
だけど、心は開くのです。
ほんと、かわいい方ですこと!

(藁ぼうきをバラクの妻の上に放り投げる。すると舞台がピカッと光り、その後は、別の色の照明に照らし出される)

<皇妃>
(バラクの妻がぶつぶつ呟きながら考えにふける傍らで、独り言をささやく)
人間なんて、こんなものなの?
こんなやすやすと、心を売り渡すものなの?

<乳母>
ご覧あれ!
こいつらは、陽気なだけが取り柄の
カエルやイモリでございますよ。

<バラクの妻>
(眼を閉じ、モノローグを続けながら)
 ・・・あたしのことなんか気に留めなかった男の人。
プライドの強そうな眼をしていたわ・・・

あたし、その人を時々ひそかに
思い出したわ・・・
せめて夢の中で会えないかって!

<乳母>
(きっぱりと)
時は来た。
やって来い、恋人よ!

(手をパチンと打ち鳴らす。魂を失くしたような少年が立っている)
(二つの小さな姿が少年を支えているが、すぐに消え去ってしまう)

<バラクの妻>
(眼を開けて)
まさに、この少年だわ!
でも、だめ!

<乳母>
(次第に生気づいてくる少年にぴったり寄り添って)
あんた、あのお方のために
来たんでしょ。
ずっと想われていた人だものね!
(バラクの妻に駆け寄って)
さあ、これから先は
どんな気分なんでしょう?
久しく
会ってなかったんでしょうから。

<バラクの妻>
もう行くわ。
穴があったら入りたい!

(少年は首をうなだれて立っている)
(バラクの妻は、体が勝手に動いてしまうかのように、少年に手を伸ばす)

<乳母>
(バラクの妻と少年の間に入り)
さあ、早く、ご主人様!
勇気出して!奥様!
こんな幸せは、
あっと言う間に消えちゃうものよ!

<合唱>
(空中から)
さあ、早く、ご主人様!
勇気出して!奥様!
この幸せは、
あっと言う間に消えちゃうよ!

(乳母は皇妃に駆け寄り、舞台後方に引っ張って行く)


<皇妃>
(乳母から身を振りほどき、聴き耳を立てる)
ああ!大変よ!二人が出くわしちゃうわ。
家の主人と、泥棒が!
心ある者と、無い者が!

<乳母>
(舞台前方に走って行き)
離れてください!
あの娘は
地獄耳なのです。
(乳母は通告する)
染物師のお帰りよ!

(少年に自分のマントをかけると、舞台は急に暗くなる。再び明るくなった時には、少年の姿は消えている。乳母は、足下に転がっている藁ぼうきを取り上げ、壁のすき間に隠す)



(ドアが開き、バラクが入って来る。その腕には、とても大きな銅製の椀を一つ抱えている。バラクに先立って、片目の男が入って来て、バグパイプを演奏している。腰の曲がった男は、花輪を頭に乗せ、大きなワイン樽を引きずって来る。片腕の男は、バラクに比べると小さな椀を持って来る。家の無い子供たちがドアから大挙して入って来る)

<バラク>
(誇り高く、幸せそうに、妻に向かって)
何か言葉は無いのかい?
うちの王女さま。
夕食前だよ。
好き嫌いの激しい人だね。

(バラクの妻はバラクに背を向ける)

<バラクの弟たち>
(舞台右手に整列して)
ああ、幸せな昼、恵みの夜!
いい買い物をしてきたぞ!
切り分けようぜ、切り分け係!
子牛の肉を!子羊の肉を!雄鶏も持って来い!
焼肉係!串を持って来い!
パン焼き係は、焼いたパンを・・・。
お前はどこの馬の骨だ?ワインを持って来い!
俺たち、今日はいい買い物したぜ!
ああ、幸せな昼、恵みの夜!

<家なき子たち>
(合唱に加わって)
ああ、幸せな昼、恵みの夜!

<バラクの妻>
(バラクをまともに見ずに)
まったく・・・繊細な心を
踏みつけるのがお得意なようね。
鈍感な人が、我が物顔をするなんて。
パンが欲しいなら、
石でもあげたらどう!?
人がお椀のように深い夢を見ているというのに、
そこに獣のように踏み入って、
幸せ者の食卓に
つっかえ棒を差し出すとは。
そんな人は、どこに行こうと、
何にも得られないわ。
得られるものは、どこに行っても涙だけ!
これが、あたしの言いたかったことよ。
何て脳天気なバラク!

(涙がボロボロとこぼれ落ち、舞台の脇に腰掛けると、顔を手で覆う)

<バラク>
(お椀を床に置き、あきらめに満ちた沈黙のあとで)

食べようぜ、兄弟たち、気持ち良くやってくれ!
あいつはひどく口が悪く、機嫌が悪いが、
決して悪い女じゃないんだ・・・
祝福を受けさえすれば
取り消される言葉ばかりだ。
その清らかな心と
若さのゆえに。
(兄弟たちは床に横になり、お椀の中の料理をがっつく。家なき子たちも、その周りに集まって来る。バラクは、子供たちの口に食べ物を突っ込んでやる。ドアのところには、隣人たちも集まって来て、齢を取って体の不自由な女達や、ますます大勢の子供たち、更には犬までが集まって来る)
(バラクは女中に合図をする)
お出で。物静かな親戚のお嬢さん、
これは、あなたのだよ!
妻に聞いてみておくれ・・・
砂糖のお菓子は欲しくないかって。
シナモン入りのジャムでもいいよって。

(皇妃は、バラクの妻のほうへ行こうとする)


<バラクの妻>
(怒って立ち上がって)
スリッパを顔に当ててほしいのかい。
こそどろ女め!
あたしが食べたいのは、
苦いものよ。砂糖なんかじゃないわ!
シナモンなんかいらないわよ!
こんなに怒りに燃えているのに!
ひどい悪巧みと
あたしの、情けない運命のためにね!

<バラクの弟たち>
(食べながら口々に)
誰が、あんな女の
叫び声なんか気にするものか?
それにしても、兄ちゃんは寛大だなあ・・・
昔からそうだったよなあ!
女に対して、
ほんとに心が広いよ!
善人だよ!
気前がいいよ!
兄ちゃんはそういう男だよ!
ああ、兄ちゃんと俺たちを生んだお父さん!
ああ、幸せな昼、
ああ、恵みの夜よ!
(頭を下げ、半ば酔っ払って、バラクの前の地面に口づけする)

<バラク>
(妻や彼らの声といっしょに。
敬虔に、たくまざる荘重さで)
ここは善き人々の集う場所。
気持ち良くやってくれ、
兄弟たちよ。
生活を
楽しんでくれ!
お前らさえ快適に暮らせれば、
それで十分
子供の代わりさ!

<家なき子たち>
(バラクに頭を下げて)
ああ、一番の染物師!
ぼくらみんなのお父さん!
ああ、幸せな昼、
ああ、恵みの夜よ!


舞台転換

(森の中にポツッと建っている皇帝の鷹匠の小屋。木々の合間から月光が射し込む。皇帝は馬に乗って現れるが、静かに馬から降りると、音も立てずに近寄って行き、一本の木の陰に隠れる。そこから皇帝は、小屋の入口と窓を目にする。扉は閉まっている)


<皇帝>
鷹よ、鷹・・・お前をやっと見つけたぞ・・・
賢い鳥よ、私をどこに連れて行く?
「森にたたずむ鷹匠の小屋に、
私は三日住まいます・・・
乳母のほかには誰もいません。
人里離れ、浮き世を離れ・・・」
こんな皇妃の手紙だった。使いに託した手紙には、
手ずから髪飾りが縫い込んであった。
あなたは、私に山河を越えて、
この道をたどるようにさせたのだ。奇妙なひとだ・・・
私は、こうしていつも狩人として、
身を潜めていなければならぬのか?
私が呼ばれたのはそのためなのか?
姫は眠っているのか?だが、留守のように思える!
鷹よ、鷹・・・私はどうしてしまったのだ?
こんな夜中に、飼い主の女人はどこにいるのだ?
鷹よ、お前は、何と変な時間に
俺を連れて来たのだ。
(聞き耳を立てる)
しいっ、鷹よ、いっしょに耳を澄ませ!
近付いてきた、やってきたぞ・・・
あれこそ、あの日お前が羽で打った獲物ではないのか?
しいっ・・・

(乳母と、それに続いて皇妃が、木々の合間を抜けてやって来て、立ち止まる。そして、忍び足で戸口にたたずむと、乳母が戸を開け、二人はするりと小屋の中に入る。小屋の中からは灯りがこぼれて来る)


<皇帝>
何と!鷹よ、何てことだ!
どこから来たんだ!ああ、何てことだ!
人のにおいが、しているではないか。
人の息が追いかけて来るではないか。
嘘をついたな!何たることだ・・・
ひどすぎる!姫は死なねばならない!
(えびらから矢を取り出すと)
矢よ、姫を殺すのは、お前だ!
私の白いガゼルだったあの姫を!
なにっ!お前が傷つけたために、ガゼルは人間の女になったのだと・・・!?
だとすれば、お前には殺せないな。
(矢をえびらに戻し、今度は刀を鞘から引き抜く)
刀よ、刀、姫を討つのはお前だ!
なんと!お前は帯を解いたことがあるというのか・・・
だとすれば、お前にも殺せないな!
(刀を鞘におさめる)
ならば素手でか!?何てことだ!
私の手にかけることなどできない!
ひどいぞ、ひどすぎる!
行くぞ、馬よ、さあ、鷹よ!
私をこの地から去らせてくれ。
お前の陰険な心の命ずるままに、どこでも連れて行ってくれ。人っ気の無い岩の割れ目の間でいいのだ。
そこならば、私の嘆きを、人も獣も聞くことはあるまい!
ひどい!ああ、ひどすぎる!


舞台転換

(染物師の住まい。バラクは仕事をしている。バラクの妻と乳母は、いらいらしているように視線を交わす)

<バラクの妻>
(やや声を抑えて、ぶつぶつと)
まだ時間に余裕があると言っても、
市の立つ時間が過ぎてしまえば、
どうやって取引に間に合うっていうのよ。

<バラク>
(妻に顔を向けて)
もう行くさ。暑いな。
今日は朝から辛い仕事だった割に、あんまり進まなかったな。
なあ、飲み物をくれ!

<バラクの妻>
(振り向きもせずに)
女中がいるじゃない。

(乳母は飲み物を注ぎながら、そこにこっそり液体を混ぜる)


<バラク>
(乳母のほうは見ずに)
お前がくれるんじゃないのか?

(乳母は、皇妃に器を渡す。バラクの妻は、手を伸ばし、夫に持って行くよう皇妃に命じる)

(皇妃は、その器を差し出す)

<バラク>
(飲む)
眠くなってきた。暑いな。

<バラクの妻>
(いらいらして、嘲って独り言のように歌う)
行くぞ、と言って、座ったままか!
やるぞ、と言って、ほったらかし!
それなら、あたしが、この家の主!
そういうことなら、あたしのものよ!
家も家畜も、ベッドも女中も!

<バラク>
(怒らずに)
とても眠い。なあ、ここで寝るぞ。
夕方・・・には・・・市場に運ぶから。
(薬草の袋の上に座ったまま眠りこんでしまう)

<バラクの妻>
(嘲るように粗野に歌いながら)
運ぶロバすらいやしない!
運ぶロバすらいやしない!

<乳母>
(静かに駆け寄りながら)
奥様、叫んだり怒ったりはおやめください!
眠り薬を入れたのでございますから!

<バラクの妻>
誰がそんなことをしろと言ったのよ?
(恐怖に駆られて)
バラク!バラク!
(バラクの方に行き、眠っているバラクを見つめる)

<乳母>
(バラクの妻を引き離して)
朝までぐっすりです。命に別状ありません。
奥様。たっぷり楽しい時間が過ごせますよ。

<バラクの妻>
楽しい時間?あんたに、何でそんなことがわかるの?
もう行くわ!あんたは、さがっていて。
あんたの術中になんかはまらないわ。
あたしの心に秘めたことを
勝手に探ろうとしないでよ!
黒白まだらの年寄りヘビめ!

<乳母>
奥様、あの男をお求めではないのですか?
あなたの合図を待っているというのに?
お許しとあらば、すぐに御前に連れてきますよ・・・
おっしゃられませ・・・これへ参れ!と。

<バラクの妻>
(とげとげしく、きつい口調で)
どうでもいいバカ話も、
あんたとだと、バカ話でなくなる。
来たっていいわ。あの男は・・・
でも、あんたの手配なら、
来てはだめよ。
だから来やしないわ。
(次第に口調を変えて)
あんたに関係ないなら
来たっていいわ。
あんたに関係あるなら
来てはだめよ。
(夢見るように、憧れを込めて)
決して踏み入っては
ならない砂浜・・・
踏み入っていいのは
あの世界から来た人だけ・・・
その人にだけは、
壁もないし、鍵もかけない。

<乳母>
(急いで)
あの男をお呼びいたします!

(暗転。稲妻。乳母は、手を引いて、少年の幻を連れて来る)


<バラクの妻>
ヘビみたいな女ね。
あんたとなんか関係ないわ。
あなたが
連れて来る者ともね!

<少年>
(亡霊のような高い声で)
誰だ、こんなことをするのは!
こんなに急に、
奥様の前に立たねばならぬとは!
なんと強い力だ!
なんと急激な力だ!
(体を覆われたまま、ひざまずく)

<バラクの妻>
(わざと厳しい口調で、少年に目もくれずに)

誰よ?この老婆に、知らなくてもいいことを
知るようにすることを命じたのは?
(わざとらしい軽蔑の身振りで、ちらっとコケティッシュな眼差しを少年に向けながら)
襟巻を持ってきてよ!
あたし、外に出るわ。川に行って、涼みたいの。
(まるで出て行こうとするかのように)

<乳母>
(バラクの妻の足に手を巻き付けながら、迫るように、激しく)痛ましくも、甘い苛立ちが
あなたを追い立てるのでございましょう。
あなたの望みは、
今この場で
甘い楽しみにふけることではないのですか!
(まるで炎を煽るかのように、取り持ち女のようにデモーニッシュな大仰さで)
愛の歓びにあずかるものは、
死すら怖れぬものでございますよ。
この男は、永遠の歓びを知ったのでございます。
されど、一たび去ってしまえば、
そんなことは忘れられてしまいます!

<少年>
遠く離れていても、あなたの近くにいることが、
ぼくの心をかき乱すのです。
あなたの前にいるというのに、あなたに近付くことができず、遠い存在のままでいるならば、ぼくは死んでしまいますよ。
(気絶したように、背中から仰向けに倒れる)

<バラクの妻>
(まるで無意識のうちに)
夢に見たことがあったわ。あなたのもとへ飛んでいき、
雛にエサをやる鳩のように、
絶え間なく、あなたにキスする夢を・・・
でも、その夢が、あなたを殺してしまったの!
(少年の上に屈み、穏やかに手を少年の顔から離す。すると、少年の眼差しが、バラクの妻をとらえ、その手は、彼女の手をつかもうとしてピクッと動く。バラクの妻は、叫び声をあげて後じさりする)(乳母は皇妃を連れて、ドアから出て行こうとする)
(突然、様子を変えて)
何よ、どこ行くの!
裏切り者たちめ!
こちらにお出で!
死者が、生きて動くのなら、
眠っている者達は死んじゃうじゃない!
起きて!あなた!
男が、家に潜んでいるわ!
ねえ!起きて!あたしよ!

(バラクのもとへ走って行って、バラクを揺さぶり、顔に水をかける。皇妃は、その隣で手伝う)

<乳母>
(自分のマントを少年に掛けて)
あのバカ女が!我が身を守らねば!
安心しな!
風向きはすぐ変わるものだよ。
そしたら、また、あんたを呼ぶわ!

<バラク>
(昏睡状態から目覚めて、体を起こす)
何で、こんなに良く寝てたんだろう?
だれが起こしてくれたんだ?

<バラクの妻>
真っ昼間から寝るなんて!
泥棒や強盗が来ないよう
良く見張り、
あたしの面倒をみなさいよ!
あんたの面前で、
もう一度同じようなことが起きたなら、
あたし、もう
この家にはいないわよ!
ねえ、聞こえてる?

<バラク>
(しゃんと立ち上がると、激しく辺りを見回す)
強盗だって?ハンマーがあったな!
兄弟たちよ!やって来てくれ!

<バラクの妻>
(バラクの手からハンマーを奪い)
よしなさい!
叫んだり、間抜けな振舞いをするのは!
仕事中にバタンと倒れ、あたしのことなど
忘れてしまい、よそ者みたいにしゃべるのは。
つまらないやり方で、なぜあたしを驚かせるの?
そんなに、あたしのことがどうでもいいの?

<乳母>
(舞台の脇のほうで)
叱りつけたり、
馬具をつけて駆りたてたり・・・
何とも良くできた奥様だこと!

<バラク>
(ゆっくりと)
お前は良い妻だもの。
もちろん気に掛けているさ!
だから、戻って来たんじゃないか!

<バラクの妻>
(嘲って)
戻って来た!そんなのたくさんよ!
戻って来た!あらまあ、楽しいこと!
戻って来ただってさ!

<バラク>
(仕事道具を拾い集めながら)
俺にはまるでわからないものが、おれの邪魔をし、
暗闇の中で、俺をつかまえているようだ・・・
(目の前をじっと見つめながら)
俺の大事にしていた乳鉢も粉々だ・・・
俺は腕利きの職人のままでいられるだろうか?

<バラクの妻>
(バラクをじっと見つめながら)
腕利きの職人なんかじゃないわ。
どだい初めから、そうじゃなかったのよ。
だから、あんた自身のことや
乳鉢のことなんか、もう言わないで。
起こったことは、起こったことよ。
あんたの心は弱すぎるのよ。
あんたは、手を上げるのにも、
足を踏み出すのにも、びくびくする人なんだわ。
自分の大事な人のためでもね。
そんな態度が、大事な人を滅茶苦茶にするのよ。
(吐き気を催したかのように)
ラバはラバらしく、
崖っぷちをうろついていなさいよ。
深い秘密なんか
知らなくっていいわ!

<バラク>
(自分の傍らで仕事道具を床から拾い集めている女中にも語りかけるように)
何を言われても、聞こえもしないし、理解もできない。
倒れた時に、糊もこぼしてしまったようだ・・・
俺の仕事はどうしよう。
このままじゃ、俺の手に委ねられた者たちを
食わせられなくなってしまう。

<バラクの妻>
食わせるなんて
気にしなくていいわ!
あたしが襟巻を巻いて
出て行くのをご覧なさいよ。
(バラクの妻は襟巻を取り、二人の女中がそれを手伝う)
川を下って行こうかしら?
庭園の横をすぎて行こうかしら?
それとも、気の向くままにどこへでも・・・?
一晩、あんたのとこに戻らないことだって
あるかもね・・・
だって、今日から、あんたはあたしの声を聞かないし、
あんたももう思い出したりしないはず。
遠くに行っちゃうのよ。すぐ近くにいると思っていた女が・・・
家で飼っていた
小鳥だと思っていた女・・・
あんたの女がね・・・
二束三文で
市場で買って来た女がね・・・
これからは、どこか別のところで別の暮らしをするわ。

(バラクの妻は出かけようとし、乳母にはついて来るよう、皇妃には残るよう合図する。バラクは驚いて、暗い顔でぼんやり前を見ている)
(バラクの妻と乳母はドアから出て行く。皇妃は、バラクの傍に膝をつき、地面に散らばった仕事道具をかき集める)


<バラク>
(ようやく一人きりでないことに気付き)
だれだ?

<皇妃>
(バラクを見上げながら)
あたしです。ご主人様、あなたの女中です!


舞台転換

(鷹匠の小屋の中にある皇妃の寝室。皇妃はベッドに寝ているが、ぐっすり眠れないでいる。乳母はマントに身をくるみ、そのベッドの脇の床でまどろんでいる)


<皇妃>
(眠りながら、眼は開かずに)
ねえ・・・乳母よ・・・ねえ
男の眼が・・・。苦しいわ!
(夢を見ているように、荘重に)
天使よ!そんな眼をして
見つめないで!

(一瞬静かになった後、いきなりはね起きて、両手を大きく広げて)
バラク・・・あなたに・・・あたしは罪を犯したわ!

(倒れると、前よりもぐっすり眠り始めたような気配である。部屋の壁が消えて無くなると、巨大な穴が現れる。その穴は壁の裂け目を通して、屋外につながっている)
(あちこちに置いてある薄暗いランプは、玄武岩を彫って作られた古代の墓地を弱々しく照らし出す。舞台右手には金属製のドアがあって、山の中へとつながっている。鷹の鳴き声が聞こえて来る。皇帝が鷹を追って来たかのように突進して来て、両手で前を手さぐりしながら、裂け目をくぐって穴の中に入る)


(皇妃は眠ったまま体を動かし、一度だけ弱くうめき声を立てる)

(皇帝は墓地用のランプを一つ手に持つので、その手だけが明るく輝いている。金属製のドアに気付くが、そこからは、滝のように煙が雪崩れ込んで来る)

<合唱>
(山の中から、誘うように)
命の水へ!
(脅すように)
死の敷居をまたげ!
(誘うように)
こちらへ!
さあ、やれ!
(脅すように)
あぶないぞ!
やめとけ!

(皇帝はドアに向かう。鷹は、皇帝の周りを飛び回り、やめろというようなかすかな鳴き声を発する。だが、皇帝がドアをたたくと、ドアは開き、皇帝を中に入れた後、また閉じる)


<鷹の声>
女は、影を地に投げず、
ミカドは、石にされるとは!

(洞穴は消え、寝室の灯りがますます明るく輝く)


<皇妃>
(叫び声を上げて、眠りから起き上がる)
ああ!あなた!
どこへ行くの!
どこへ!
あたしの罪のためね!
ドアが閉まった。
お墓みたいに。
出てきたくても、
もう出られないわ。
足は止まり、
体は固まる。
声は出ない。
眼だけで、
助けを呼んでいる!
ああ、乳母よ、よく寝てられるわね!
あれもこれも、
すべて
あたしの罪なのに・・・。
あの人を助けられない・・・
そして、もう一人の破滅も・・・
バラク・・・ああ!
あたしが近寄ったばかりに、
殺すことになるなんて!
だめなあたし!
あたし自身が
石になるべきなのよ!


舞台転換

(染物師の住まい。舞台は夕暮れであり、どんどん暗くなって行く)

<バラク>
(地べたに座って)
暗いな。目が見えねば仕事できない。
正午のはずだが。

(3人兄弟が頭を垂れてドアから入って来る。外も暗い)


<バラクの弟たち>
何だ、こりゃ。何が何だかわからない。
ああ、兄さん!
真昼なのに、太陽がどっかに行っちまい、
川は止まって、もう流れない。
ああ、兄さん!
何かが俺たちの邪魔をする。なのに、何かは分からない。

(兄弟達の声は、長く引き伸ばされた叫びになる)

<乳母>
(皇妃ともども舞台の脇で)
超自然の力が働いておりますわ。
ああ、姫君。
我らは何かに
脅かされても、
全能の者達の
名を呼べば、
思うがままに
なるのです!

<皇妃>
(独りごちる)
ああ、アダムの息子たちの世界に何が起こったの!
何てこと!あたしが来たのは、彼らの悲しみを増し、
喜びを消し去るためだったというの!
だけど、称えあれ!あまたの者達の中でも
この男を見出ださせてくれた者よ!
この男は、あたしに人間とは何かをわからせてくれた。
この人のためなら、あたしは人間にまざって、
人の呼吸を、この身に吸い込み、
人の重荷を、この身に背負おう!

<バラク>
(独り言で)
俺の両手は、まるで縛られているようだ。
俺の胸には、石が乗っているようだ。
俺の心には、永劫の夜が立ち込めている。
讃えられよ!この暗闇を知らぬ者、
その眼の決して閉じない者よ。
あまたの者のうちの、ただ一人の者よ!

<バラクの妻>
(舞台の脇の地べたにいて、独り言で)
こんな家にいられるものか。
もう、けりをつけよう・・・
真昼だというのに、真っ暗になり、
犬どもが脅えて吠えている。
誰も追い出すことすら出来やしない!

(いきなり立ち上がる。怒りの目をバラクに向けた後、もうバラクには目もくれず、あちこち動き回る)

いつも冷静なままの人がいるわ。
何が起ころうと、顔色一つ変えるところを
見たことがない。
来る日も来る日も
家畜のように、
食っちゃ寝て、
食っちゃ寝て、
何が起こったかもわかっていないし、
何を言われたかもわかっちゃいない。

(稲妻がぎらっと光り、兄弟たちは大声で泣き出す。バラクの妻は怒りのあまり地団太を踏む)
(そのまま言葉を続ける)
そんなことだから、
さげすまれ、バカにされるのよ。
こんな奴らの仲間になって、
そんな奴らに使われているから。
でも、あたしは、あんたのものなんかじゃないわよ。
聞いているの?バラク?
あなたが出かけていた時、
市場に品物を持って行った時、
あたしは男を部屋に入れたのよ、
よそ者の中のよそ者をね。
あたしがあんたの目を覚ました時、
あたしは、そいつに抱かれていたのよ!

(稲妻。兄弟たちは泣き声を上げる)

聞いているの?バラク?
こいつらを黙らせなさい!
あたしの言葉が聞こえるように!
あんたが、みんなの物笑いになることを
望んでいるんじゃないわ!
そうじゃなく、知らせたいだけ!
3日間、あたしは
家でそんなことばかりしていたのよ・・・
でも、その喜びは、台無しにされた。
だって、あなたのことを考えちゃうのよ・・・
忘れようとしているのに!
あなたの顔が浮かんできたのよ・・・
探してなんかいないのに!
でも、ついにその時が来たわ。
あたしは、あなたのもとを去り、
あなたを心から捨て去るわ。
今、どうすりゃいいか分かったわ!

(バラクはいきなり立ち上がり、兄弟たちはふらふらと舞台の脇へ倒れ込む)(バラクの妻は怖がらずに)

あたしの体は、子供を捨てたわ。
まだ生まれてない子供たちを。
あたしのお腹からはもう産まれない。
あなたの子供も、誰の子も。
あたしは、夜風に
身を差し出したから、
ここにいながら、別世界の者になった。
そのしるしには、
あたしは影を売り払った・・・
喜んで買う人達がいるのよ!
買い値は、とてつもない高値!
比べるものもないほどよ!

<バラク>
(この上なく興奮して)
妻が狂った。
火をともせ。
顔をよく見てみたいんだ!

(炎が燃え上がる)

<バラクの弟たち>
あいつ、影がないぞ。
まさに、言っていた通りだ!
影を売りつけ、
産まれる前の者たちが
体から出るのを
阻んだのだ!
あいつは影を失くしたんだ。
「影なし」だ。
この呪われの女め!

<乳母>
(皇妃に向かって)
さあ、行くのです!
影を手に入れて、
あなた様のものにするのです!
あの女が、今、
物知り顔の口で言ったではないですか。
もう終わりです!
星々の裁きだとしたって、
この取引を台無しにすることはできません!

<バラク>
(おそろしい勢いで怒鳴り出す)
お前は、そんなふしだらな顔で、
媚を売るように、のぞき込み、
恥じることすらしないのか?
さあ、兄弟たち、袋を持って、
中に石を詰め込むんだ。
俺は、この女を
俺のこの手で、
川に沈めて溺れさせてやる!
(自分の妻に飛びかかろうとする)

<バラクの弟たち>
(バラクにしがみつく)
兄ちゃん!手を血で汚しちゃダメだ!
さあ、あいつを家から追い出そう。
どぶの中なり、穴なりで、
雌犬のような境遇を送らせればいいのさ!

<バラク>
(妻につかみかかろうとし、同時に歌う)
目の前が真っ暗だ。
兄弟たちよ、手を貸してくれ!
袋を出して、
石を詰め込め!
溺れさせるぞ、
俺の手で!

<バラクの弟たち>
(バラクにしがみつきながら、同時に歌う)
兄ちゃん!手を血で汚しちゃダメだ!
手を汚すんじゃない、ああ、父さんがいれば!

<バラク>
(同時に歌う)
手を貸さぬなら、お前らなんぞ
踏みつぶしてやる!
俺の心は、もうとうに
罰を与えたのだ。
あとは、この手で
執行するのみ!

(誓いをするかのように右手を高く伸ばすと、きらめく剣が空中から彼の手に降りて来る。兄弟達が力を合わせるが、もう止めることはできない)


<乳母>
(舞台後方で皇妃と一緒に、目を背けずに、悪魔のような喜びを感じつつ、まじまじと事の成り行きを見守っている。バラクと兄弟たちと一緒に)
血を流そうと叫んでも、
剣すら持っていなかったから、
あたしらが
手に入れてやったのさ!
さあ、どくどく流れろ、
黒い血よ。
あたしらは影さえ手に入れりゃ、
それでもう十分なのさ!

<皇妃>
(乳母から身をもぎ離し、天に目を向けると、独り言だが、他の者達の声と混ざり合う)
あたし、影なんて、ほしくないわ・・・
その影には、血が付いている。
つかまえることなんてできないわ。
あたしは両手を
天に伸ばそう。
人の血からは
きれいでいたい。
名のある星は、
呼んだあたしの
そばに来て!
この女を助けて!
言う通りにして!

<バラクの妻>
(自分の冒涜的な言葉の結果に口が利けないほど驚いて、舞台左手の方に逃げていたが、次第に彼女の姿は物凄い変化をしていき、死人のように蒼ざめてはいるが、浄化された面持ちとなる。かつてしたことのないような表情で、バラクと、バラクの振り上げた死の剣に身を差し出し、同時に、台詞のところどころを強調して)

バラク。私は
そうしていないのよ!
まだ、そうしてはいないのよ!
聞いてよ、バラク!
あたしの口は
うそをついたわ。
でも、その前に、
心の中では、そうしてしまった!
だから、私は死なねばならない。
あなたの目の前で
死なねばならない。
起きなかったことのために・・・
ああ、ほんとうは今まで一度も
あなたを見たことがなかったの!
強いバラク、
厳しい裁き手、
尊敬する夫・・・
バラク、あたしを殺して、
さあ、早く!

(バラクが剣を振り上げると、剣はその手の中で火花を散らし、稲妻を発する。その稲妻のせいで、火が弱まったために暗くなっていた部屋は、ぴかっと明るくなる)


<バラクの弟たち>
(最後の力を振り絞ってバラクにしがみつき、声を合わせて)
あいつらが、あんたを鎖でしばり、
あんたを殺そうとしているんだ。
あの剣の鋭い刃で。
ああ、俺たちのことを考えてくれ。ああ、父さん!

(バラクが剣を振り下ろす態勢に入ると、火花を散らしていた剣は急に光を発しなくなり、バラクの手から奪われたかのように見える。すると、こもったゴーッという音がドームを震えさせ、地面が割れ、割れた側壁からは水が出て来る。兄弟たちが助かろうとドアを出て逃げて行く間、バラクと、気を失ったかのように横たわっているバラクの妻は、それぞれ別々に沈んでいくのが見える)

(乳母は皇妃をドームの壁のそばの小高い場所に引きずり上げて、皇妃の姿を自分のマントで覆い隠していたが、やがて全てを覆いつくす暗闇の中から、乳母の声だけが聞こえて来る)


<乳母>
究極の力の饗宴だわ!
こちらへおいで!
ZWEITER AUFZUG

Des Färbers Wohnung. – Die Brüder blicken zur Tür herein, bepackt. Der Färber belädt sich, die Kaiserin, als Magd, hilft ihm dabei.

AMME
läuft an die Tür neigt sich bis zur Erde vor dem Färber
Komm bald wieder nach Haus, mein Gebieter,
denn meine Herrin verzehrt sich vor Sehnsucht,
wenn du nicht da bist!
Barak geht. Die Amme läuft zur Frau hinüber
leise

Die Luft ist rein und kostbar die Zeit!
Wie ruf' ich den, der nun herein soll?
Die Frau hat sich gesetzt und das Tuch, mit dem ihr Kopf umwunden war, gelöst, ihr Haar ist mit Perlschnüren durchflochten. Die Kaiserin kniet vor ihr, hält ihr den Spiegel.
Oh, du meine Herrin seit diesem Tage,
gib mir doch Antwort!
Wie sind deine Bräuche?
Soll diese laufen?
Oder ruf' ich ihn?
Mit einem sehnsüchtigen Ruf?
Oder einem fröhlichen?

FRAU
scharf
Auf wen geht die Rede?

AMME
leise
Auf den, der thronet in deinem Herzen,
und für den du dich schmückest!

FRAU
ruhig
Im leeren Herzen wohnet keiner,
und geschmückt hab' ich mich
für den Spiegel.

AMME
verschlagen
Hören ist Verstehen,
o meine Herrin!
So sprech' ich von dem Sehnsuchtsverzehrten,
dem deines offenen Haares Wehen –
in Träumen geahnt, doch niemals gesehen –
die Knie löst vor Furcht und Bangen:
verstatte, dass ich diesen rufe
zur Schwelle der Sehnsucht und der Erhörung!

FRAU
steht auf
Ich weiss von keinem Manne ausser ihm,
der aus dem Hause ging.

AMME
dicht an ihr
O du Augapfel meiner Träume!
Den flüchtig Begegneten, heimlich Ersehnten,
den du mit niedergeschlagenen Augen
dennoch ansahest – und warst ihm zu Willen
in deinen Gedanken –
erbarme dich seiner!

FRAU
errötend, verwirrt
Wer bist denn du?
Wie nimmst du mich denn?

AMME
schnell, triumphierend
Wir bringen ihn dir,
zu dem du jetzt eben
mit süssem Erröten
dein Denken geschickt!

FRAU
Lachen muss ich
über dich!
– – – – – – – –
Wenn ich dir sage:
ich weiss kaum die Gasse,
wo ich ihn traf,
nicht das Viertel der Stadt
noch seinen Namen!

AMME
Nun schliess deine Augen
und ruf ihn dir!
Und schlägst du sie auf,
steht er vor dir!

FRAU
ihren Gedanken nachhängend
Nur, dass ich auf einer Brücke ging
unter vielen Menschen,
als einer mir entgegenkam,
ein Knabe fast,
der meiner nicht achtete –

AMME
nimmt verstohlen einen Strohwisch vom Boden
Du Besen, leih mir die Gestalt!
Und Kessel du, leih mir deine Stimme!

KAISERIN
zur Amme
Weh! Muss dies geschehen
vor meinen Augen?

AMME
leise
Zu gutem Handel
und dir zu Gewinn.
Sie gleitet zur Frau hin, birgt den Strohwisch hinterm Rücken.
Geschlossen dein Aug'
und geöffnet dein Herz,
du Liebliche, du!

Sie wirft den Strohwisch über die Frau. Es blitzt auf und nachher bleibt das Licht verändert.

KAISERIN
vor sich, flüsternd, währenddem die Frau laut denkt

Sind so die Menschen?
So feil ihr Herz?

AMME
Kielkröpfe und Molche
sind zu schauen
so lustig als sie!

FRAU
mit geschlossenen Augen, monologisch fortlaufend
– Der meiner nicht achtete
mit hochmütigem Blick –
– – – – – – – –
und des ich gedachte
heimlich, zuweilen,
um Träumens willen!

AMME
entschieden
Es ist an der Zeit,
herbei, mein Gebieter!

Sie klatscht in die Hände. Es steht ein Jüngling da, wie entseelt.
Zwei kleine dunkle Gestalten stützen ihn, die sogleich verschwinden.

FRAU
mit offenen Augen
Er und der gleiche!
Und doch nicht!

AMME
dicht bei dem Jüngling, der allmählich sich belebt
Um ihretwillen
bist du hier,
du Vielersehnter!
läuft zur Frau hinüber
Wie ist dir
um jede Stunde,
da du diesen
nicht gekannt hast?

FRAU
Ich will hinweg
und mich verbergen!

Der Jüngling steht gesenkten Kopfes.
Die Frau hebt unwillkürlich die Hände gegen ihn.


AMME
zwischen beiden
Sei schnell, mein Gebieter!
Und kühn, du Herrin!
Unsagbar fliehend
ist solches Glück!

CHOR
aus der Luft
Sei schnell, mein Gebieter!
Und kühn, du Herrin!
Unsagbar fliehend
ist das Glück!

Die Amme läuft zur Kaiserin hin, zieht sie nach rückwärts.

KAISERIN
macht sich jäh los, horcht hinaus
Ach! Wehe! Dass sie sich treffen müssen,
der Dieb und der, dem das Haus gehört,
der mit dem Herzen und der ohne Herz!

AMME
läuft nach vorne
Voneinander!
Ihr ist gegeben,
zu hören, was fern ist,
sie meldet: der Färber
kehrt nach Hause!

Sie wirft ihren Mantel über den Jüngling, der Raum verdunkelt sich jäh, und als es wieder hell wird, ist der Knabe verschwunden. Zu der Amme Füssen liegt der Strohwisch, den sie aufnimmt und in einer Mauernische verbirgt.

Die Tür geht auf, Barak tritt ein, eine riesengrosse kupferne Schüssel auf den Armen tragend, ihm voraus der Einäugige, den Dudelsack spielend, der Bucklige, bekränzt und ein grosses Weingefäss schleppend, der Einarmige, mit noch einer kleineren Schüssel, Bettelkinder drängen sich ihnen nach zur Tür herein.

BARAK
stolz und glücklich auf die Frau zu
Was ist nun deine Rede,
du Prinzessin,
vor dieser Mahlzeit,
du Wählerische?

Die Frau kehrt ihm den Rücken.

DIE BRÜDER
haben sich rechts in eine Reihe gestellt
O Tag des Glücks, o Abend der Gnade!
Das war ein Einkauf!
Schlag ab, du Schlachter, ab vom Kalbe
und ab vom Hammel! Und her mit dem Hahn!
Du Bratenbrater, heraus mit dem Spiess!
Heran, du Bäcker, mit dem Gebackenen
und du, Verdächtiger, her mit dem Wein!
Wenn wir einkaufen, das ist ein Einkauf!
O Tag des Glücks, o Abend der Gnade!

BETTELKINDER
fallen ein
O Tag des Glücks, o Abend der Gnade!

FRAU
ohne Barak voll anzusehen
Wahrlich, es ist angelegt
aufs Zertreten des Zarten,
und es siegt das Plumpe,
und dem, der Brot will,
wird ein Stein gegeben!
Und wer von der Schüssel der Träume kostete,
zu dem treten Tiere
und halten ihm den Wegwurf hin
vom Tisch des Glücklichen,
und er hat nichts,
wohin er sich flüchte,
als in seine Tränen!
Das ist meine Rede,
du glückseliger Barak!

Die Tränen überwältigen sie, sie setzt sich abseits und verbirgt ihr Gesicht in den Händen.

BARAK
hat seine Schüssel auf die Erde gestellt, nach einer Pause der Resignation
Esset, ihr Brüder, und lasset euch wohl sein!
Ihre Zunge ist spitz, und ihr Sinn ist launisch,
aber nicht schlimm –
und ihre Reden sind gesegnet
mit dem Segen der Widerruflichkeit
um ihres reinen Herzens willen
und ihrer Jugend.
Die Brüder lagern auf der Erde und haben sich über die Schüsseln hergemacht, die Bettelkinder um sie; Barak stopft den Kindern gute Bissen in den Mund. In der Tür sammeln sich Nachbarn, alte Weiber Krüppel, noch mehr Kinder an, auch Hunde.
Barak winkt die Magd heran.

Komm her, du stillgehende Muhme,
da ist für dich!
Und geh hin zu der Frau:
ob sie nicht will vom Zuckerwerk
oder vom Eingemachten mit Zimmet.

Die Kaiserin schickt sich an, zu der Frau hinüberzugehen.

FRAU
fährt auf
Meinen Pantoffel in dein Gesicht,
du Schleichende!
Bitternis will ich tragen im Mund
und nicht sie verzuckern!
Was brauch' ich Gewürze,
der Gram verbrennt mich!
Um der grausamen Tücke willen
und des erbärmlichen Geschickes!

DIE BRÜDER
unter dem Essen durcheinander
Wer achtet ein Weib
und Geschrei eines Weibes?
Aber der Langmütige,
der bist du von je!
Und der Grossmütige
vom Mutterleib!
Und der Wohltätige!
Und der Freigebige!
Das bist du!
Oh, unser aller Vater!
O Tag des Glücks,
o Abend der Gnade!
neigen sich, halbtrunken, küssen die Erde vor Barak


BARAK
zugleich mit ihr und ihnen; fromm, mit ungesuchter Feierlichkeit
Hier ist vom Guten,
lasset euch wohl sein,
meine Brüder,
und freuet euch,
dass ihr lebt!
Es ist euch gegönnt,
und ihr seid mir
anstatt der Kinder!

BETTELKINDER
neigen sich vor Barak
Oh, du Färber unter den Färbern
und unser aller Vater!
O Tag des Glücks,
o Abend der Gnade!


Verwandlung

Das kaiserliche Falknerhaus, einsam im Walde. Mondlicht zwischen den Bäumen. Der Kaiser kommt geritten, steigt leise vom Pferde, nähert sich lautlos, bleibt hinter einem Baum verborgen, von wo er den Eingang und das eine Fenster des kleinen Hauses vor Augen hat. Die Tür ist geschlossen.

KAISER
Falke, Falke, du wiedergefundener –
wo führst du mich hin, kluger Vogel?
»Das Falknerhaus, einsam im Walde,
soll die drei Tage mir Wohnung sein –
niemand um mich als die Amme allein,
ferne den Menschen, verborgen der Welt –«
So schrieb meine Frau – sie gab's dem Boten,
künstlich ihr Haarband umflocht den Brief.
Nun führst du mich über Berg und Fluss
hierher den Weg, Seltsamer du –
Soll ich mich bergen hier im Schatten
als ihr Jäger immerdar?
Hast du darum mich hergeführt?
Schläft sie? Mich dünkt, das Haus ist leer!
Falke, mein Falke, was ist mir das?
Wo ist deine Herrin zu nächtiger Zeit?
Falke, mir ist: zur unrechten Stunde
hast du mich hierhergeführt.
er lauscht
Still, mein Falke, und horch mit mir!
Es kommt gegangen, es kommt geschwebt –
ist das die Beute, die du mir schlägst?
Stille –

Die Amme, hinter ihr die Kaiserin, kommen zwischen den Bäumen herangeschwebt und stehen zwischen den Bäumen; sie sind mit wenigen lautlosen Schritten auf der Schwelle, die Amme öffnet, sie schlüpfen ins Haus, das sich von innen erleuchtet.

KAISER
O weh, Falke, o weh!
Wo kommt sie her! Wehe, o weh!
Menschendunst hängt an ihr,
Menschenatem folgt ihr nach,
wehe, dass sie mir lügen kann –
wehe, dass sie nun sterben muss!
Er zieht einen Pfeil aus dem Köcher
Pfeil, mein Pfeil, du musst sie töten,
die meine weisse Gazelle war!
Weh! Da du sie ritztest, ward sie ein Weib! –
Du bist nicht, der sie töten darf.
Er stösst den Pfeil wieder in den Köcher, zieht das Schwert halb aus der Scheide.
Schwert, mein Schwert, du musst auf sie!
Weh, ihren Gürtel hast du gelöst –
du bist nicht, der sie töten darf!
Er stösst das Schwert wieder in die Scheide.
– Und meine nackten Hände! Weh!
Meine Hände vermögen es nicht!
Wehe, o weh!
Auf, mein Pferd, und du, Falke, voran!
Und führ mich hinweg von diesem Ort,
wohin dein tückisches Herz dich heisst,
führ mich ins öde Felsengeklüft,
wo kein Mensch und kein Tier meine Klagen hört!
Wehe, o weh!


Verwandlung

Des Färbers Wohnung. – Barak schafft. – Die Frau und die Amme tauschen ungeduldige Blicke.

FRAU
halblaut vor sich hin
Es gibt deren, die haben immer Zeit,
und ist der Markt vorbei,
so kommen sie auch noch zurecht.

BARAK
wendet den Kopf nach ihr
Schon geh' ich. Es ist heiss. Ich habe schwer geschafft
seit diesem Morgen, und nicht viel vor mich gebracht.
Gib mir zu trinken, Frau!

FRAU
ohne sich zu wenden
Sind Mägde da.

Die Amme giesst ein, tut verstohlen einen Saft in den Trunk.

BARAK
ohne hinzusehen
Gibst du mir nicht?

Die Amme gibt der Kaiserin das Gefäss. Die Frau, mit ausgestrecktem Arm, heisst sie, es dem Herrn zu bringen.
Die Kaiserin bringt es hin.

BARAK
trinkt
Mich schläfert. Es ist heiss.

FRAU
vor Ungeduld, singt höhnisch vor sich hin
Sag: ich geh' – und bleibe sitzen!
Sag: ich tu' – und lass es sein!
Bin ich doch der Herr im Haus!
Hab' es halt, so ist es mein,
Haus und Herd und Bett und Weib!

BARAK
ohne Zorn
Mich schläfert sehr. Ich muss hier liegen, Frau.
Zu Abend – dann – – trag' ich – die Ware zu Markt.
schläft auf einem Sack Kräuter ein

FRAU
höhnisch wild singend
Und sparst den Esel, der sie dir schleppt!
Sparst den Esel, der dir sie schleppt!

AMME
läuft zu ihr leise
Herrin, halt inne mit Schreien und Zürnen!
Ich hab' ihm einen Schlaftrunk eingeschüttet!

FRAU
Wer hiess dich das tun?
ängstlich
Barak! Barak!
Sie geht hinüber sieht den Schlafenden an.

AMME
zieht sie weg
Er schläft bis an den Morgen. Ihm ist wohl.
Viel schöne Stunden, Herrin, sind vor dir.

FRAU
Wer hat dich gelehrt, welche Stunde mir schön heisst?
Ich will ausgehen! Du bleib dahinten.
Ich will nicht in deinen Händen sein,
und dass du ausspähest
all mein Verborgenes,
du alte weiss und schwarz gefleckte Schlange!

AMME
Willst du den in der Ferne suchen, Herrin,
der deiner harret und deines Winkes?
Gewähre: ich breit' ihn vor deine Füsse –
und sprich es aus: er darf heran!

FRAU
spitz und scharf
Spräch' ich es aus und spräche einerlei Rede mit dir,
es wäre einerlei Rede nicht.
Der darf wohl heran, der, den ich meine –
doch eben von dir
darf nichts heran:
darum auch er nicht.
allmählich in verändertem Ton
Von ihm darf heran,
was du nie wahrnimmst:
was nie an deiner
Hand sich mir naht.
träumerisch, sehnsüchtig
Von wo der Strand
nie betreten wurde,
beträte ihn einer
von dort her,
dem wehrte keine Mauer
und kein Riegel.

AMME
schnell
Ich ruf' ihn!

Ein Dunkelwerden, ein Blitz. Die Amme führt an ihrer Hand die Erscheinung des Jünglings heran.

FRAU
Schlange, was hab' ich
mit dir zu schaffen!
und solchen,
die du bringest!

JÜNGLING
mit geisterhafter hoher Stimme
Wer tut mir das,
dass ich jäh muss stehen
vor meiner Herrin!
Der Macht ist zu viel!
Zu jäh die Gewalt!
kniet nieder verhüllt sich

FRAU
mit verstellter Härte, ohne den Jüngling eines Blickes zu würdigen
Wer heisst eine alte Vettel wissen,
was ihr zu wissen nicht getan ist?
mit gespielter Verachtung, indem sie den Jüngling mit einem koketten Blick streift
Meine Tücher her! Ich war gewillt, ins Freie
und auf dem Fluss zu fahren in der Kühle.
als wollte sie fort

AMME
zu ihr, umschlingt ihre Füsse; dringend, feurig
Peinvoll süsse Unruh'
treibt dich umher.
Gewillt bist du zu nichts,
als zu Süssem gewillt zu sein
jetzt und hier!
gleichsam ins Feuer blasend, nicht ohne kupplerisch-dämonische Grösse
Wer teilhaftig ist der Wonne,
der fürchtet auch den Tod nicht,
denn er hat gekostet von der Ewigkeit,
aber wie er dahin gelangt ist,
das ist ihm vergessen!

JÜNGLING
Bin ich dir ferne, so ist's deine Nähe,
die mich zerbricht,
bin ich vor dir, so wirst du unnahbar,
und deine Ferne ist's, die mich tötet!
Er fällt nach rückwärts wie ein Ohnmächtiger.

FRAU
wie unbewusst
Ich habe geträumt, dass ich zu dir fliege
mit unablässigen Küssen
wie eine Taube, die ihr Junges füttert –
und mein Traum hat dich getötet!
Sie beugt sich über ihn, will sanft die Hände von seinem Gesicht lösen; sein Blick trifft sie, seine Hand zuckt, die ihrig festzuhalten. Sie fährt mit einem Schrei zurück.
Die Amme will die Kaiserin mit sich ziehen, zur Türe hinaus.
jäh verwandelt

Weh mir, wohin!
Verräterinnen!
Hierher! Zu mir!
Sind die Toten lebendig,
so sind wohl die Schlafenden tot!
Wach auf, mein Mann!
Ein Mann ist im Haus!
Ich will! Wach auf! Zu mir!

Sie eilt zu Barak hin, rüttelt ihn, bespritzt ihn mit Wasser, die Kaiserin ist bei ihr, hilft ihr

AMME
wirft ihren Mantel über den Jüngling
Gott schütz' uns vor einer jungen Närrin!
Sei du getrost!
Schnell dreht sich der Wind,
und wir rufen dich wieder!

BARAK
erwacht aus der Betäubung, richtet sich auf
Was schlief ich so schwer?
Wer rüttelt mich auf?

FRAU
Du sollst nicht schlafen am hellen Tag!
Sollst wahren dein Haus
vor Dieben und Räubern
und meiner achten!
Geschieht mir dergleichen
vor dir noch einmal,
so ist meines Bleibens
hier nicht länger!
Verstehst du mich?

BARAK
steht aufrecht, blickt wild um sich
Sind Räuber hier? Den Hammer dort!
Ihr Brüder her! Zum Bruder her!

FRAU
windet ihm den Hammer aus der Hand
Lass du dein Schreien
und tölpisch Gehaben!
Unter der Arbeit schlägst du mir hin,
kommst mir von Sinnen, redest fremd.
Hast du die Sucht, oder schiert's dich so wenig,
mich zu erschrecken täppisch und roh!

AMME
beiseite
Wie sie ihn sich hernimmt
und sattelt und aufzäumt,
die Prächtige die!

BARAK
langsam
War dir bange um mich,
du Gute!
Bin ja wieder bei dir!

FRAU
spöttisch
Wieder bei mir! Das ist ja recht viel!
Er ist wieder bei mir! Ei, grosse Freude!
Wieder bei mir!

BARAK
sucht sein Arbeitszeug zusammen
Es widerfährt mir, was ich nicht kenne,
und ist eine Gewalt über mir im Dunkeln –
starrt vor sich hin
Mein bester Mörser ist mir zersprungen –
Versteh' ich mein Handwerk nicht mehr?

FRAU
sieht ihn starr an
Ein Handwerk verstehst du sicher nicht,
wie du's von Anfang nicht verstanden,
sonst sprächest du jetzt nicht von dir
und diesem Mörser.
Geschah dir das, was dir eben geschah,
dein Herz müsste schwellen vor Zartheit,
und es müsste dir bangen, die Hand zu heben
und deinen Fuss vor dich zu setzen,
um des Köstlichen willen,
das du zerstören könntest.
fast mit Ekel
Aber es geht ein Maulesel
am Abgrund hin,
und es ficht ihn nicht an
die Tiefe und das Geheimnis!

BARAK
halb zu der Magd, die bei ihm ist, ihm hilft, sein Handwerkszeug vom Boden aufzunehmen
Ich höre und weiss nicht, was eines redet,
und habe vergossen den Leim, da ich hinfiel –
und mir ist bange um mein Handwerk,
und dass ich nicht werde nähren können,
die meinen Händen anvertraut sind.

FRAU
Um Nahrung für mich
gräme dich nicht!
Und wenn du mich siehst
meine Tücher nehmen,
sie tut's, die beiden Mägde sind ihr behilflich
vielleicht zu fahren auf dem Flusse,
vielleicht zu wandeln neben den Gärten
oder was immer die Lust mich wird heissen –
kann sein, dann komme ich eines Abends
nicht wieder heim zu dir. –
Denn es ist nicht von heute, dass du meine Stimme hörest
und fassest sie nicht in deinem Sinn,
und ist dir ferne, die du nahe glaubst,
und wähnest, du hättest sie im Gehäuse
wie einen gefangenen Vogel,
der dein ist,
um wenig Münze
gekauft auf dem Markt:
die doch anderswo, anders daheim.

Die Frau schickt sich an, zu gehen, winkt der Amme, sie zu begleiten, der Kaiserin, zurückzubleiben. Barak sieht bestürzt und trübe vor sich hin.
Die Frau und die Amme sind zur Tür hinaus. Die Kaiserin, auf den Knien in Baraks Nähe, sucht auf der Erde verstreutes Handwerkszeug zusammen.

BARAK
wird erst jetzt gewahr dass er nicht allein ist
Wer da?

KAISERIN
sieht zu ihm auf
Ich, mein Gebieter, deine Dienerin!


Verwandlung

Der Kaiserin Schlafgemach im Falknerhaus. Die Kaiserin liegt auf dem Bett in unruhigem Schlaf. Die Amme schlummert, in ihren Mantel gewickelt, zu Füssen des Bettes.

KAISERIN
aus dem Schlaf, ohne die Augen aufzutun
Sieh – Amme – sieh
des Mannes Aug', wie es sich quält!
traumhaft, feierlich
Vor solchen Blicken liegen Cherubim
auf ihrem Angesicht!
– – – – – – – –
nach einer Stille, jäh auffahrend, mit ausgebreiteten Armen
Dir – Barak – bin ich mich schuldig!

Sie sinkt hin und scheint nun fester einzuschlafen. Die Wand des Gemaches schwindet, und man sieht in eine gewaltige Höhle, die durch einen Spalt ins Freie mündet.
Düstere Lampen, da und dort, erleuchten matt uralte, in den Basalt gehauene Grabstätten. Zur Rechten gewahrt man eine eherne Tür, ins Innere des Berges führend. Des Falken Ruf wird hörbar. Dann dringt der Kaiser, als folge er dem Falken nach, mit den Händen sich vorwärts tastend, durch den Spalt in die Höhle.

Die Kaiserin bewegt sich im Schlaf stöhnt einmal leise auf.

Der Kaiser nimmt eine der Grablampen; in seiner Hand leuchtet sie hell auf, er wird die eherne Tür gewahr. Ein Rauschen dringt durch diese wie von fallendem Wasser.

CHOR
aus dem Innern des Berges, lockend
Zum Lebenswasser!
drohend
Zur Schwelle des Todes!
lockend
Nahe!
Wage!
drohend
Wehe!
Zage!

Der Kaiser geht gegen die Tür. Der Falke umschwirrt ihn, stösst klägliche, abmahnende Rufe aus. Der Kaiser pocht an die Tür, die sich öffnet und ihn einlässt, dann wieder schliesst.

STIMME DES FALKEN
Die Frau wirft keinen Schatten,
der Kaiser muss versteinen!

Die Höhle verschwindet, die Lampen im Schlafgemach leuchten stärker auf.

KAISERIN
fährt mit einem Schrei aus dem Schlummer empor
Wehe, mein Mann!
Welchen Weg!
Wohin?
Durch meine Schuld!
Die Tür fiel zu,
als wär's ein Grab.
Er will heraus
und kann nicht mehr.
Ihm stockt der Fuss,
sein Leib erstarrt.
Die Stimme erstickt.
Sein Auge nur
schreit um Hilfe!
Weh, Amme, kannst du schlafen!
Da und dort
alles ist
meine Schuld –
Ihm keine Hilfe,
dem andern Verderben –
Barak, wehe!
Was ich berühre,
töte ich!
Weh mir!
Würde ich lieber
selber zu Stein!


Verwandlung

Des Färbers Wohnung. Es dämmert in dem Raum, wird allmählich dunkler und dunkler

BARAK
sitzt an der Erde
Es dunkelt, dass ich nicht sehe zur Arbeit
mitten am Tage.

Die drei Brüder kommen zur Tür herein mit gesenkten Köpfen. Auch draussen ist es dunkel.

DIE BRÜDER
Es ist etwas, und wir wissen nicht, was es ist,
o mein Bruder!
Die Sonne geht aus mitten am Tage,
und der Fluss bleibt stehen und will nicht mehr fliessen,
o mein Bruder!
Es widerfährt uns, und wir wissen nicht, was uns widerfährt!
Sie brechen in ein langgezogenes Geheul aus.

AMME
mit der Kaiserin seitwärts
Es sind Übermächte im Spiel,
o meine Herrin,
und ein Etwas bedroht uns,
aber wir werden
anrufen
gewaltige Namen,
und dir wird werden,
worauf du deinen Sinn gesetzt hast!

KAISERIN
für sich
Wehe, womit ist die Weit der Söhne Adams erfüllt!
Und wehe, dass ich hereinkam, ihren Gram zu vermehren und ihre Freude zu versehren!
Gepriesen sei, der mich diesen Mann finden
liess unter den Männern,
denn er zeigt mir, was ein Mensch ist,
und um seinetwillen will ich bleiben unter den Menschen
und atmen ihren Atem
und tragen ihre Beschwerden!

BARAK
für sich
Meine Hände sind, als ob sie gebunden wären,
und mein Herz, als läge ein Stein darauf,
und auf meiner Seele ein Stück der ewigen Nacht.
Gepriesen, der die Finsternis nicht kennt
und dessen Auge niemals zufällt.
Einer unter allen!

FRAU
für sich, an der Erde seitwärts
Wie ertrag' ich dies Haus
und mache kein Ende –
wo es finster ist mitten am Tage,
und die Hunde heulen vor Furcht,
und niemand weist sie hinaus!

ist jäh aufgestanden; sie heftet einen bösen Blick auf Barak, dann geht sie auf und nieder ohne ihn anzusehen

Es gibt derer, die bleiben immer gelassen,
und geschähe, was will, es wird keiner jemals
ihr Gesicht verändert sehen.
Tagaus, tagein
gehen sie wie das Vieh
von Lager zu Frass,
von Frass zu Lager
und wissen nicht, was geschehen ist,
und nicht, wie es gemeint war.

Ein greller Blitz, die Brüder heulen auf. Die Frau stampft zornig auf.
fährt fort

Darüber müssen sie verachtet werden
und verlacht,
wer zu ihnen gehört
und ist in die Hand eines solchen gegeben.
Aber ich bin nicht in deiner Hand,
hörst du mich, Barak?
Und wenn du ausgegangen warst
und trugest dir selber die Ware zu Markt,
so habe ich meinen Freund empfangen,
einen Fremdling unter den Fremdlingen,
und wenn ich dich weckte aus deinem Schlaf,
so kam ich aus seiner Umarmung!

Blitz, die Brüder heulen auf.

Hörst du mich, Barak?
Schweige doch diese,
damit du mich verstehen kannst!
Ich will nicht, dass du ein Gelächter sein müssest
unter den Deinen,
sondern du sollst wissen!
Dies alles tat ich hier im Hause
drei Tage lang:
aber die Freude war mir vergällt,
denn ich musste dich denken,
wo ich dich hätte vergessen wollen,
und dein Gesicht kam hin,
wo es nichts zu suchen hatte!
Aber es ist mir zugekommen,
wie ich dir entgehe
und dich ausreisse aus mir,
und jetzt weiss ich den Weg!

Barak steht jäh auf, die Brüder taumeln zur Seite.
Frau ohne Furcht.

Abtu' ich von meinem Leibe die Kinder,
die nicht gebornen,
und mein Schoss wird dir nicht fruchtbar
und keinem andern,
sondern ich habe mich gegeben den Winden
und der Nachtluft
und bin hier daheim und wo anders,
und des zum Zeichen
habe ich meinen Schatten verhandelt:
und es sind die Käufer willig,
und der Kaufpreis ist herrlich
und ohnegleichen!

BARAK
in höchster Erregung
Das Weib ist irre,
zündet ein Feuer an,
damit ich ihr Gesicht sehe!

Das Feuer flammt auf.

DIE BRÜDER
Sie wirft keinen Schatten.
Es ist, wie sie redet!
Sie hat ihn verkauft
und abgehalten
die Ungeborenen
von ihrem Leibe!
Der Schatten ist abgefallen von ihr,
und sie ist ohne,
die Verfluchte!

AMME
zur Kaiserin
Auf und hin,
nimm den Schatten,
reiss ihn an dich!
Sie hat es gesprochen
mit wissendem Mund,
so ist es getan!
Und nicht der Sterne Gericht
macht diesen Handel zunicht!

BARAK
furchtbar losbrechend
Hat sie solch eine Hurenstirn
und sieht lieblich darein
und schämt sich nicht?
Heran, ihr Brüder, einen Sack herbei
und hinein von den Steinen,
dass ich dies Weib
ertränke im Fluss
mit meinen Händen!
will auf die Frau los

DIE BRÜDER
hängen sich an Barak
Kein Blut auf deine Hände, mein Bruder!
Auf und jage sie aus dem Hause,
einer Hündin Geschick über sie
in Gosse und Graben!

BARAK
will auf die Frau los; zugleich
Mein Aug' ist verdunkelt,
helft mir, ihr Brüder!
Herbei einen Sack
und Steine hinein,
dass ich sie ertränke
mit meinen Händen!

DIE BRÜDER
hängen sich an ihn; zugleich
Kein Blut auf deine Hände, mein Bruder,
halte dich rein, o unser Vater!

BARAK
zugleich
Helft ihr mir nicht,
tret' ich euch nieder!
Ich hab' es verhängt
in meiner Seele
und will es vollziehen
mit meinen Händen!

Wie er gleichsam zum Schwur die Rechte nach oben reckt, stürzt ihm aus der Luft ein blitzendes Schwert in die Hand. Die Brüder haben vereint kaum die Kraft, ihn zu halten. –

AMME
rückwärts mit der Kaiserin, ihr Auge unverwandt mit dämonischer Lust auf den Vorgang geheftet, zugleich mit Barak und den Brüdern
Wer schreit nach Blut
und hat kein Schwert,
dem wird von uns
die Hand bewehrt!
Und fliesst nur schnell
das dunkle Blut,
wir haben den Schatten,
und uns ist gut!

KAISERIN
reisst sich von ihr los, wendet den Blick nach oben, für sich, aber zugleich mit den andern
Ich will nicht den Schatten:
auf ihm ist Blut,
ich fass' ihn nicht an.
Meine Hände reck' ich
in die Luft,
rein zu bleiben
von Menschenblut!
Sternennamen
ruf' ich an
gegen mich,
diese zu retten,
geschehe, was will!

FRAU
ist in sprachlosem Schreck über die Wirkung ihrer frevelhaften Rede nach links hinübergeflüchtet, allmählich geht in ihr eine ungeheure Veränderung vor; leichenbleich, aber verklärt, mit einem Ausdruck, wie sie ihn nie zuvor gehabt hat, trägt sie sich Barak und dem tödlichen Schwertstreich entgegen; zugleich, stellenweise dominierend
Barak, ich hab' es
nicht getan!
Noch nicht getan!
Höre mich, Barak!
Verräter ward
mein Mund an mir,
zuvor die Seele
die Tat getan!
Muss ich sterben
vor deinem Angesicht,
muss ich sterben,
um was nicht geschah,
o du, den zuvor
ich niemals sah,
mächtiger Barak,
strenger Richter,
hoher Gatte –
Barak, so töte mich,
schnell!

Barak hebt das Schwert, das in seinen Händen funkelt und von dem Blitze ausgehen, die den dunklen Raum – denn das Feuer ist zusammengesunken – zuckend erleuchten.

DIE BRÜDER
hängen sich mit letzter Kraft an ihn; zugleich
Sie werden dich behängen mit Ketten
und dich erschlagen
mit der Schärfe des Schwertes,
erbarme dich unser, o unser Vater!

Indem Barak zum Streich ausholt, erlischt das funkelnde Schwert plötzlich und scheint ihm aus der Hand gewunden – ein dumpfes Dröhnen macht das Gewölbe erzittern, die Erde öffnet sich, und durch die geborstene Seitenmauer tritt der Fluss herein. Indes die Brüder, ihr Leben zu retten, zur Tür hinausflüchten, sieht man Barak und die willenlos vor ihm liegende Frau, aber jedes für sich, versinken.
Die Amme hat die Kaiserin mit sich auf einen erhöhten Platz an der Mauer des Gewölbes emporgerissen und deckt sie mit ihrem Mantel. Man hört aus dem Dunkel, das alles verhüllt, ihre Stimme.

AMME
Übermächte sind im Spiel!
Herzu mir!


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最終更新:2022年08月11日 11:16