"カプリッチョ"

目次



登場人物

  • 伯爵令嬢マドレーヌ(ソプラノ)
  • 伯爵、マドレーヌの兄(バリトン)
  • 作曲家フラマン(テノール)
  • 詩人オリヴィエ(バリトン)
  • 劇場支配人ラ・ロシュ(バス)
  • 女優クレロン(アルト)
  • ムッシュ・トープ(テノール)
  • イタリア人テノール歌手
  • イタリア人ソプラノ歌手
  • 執事長(バス)
  • 八人の召使

  • 時と場所:1775年頃、パリ近郊のロココ風の宮殿

第1場

  • 庭に面したサロン。音楽家フラマン作曲の弦楽六重奏曲が演奏されている。伯爵令嬢マドレーヌはそれに聞き入り、劇場支配人ラ・ロシュは居眠りする中、作曲家のフラマンと詩人のオリヴィエはマドレーヌに見とれ、二人が恋敵であることを確認する。と同時にグルックやピッチーニ、ゴルドーニを引き合いに出して、「音楽か言葉か」というオペラにおける古典的テーマが冒頭から展開する。

第2場

  • 演奏が終わって、伯爵令嬢と伯爵が登場、伯爵は妹のマドレーヌがフラマンとオリヴィエに言い寄られていることを知っていて、どちらを選ぶのか尋ねるが、マドレーヌは選ぶと言うことは失うということと言ってはぐらかす。

第3場

  • 劇場支配人ラ・ロシュが、舞台の準備ができたと伝える。マドレーヌの誕生日を祝うために、オリヴィエが書いた戯曲を上演することになっているのだ。

第4場

  • 女優のクレロンがやって来る。伯爵はクレロンとの共演を楽しみにしていて、出来上がったばかりのオリヴィエのソネットを早速二人で朗読する。

第5場

  • オリヴィエは自分のソネットにフラマンが曲をつけるのではないかと不安になる。マドレーヌと二人きりになったオリヴィエは自分の思いをマドレーヌにぶつけるが、マドレーヌは冷静さを崩さない。

第6場

  • オリヴィエのソネットにフラマンが作曲すると、マドレーヌは詩と音楽がひとつになったと喜ぶが、オリヴィエは自分の詩の韻律が無茶苦茶になったと憤慨する。

第7場

  • オリヴィエが去って、今度はフラマンとマドレーヌの二人きりになる。フラマンは図書室でマドレーヌを見た時に愛が生れたと、想いを語る。ここでパスカルの箴言が引用される。
    (1幕のオペラだが、ここで休憩が入る場合もある)

第8場

  • 舞台から伯爵が稽古を終えて戻って来る。クレロンを絶賛する伯爵に、マドレーヌは、二人から愛を告白された自分の立場はもっと深刻と言う。伯爵にどうするのか尋ねられたマドレーヌは、思わず「オペラがひとつとか」と答え、伯爵は「私の妹はミューズだ」と言う。

第9場

  • 舞台での稽古を終えて、劇場支配人ラ・ロシュ、オリヴィエ、クレロンが戻って来る。一同、ココアを飲みながら、ダンスを見る。この間の会話でオリヴィエとクレロンがかつていい仲だったことが分かる。ダンスが終わると、再び音楽と言葉をめぐる芸術論争が始まる。
  • 次にイタリア人のテノール歌手とソプラノ歌手による二重唱が歌われ、伯爵令嬢の誕生日を祝う趣向が劇場支配人ラ・ロシュより発表される。「女神アテネの誕生」は大笑いを引き起こし(笑いのアンサンブル)、次の「カルタゴの滅亡」にオリヴィエとフラマンは、ラ・ロシュの演出を時代遅れだと罵倒し始める(口論のアンサンブル)。伯爵令嬢マドレーヌはラ・ロシュが傷つくのではと心配になるが、女優のクレロンは大丈夫と言う。そしてラ・ロシュは、自分がどれほど舞台に貢献してきたかの大演説をぶつ。
  • 我々と同じような生身の人間を描いた作品がほしいというラ・ロシュに、伯爵は、今、自分たちがしている論争をオペラにしたらいいと提案し、この思いつきに一同賛成する。

第10場

  • 伯爵令嬢ひとりを残して、皆、パリに戻る。伯爵もクレロンを送って行く。

第11場

  • 八人の召使がサロンを片づけながら、客たちの噂話をする。

第12場

  • 執事長が灯りを付けているところへ、ひとりの男が現れる。それはムッシュ・トープ(もぐら)というプロンプターで、劇場で寝てしまい、置き去りにされてしまった。執事長は便宜を図る。

第13場

  • 月あかりの中、伯爵令嬢マドレーヌが戻ると、執事長が詩人オリヴィエからの伝言を伝える。明日の11時に図書室で待つとのこと。それはマドレーヌが作曲家フラマンと約束したのと同じ時間と場所だ。マドレーヌはそこに運命を感じる。

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@ Aiko Oshio
最終更新:2021年07月03日 08:55