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"ルル"

目次

プレヒストリー

  • ある夜、街で財布を掏ろうとした女の子(ルル)をつかまえたシェーン博士は、すぐ警察へ突き出そうと思ったが、思うところがあり、そのまま自分の家に連れて帰った。知り合いの女に預けて、礼儀作法を身に付けさせ、ダンスの練習をさせてみると、その子はめきめきと上達した。しばらくして、シェーンは、その子をミニョン(ゲーテの『ヴィルヘルムマイスター』に登場する美少女の名前)と名付け、自分の家に迎え入れた。新聞社の社長となっていた彼の家には、妻と息子のアルヴァが住んでいたが、妻はずっと病気で寝たきりで、アルヴァはルルとほぼ同い年だった。それから数年間、ルルとアルヴァは兄妹のように育てられた。
  • 成長するにつれ、ルルは、ますます妖しい魅力を放つようになり、シェーンと関係を持ったが、昔、貧しい暮らしをしていた頃に出会ったシゴルヒといういかがわしい男にも、ひそかに会っているようだった。
  • 病弱だったシェーンの妻が死ぬと、ルルは自分がシェーンの後妻になれると期待したが、シェーンは、危ない橋をいくつも渡って来た一方で、市民社会の規範を超えようとしない男であり、名誉ある市民として平和な余生を送ろうとしていた。彼は高級官僚の娘と交際を始め、ルルには、資産家だが年寄りの医科部長(医事顧問官)ゴル博士との結婚を仕組んだ。
  • 若くして孫ほども年齢の違う老人と結婚させられたルルは、満たされない毎日を送っていたが、シェーンとの関係は相変わらず続いていた。

プロローグ

  • 舞台をサーカス小屋に見立てた「猛獣使い」が、観客に登場人物達を「動物」として紹介する。シェーン博士は「虎」、オペラ作曲家アルバン・ベルクの分身であるアルヴァは「アートをかじっている猿」、ルルは「禍をもたらすヘビ(旧約聖書のイメージ)」として紹介される。

第1幕

第1場

  • 医科部長の家に、アルヴァがシェーン博士を呼びにやって来る。シェーン博士は、ピエロに扮したルルの絵を描く画家を見守っている。シェーンとアルヴァがいなくなると、ルルの魅力に幻惑された画家は、興奮してルルに迫り、ルルは逃げ回るが、ついに捕まってしまう。
  • その時、医科部長が帰って来て、二人はあわてふためくが、医科部長は心臓発作を起こして、その場に倒れて死んでしまう。驚いた画家は、医科部長に呼びかけるが返事は無い。
  • 画家は、ルルとの会話から、勝手にルルのことを処女だと思い込む。しかし、一方で自分を待ち受けている運命を予感し、「あんたと代わりたいよ」と医科部長に呼びかける。

第2場

  • 画家の屋敷のロビー。あの一件以来、画家の絵は飛ぶような高値で売れ、画家とルルは結婚している。ところが、無邪気な画家は、その背後にシェーンの工作があることには、まるで考えが及ばない。
  • ルルは、シェーンと高級官僚の娘がついに婚約したとの手紙を見てショックを受ける。画家がアトリエに行くと、入れ替わりにシゴルヒが入って来る。グラスを交わしながら、ルルは彼に不満をぶちまける。・・・誰も私をルルとは呼ばず、自分勝手な名前で呼ぶ。画家にとっても自分は「動物」でしかない。
  • 続いてシェーンがやって来る。彼はルルに、「私の婚約の邪魔をしないでくれ」と頼み、「若いご主人と結婚させてやったじゃないか」と言うが、ルルは逆に、私の「主人」はあなたよ、と訴える。
  • 口論が続き、驚いた画家が出て来ると、シェーンはルルを部屋に下がらせ、画家にこれまでの経緯を説明する。何も知らなかった画家は、ルルから聞いた話が全てウソだったことにショックを受け、部屋に引っ込むと頸動脈を切って自殺してしまう。
  • 途端に玄関のベルが鳴るので、シェーンとルルはびっくりするが、飛び込んできたのはアルヴァ。パリで革命が勃発したので新聞社に戻るよう伝えに来たのだが、彼も画家の自殺を見て仰天する。
  • いったんは、これで世間体丸つぶれだと思っていたシェーンだったが、パリの革命騒ぎに乗じれば、この場を乗り切れるということに気付く。

第3場

  • 劇場の楽屋。ルルはこの劇場の踊り子になっているが、これは相変わらずシェーンの差し金であり、ルルを多くの観衆の目にさらせば、誰か金持ちが言い寄って来るだろうという魂胆である。案の定、すでに「王子」と呼ばれる男が結婚を申し込んで来ているが、彼はルルをアフリカに連れて行こうとしている。
  • 劇場付きの音楽家アルヴァは、ルルを舞台に送り出した後、楽屋に訪ねて来た「王子」と会話している。ところが、突然ベルの音が鳴り、衣裳係や支配人に付き添われたルルが舞台から引き返して来る。シェーン博士が婚約者と一緒にいるのを見つけた彼女は、気を失ったふりをして演技を中断したのである。
  • シェーンが駆け込んで来ると、二人の雰囲気を察して、ルルとシェーン以外は楽屋から出て行く。シェーンはルルに演技を中断したことを難詰するが、ルルから「王子は私をアフリカに連れて行こうとしている」と聞くと突然取り乱す。実は別れる気持ちがないことを見透かされたシェーンは、いったんは出て行こうとするものの、ついには婚約者への婚約破棄を口述筆記させられてしまう。シェーンは自分の悲惨な死を予感する。

第2幕

第1場

  • シェーンの屋敷。ルルは、かねての望み通りシェーンと結婚している。ルルは上機嫌だが、シェーンは、ルルが自分の留守中に相変わらずいかがわしい連中と付き合っていることに感付いている。市民的な平和な晩年を望んでいた彼は、すっかり精神に変調を来している。
  • 今日も、ルルを崇拝するレズビアンのゲシュヴィッツ伯爵令嬢が来ていて、ルルを男装のコスプレ・パーティーに誘う。ルルは、そのような趣味が無いので、やんわりと断るが、シェーンはますます頭が混乱する。
  • ゲシュヴィッツもシェーンも行ってしまうと、新たな3人組、シゴルヒ、軽業師ロドリーゴ、中学生(ギムナジスト)がやって来る。シゴルヒとロドリーゴは、いつもシェーンの留守中には、この屋敷を我が物顔で占領しているのだが、今日は、警察署長の息子である「中学生」も、ルルを崇拝するあまり、シゴルヒを買収して、この屋敷に入って来たのである。
  • やがて、給仕の男がシェーンの帰宅を告げたため、一同はあわてて身を隠すが、やって来たのはアルヴァ。アルヴァも、ルルの魅力に抗しきれず、かねてからの愛を告白し、ルルの手に唇を押し付けると、こっそり帰宅してカーテンの陰から部屋の出来事を見ていたシェーンは「俺の息子まで!」と愕然とする。
  • シェーンは、部屋にロドリーゴがいることにも気付き、拳銃を向ける。そして、ついに我慢し切れずに姿を現わすと、アルヴァを追い出し、家の捜索を始める。部屋に忍びこんで来ていたゲシュヴィッツを発見し、隣室に鍵をかけて閉じ込める。
  • 疑惑のあまり異常な精神状態になってしまった彼は、いずれ自分はルルの愛人に殺されるだろうとの想いに取り憑かれ、ルルに拳銃を持たせて、自殺を強要する。抵抗していたルルは、中学生が飛び出して来たので、その物音に振り返ったシェーンの背中に拳銃を発射する。
  • シェーンは、アルヴァの名を呼びながら倒れ、あわてて引き返して来たアルヴァと中学生に運ばれ、隣室に連れられて行く。彼は「神よ、神よ」とうめいていたが、隣室から出て来たのは、彼の価値観からは悪魔的な存在であるゲシュヴィッツであったため、最期の言葉は「悪魔だ」になってしまう。
  • ルルはアルヴァに、自分を警察に引き渡さないよう訴えるが、すぐに警察が踏み込んで来て、ルルは逮捕される。
  • (舞台転換)
  • ルルの逮捕、裁判、投獄、救出が、無声映画により示される。これは全曲の中心に当たっており、これを境に、ルルの運命は上昇から転落に転じる。その象徴として、舞台転換の音楽は、前半部と後半部がシンメトリカルに構成されている。無声映画もまた、それに対応して、シンメトリカルに制作することが指示されている。

第2場

  • 第1場と同じシェーンの屋敷だが、カーテンが閉められていて真っ暗である。ルル救出計画の首謀者であるゲシュヴィッツと、アルヴァ、ロドリーゴが部屋にいる。ルルの懇願にほだされたゲシュヴィッツは、これからルルの身代りになって入獄しようとしている。アルヴァ、ロドリーゴは、脱獄したルルをパリに連れて行く計画であったが、ロドリーゴが今になって一緒に行かないと言い始めるので言い争いになる。
  • やがて、シゴルヒがやって来ると、彼とゲシュヴィッツはルルのもとへと向かう。残されたアルヴァとロドリーゴの所に、少年院を脱走した中学生がやって来るが、アルヴァは彼を追い払う。
  • ルルがシゴルヒに抱きかかえられながら部屋に入って来ると、その衰弱した様子に仰天したロドリーゴは、こんな状態のルルがパリでサーカスの舞台に立つことはできないと考え、警察にタレこむと言い残して、出て行ってしまう。久しぶりに刑務所の外に出たルルは感極まって「ああ、自由!」と絶叫する。
  • シゴルヒがパリに向かう列車の乗車券を取りに行くと、ルルとアルヴァは二人きりになる。アルヴァは、シェーンの新聞社を売却した金は持っているが、音楽の仕事はやめてしまっており、もはやルルと一緒に逃亡の道をたどるしかない。彼は、ルルの両脚を撫でさすりながら、ルルの体を音楽に例える倒錯的なアリアを歌う。

第3幕

第1場

  • パリのサロン。登場人物は、ルル、アルヴァ、ゲシュヴィッツ、ロドリーゴ。それ以外にも、侯爵、銀行家、新聞記者、女流工芸家、15歳の少女、その母親と雑多である。彼ら一同が大騒ぎをしているのは、バブル景気で「ユングフラウ株」が途方も無い高値を付けているからである。アルヴァとルルも同様に浮かれているが、実は、持っているのは株券だけで、現金は全て失っている。
  • 「侯爵」という人物は、実は、上流階級の子女をカイロに連れて行き、高級娼婦に仕立て上げる人身売買を裏稼業としている男である。彼は、目ざとくルルの窮状を見抜き、カイロに行くことを要求する。さもないと、シェーン博士殺しの女として警察に訴えると脅迫するが、ルルは、そんな仕事はできないときっぱり断る。
  • その一方では、ロドリーゴもまたルルを脅して、金をせびる。どうしようもなくなったルルは、登場したシゴルヒに泣き崩れるが、ロドリーゴが「貴族」ゲシュヴィッツに興味を持っていることを知ったルルは、一計を案じる。登場したゲシュヴィッツに、ルルは、ロドリーゴと一緒にホテルに行くように頼む。そのホテルの一室は、実はシゴルヒの部屋であり、シゴルヒはそこでロドリーゴを「始末」する段取りになっている。ルルが自分を利用しているに過ぎないことを知っているゲシュヴィッツだったが、ルルの懇願にほだされ、またもその願いを受け入れる。
  • ロドリーゴとゲシュヴィッツが出て行くと、再び舞台に出てきた「銀行家」などの一同は、株が大暴落し、自分達が一文無しになったことに気付く。彼らは大混乱のうちに、アンサンブルを歌う。「あんなたくさんの金が一体どこへ行ってしまったんだ・・・?」
  • ルルは、気付かれないように、サロンの「ボーイ長」と服を交換すると、アルヴァと一緒に逃走する。警察が踏み込んで来て、ルルを逮捕しようとするが、それは、ルルの格好をしたボーイ長である。

第2場

  • ルル、アルヴァ、シゴルヒは落ちぶれてロンドンのスラム街の屋根裏に住んでいる。侯爵からルルを経由して「病気」を移されたアルヴァは、働きに行くこともできない。ルルは、娼婦として客引きに行く。これから出て来るルルの「3人の客」は、「教授」「アフリカの王子」「切り裂きジャック」であり、それぞれ第1幕の「医科部長」「画家」「シェーン」に対応し、同じ歌手が演じることになっている。
  • 最初の客「教授」が帰った後で、ゲシュヴィッツが登場するが、彼女は「ルルの絵」を部屋に持ち込む。それを見た一同は、昔を懐かしむ。アルヴァは「この絵を見ると、なぜぼくがこんな運命に陥ったか理解できるんだ・・・。この絵を見て、市民生活の足元にぐらつきを感じない奴がいるものか?」と歌うが、ルルは、制止するアルヴァを振り切って、次の客をつかまえに出て行ってしまう。
  • 2番目の客である「アフリカの王子」がやって来ると、たまりかねたアルヴァは彼に飛びかかるが、一撃のもとに殴り殺されてしまう。ルルが出て行くと、シゴルヒはアルヴァの死体を押し入れに入れて、ゲシュヴィッツと入れ替わりに部屋を出て行ってしまう。
  • ゲシュヴィッツは、全てに絶望して、ルルの部屋でピストル自殺を図ろうとする。だが、死ぬことができない。「私が血の海に横たわっているのを見たって、あの人は涙一つ流してくれないわ・・・」
  • うずくまっている彼女を横目に、ルルが新しい男を連れて入って来る。二人が別室に消えると、やがて、ルルの死の叫びが響く。「切り裂きジャック」は、ゲシュヴィッツをもナイフで刺し、「お前ももうすぐおしまいだ!」と捨て台詞を残して部屋を出て行く。虫の息のゲシュヴィッツは「ルル!私の天使・・・!」と最後のアリアを歌いながら死んでいく。


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@ wagnerianchan



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