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"神々の黄昏"

目次


  • 『神々の黄昏』の「あらすじ」を作ってみました。簡潔にしようと思いつつも、外面的な出来事を追うだけでは理解しにくい点が多いので、かなり長くなってしまいました。それでも、『指輪』全体のストーリーを知らないと、きっとわかりにくいですね。(ワーグナーが、どんどん物語の過去を遡っていった理由が、良く分かります。)
  • また、それほど極端ではないと思いますが、私独自の解釈をしている部分が若干あるかも知れません。なにせ、多義的な「神話」が素材になっていますので、そのあたりはご容赦ください。

序幕

  • 3人のノルン
    舞台は『ジークフリート第3幕』の終結部と同じ「ブリュンヒルデの岩山」だが、『ジークフリート』の「真昼」に対し、『黄昏』の始まりは夜である。エルダの娘である「3人のノルン」が「運命の綱」を編みながら、この物語の過去・現在・未来を歌う。
    最年長の第1のノルンは「過去」を物語る。「昔は、世界の中心に『世界樹(世界のトネリコ)』があったが、神々の長であるヴォータンが、槍を造るために世界樹を傷つけてからというもの、その傷がもとで森は枯れ、泉も涸れ果ててしまった。」
    それを受けて、第2のノルンは「その槍もジークフリートに真っ二つに折られたため、ヴォータンは世界樹を切り倒させた」と「現状」を歌う。
    最年少の第3のノルンは、その世界樹の薪がヴァルハラを炎上させる「未来」を幻視するが、やがて綱は切れ、もはや綱を編むことができないことに絶望したノルン達は、舞台から去って行く。
  • ジークフリートとブリュンヒルデ
    夜が明けると、ジークフリートとブリュンヒルデが部屋から出て来る。二人は、幸せな生活を楽しんでいたが、冒険心を抑えられないジークフリートは、新たな旅に出て行こうとしている。別れを悲しみつつも彼を送り出すブリュンヒルデに、ジークフリートは二人の愛のしるしとして「ニーベルングの指輪」を手渡す。「ぼくは、この指輪をあげるよ。そこには、ぼくが昔成し遂げたことの幸(さち)がいっぱいつまっているのさ。(中略)さあ、指輪の力をあなたの手に!ぼくの誠実さを現わす聖なる形見の品として!」
    感激したブリュンヒルデは、指輪をもらう代わりに愛馬グラーネをジークフリートに委ねる。「離れた場所にいても、決して離れてはいない」と、二人は互いの愛を確認しつつ、しばしの別れを告げる。陽気な音楽が、ジークフリートの冒険旅行を描写する。

第1幕

  • 第1場
    ライン河のほとりの領地を治めているギービヒ家の屋敷。ギービヒ家にはグンター、ハーゲンの兄弟と、妹のグートルーネがいるが、ハーゲンは、ニーベルング族のアルベリヒが兄妹の母親との間に作った息子であり、そのため格下の扱いを受けている。
    しかし、グンターは虚弱な当主であり、何事につけても有能なハーゲンを頼りにしているため、ギービヒ家を実質的に取り仕切っているのはハーゲンである。彼は、アルベリヒから吹きこまれた世界支配の欲望に取り憑かれ、「陽気な奴ら」への復讐心を胸に秘めつつも、表向きは実直に兄グンターに仕えている。
    グンターの「我が家の繁栄にとって何か欠けているものはないか?」との問いに、ハーゲンは「グンターよ。あなたには妻がいない。グートルーネ。お前には夫がいない」と兄妹にとって痛いところを突く。「何とかならないのか?」とのグンターの問いに、ハーゲンは世界一の美女ブリュンヒルデの話を始めるが、彼女の住む岩山は炎に取り囲まれているので、最強の勇者ジークフリートしか近付くことができない。「それなら、どうにもならないではないか」とふくれるグンターに、ハーゲンは「グートルーネにジークフリートを魅了させればジークフリートは意のままだ」と答える。今度はグートルーネが「私にそんな力はない」と怒るが、ハーゲンは、「私の作った忘れ薬を飲ませれば、ジークフリートはこれまで出会った女のことなど忘れてしまうはずだ」と悪巧みを提案する。
    グンターが、その策略を喜んで受け入れると、ジークフリートがライン川を下ってやって来る。
  • 第2場
    喧嘩っ早いジークフリートは「一戦交えるか?」とグンターに迫るが、グンターは友好関係を結ぼうと申し入れる。ハーゲンは、ジークフリートに、ニーベルングの宝と指輪について尋ねるが、彼は宝については全く無関心で、指輪のほうはブリュンヒルデに預けていることが分かる。
    グートルーネが、作戦通り「忘れ薬」の入った盃を持って現れると、ジークフリートは「ブリュンヒルデへの愛のために」この盃を飲むと、遠くにいるブリュンヒルデに語りかける。
    しかし、飲み干すが早いか、忘れ薬の効果はてきめんで、ジークフリートは一瞬にしてグートルーネへの恋情にとらえられ、彼女を妻にしたいとグンターに申し入れる。その代わり、ジークフリートは、グンターに成り代わって「炎が取り巻く岩山にいるブリュンヒルデ」を手に入れに行くと約束する。途中、ジークフリートの記憶は戻りそうになるが、忘れ薬の作用により思い出せない。
    グンターとジークフリートは、義兄弟の契りを交わすため、それぞれの血を盃の中に入れ、その酒を飲み干す。短気なジークフリートは、すぐにグンターを連れて、ライン川をさかのぼって、ブリュンヒルデの岩山へと向かう。
    ギービヒ家の見張りとして一人残ったハーゲンは、二人が陰謀通りに動いていることに満足し、ジークフリートとグンターを嘲弄する歌を、憎しみを込めて歌う。
  • 第3場
    やや長い間奏曲のあと、舞台は再び、プロローグと同じ「ブリュンヒルデの岩山」に戻る。ブリュンヒルデが指輪を見つめながら、ジークフリートへの想いに浸っていると、雷雲が近付いてくる。
    それがヴァルキューレの四女ヴァルトラウテであることに気付いたブリュンヒルデは、妹が神々の世界から自分を訪ねて来たことに喜び、彼女を迎え入れると、ジークフリートと結ばれた幸せを歌う。
    しかし、ヴァルトラウテの答えが冷淡で、しかもひどく取り乱していることにようやく気付いたブリュンヒルデが、彼女に説明を促すと、ヴァルトラウテはヴァルハラとヴォータンの悲惨な状態について話し始める。世界樹の薪をヴァルハラの周りに積んだまま沈黙しているヴォータンの膝もとを、ヴァルキューレ達が泣きながら取り巻いた時、ヴォータンは「ブリュンヒルデが指輪をラインの乙女達に返してくれれば、神も世界も救われるのに」と心情を吐露した。その言葉を聞いたヴァルトラウテは、こっそりとその場を出て、急いでブリュンヒルデのもとにやってきたのである。
    ヴァルトラウテは「その指輪を捨てて!」とブリュンヒルデに哀訴するが、ブリュンヒルデには、ジークフリートの愛の形見である指輪を捨てることはできない。「愛を、私は捨てはしない。誰も私から愛を奪えない。たとえ、壮麗に輝くヴァルハラが瓦礫と化してしまおうとも!」・・・。この言葉に絶望したヴァルトラウテは、泣く泣くヴァルハラへと帰って行く。
    ブリュンヒルデが、岩山を取り巻く炎を見ると、炎の合い間から誰かがやって来る。「ジークフリートね!」と喜んで迎えに行くが、現れたのは別の男なので、彼女は驚愕する。それは、隠れ頭巾でグンターの姿をしたジークフリートなのだが、声も作り声なので、彼女には分からない。彼女は「指輪がある限り、私には触れることができない」と男に叫ぶが、取っ組み合いを演じた挙句、指輪を奪われてしまう。男に寝室で自分を待つよう命じられ、ブリュンヒルデは絶望して姿を消す。
    地声に戻ったジークフリートは、自分の剣ノートゥングを彼女との間に置き、彼女には触れないことを誓い、幕が閉じられる。

第2幕

  • 第1場
    ギービヒ家の屋敷の前の野外。夜。ハーゲンが見張りをしながら眠っていると、彼の父アルベリヒが現れる。その姿は亡霊なのか、それともハーゲンの夢の中の出来事なのか判然としない。アルベリヒはハーゲンに「指輪を奪えそうか?」と尋ねるが、ハーゲンの答えは「ジークフリートは、とうに俺の意のままに、破滅への道を歩んでいる。俺は、自分のためにこの仕事を遂行しているのだ。」アルベリヒは「忠実に」としつこく繰り返し、ゆっくりと姿を消す。
  • 第2場
    夜が明け染めると、突如ハーゲンの前に、ジークフリートが現れる。彼はブリュンヒルデの岩山を降りたところでグンターと入れ替わり、ブリュンヒルデとグンターに先立って、ギービヒ家に戻ってきたのである。出迎えたグートルーネは、ブリュンヒルデとの間に何も無かったのかと質問するが、ジークフリートはノートゥングを彼女との間に置いて寝たことを説明し、二人で手を取り合って退場する。
  • 第3場
    舞台に一人残されたハーゲンは、ホルンを吹き鳴らし、ギービヒ家の軍勢を緊急に呼び集める。武装した兵士達は、あわてふためきやって来るが、敵の来襲かと思いきや、グンターの結婚式だと聞くと、拍子抜けして大爆笑する。しかし、ハーゲンは、真面目くさった顔のまま、腹心の部下達に「ブリュンヒルデに何か起こったら、すかさず報復するのだ」と言い含める。
  • 第4場
    グンターとブリュンヒルデが岸に上陸すると、兵士たちは「婚礼の合唱」を歌うが、ブリュンヒルデは屈辱にまみれて、うなだれたままである。だが、グンターが、この場で二組の結婚式が行われることを宣言し、ジークフリートの名を口に出すと、ブリュンヒルデはジークフリートの姿を認め、驚きのあまり彼をじっと見つめる。
    陽気な音楽は凍りついたように断ち切られ、兵士達は「花嫁は正気なのか?」とささやく。ブリュンヒルデは、ジークフリートに「私がわからないの?」と問いかけるが、彼女のことを忘れてしまっている彼には、もとより分からない。
    しかし、ジークフリートの指に、昨夜奪われた指輪を発見した時、彼女は、昨日の男が変装したジークフリートだったことに気付き、激高して、兵士達や女性達の衆人環視の中で、ジークフリートが自分と関係を持ったと訴える。その言葉を受けたハーゲンは「ジークフリートは約束を破ったなら罪を償わねばならぬ」と人々を煽りたて、グンターは、どうしていいかわからずおろおろしている。
    グートルーネもまたジークフリートに潔白を証明するよう促すと、ジークフリートは「ブリュンヒルデには触れなかった」との誓約を立てる。この際、ハーゲンの槍に対して誓いが立てられるので、ハーゲンは、ジークフリートの誓いが偽りと判明した暁には、彼を槍で殺す権利を得る。
    一方、ブリュンヒルデは、憤りのあまりハーゲンの槍を奪い、彼の誓いは全部嘘だと主張するので、一同は大混乱に陥る。ジークフリートはグンターに近付き、「どうも隠れ頭巾は、ぼくを十分に隠しきれなかったようだ」と小声で語りつつも「なあに、女の怒りなんかすぐに収まるさ」と楽観的な見通しを示しつつ、魅力的な姿と言葉で周囲の男女を笑わせつつ、彼らとグートルーネを引き連れ、その場を去って行く。
  • 第5場
    後に残されたのは、ブリュンヒルデ、グンター、ハーゲンの3人。ブリュンヒルデは、「ここにはどんな妖怪の悪巧みが潜んでいるの?」と歌うが、その「妖怪」が目の前にいるハーゲンだとは気が付かない。逆に、ハーゲンにうまくのせられてしまい、ジークフリートの弱点は背中だと教えてしまう。ブリュンヒルデは、ジークフリートが忘れ薬を飲まされているとは露知らず、彼女を裏切ったジークフリートに、殺意を感じるほどの強い憎しみを抱いているのである。
    喜んだハーゲンは、グンターにジークフリートの殺害を進言する。グンターは初め身ぶるいするが、そこにブリュンヒルデも参加し、ジークフリートの死を願う三重唱となる。グンターとブリュンヒルデはヴォータンに、ハーゲンはアルベリヒに、それぞれジークフリートの死を誓い、幕が降りる。

第3幕

  • 第1場
    ライン川の岸辺に、ラインの娘達が現れる。序夜『ラインの黄金』以来、久々に登場した彼女達が、相変わらず「ラインの黄金」が奪われた嘆きを歌っていると、ジークフリートがやって来る。
    ラインの娘達は、ジークフリートに「狩の獲物を与える代わりに指輪がほしい」と提案する。ジークフリートは、そんな取引では釣り合わないと、いったんは拒否するが、ラインの娘達が去って行くと、気が変わり、彼女達を呼び戻す。
    しかし、戻って来た彼女らが、指輪に込められている呪いについて語り、指輪のせいで彼は今日にも殺される運命だと伝えると、ジークフリートは「そんな脅迫を恐れるものか」とばかりに、再び指輪を渡すのを拒否する。
    ラインの娘達は「ブリュンヒルデが最高の宝物なのに、このバカ者はそれに気がつかないでいる」と歌い、ライン川の中に消えて行く。
  • 第2場
    ジークフリートを追いかけて、グンター、ハーゲン、ギービヒ家の男達が谷底に降りて来る。狩りの一休みの酒宴となり、ハーゲンは、暗く沈んでいるグンターを励ますためにジークフリートに昔の武勇伝を物語るよう依頼する。ジークフリートは『ジークフリート』の物語を振り返り、さらには「森の小鳥の歌」を思い出しながら歌う。
    ハーゲンが「もっと良く思い出せるように」と「忘れ薬」の効果を解除する酒を彼に手渡すと、初めて完全に記憶を取り戻したジークフリートは「ぼくはブリュンヒルデの岩山に辿り着き、熱い口づけで目を覚ました。すると、ブリュンヒルデの腕がぼくに巻き付いて来たんだ!」と歌う。
    その発言によって「ブリュンヒルデと関係を持たなかった」との誓いが偽りだとの証拠を得たハーゲンは、すかさずジークフリートの背中に槍を突き立てる。ジークフリートは、いまわの際に「聖なる花嫁よ・・・」と、ブリュンヒルデとの愛を追憶しながら、息絶える。ハーゲンは「私は偽りの誓いを罰したまでだ!」と手続き的正当性を主張しながら去って行く。悲しみに打ちひしがれたギービヒ家の人々とグンターは「ジークフリートの葬送行進曲」が響く中、ジークフリートの遺骸を屋敷へと運んで行く。
  • 第3場
    ギービヒ家の屋敷では、グートルーネが、ジークフリートが深夜になっても帰宅しないことに不安を募らせている。ブリュンヒルデが自室にいないことに気付いたグートルーネはますます不安になる。
    そこに、ハーゲンが角笛を吹きながらやって来ると、男達がジークフリートの遺骸を運んで現れる。グートルーネが絶望の叫び声を上げ、グンターが慰めようとするが、彼女はグンターがジークフリートを殺したのだろうと責める。グンターが「殺したのはハーゲンだ」と言うと、ハーゲンは、突如として本性をむき出しにし、指輪の権利を主張し始める。グンターがこれを拒否すると、剣の争いとなり、ハーゲンはグンターを突き殺す。ハーゲンは、そのままジークフリートの遺骸に突進し、指輪を抜き取ろうとするが、その時、死んだはずのジークフリートの腕が高く持ち上げられる。
    誰もが、この有り得ない事態に恐怖して身動きできずにいると、ブリュンヒルデが現れる。グートルーネは、ブリュンヒルデもジークフリートの殺害に加担したはずだとなじる。しかし、ブリュンヒルデが本当の妻は自分だと語ると、ハーゲンに騙されていたことに気付いたグートルーネは、恥ずかしさのあまり、その場にうずくまる。
    ブリュンヒルデも、ジークフリートはハーゲンに忘れ薬を飲まされていただけで、実際には何の罪も無かったのに殺されたことに気が付く。彼女は、耐え難い悲しみにとらえられながらも、それを振り切るように、ギービヒ家の男達に、ライン川のほとりに薪を積み上げることを命じ、物語をしめくくる長い独唱を歌う。
    無実のジークフリートがなぜ殺されねばならなかったのか?彼女は、ジークフリートの遺体から目を上げ、天にあるヴァルハラに歌いかける。「ああ、あなたたち!永遠の誓いの証人たち!燃え上がるあたしの苦悩に目を向け、永遠に消えない自分達の罪を悟りなさい!」
    それは『ラインの黄金』に始まるヴォータンをはじめとする神々の罪にほかならない。その罪を認識した今、彼女の役割は指輪をラインの娘達に返し、「神々の終末」を実現することである。父ヴォータンに「もう休んでいいのよ」と別れを告げると、彼女は薪の山に火を付け、自らは指輪をつけたまま、愛馬グラーネにまたがって、その炎の中に飛び込んでいく。
    炎は激しく燃え盛るが、その輝きが突然消えると、ライン川の水が洪水のようになって押し寄せて来る。その中には、ラインの娘達がいるので、驚いたハーゲンは指輪を奪われまいと水中に飛び込む。だが、ラインの娘達は、ハーゲンを水底深く沈め、炎に清められた指輪を手に入れ、それを高くかざす。
    炎は今や天上のヴァルハラに燃え移り、神々の姿は炎に隠されて行く。「神々の世界」の崩壊は、しかし「新しい世界」の始まりである。音楽はそのことを暗示し、『ヴァルキューレ』第2幕でジークリンデが体内に新しい生命(ジークフリート)が宿ったことに歓喜して歌うモティーフを何度も繰り返しながら、幕を閉じる。


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@ wagnerianchan



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