対訳
登場人物
- ヘレナ:絶世の美女(ソプラノ)
- メネラス:スパルタ王でヘレナの夫(テノール)
- アイトラ:海神ポセイドンの愛人(ソプラノ)
- アルタイル:アトラス山麓の遊牧民の首領(バリトン)
- ダ・ウド:アルタイルの息子(テノール)
- 全知の貝殻:アイトラのニュースソース(メゾソプラノ)
- ヘルミオーネ:ヘレナとメネラスの娘(ソプラノ)
あらすじ
- 「エジプトのヘレナ」はオッフェンバックの「美しきエレーヌ」を意識して作られている。
- 初め、シュトラウスとホフマンスタールはオッフェンバックのオペレッタのような軽い作品を作りたいと思っていたが、ヘレナとメネラスの愛憎を、いわゆる夫婦間の問題に重ね合わせたため、初めに思っていたより真面目なオペラになってしまった。
- オッフェンバックの「美しきエレーヌ」では、トロイアのプリアムス家の王子パリスが、スパルタ王メネラスの妻で絶世の美女エレーヌ(ドイツ語ではヘレナ)を誘惑し、メネラスがその復讐にトロイアに向かうところで幕となる。
- それによって始まったトロイア戦争は約10年続き、メネラスは遂にパリスを討ち、ヘレナを乗せた船は故郷を目指す。「エジプトのヘレナ」はここから始まる。
時と場所
- トロイ戦争(紀元前1193〜1184)直後の、エジプトに近い小さい島、及びアトラス山麓
第1幕 アイトラの宮殿
- アイトラが宮殿の一室で海神ポセイドンの帰りを待ちわびている。(アイトラにはサロメとモルガーナという二人の姉がいて、三姉妹とも魔法が使える。)全知の貝殻は、ポセイドンは遠くにいるからとアイトラを慰め、侍女はアイトラに蓮汁を飲んで心を落ち着けるように勧める。その時、全知の貝殻は、船の中でメネラスがヘレナを殺そうとしていることをキャッチし、それを聞いたアイトラは魔法を使って嵐を起こし、船は座礁する。アイトラは、ヘレナを担いだメネラスを、宮殿に招き入れる。アイトラは美女ヘレナに会えると思うと、嬉しくてたまらない。
- メネラスとヘレナはアイトラの宮殿に辿り着く。ヘレナはすぐにその部屋に落ち着いて、現在のあるがままの状態を受け入れようとするが、メネラスは落ち着かず、過去に囚われヘレナを許すことができないで、またもやヘレナを殺そうとする。アイトラは妖精たちを使ってそれを阻止し、メネラスを追い立て、その間にヘレナを、蓮汁で作った忘却の薬で眠らせて、過去を忘れさせる。
- 戻って来たメネラスは錯乱している。そこでアイトラはメネラスに、トロイアにいたヘレナは幻で、本物のヘレナはここにいると、ヘレナを見せる。(トロイア戦争の原因をつくったヘレナは実はずっとエジプトにいて、トロイアにいたヘレナは幻だったという伝説が以前からあった。ホフマンスタールはその伝説をここで利用したのである。)そのヘレナが故郷に帰りたくないと言うので、アイトラはメネラスとヘレナの二人を、アトラス山の麓に連れて行くことにする。
第2幕 アトラス山の麓
- アフリカ大陸の北西にあるアトラス山麓の天幕で、ヘレナは素直に‘二度目の初夜’と喜んでいる。が、メネラスには忘却の薬は効かず、‘自分がヘレナを殺したのだから、これは自分に与えられたヘレナによく似た女だ’と思い込んでいる。
- アイトラたち三姉妹にアトラス山麓の土地を任されている、遊牧民の首領のアルタイルが、息子のダ・ウドや部下を引き連れ、美女ヘレナに挨拶にやって来る。父も息子も一目見るなりヘレナの虜となる。
- アルタイルはメネラスを狩りに誘う。
- アイトラと侍女が、薬の壜を間違えて入れたと、急いでやって来る。狼狽えているアイトラから、その薬が‘記憶’を呼び起こす薬だと聞き、ヘレナは、今、自分たち夫婦に必要なのは‘過去を忘れる’ことではなくて‘記憶を呼び戻す’ことだと自覚する。
- そこにダ・ウドの死体が運ばれてくる。メネラスは、ダ・ウドの若い一途な恋心にパリスを見、狩りの最中にダ・ウドを斃してしまったのだ。メネラスは、パリスを殺し、妻ヘレナを殺した自分は、今、ダ・ウドの後を追う気でいる。
- 一方、アルタイルは力でヘレナをものにしようと企んでいる。アイトラがその危険を察知し、ポセイドンの助けを借りて、それを防ぐ。
- ヘレナは、記憶を呼び戻す薬をメネラスと一緒に飲み、最後の賭けをする。メネラスは記憶を取り戻し、目の前にいるのが本物のヘレナだと分かる。アイトラが、二人の子供のヘルミオーネを連れて来て、家族三人が故郷を目指すところで幕が下りる。
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エジプトのヘレナとは
- エジプトのヘレナの95%は電波で出来ています。
- エジプトのヘレナの3%は歌で出来ています。
- エジプトのヘレナの1%は白インクで出来ています。
- エジプトのヘレナの1%は記憶で出来ています。
最終更新:2018年12月16日 17:19