"イエスマン"

対訳




訳者より

  • ふと日本で初めて上演されたヴァイルの作品ってなんだったんだろうと思い、ネットで調べたところ、有名な「三文オペラ」とかじゃなくて、「Der Jasager」(イエスマン)(1930年初演、日本での初演は1932年)だったことを知りました。この作品は元ネタが能楽の「谷行」なんで、取り上げられたんじゃないかと思います。能楽が元ネタのオペラというとブリテンの「カリュー・リバー」が有名かと思いますが、ブレヒト/ヴァイルのコンビでもこんな作品を作っていたみたいです。
  • 「谷行」は能楽ではどちらかというとマイナーな作品だったみたいですが、「イエスマン」のおかげで上演される機会も増えたらしく、何年か前にオペラ「イエスマン」と教育劇「イエスマンとノーマン」と能楽「谷行」の並行上演などの試みも行われていたそうです。中国文学研究科でアコーディオン奏者で俳優や作曲もやられている加藤徹教授のホームページに詳細な解説がありました。
  • 1991年にCapriccioから出たCDは持っていたのですが、楽曲が取っつきにくかったのと、リブレットがドイツ語だけで英訳とか付いていなかったのとで、今まで敬遠していました。台本なら岩淵役で「ブレヒト戯曲全集」で読めるからいいかなと思っていたのですが、「戯曲全集」にあるのは「イエスマンとノーマン」になった最終稿で、ヴァイルの音楽には合わない形になっているっぽかったので、改めて訳してみました。原文はCapriccio版のCDについてきたリブレットです。
  • 二幕ものですが、演奏時間が30分くらいの大変短い作品です。参考に「谷行」も、昔は分厚い謡曲全集みたいな本にしか載っていなかったのに、ネットで5分で原文を見つけることができました。ブレヒトが「谷行」を知るきっかけとなったアーサー・ウェイリーによる英訳もネットにありました。ネットの力は本当にすごいと思います。
  • 訳して分かったのはオペラ版の「イエスマン」はウェイリーによる英訳版「谷行」をほとんどそのままドイツ語にしたものだと言うことでした。ウェイリーが意訳した箇所は、そのまま英訳と同様の表現を使い、ウェイリーがバッサリと切り捨てたある意味衝撃のラストもブレヒト版でもカットされているため、かなり陰惨な救いのない結末になっています。始めと中と終わりに繰り返される戯曲のテーマを歌ったコーラスはブレヒトのオリジナルのようです。「戯曲全集」に載っている第三稿もストーリーはほとんど同じですが、少しだけ設定を変えることにより、納得性が高まったんではないかと思います。

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@ hanmyo

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最終更新:2015年07月20日 10:31