"さまよえるオランダ人"

対訳

全曲(動画対訳)

ゼンタのバラード / 二重唱(動画対訳)



登場人物

  • オランダ人(Br)ー 悪魔に呪われたオランダ人の船長。
  • ダーラント(Bs) ー ノルウェー船の船長。
  • ゼンタ(S) - ダーラントの娘。
  • エリック(T) - ゼンタの婚約者。
  • マリー(Ms) - ゼンタの乳母。
  • 舵手(T) - ノルウェー船の乗組員。

あらすじ

  • 作曲・台本:リヒャルト・ヴァーグナー
  • 物語の舞台:18世紀頃*1、ノルウェー。

第一幕

  • ダーラントの船が嵐を逃れてとある入り江に投錨する。見張りを任された船の舵手が疲れて眠り込んでしまうと、さまよえるオランダ人の船がそばにやってくる。船長であるオランダ人は陸に降り立つと、いつまでも救われない運命を嘆く。彼はかつて驕り高ぶって神を冒瀆したために悪魔に呪われ、永遠に死ぬことなく海をさすらう罰を受けていた。七年ごとに陸に降り立った時に、死ぬまで彼に忠誠を尽くすことのできる女性に出会えるならば、呪いは解けるのだが、この望みもこれまでに何度も踏みにじられてきた。いま再び七年がたったが、今度もまた同じように裏切られるだろう。オランダ人はすっかり絶望している。
  • 一休みして甲板に上がってきたダーラントは見知らぬ男を見つけて、声をかける。オランダ人は彼に娘がいることを知ると、いきなり結婚を申し込み、ダーラントは驚きながらも彼が金持ちで気品があるのを見て承諾する。

第二幕

  • ダーラントの家。ダーラントの娘ゼンタは壁に掛けられた「さまよえるオランダ人」の絵に魅了され、自分こそ彼を救う女性と確信する。ゼンタと結婚を約束している狩人のエリックは、このところ彼女が冷たいのを不審に思い、愛情を確かめようとするが、すでに心が離れているゼンタははぐらかす。エリックは彼女がさまよえるオランダ人とともに海へ去っていった夢を見たことを語って不安がるが、その物語はかえって彼女を喜ばせ、エリックは絶望して出て行く。そこへダーラントとともにオランダ人が入ってくる。オランダ人とゼンタは互いにすぐに深い縁を感じ、ゼンタはためらうことなく彼に忠誠を誓った。オランダ人は彼女こそ自分の救い主と確信する。

第三幕

  • ノルウェー船とオランダ船が停泊している湾。ノルウェー船員は陽気に歌い騒ぎ、静まり返っているオランダ船をからかうが、やがてオランダ船員が不気味な歌を歌いだすと震えあがって逃げだしてしまう。エリックは恋人がオランダ人と婚約したことにショックを受け、「きみは僕に永遠の誓いを立てたはず」と言って、過去の愛を思い出してほしいと必死で頼む。これを耳にしたオランダ人は、ゼンタも結局これまでの女性と同じだったと絶望し、ふたたび呪われた航海に出ようとする。するとゼンタは命がけの忠誠を示すため海に身を投げた。彼女の犠牲のためにオランダ人にかかっていた呪いは解け、ゼンタとオランダ人は抱き合いながら昇天していく。

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© Maria Fujioka

ト書きについて

  • ヴァーグナーは生涯にわたってこの作品を改訂する意向を持ち続けたためか、音楽だけでなく、現存する台本も特にト書きにかなりの異同があるようです。今回の訳ではいくつかのバージョンを読み比べ、必要と感じた箇所は修正したり、補ったりさせていただきました。専門的には版が一致しないと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、ある程度ト書きはあったほうが良いと判断してこのようにしています。

訳者より

  • 沈没した船や難破船が海上に現れる現象、幽霊船についての報告は多数あるようだが、その中でも『さまよえるオランダ人』は最も古い伝承だ。さまよえるオランダ人の船を見かけた船乗りは多く、実例についての言及もある。ここではその中の一つを紹介しよう。19世紀末、イングランド王子のジョージが軍人生活を送って航海していた時の話である。

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さまよえるオランダ人とは

  • さまよえるオランダ人の58%は白インクで出来ています。
  • さまよえるオランダ人の20%は魂の炎で出来ています。
  • さまよえるオランダ人の15%は気合で出来ています。
  • さまよえるオランダ人の7%は海水で出来ています。
最終更新:2019年03月30日 11:26

*1 スタンダートオペラ鑑賞ブック 第4巻(音楽之友社)の記載による