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RED・MOON~2つ名狩りの魔女~第7章:戦友(とも)(1)

  {初めに…
 この作品は東風の作品「MELTY KISS」の人狼側からの話です。
 よって、その作品と世界観が同じはずですが、稀に違うところもあるかもしれません。その時は温かい目で見過ごしてください…

 仔細あってこの章は2つに分けることになった~!

 前回までは…
 オリスの命を受け人狼のポポロンを連れフランの元へ向かうアポロは異端警察にも追われながらも旅をしていた。一方、グレーランドの近くの村でエンシャロムとの交信をしているマーブルとヴァン・ホーテンだが、彼らのそばに命令を違反し自由に動くコロンの姿があった。


第七章:戦友(とも)



 アポロとポポロンが目的地周辺まで走ってきた時、ようやくアポロが足を止める。息が上がっているポポロンは膝に手を置き荒く呼吸を整えた。月明かりが今日は明るい。
「……あ、アポロさん。あんた、結構、やっぱり凄いんですね」
 体力には自信があったポポロンだが、隣でまったく汗一つかかず息もあがっていないアポロの様子を見て、驚嘆の声を上げた。
「まったく、未熟者めが! 鍛練が足りないからこんなくらいでまいってしまうんだ」
 こればかりはまったく言い返す言葉がない。「そうっすね」と頷くポポロン。だいたい呼吸が整ってきたポポロンが立ちあがると、アポロはまた進み始める。
 目的の場所はすぐに見えてくる。森が少し切り開けた場所に小屋が建っていた。ノックとすると返答はすぐに帰ってきた。急に外側に開いた扉は、ノックをしたアポロはポポロンの目の前で扉に押しつぶされ消えた。
「ん? 誰だ? お前は。何か用か?」
 中から出てきた左頬に大きな傷のある黒い目をした男が、ポポロンに目を向けて言った。
「あの……ホルンさんですか?」
「いかにも、私がホルン・オルクス・ラングドシャだ。お前は?」
「僕はポポロン・クレヴォと言うものです。アポロさんの付き添いで来ました」
「アポロ? ……うむ。それで、アポロは?」
 ホルンの問いに、ポポロンは扉を指差す。それを辿ってホルンも視線を移し、扉を動かすとアポロが倒れてきた。
「アポロ。久しいな。大丈夫か?」
「……よ、よう。ホルン。だ、大丈夫だ」
 さも久しぶりに友人との再会を喜んでいるように見えた二人であったが、若干ホルンの顔が曇っていることにポポロンは感じ取っていた。


 小屋の中は奇麗なものであった。片付けられた室内に、ランプが明るく照らしていた。奇麗なキッチンにテーブル。暖炉など生活感溢れる場所である。
 アポロとポポロンは椅子に腰かけ、ホルンが出したお茶を飲んでいた。ホルンはテーブル越しの椅子に腰を下ろし、アポロと世間話を楽しんだ。
 ホルンとアポロ、加えてマーブルとガルボは旧知の仲であった。父親達が元々、仲が良かったのもあり、大神が復活する前から交流がある。大神の復活によりアルタニスとして集った彼らであるが、ホルンだけはそれには参加しなかった。
「しかし、何年ぶりかな。こうして話すのは」
 アポロは満足そうに話す。そしてついに本題へと入った。
「ホルン。お前の力を借りたい」
 その言葉で一気に空気が変わり重くなったことを、蚊帳の外であるポポロンですら気付いた。
「俺は戦士ではない。アルタニスでもない」
「俺達はもうすぐエンシャロムにいる火竜を叩く。その時のために、お前が必要なんだ。戻って来てくれ」
 ホルンは即答したが、アポロは食い下がる。
「共に、闘おう」
 そんな目を輝かせながら言うアポロに、ホルンは小さく首を振る。
「アポロよ。この家を見ろ。妻や息子とずっと暮らした私の家だ。人は長くそこにいると、そこが自分自身になる。今ではここが私自身だ。今更、どこかへ行こうなどと思わない」
「フィーナとジュニアが死んでもう十年が経つぞ。もういいだろ?」
「時間は関係ない。私にとって、思い出は色褪せない。ここにある物全てに思い出が詰まっている。不思議なものだよ。形だけの恋愛。形だけの結婚。だけのはずだったのにな。今はここにあるもの全てが愛おしい。今は静かに余生をここで過ごしたい」
「それは叶わない願いだ。我らは戦士として生まれた。戦士として生き、そして死ね」
 アポロの口調はいつもよりもきつい物があった。
「……なるほど。そう言うことか。だからお前が来たのか」
 アポロの様子にホルンは忌々しく舌打ちしながら吐き捨てる。
「大神に慈悲の心はないのか?」
「俺をここに派遣した。それが主の慈悲だ」
「私は静かに暮らしたい。何も邪魔はしないし、ここでずっと大人しくしている。私に構うな」
「ホルン。俺は主の命でお前の説得に来た。だが、それはお願いに来たのではない、これは命令だ。主の命は、黙して為してこそ我らアルタニスだろう」
 今や、一触即発の空気である。二人の破長がビリビリと大気を震わせ、身を打ち合っている。その迫力にポポロンは口を挟むことができない。むしろ必死で存在を消そうとでもするかのように身を縮めていた。ホルンはそんなポポロンに急に視線を向けた。
「彼は監視係か。お前はアルタニスの中でも甘い存在だからな。お前が私を見逃さないようにするための。信用されていないな」
 吸い込まれそうな黒いホルンの瞳に見つめられ、少し体が浮かぶような錯覚を受けるポポロンだったが、今は必死にその瞳を見返すぐらいしかできなかった。
 大変な所に来てしまったと、今まで以上にポポロンは後悔したが、今となっては遅い。
「俺と一緒に来い。頼むよ」
「フン。命令の割には下からだな。お前が来た時からおかしいとは思ったんだ。お前が送られた理由は何かとね。連れて帰れなければ、殺しても構わん。か?」
 ホルンの言葉にアポロは顔を顰める。その反応に「近からずも遠からず。と言ったところか」と笑う。
「俺が来たのはお前を説得できるからだ」
「違うな。私の説得だけなら。マーブルやガルボに任せればいい。特にマーブルは口がうまいから、奴は適任だ」
「あの二人は今は忙しくて、俺しか動けなかった」
「本当にそう思っているのか? 違うだろ。大神は運命すらも見える。力が戻っていない今でも大まかな流れは見えるようだな。こうなると知っていた。だからお前を送ってきた。あの二人ではなくだ」
「違う。俺はそんなこと……」
 アポロは気が昂った言葉をホルンは片手を上げ制止した。そしてゆっくりと口を開く。
「何が違うんだ? あの二人が来なかった理由は明確ではないか。あいつらでは私には勝てない。故にこれは必然なのだ。アルタニス最強と呼ばれしお前がいるのは至極必然だ。そう思うだろ? 〝大神に継ぎし者〟(デウス)よ」
 薄らと笑いながら言うホルンの目はしっかりとアポロを捉えている。彼も視線を外すことなくホルンと見る。すると二人は、急に堰を切ったかのように笑いだした。何がおかしいのかわからないほどにケラケラと腹を抱えて笑いだす。
 展開は唐突であった。
 アポロとポポロンの前に置かれたコップが急に弾け割れたと、思ったらポポロンがアポロに襲いかかっていた。彼の爪がアポロの目を抉らんと迫る。アポロはそれを目前で掴み受け止める。視線を隣のポポロンに向ければ彼は今や変態しかかっていた。そして彼のブラウンの瞳は黒く変色し、虚ろとなっていた。アポロはそれを見ると舌打ちし、空いている方の拳でポポロンの腹を殴りつける。軽く殴ったように見えたその攻撃は、ポポロンの人狼と化しつつある巨体を吹き飛ばした。彼は小屋の壁を突き破り消えた。普通の人間であれば即死だろう。
 しかしアポロの意識はすでに彼には向かず、対面のホルン。彼はテーブルを押しアポロを押し潰そうとする。アポロは迫るテーブルを掴み力を入れる。両側から万力を込められたテーブルは堪りかねて中央から軋み弾け上がった。
 無数に舞い上がる破片の中をくぐるようにして両雄の拳が互いの顔面を打ち貫く。
 小屋を弾き飛ばされた両者はすでに人狼へと変態していた。頬に傷を持つホルン、それに対応するはブラウンの毛並みを持つアポロである。
「考え直せ! 今ならこのことは目をつぶる」
 顔を悲痛に歪め言うアポロだが、ホルンは全く聞く耳を持っていない。というよりも、聞いてすらいない。彼の意識は壊れた小屋に向けられている。
「私の宝が……」
 残念そうに首を振るホルン。
「頼む。俺に戦わせるな!」
 苦しそうに、嗚咽しそうな感じに何とか捻りだしたようなアポロの懇願。しかしそれはやはりホルンには届かない。彼がじっと小屋の方を見ている。
「まぁ、いいさ。後でいろいろ探そう。お前を殺した後で。待っててくれ」
「ホルン!」
 大気が震えるほどのアポロの声で、ようやくホルンはアポロに視線を移す。その眼には一切の躊躇いを感じさせない、冷たく無機質な物があった。アポロはそれに咄嗟に身構えていた。瞬間、ホルンの目が細まる。
 大気が震え、世界が静止した。アポロの足元の土が盛り上がり、まるで獣が口を開いたかのようにぽっかり穴があきアポロを飲み込む。蟻塚のように盛り上がったアポロを飲み込んだ土山。ホルンが再度目を細めると、その山が押し潰される。
 ホルンの能力は〝支配〟である。この視界に存在する物を支配する目を持っているのだ、そして一方のアポロは……
「はやり、この程度では死なんな」
 押し潰された土山にまるで干渉されなかったかのように、何もないかのように立っているアポロの姿にホルンは吐き捨てる。
 アポロは足元の石を蹴った。それは弾丸のように凶悪にホルンへと飛ぶ。
〝時の支配〟
 空中で石が止まる。ホルンは石の軌道から逸れると、石はまた意識を取り戻したように飛び、背後の小屋を破壊した。
〝宙の支配〟
 天空を見上げるホルン。そのまま巨大な気配がアポロの真上から衝突してくる。ひんやりとした空気が流れらかと思った瞬間。一帯が押し潰れ凍てついた。遥か上空の氷点下の空気が暖められることなく地上に降ってきたのだ。しかも大量に。
 アポロはその中心にいた。が、彼が立っていた場所。凍りついた一帯の中心には氷の球体があった。それは所々で波紋が出てくると思うと、パキパキと壊れ始める。その中からアポロが立っていた。まったくの無傷で立つ彼は一切の感情を排除した目でホルンを見つめる。いつも笑っている彼しか知らぬ者が見れば、豹変さに恐怖するに違いない。
 アポロは静かに足を踏み出すと、地面を入れつくした氷に亀裂が入り地が震え、彼を中心に四方に割れた。崩れ落ちていく地面に巻き込まれないようホルンは後ろに飛びのきながらも、彼は胸いっぱいに空気を吸い込み吐き出した。衝撃波となり飛んでくるホルンのハウンドボイスは割られ凹凸の地を均すようにアポロに向かったが、アポロが軽くそちらに手を向けると、一瞬波紋が生まれ、衝撃波はまるで裂かれたかのようにアポロを避けて飛んでいった。しかし、ホルンはすでに意識を声から他に移している彼の目は支配する。
〝空の支配〟
 星が見えた空が厚い雲に覆われ、雷雨となる。雨がヒタヒタと降る中で、アポロのそれは姿を見せる。雨は彼の周囲に発生する球状の空間にぶつかり落ちる。その空間は雨に打たれる度に、波紋を広げては治まっていく。
〝雷の支配〟
 ホルンの目により放たれし漆黒の雲より放たれし雷。あたかも神が下す裁きそのものにさえ見えるような一撃。だったが、その雷はアポロの空間に接触した瞬間に屈折し目的を失い地に突き刺さった。
「無駄だ」
「お前の〝覇長〟の攻略を考えていたが、うまくいかんな」
 皮肉っぽく笑うホルンに、アポロはもう笑わない。アポロは絶叫する。腹の底に響き渡るような声と同時に周囲に降っていた雨が吹き飛び、地に落ちた水がその衝撃にまるで逆再生したかのように舞い上がる。舞い上がった水が地に落ちる時には、既に上空を覆っていた厚い雲は消え、また星が見えた。
 圧倒的な存在感。圧倒的な力量の差であった。
「化け物が」
 ホルンは苦虫を噛み殺すかのように言った。人間から〝化け物〟呼ばわれされている人狼が、化け物と恐怖していた。
 アポロの〝覇長〟と呼ばれる物は、人狼特有の破長と何ら変わりはない。ただ強力なだけ。体から発している波が強過ぎるが故に、それがあらゆる干渉を拒絶する。未熟であった頃に彼が暴走した時、マーブルやガルボ、そしてホルンに彼らの父親達が総出で抑え込んだことがあった。
 今度は、初めてアポロが仕掛けた。人狼の脚力により、間合いは一気に詰まる。
〝右:時の支配・左:水の支配〟
 アポロの接近にホルンは右目で瞬間的に時を止め、左目で地面中の水を圧縮し壁とした。拳を振り上げるアポロは、そのまま水の壁へ拳を叩きつける。それは想像以上に堅かったが、彼には関係ないことであった。彼の放つ〝波〟が水を一気に沸騰させ気化させた。壁は無意味。突き進んできたアポロの拳がついにホルンを捉える。後方に飛んだホルン。掠める程度であったが、彼自身の血肉が沸々と沸き立つのを感じ、意識が瞬間遠のいた。頭を振り、呼吸を肺いっぱいに吸い込んで自分を落ち着かせるホルンだが。今の僅かな時間だけで、大量の汗に荒い呼吸は尋常でないことを物語っている。だが、それ以上に感じるのは強大な目前の敵に対する対抗感と、自分を陶酔させるような高揚感だった。
「これもアルタニスとしての血か……」
 そんな自分にホルンは舌打ちしながらも呟くが、こうなってしまえば後には引けない事はよくわかっていた。相手をねじ伏せなければ気が済まない。感情を隠したアポロであっても、その感情は変わりないはずである。戦いこそが己が己であれる真の場所。底知れぬ所から湧きあがってくるような闘争心は、戦士として生まれ、戦士として死んでいくことを宿命とするアルタニスの根本であった。
 向かい合っていたのはほんの数秒であっただろう。この頃になると彼らは時間の感覚はなくなっていた。一瞬が永遠のようにすら感じられた。
 だが、それは一瞬。動いたのは同時。
〝波の支配〟
 ホルンはハウンドボイスをすると、その声の波を支配し、接近するアポロにぶつけた。ハウンドボイスはアポロの覇長と同調したが掻き乱す程度。
〝右:風の支配・左:狭の支配〟
 アポロの周囲に見えないが空間が発生し閉じ込めると。そこ一帯を真空状態にした。真空状態での波の移動は不可能のはずだ。流石に負担が大きかったホルンの視界が霞んできた。が、アポロを攻めるのであれば覇長が消えた今が好機である。さらに攻めようとした時だった。霞んでいた視界が明るくなった。
「な……アポロ?」
 視界の回復は支配の解放を意味していた。戻った視界に見えたのはアポロの顔。そしてアポロの腕がホルンの胸に突き立っている。そしてそのまま心臓を抉っていた。
「なぜだ? お前の覇長は……」
「俺の覇長は全てを隔絶する。それはお前の〝支配〟も例外ではない」
 静かに言うアポロの絶対的な言葉に、ホルンは膝をつきながら声を上げて笑った。声が尽きるまで笑った。なぜか、笑うしかないからである。これほど絶対的な力の前で笑いしか出ない。凄いを通り越して滑稽である。
 アポロは死んでいく戦友の笑いを、目を離すこともなくただ黙って見つめ、そして彼の最期を看取った。


 ポポロンが目を覚ましたのはやけに頭が痛いからであった。
「んあ? なんだ?」
 ガガガガガガガと頭が擦れる痛みに驚くポポロンにアポロが足を止め、ひょっこりと顔を覗き込んだ。
「お。起きたか。ちょっと強く殴り過ぎちまったな。悪い」
 いつもの感じに笑って見下ろしているアポロ。ポポロンにはホルンの家でお茶を飲んでいたまでは覚えているが、その後の記憶がない。そんな彼にアポロは、今までの経緯を説明した。
「なるほど、僕がホルンさんに操られてしまい、僕をこれ以上巻き込まないようにアポロさんは僕を飛ばし、戦線を離脱させてくれた。それでホルンさんに勝利したアポロさんは僕を捜しだして運んでくれてたんですね。ただ……」
 ポポロンは説明をまとめ納得しながら言う。アポロはポポロンの言葉にウンウンと頷きながら答える。
「ただわからないのが、なんで僕の足を持って引き摺りながら運んでたんですか? もっと、違う運び方があるでしょ!」
「その方が早く起きるかなと思って」
「あんたバカか? 雑過ぎるでしょ! どこの世界に意識のない負傷者の足を持って運ぶ人がいるんです?」
「いやいや、戦場とか」
「ここは戦場ですか? 戦場なんですか?」
 自分の雑な扱われ方に腹をたてながらも、内心では危ない所を救ってくれたアポロに感謝と、やはりアルタニスであるという尊敬の念を抱いたポポロンだが、「助かったんだから、いいじゃねぁかよ~」などといつものニヤけたバカ面で言うアポロには、決して口に出して本人に直接は言うまいと心に誓ったのであった。
 それから森の中を歩くと、ホルンの家のあった場所に着いた。ポポロンはその現場を見て呆けてしまった。どういった戦いがあったかは知らないが、今見ている現場の凄惨さが戦いの凄さを物語るには充分過ぎたからだ。
「結局、お前の出番になってしまったな」
 アポロはポポロンに言う。ポポロンは頷きながら倒れるホルンの元へ。
「あの……アポロさん。ホルンさんと仲がよろしかったのなら、ここから先は見ない方が……一応死を冒涜するようなことなので」
 いつものような元気ではなくやはり、友を手にかけた後とあってどこか空元気なアポロに、気を使ってポポロンは言ったがアポロは首を横に振る。
「殺した当人に、それは今更だよ」
 笑って言ったアポロの笑顔は、とても寂しげで、今にも泣いてしまいそうな顔だった。ポポロンはそれを見るとすぐに視線を前へ戻す。これ以上は見てはならない気がしたからだ。そして作業を始める。
 それは簡単なことだった。ポポロンは自分の目を抉り、そして同じくホルンから抉り取った目を自分の、眼孔に入れた。たったそれだけである。
「これで終わりです。任務は完了しました」
 ポポロンの言葉にアポロは「そうか」と消えそうな声で言う。アポロの視線はホルンの死体へと向けられている。ただ黙って、ホルンの前に膝をつく。堪えるように、視線を忙しなく動かしているのをポポロンは感じ取った。
「ただ、ただ神経系が付くのに少し時間がかかりますから。僕はしばらく何も見えないんですよ」
 そう言って、ポポロンは少し離れた所に座りこんで押し黙った。アポロは自分の顔を手で覆う。圧し殺そうとしていたものが決壊したかのように押し出てきたからだった。初めは静かに耐えようと声を押し殺していたが、ついに爆発したかのように泣いた。声を上げ、髪を掻き乱し顔を地面に押し付け、嗚咽し泣いた。
「声を出したら……聞こえちゃいますよ」
 視覚を失っているポポロンは、ポツリと言ったがすでに聞こえるような状態ではなかった。


 ポポロンの視覚が戻った時には、アポロも元に戻っていた。
「まったく、神経くっつけるのに時間かかり過ぎなんじゃないか?」
「無茶言わないで下さいよ」
「気合いが足りないから遅いんだ」
「関係ないです」
 いつも通りの笑みを見せるアポロ。
「だいたい、俺らには時間がないんだ。まったく余計な時間を」
「あれ? アポロさん。僕が目を直している間。何してたんですか?」
 アポロの捻くれた発言に、ポポロンは意地悪をした。
「バ……俺はお前が襲われねぇように警戒してたし」
「ん? アポロさん、目が赤いですよ」
「違―し! 俺、毎年この時期は花粉症で目が赤いし。何言ってんのお前?」
 アタフタするアポロに笑うポポロンは、アポロの強さを知った気がした。
「さぁ、出発しますか」
「ああ、マーブルが待ってるはずだ」
 踵を返し進もうとしたアポロであったが、最後に一度。横たわっているホルンの死体を見た。
「あの、よかったら、葬ってあげたらいいんじゃないですか?」
 ポポロンの言葉に、アポロは軽く笑い前へ歩きだす。もう二度と振り返ることはなかった。
「アルタニスに、墓はいらんよ」
 アポロの言葉がポポロンの鼓膜を震わせた。


 アポロ達がマーブル達の所へ向かい始めた頃の事であった。マーブル達の滞在していたグレーランド付近の村にも動きがあった。
 その村に異端警察が来たのだ。
 マーブルとヴァンがグレーランドの境界地帯から村に戻ってくると、その違和感にすぐに気付いた。寂れている村であったが、それ以上に寂れた印象を与えられるのだ。
「嫌な感じがしますね」
 ヴァンは不安げにマーブルに言うが、マーブルは何も言わずに頷くだけである。いつもの優しげな目は、この時はすでに鋭くなっていた。
 マーブル達は神経を研ぎ澄ませながら歩を進め、宿屋へと向かうとそこに人だかりができていた。
「異端警察です」
 ヴァンは宿屋の前に立っている男達の格好を見て言った。ざっと見て三十人ほどいるだろう。マーブルとヴァンは陰に身を隠し見ていた。
「ここに泊っている者の一人が異端者である疑いがある」
 異端警察の中でも身分が上であろう男が、宿屋の前で跪いている宿屋の娘のルノリアに言うが、ルノリアはプイッと顔をそむけ「そんな人はうちにはいません」と言い放つ。周囲の村人達の目が心配そうにルノリアを見ているが、助けようとする者はいない。なぜなら今や異端警察の目はその疑いのある者ではなく、その者を庇うルノリアに向いているからだ。異端者を庇う者、匿う者や、助けようとする者は同罪である。今、ルノリアは異端者と同罪になりかけているのだ。ここで彼女を擁護するようなことを言えば、自分が罪を問われかねない。村人達にはそれができるほど勇気はなかった。
「異端者はどこだ?」
「知りません」
「異端者を庇う気か?」
「異端者なんてここには泊っていません。知らない人を庇いようがありません」
 頑として知らぬ存ぜぬを貫き通すルノリアは、すでに気が強いでは済まされないことになっていた。マーブルはその様子を見ながら、自分達が人間の言う異端者である存在なのがバレたことに驚いていた。この村に来てからは何もボロを出すようなことはしていないし、ましてや人狼への変態も行ってない。
「ルノリア! いい加減にするんだ。あの男が村にいたのも、ここに泊ってたのもみんな知ってる」
 異端者の間から若い村の男がルノリアに叫んだ。ルノリアはキッとその若い男を睨みつける。
「あなたが、あの人の事を異端警察に言ったのね! しかも異端者ですって? どこにそんな証拠が? あの人は地質の学者さんよ」
 ルノリアの突き刺すような怒りのこもった言葉に、男は少し後ずさる。
 マーブルは気付いた。その若い男には見覚えがあったのだ。そして舌打ちをした。食事をとる飲み処でいつも彼は、ルノリアと話しているマーブルを見ていた。目が合うとすぐに逸らしてしまうし、何も言ってはこなかったために相手にはしていなかったが……まさかとは思ったが、ここに来て正体が露見するようなことを一切していないことを考えると、彼の嫉妬。というのが説明がつく。
「まったく。人間という生き物は……」
 忌々しそうにマーブルは吐き捨てる。確かに少し親しくしすぎたことに関しては否定はしないし、マーブルに非があることは認めざるえない。が、まさかそんなことで計画が崩れそうになるとは驚きである。
「何事も、破綻のきっかけは女か」
 皮肉っぽく呟くマーブルに、ヴァンは心配そうに見つめている。
 と、異端警察に動きがある。というよりも、このまま質問をしても埒が明かないと判断したのだ。
「まあいい。お前を連行し尋問する」
「な? そんな彼女は関係ないでしょ。捕まえるべきは異端者の男です」
 そう言ったのは若い男であった。異端警察の言葉にルノリア以上に驚いていた。
「そうだが、この者が協力を拒んだ以上、この者も異端者として扱う」
 男の言葉に、異端警察は無情に言い放つと、数人がルノリアを縛り立ち上がらせる。マーブルはそれを見て首を振った。
「ヴァン。一人でこれから任務をこなせられるな」
 いきなりの発言の面喰うヴァン。
「お前には一通りは伝えてあるはずだ。大丈夫だな」
「……まさか。出ていくつもりですか? なぜです? ルノリアさんは残念ですけど、これはラッキーじゃないですか」
 ヴァンの必死の訴えにマーブルは首を横に振る。
「それは違うぞ。あの異端警察達は俺達が捕まらない限りはこの村を出てはいかないだろう。だが、ここにあいつらがいられては面倒なことになるのだ。ここは俺が捕まり、あいつらを引き離す。俺一人なら何とかなる」
「しかし、マーブルさんだけであいつらは引きあげるでしょうか?」
「恐らくな。どうも話を聞く限り、人数は一人で。目的は俺だけだろう。お前は人数に入っていない。いいか。これから先を任せる」
「いやいや。無理ですって」
「どうしたヴァン・ホーテン。パワーとプライドを持て」
 マーブルはヴァンの胸を軽く叩く。ヴァンはおずおずと「はい」と頷く。それを見てマーブルは陰から出ていった。
「待て! お前達が探しているのは俺だ」
 ルノリアが宿屋に引きずり込まれていきそうだった時に、マーブルの声で一同の動きは止まり、視線が集まった。
「俺がお前達の探している異端者だ。ここにいるぞ」
 マーブルが歩くと人ごみが道を開けた。そして異端警察の前まで来る。
「早く俺を捕まえろ。そして彼女を解放しろ」
「そうさせてもらおう」
 異端警察のリーダー格の男がそう言うと、異端警察は陣形を造り、マーブルを囲むと縛りあげる。マーブルは一切抵抗はしなかった。
「彼女の解放を」
「それはできないな。この娘はお前を庇った。故に同罪である」
「それは俺が異端者であると決まってから言え。それまでは俺はあくまでも容疑者。異端者ではない以上、彼女に同罪は適応されないはずだろう」
 凛と言うマーブルに、異端警察のリーダーは少し顔を赤らめ、ギラギラと睨みつけるが、それはグッと抑え込んだ。
「確かにそうかもしれないな。この女の拘束は解こう。だが、お前の嫌疑がある以上は、一緒に来てもらうぞ」
 その言葉には相手の反論を一切受け付けないものが含まれていた。異端警察はルノリアの拘束を解くと、マーブル達を囲み歩くように促す。ルノリアは何も言わなかったが、異端警察に密告した男を鋭く睨みつけていた。マーブルは彼女の連行も取り下げるように要求しようとも思ったが、下手に反論し言いがかりを付けられても困る。それに異端警察達の顔を見れば、マーブル達が異端者であるのかということに疑問を持っていた。と言うよりも、今までの一連のことから大体、察しがついたのだろう。だが、一応異端の嫌疑がかけられた以上は調査をする。と言ったところだろう。故にこんな所で彼らの機嫌をこれ以上損ねて得なことはない。うまく事が運べば、逃げることもなく解放されるかもしれない。
 マーブルは異端警察に囲まれながら歩き考えた。
「こんなことに巻き込んでしかって、ごめんなさい」
 隣から声が聞こえ見ると、ルノリアが俯いたまま言った。
「何を謝ることがある? むしろ君が巻き込まれてしまった方だ。謝るのならそれは俺の方だろう」
 マーブルは優しげに微笑み言う。彼女は顔を上げてマーブルの顔を見るが、すぐに俯いてしまった。マーブルの言ったことは口先だけではない。本当にそう思っていた。自分の不注意でこんなことになり、ルノリアをいらぬ危険に巻き込んでしまった。彼女には申し訳ないと思い、憐れに思えた。
 そんな時、一行が足を止める。そこは村の入口をすぐ前にした所。一行が足を止めた理由は、一行の進行方向に遮る様に男が立っていたからである。
「おやおや。これは一体何の冗談だい?」
 それは息を飲むほどに美しい中性的な顔つき、そして同じく美しい長い髪をした男である。彼は貼り付いたような笑みをしながらねっとりと声をかけた。その声の意味を知ったのは恐らくマーブル以外にはいない。
「下等な人間に捕まっているとは、君流の特殊な性癖か、何かかな? しかし、面白い物が見れたな~」
 男の声はどこか険呑な感じを異端警察に持たせる。男はゆっくりと笑みを浮かべたまま、一行に近づいてくる。その様子をマーブルは突き刺すように睨む。そこには怒りや戸惑い、懇願と絶望がある。
「貴様、何者だ! 止まれ」
 まったく無防備で近づいてくる男に、リーダー的な男は剣と引き抜き男に向けて言った。男はその行為に一瞬、笑みが引きつったがすぐに戻り、近づいて突き出された剣の刃を素手で掴む。そして凶悪に笑む。
「まったく、まったくまったく。一体、君ら下等な人間風情でこの私に命令かい? 片腹痛いね~。本当に、絶望的に、絶大的に不愉快極まりないねぇ~」
「コロン! 勝手な行動はとるんじゃない!」
 マーブルは男に向けて初めて言葉を発した。それは激怒に震えた声であった。しかしコロンは聞く耳を持たない。彼の掴んだ刃は瘴気のような煙を発し溶ける。
「止めろ! コロン」
「異端しゃ……」
 再度、口を開いた時にはもう遅かった。剣を溶かされ驚き叫びに近い声をあげ、後退しようとしたリーダーの男の顔を掴み爪をたてる。すると、男は剣と同様に煙を上げ、干乾びるように萎み朽ち果てる。耳を塞ぎたくなるリーダーの悲鳴が掠れ聞こえなくなるまで、コロンは楽しむようにじっくりと味わう様に聞き終えると、そのままゴミのように捨てた。
 圧倒された周囲の我に返したのはルノリアの悲鳴だった。
「異端者だー!」
 目の前で黒い毛並みの人狼と姿を変えるコロンに恐怖の声を上げながら、異端警察は各々の武器を手に取る。
 コロンは高々と声を上げる。
「殺せ! この村の中に生ある者は全て殺せ。殲滅しろ! 根絶やしにしろ! 人間共の断末魔の叫びこそが我らの子守唄。奴隷などいらん。捕虜などいらん。殺しつくせ。殺し喰らえ!」
 彼の声を皮切りに村を囲んでいた他の人狼達が村になだれ込む。家を壊し、村人を殺していく。倒壊の音と悲鳴が忙しなく聞こえてくる。そしてコロンは目前の異端警察に飛びかかった。彼の爪を受ける者は全てが煙を上げ、萎んで朽ち果てる。
「どこへ行くんだい? マーブル。こんなに楽しいのに、君は参加しないのかい?」
 縛っていた縄を千切り、ルノリアを連れ走るマーブルにコロンは嬉々として言うが、マーブルは振り向くことなく走った。
 村の中は既に惨劇となっていた。地は血で染まり、食い千切られた四肢がそこここで転がる。泣き叫ぶ子供は燃え盛る炎に投げ込まれ、娘は凌辱され体を裂かれた。人狼達は血にあてられより獣と化している。群がり四肢を食い荒らす姿はまさに化け物であろう。
 その光景を目の当たりにしたルノリアは夢現のまま手を引かれていたが、急に胃からの逆流物に耐えきれずにもどした。しかし、それが逆に彼女の意識を覚醒する。恐怖が一気に彼女を襲う。彼女は膝から落ちて、両手で自分を抱き震える。
 一人の人狼がルノリアに気付き近づいてきたが、マーブルが間に立ち牙をむき睨むと塩にでも漬けられたかのようにシュンとなり逃げていく。
「立つんだ。ルノリア」
 肩を揺らすマーブルに、ルノリアは小さく「ヒッ」と悲鳴を上げ後ずさる。
「あ……あなたは、一体」
 震える彼女の目は恐怖に溢れていた。その瞳はマーブルに向けられている。
「なんで、こんな。私達が一体、何を…どうして?」
 彼女にとっては自分を助けてくれようとするマーブルも、襲っているコロン達も同じなのだ。マーブルとコロンの不仲を知る由もなく、彼らが知り合いであることが全て。同じ異端者の人狼なのだ。
「こんなはずではなかった。俺は……せめて君だけは、っ!」
 言いかけた時、マーブルは近づくコロンの存在に気付いた。コロンは真っ直ぐ突進してくるように近づくと、マーブルの前蹴りをする。スピードの乗った彼の蹴りはマーブルの体を家一件貫通させるだけの力はあった。
「何をバカなことを。やぁ、お嬢さん。ご機嫌はいかが?」
 コロンは腰を抜かしながらも後ずさるルノリアの顔を掴んで地面に押し倒す。コロンは鼻を近づけ仕切りに彼女の匂いを嗅いだ。ウットリとまるで酔うかのように、猫がまたたびに夢中になる様に狼の顔が彼女に鼻を押しつける。震え臆するルノリアは涙を流し、堅くなに目を閉じている。コロンの吐息が肌に当たるたびに彼女は体をビクつかせるが、抵抗は一切見せない。完全にまな板の上の鯉である。
「恐怖の匂いがする。いい匂いだ。特に女の匂いは何とも……あぁ、この時に私は至福を味わうんだよ。恍惚と言うのかな? この感じは何物にも代えがたい」
 コロンは長い舌で彼女の首筋を舐めると、空いている手をゆっくり慎重に、丁寧に彼女の首筋の所の服の襟に手をかける。そしてそのまま下に引き剥がした。しかし彼が掴んでいたのは服だけではなかった。その下の彼女の皮膚も掴んでいたのだ。彼女の前はまるで服が剥がれるように皮膚と肉が引き千切られていた。噴き上がる鮮血がコロンを濡らした。ルノリアは大きく目を見開き、手足を痙攣させ体を仰け反らせる。目と同様に開かれる口からは悲鳴は漏れることなく、霞んだ音が漏れるだけであった。
 コロンは開かれ血が溢れ出てくるルノリアの前に顔を近づけ、貴重な物でも飲むように狼のように舌ですくい舐める。その時、マーブルの消えた家が横一線にずり落ちると、上の部分が勢いよく飛びコロンに激突して吹き飛ばす。
 切断された家の中を歩きながら現れるは黒の短い毛並みをした人狼。マーブルであった。上半分の家に押し潰されたコロンだが、その家は煙を上げ見る見ると朽ち果てていきコロンが姿を現す。
「マーブル。何をするんだ?」
「コロン! 貴様と言う奴は」
 牙をむきあう二匹の狼。マーブルがコロンに掴みかかろうと前へ出るよりも前に、コロンは地面に転がるルノリアを掴んでマーブルに投げ付ける。飛んでくるルノリアをマーブルは受け止め足を止める。光を失った彼女の瞳がマーブルの獣の姿を映していた。
「なんて事を……」
「頭を冷やしな」
 コロンが侮蔑の目がマーブルを見ていた。マーブルは嫌悪の目でコロンを見ている。気付けばだいぶ悲鳴も聞こえなくなっていた。
「なんで勝手なことをした!」
「手っ取り早いだろ?」
 ルノリアを置き立ち上がるマーブルは怒りに目を光らせながらコロンに近づいてくる。怒りに震える彼だが、先ほどのように手を上げるようなことはしない。マーブルは傍まで近づき、ぶつけようもない怒りを抑えコロンの胸倉を掴む。
「貴様の……貴様のその勝手な行動が我らアルタニスを危険にさらす!」
 マーブルの震えた怒声にコロンは不愉快に初めて笑みを消し、掴まれた胸倉を強引に外させると、逆にマーブルの胸倉を掴み引き寄せる。
「危険? それは君の事だろ? この村の人間は無血で避難だぁ~? 甘いこといつまで言っている? 第一、さっき君はあの小娘を逃がそうとした。仮に彼女が逃げのび援軍を連れ帰ってきたら余計面倒だった。いいか。善人ぶるのも大概にしろ。大層な計画なんざ反吐が出るね。いいかい。仮にアルタニスが危険に晒されることがあれば、それは私のせいではない。君のせいだよ。そうだろ? 誇り高き戦士君」
 侮蔑を含んだ彼の笑みに言葉。マーブルとコロンはしばらく睨みあっていたが、コロンは視線を外して声を上げて笑い背を向け去っていく。マーブルは未だ治まらぬ激情に息を荒げながらも、惨劇と化し地獄さながらのこの村を見渡ししばらく目を閉ざした。
 計画が少し変更になり、早まっただけ。そう自分に言い聞かせると、目を開け、膝を抱え丸くなっていたヴァンを見つけると前に屈む。
 ヴァンは震えていた。戦いには慣れていない彼にとって、この人狼達の殺戮はあまりにも恐怖に映ったに違いない。憐れに思ったが、これから戦士として生きるためには越えなければならないことだ。
「ヴァン・ホーテン。しっかりしろ。計画が早まった。すぐにここに集まる。そう向こうに伝えるのだ」
 肩を掴まれたヴァンはビクリと体を震わせ、マーブルを見る。涙に濡れている彼の目はしばらく焦点が合わず、茫然としていたがマーブルが厳しく「急げ!」と叱責すると、飛びあがり空を見上げそのままグルリと白目をむく。そしてしばらくして目が戻り、マーブルを見て「伝えました」と一言小さく言うのだった。
 これでオリス達一行はこちらに向かい始めるはずである。
 マーブルは再度、村の凄惨な有様を見て首を振った。
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