※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

Chopin Asort… Part2

  この作品は、籠龍の作品「REDMOON」と世界観を共にした作品です。
一応こっちのほうが本編となってますがそっちの方も見ると世界観が上手く補完できると思います。


Part2. Shadow Warrior

Luna side

 荒れ果てた丘を歩く。周囲には、氷の結晶が舞い、所々には血塗られている。今まで丘の上に立っていた氷の建物は、先ほどの大きな魔力によって内側から破壊され、消えつつある。
 あれほど分厚く強固な氷の壁を力技で破るほどの魔力がセイに宿っているのは驚きだった。しかし、彼女があのデーヴァの娘なのだから、納得はできる。
 そのまま丘を歩くと、やけに白く光っている場所を見つけ、そこに駆け寄っていく。
「あら、あらあらあら…」
 私はついつい微笑んで声を上げてしまう。そこには、自分で治癒魔法をかけているルピスが横になっていた。
「…なによ」
「いやあ? 別に? 〝冷嬢〟ルピス様がまさか白き衣(ブランチュール)まで使うなんてね。やけに本気で挑んでるじゃない」
 私はにやにやと笑いながらルピスに呼び掛ける。しかし、ルピスはばつが悪そうに上体を起こすと、こちらを見ずにジャンバルキアの大森林を眺める。
「これからの旅は危険だと思ったんだけどね。逆にのされちゃったかも。あの子、持続力はないけど瞬発力と爆発力は半端ないわ。今の戦闘中で二つ名も手に入れてるし、旧魔法も使ったしね」
「へえ? そんなにか…ちょっと、驚いたな。さすがデーヴァの娘だわ。一瞬で多くのことを学びとれるんだねえ」
 ルピスは回復が終わったのか、軽く立ち上がる。しかしやはり、治癒魔法は消費が激しいために少しふらついている。
「ルピス、無茶しないで、危ないよ」
「そうもいかないわ。セイ…あの子も結構痛めつけたからね。なかなか納得してくれないから、こっちも結構本気だしたし。回復してあげないと」
 それでもルピスは進むのをやめない。たしかにセイのほうもだいぶ痛めつけられていたようだ。放っておくのも危険なので、見にいかないといけない。
「あ、ヴェア?」
 振り返ると、セイを抱えたヴェアがやってくる。ヴェアは、こちらに気づくと軽くセイを抱えあげ、彼女は無事だということを伝える。それを見たルピスは、気が抜けたのかゆっくりと座り込む。
「セイは、無事だ。なんか傷もそんなにないみたいだしな」
「そんなはずは…私はかなり傷付けたつもりよ?」
 ルピスは納得していないが、しかし私から見てもセイには外傷らしい外傷はそれほど見られない。服こそ千切れたりしているものの、無傷と言っていい。
「回復、したの? なんで?」
 ルピスが口を開けたままセイを見ている。よほど驚いているのだろう。私も、驚きながら彼女を見る。
「わからない。でも、もしかしたらセイの血がそうさせたのかもしれない。一方は〝天圧〟の魔女デーヴァの血だけど、もう一方は超再生の能力を持った人狼の血を引いてるんだから」
 その血が、前回の戦闘で呼び起されたのかもしれない。セイの最近の成長は目覚ましい。主戦力を担うことはまだ難しいかもしれないが、もともと攻撃能力の低い私よりは断然役に立つであろう実力を備えてきている。
「…はあ、なによ、なによ…心配させて。とんだ問題児だわ。ひどいったらありゃしない。まったく…疲れたー」
 ルピスはそのまま脱力する。地面に座り込むと、ヴェアの抱えるセイを満足そうに眺める。
「それにしても、まったく、無茶な戦い方ばっかりだわ。ルーナといい、ヴェアといい…若い子って無謀な戦い方が好きなのかしら」
「ルピスも十分無謀だよ。本気で殺すくらいのつもりで戦ったでしょうが。いくら回復の魔法があるからって無茶苦茶だよ。あんな禁忌魔法何回も使えないってのに」
 私は口を曲げて言うが、ルピスは笑いながら頷く。まったく意に介していない。どちらかというと少女の成長に満足しているようだ。あれだけ反対していたのにいざ実力を見るとこうなのだ。まいってしまう。
「今日はもう立てそうにないな。ちゃんと森に入るのは明日っからのほうがいいか」
 ヴェアが呆れ半分、笑い半分の表情で彼女たちを見ている。彼女たちは、もう既に小さく寝息を立て始めている。よほど疲れたのだろう。
「それにしてもびっくりしたよ。ルピスが反対することはある程度予想してたけど、ここまで本気で相手するとは思わなかった」
 私はルピスの頬をつつきながらつぶやく。うっとうしそうに私の指から逃れようと顔を動かすのが面白い。〝冷嬢〟もこうなってしまえばかわいいものである。
「それだけ、ルピスもセイのことが心配だったってことだな。俺たちとは違う意味で、仲間を大切に思ってるんだろ」
 ヴェアが目を細めて大森林を眺める。彼の言う「仲間」には、いったい誰が含まれているのだろうか。
人狼になる前、彼には聖騎士としての生活があったはずだ。いつも鬱陶しいくらいに追いかけてくる聖騎士のハウンドという男などとは同じチームのメンバーだったと言っていた。彼はもうハウンドとは相いれない関係となってしまったのだろうか。
さらに言えば、彼が聖騎士になる前は、どのような生活をしていたのだろうか。考えてみれば、ヴェアはさほど自分のことを話そうとはしてこなかった。話すのは、いつも一般的なことばかりだった。
ヴェアは、セイをルピスの隣に置く。丘の上の芝生は、先ほどの大きな魔法の乱発にあってもまだ無事なところも多い。周辺は草が凍りついたり押し潰れたりしているが、ヴェアがちょうど良く草の多い場所に二人を移動させたのだ。
「まったく草原のベッドなんて、洒落た演出だわ」
「まったくだな。だけど、あんだけの戦闘の後にはこういうのも悪くないだろ。二人とも自分の思いに正直に戦ったんだからな」
 まったくその通りである。
「ただ、これからのことを考えると苦しいな。今からヤバい魔女に会いに行くんだろ?」
 ヴェアの顔付きが突然崩れる。頭をかきながら大森林から私へと視線を移す。
 そうなのだ。大神のおおまかな位置は掴んでいるのだが、今現在はそれとは全く別の方向へと進んでいる。
 バグラチオン帝国の西一帯を埋め尽くすほどの森林地帯――ジャンバルキア大森林へと来たのは、私たちが大神に勝ちうる力を得るためである。
「ここに何があるんだっけ…えーと、剣だったか」
 ヴェアは、自分の腰に提げている剣をいじりながら尋ねる。私はそのしぐさを見ながら、すこし微笑む。
そう、ここに来たのはヴェアのための剣を取りに来るためである。
「昔ね、大魔女が創りだした強大な力を持つ武器が存在するの」
 私は、まるで自分の目で見たようにして語る。レッドムーンが暴れ、大魔女と争うことになった禍の月。そのさらに昔、悪しき力が世界を覆い尽くそうとしたとき、大魔女は七つの刃をこの大地に封印した。もし大魔女とレッドムーンの双方が不在の時でも、人間たちがその悪しき力と対抗できるようにするためである。
「その七つの刃…まあ、現代では七宝剣ってよばれてるらしいんだけど」
 その七宝剣の中のひとつが、このジャンバルキア大森林に存在しているのだ。
「その…剣? って、そんなに凄いのか。剣一本でどうにかなるとは思えないけどな」
「まあー、剣は所詮剣なんだけどね。でもこれから取りに行く剣は、結構特殊な剣だからヴェアの能力とうまく合ってくれると思うよ」
 まだ完ぺきには理解していないヴェアを横目に、私はジャンバルキア大森林を見据える。私の考えが正しいのならば、ここには目的の剣の他に、もうひとつ、目的の女性がいるはずだ。その昔、大魔女につき従った魔女たちの中でもひときわ強大な力を持った三人の魔女のうちの一人が。



Vere side

 セイとルピス、二人の回復を待って、大森林へと進んだ。二人とも全力でやりあったからか、かえってすっきりしたような面持でお互いを称賛していた。意外と二人は気が合うのかもしれない。
「それにしても、剣一本でここまで来るとはね。私としても七宝剣があればいいとは思うけど、そこまで必要なのかしら」
 ルピスが呆れたようにルーナを見る。対するルーナは意にも介さず、ずっと俺たち三人の先導役を買って出ている。どうやらここらへんの地理に詳しいようで、流れるようにして進んでいく。
「七宝剣って何? 宝物なの?」
 セイが不思議そうに尋ねる。彼女もまた、自分以外の魔女と接する機会が極端に少なかったために俺程度の知識なのだろう。
「七宝剣ってのはね。その昔大魔女アークが創りだした、強大な力を秘めた七つの武器のことなの」
「アーク、って…お母さんが守ってた人だよね」
 セイが呟く。セイの母親である〝天圧〟のデーヴァは、大魔女であるアークの側近であり、相当有名だったようだ。彼女自身は少し前に他界してしまったが、彼女の意思は子供のセイに強く残っている。
「そうね。貴女のお母さんも、守っていたわ」
 その言葉で、ルーナは足を止め、振り返る。
「アークはその側近に、三人の親しい魔女を置いていた。その三人のうちの一人があなたのお母さんなの」
 ルーナは誇らしげである。セイもまた、自分の母親のことを誇らしげに思っている。
「だから、セイも力ある魔女になるよ。デーヴァの血が流れてるんだからね」
「うん、ありがと。そしたら、ルーナを守ってあげるね」
「私も、ルーナを守るわ。もちろん、セイもね」
 ルーナとセイの中にルピスも混ざる。なんというか、とても微笑ましい雰囲気だ。まるで本当の姉妹のような三人である。
 と、俺が少し気を抜いた瞬間、辺りに闇が走る。これまでに感じたことのないほどの悪寒を感じ、即座に腰の剣に手をかける。三人の魔女もすぐに背中を合せて周囲に気を配る。
「この気配、まさか――」
 ルーナが呟くが、その言葉は闇のいななきによってかき消される。ジャンバルキアの森全体が俺たちの来訪に怒りを覚えているようなほどの威圧感が襲ってくる。
「る、ルピス…ルーナ、どういう、こと? 何が起こってるの?」
「強い…強い魔力の流れを感じる。ここら辺、いえ、この森全体を包み込むほどの強大な魔力が全部を押し潰すように重い感情を持ってるわ」
 ルピスが青玉色の瞳で周囲を見回す。
『侵入者には、死を』
 突然、俺とルーナたちとの間に地面から黒い人形の影が浮かんでくる。ルピスとルーナは即座に対応するが、ルーナは一瞬遅れて対応する。
「ちょっ、二人とも! 待っ――」
「氷柱(フェウ)っ」「私は願う、影を圧し潰せっ!」
 氷柱とともに、影が異常な力で押し潰される。しかし、影はそのまま煙のようにして立ち消えると、その隣に再び湧き上がってくる。
「攻撃が通じえねのか…!」
 俺は剣を引き抜くと、そのまま影を無視して周囲を見る。これは五日に戦った爆炎の魔女のようなものだろう。おそらく影のような使い魔を使役しているだけにすぎない。ということはどこかにこの使い魔を使役している術者がいるに違いない。
『術者を探しているの? でも、使い魔と術者との距離は術者の力量さえあればいくらでも長くなるものだよ?』
 背後に、二人目の影が出現する。影はその手を伸ばすと俺の腕を掴み、剛印に吹き飛ばす。
「んなっ――この、やろっ」
 細いシルエットのくせに、異常な怪力を持ち合わせている。俺の体はかるく吹き飛ばされ、木々の間に飛ばされてしまう。しかし、俺は空中で体制を整えると近くの木を掴み、勢いを消す。そしてそのまま木を軸にして腕を引き、再び影の方に飛ぶ。飛ばされている間も周囲に視線を送っていたが、人影らしきものは見えない。確かに、爆炎の時も結構遠くにいたから、術者が近くにいるという可能性は少ないだろう。
「なら、どうすりゃ、いいんだっ!」
「ヴェア! この前セイの魔法を消したような能力は使えないの?」
 ルピスが氷柱を出しながら叫ぶ。セイもまた影を追いかけている。ルーナだけが、静かに周囲の様子をうかがっている。
「そりゃ、出したいけどよ! 俺もいまいちどうすりゃいいかわからないんだ!」
 俺は叫ぶ。目の前に再び影が現れるが、夢中で剣を振るう。影は少しぶれた後にその姿を戻した。セイもルピスも、相手の攻撃をよけながらこちらを見る。
「どういうこと? ヴェア! この前やったじゃない!」
「私も見たけど! ヴェアはなんか吠えてたみたいだよ?」
 セイも加えて言う。しかし、俺自身にもよくわからないのだ。この前は勢いで全てを喰らう咆哮(クラッシュ・ル・マンド)を使ったのだが、あの後何度試してみてもあの時のような衝動を感じることはできなかった。俺には、再びあの能力を使うことができないのだ。
「こいつら…なんなんだよっ!」
 ぼやきながら影を切り裂く。しかしそれも無意味に終わる。影は構わずに自分をつかみ取ろうとしている。超人的な怪力を持ち合わせ、攻撃はほとんど無効化してくる。これほど理不尽な相手も久しぶりだ。
 まったくもって攻略法がわからない。
 その時、ルーナが小さく前に出る。影のどれからも攻撃されていないが、かといってそこが安全になるとは限らない。攻撃がいつルーナに及ぶか分かった者ではない。
「ルーナ! 逃げろっ! てかぼーっとしてんな!」
「妾は命ず――」ルーナは口を開きながら両手を前に出す。「風よ隠れし魔女を陽にさらせっ!」
 ルーナが呟くと、風は森全体を揺らし、葉を乗せて隠れていたものを明らかにしていく。少し先の木々の上、葉や枝が組み合わさってまるで小屋のようになっていた部分がルーナの風によって吹き飛ばされ、一人の女性が姿を表す。
 いつか見たような漆黒の黒髪ではなく、煌くように輝く黒髪が特徴的な、長身の女性だった。髪は頭の上の方で一つに括り、まるで馬の尾のようにさらりと腰まで伸びている。衣服は身体のラインが妖艶にあらわれるほどにぴったりとしたシャツとミニパンツで、全てが黒で統一されている。
「あらあー、見つかっちゃったわぁ。さすがさすが、その姿でもお変わりないようでぇ」
 黒髪の女性が声を上げる。畏怖、というよりもむしろ、喜びと感嘆の声だった。するりと慣れた動作で木を降りると、指をはじく。
 それまで完全に攻撃的だった影たちは、突如現れた謎の女性によって霧散し、消えていく。気が付くと、森全体のざわめきも押し潰されるような圧迫感もなくなっている。
「変わりないようですねぇ、そのちびっ子姿でも大魔女は顕在ですか」
 黒い魔女は親しげにルーナによっていく。近くで見ると、その豊満な胸やスタイルのいい体の曲線、美女といってもいいような顔立ちがとてもよくわかる。
「痛ててて…」
 ルピスとセイに腕をつねられる。やばい、見とれて鼻の下を伸ばしているのがばれたのだろうか。
「あの人、誰?」
 少し拗ねた様子でセイが尋ねる。俺に聞かれても困るが、どうやらルーナの知り合いであるようだ。俺は肩をすくめながらルーナを見る。
「試したのは不問にするわ。今の状態の私はそんな力ないし、それに今するべきことは別にあるから」
 黒い女性はにこにこと笑うと 前髪をかきあげながら答える。
「それはラッキー。あたしってばずっとここで隠れてたから身体なまっちゃってですね。いやすんませんホント」
 反省のない言葉で頭を下げる。そして、次の瞬間黒い髪の女性はすっとルーナから視線を外す。
「こちらが、今のお供ですかあ…」
 じろじろと値踏みされている。まずはルピスに視線を向ける。
「あ、あの」
「〝冷嬢〟ね、噂は聞いてるわよ。魔女としてそれなりに力は持ってるみたいだし。現状一番の戦力ってとこかしらぁ」
 妖艶な笑みを浮かべてルピスを見る。ルピスはどこかぎこちない表情で愛想笑いを浮かべ、応答する。さすがに俺でもわかるが、この目の前の魔女、今まで会ったどの魔女や人狼よりを巨大な力を持っている。睨まれたりでもしたら、それこそ心臓を掴まれるような思いに駆られるだろう。
 そして、続いてセイに目を移す。
「あなたは――」
「セイ、です。セイ・ロック」
 セイが気丈に答える。その姿を見て、黒い魔女はふわりとほほ笑む。
「そう。キミ、デーヴァの、娘ね」
 少し悲しそうに、しかし瞳は嬉しさを宿してセイを見つめる。
「お母さんを知ってるんですか?」
「うん、知ってる。たぶん、今存在しているどの魔女よりも彼女のことを知ってるわ」
 セイは次の質問をぶつけようと前にでるが、黒い魔女はすぐに視線を俺に移す。俺を見たとき、それまで穏やかだった魔女の瞳は鏡のように、全てを映すほど透き通った赤黒色へと変わる。
「な…なんだよ、」
「レッドムーン、赤神、大神、その力を受け継ぐもの、人狼、アルタニス…なぜキミが大魔女と行動をともにする?」
 完全に殺意のある、怒気をはらんだ声だった。その言葉の一字一句が、俺の頭に刺すように響き、俺の心臓をえぐるようにして圧迫する。
 殺されるかもしれない。死神の鎌が俺の首筋に刃を当てているような気がした。そう感じた瞬間に、相手は突然表情を崩してにっこりとほほ笑む。
「は――…?」
「いやぁ、ごめんごめん。ちょっとキミを試しましてみました。並みの使い手ならほとんど気絶してるくらいの波長を送ったんだけどね」
 魔女はすぐに俺の手をとり、強引に握手する。今の殺意が幻のようにたち消え、俺は拍子抜けする。
「あたしは大魔女アークに使えし〝三黒柱〟が一人、〝影兵〟のゲルバ・ケルン。よろしくね、レッドムーンの力を受けし若き人狼クン」
「あ、ああ。俺はヴェアだ。元聖騎士でもある。よろしくな」
 動揺しながらも、一応は自己紹介をしておく。ゲルバはその様子にある程度満足したのか、数度頷くと、再びルーナを見る。
「これが今の軍勢ですか。なかなか今のアナタにぴったりですけど」
「はいはい、どうせ今の私はアホみたいに弱いですよ。扱う魔法も風くらいだし、援護がせいぜいですよ」
 ルーナはふてくされる。俺たちはといえば、目の前の強大な力を持った魔女とルーナが知り合いだということが今だに信じられていない。というか、完全に置いていかれている。
「ルーナ、いいかしら…?」
 ルピスがようやく口を挟む。ルーナは、こちらを見ると、思いだしたようにゲルバを前に出す。
「ああー、今言った通り、この人は大魔女アークに仕えてた最強の魔女の一人なのよ、うん」
 それは聞いた。先ほど自分で名乗っていたし、わかることではある。
「ええと、そちらの方と、どうしてルーナが知り合いなのかしら」
 ルピスは俺たち全員の疑問を口にする。ルーナはその質問に対して苦い表情を作る。何か答えたくない過去や出来事でもあるのだろうか。
「ええと、それは…なんというか」
 煮え切らない。ルーナは自分のことについてそれほど語らないのは前々から思っていたが、必要な時には必要な情報を教えてくれていた。なのに、ここに至ってなぜためらうのだろうか。
「今は、ルーナ、というお名前なんですねぇ」
 ゲルバが場を崩すようにして切りだした。にこにこと笑いながら前に出ると、ルーナの答えられなかった言葉を切りだす。
「ルーナ様はねぇ…昔、大神と戦った大魔女アーク様の転生した姿なの。だから、ルーナ様は大魔女そのものなのよ」
 瞬間、俺たち三人の顔が一斉に引きつった。
| 新しいページ | 編集 | 差分 | 編集履歴 | ページ名変更 | アップロード | 検索 | ページ一覧 | タグ | RSS | ご利用ガイド | 管理者に問合せ |
|ログイン|