幽霊の存在は是か非か。 いつの時代もそんな議論がそこかしこで行われてきた。 ある人は、確かに見たし存在すると言い、またある人は、見たことも無いし目の錯覚だと言う。 コンビニから足早に帰路に着く少年がいる。 彼の名はぽっきー。華の男子高校生だ。 彼の住む町は田舎で、周りの大人は信心深い。また、彼は友人から「霊を見た」という話をよく聞かされる。 そんな環境のせいか、彼自身に霊体験は無いのだが霊を信じていた。 だが、見たことも聞いたこともないので、まぁいるんだろうなぁ、程度の認識しかなかった。 ついさっきまでは。 「うー、寒い寒い……」 ぽっきーは近所のコンビニで買い物を済ませると、早足で家へと帰りついた。 彼は父親と暮らしているのだが、その父親は出張中で今は一人だ。 「ただいまー、と」 ぽっきーは自宅のドアをくぐりながらそう言った。当然、返事は無い。 部屋の電気を点け、そそくさとコタツに潜り込んだ。 コンビニのレジ袋をコタツの上に適当に置き、ほっ、と一息つく。赤外線が冷えた体を温め、ほぐしていく。 彼はコタツの中で手を温めると、先ほど買ってきた品を物色しようとレジ袋を漁った。 と、その時、 しゃらりん 彼の耳元で何か音がした。 「……ん?」 何か金属同士をすり合わせたような、澄んだ音だった。 彼はその音に惹かれるように、首を左へと回した。 そこで彼の目に映ったものは、 「……え?」 仮面だった。