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はじめに~課題設定
  • 外国籍の子どもをめぐる問題の多くは、公立学校を中心とした公教育が「日本国民」の育成を中心的課題としている点に関連している。
  • 1990年代以降の急激なグローバリゼーションによって、外国是院の教育のあり方も徐々にではあるが改善の事態が見られている。しかし日本国民育成の学校教育のあり方の基本を揺り動かすまでには至らず、多くの課題が残されている。

第1節 1990年代における社会状況の変化
1.急速な他民族・多文化化の進展
 89年の入管法の改正から日本国内で外国人が増えたという話。
2.「日本語教育が必要な」外国籍児童・生徒の増加と多様化
  • 文科省は1991年から「日本語教育が必要な外国人児童・生徒の受入れ状況に関する調査」を開始し、各年実施して来た。これは90年6月施行の改正「出入国管理及び難民認定法」により日系人を含む外国人の滞在が増加し、これら外国人に同伴される子どもが増加したことを契機としている。
  • 99年の調査結果概要によると、1.在籍児童生徒の増加(ただし増加率は低下)、2.小規模在籍市町村が約半数、小規模在籍校が約8割を占める、3.一部の学校・地域への集中化傾向、4.多様化の傾向

第2節 一条校における対応
 公立学校における外国人児童・生徒教育の基本方針は、1991年日韓「覚書」を契機に大きく転換している。また、外国籍生徒の学習機会の保障を考える上で高校入試は避けられない問題であるので、そのことについても検証する。
1.1991年日韓「覚書」以後の動き
 この日韓「覚書」の教育関係事項は、その後韓国人以外の外国人をも対象とした外国人児童・生徒教育の基本方針として文部省通知により示された。その要点は、1.課外での母語・母文化教育の公認、2.就学案内の発給、3.教育公務員への任用の際の国際条項の撤廃
 (1)課外での母語・母文化教育の実施状況
  • 日韓「覚書」第3項には、「日本社会において韓国等の民族の伝統及び文化を保持したいとの在日韓国人社会の希望を理解し、現在、地方自治体の判断により学校の課外で行われている韓国語や韓国文化等の学習が今後も支障なく行われるよう日本国政府として配慮する」。→公立学校における母語・母文化教育、民族教育の場としての「民族学級」の設置状況をみると、確かに90年代に急増している。
  • 民族学級の形態が放課後に希望者のみが参加する活動として行われているため、クラブや塾との兼ね合いで参加できない子どもも少なくない点が今後の課題として指摘されている。
 (2)就学案内の発給
 (3)教育公務員の国際条項の撤廃
   日韓「覚書」第4項を踏まえ、文科省は教育任用の国際条項を廃止。
2.公立高校入試の配置の現状と課題
  • 1999年の「日本語指導が必要な外国人児童・生徒の受け入れ状況に関する調査」から、中学校に比べ、高校生が少ない。
  • 日本語に不自由する外国籍の子どもへさまざまな制度的配慮を!
 (1)~(4)において配慮の仕方について述べる。
第3節 一条校における動向と対応
2.ブラジル人による学校教育の開始
  • 1990年代に増大した日系ブラジル人やペルー人は、日本経済が先行き不透明の中で、そして日本国内でのブラジル人コミュニティーが様々な面で充実し環境整備されて来る中で、帰国の判断が難しくなり滞在年数が長期化して来ている。来日当初は仕事が最重要関心事であったが、現在ではブラジル人コミュニティの中で子どもの教育問題が大きな関心事となってきている。
(1)「セテバン」にみる通信教育の充実・普及
  • プロジェクト「セテバン」はブラジルの第一レベル(第1~8学年)、第二レベル(3~4年)の修了資格を、日本にいながらにして通信教育講座で取得させるシステムである。1995年11月に最初の卒業生1名を送り出してから、2000年3月までに第一レベル189名、第二レベル197名が卒業し、修了資格を取得している。2000年9月をもって終了。
 (2)「ピタゴラス」にみる全日制初等・中等学校設立の動き
  • ブラジルの学校法人ピタゴラス・グループが1999年4月に群馬県・太田市に「ピタゴラス太田校」を開校。教師のほとんどは日本に在住しているブラジル人から採用している。
  • ピタゴラスは、ブラジルの企業が海外で長期にわたる事業を展開する際に学校を開設している実績がある。今回は出稼ぎ帰国円滑化プロジェクトを進めるブラジル政府の支援を受けている。
おわりに~新たな動向と今後の課題
1.「民族教育権」の保障を求める「民族教育ネットワーク」の発足(1998年)
  民族教育ネットワークは「在日同胞と日本人の幅広い協力と連携を通して、民族教育権の確立及び学校文化の変革をはかり、多文化共生の実現に資することを目的」としており、民族教育権は国際人権規約や子どもの権利条約によって保障されている普遍的権利であるという認識を広げていく必要があるという。
2.「21世紀日本の構想」懇談会にみる教育構想
  「21世紀日本の構想」報告書によると、「義務として強制する教育」は「統治行為だということである。国民を統合し、その利害を調停し、社会の安寧を維持する義務のある国家は、まさにそのことゆえに国民に対して一定限度の共通の知識、あるいは認識能力を持つことを要求する権利を持つ。・・・義務教育という言葉が成立して久しいが、この言葉が言外に指しているのは、納税や遵法の義務と並んで、国民が一定の認識能力を身につけることが国家への義務であるということにほかならない」
  こういった義務教育観は、戦後共通認識であった「権利としての教育」を否定するばかりでなく、国民国家の公教育における国民形成という機能を極端に強調するもので、これからの共生社会に向けた教育のありかたにブレーキをかけるものである。