学歴社会の日本 10/26 たご

日系ブラジル人子女に教育を施さなければならない理由の一つは、日本が学歴社会であるという観点から説明することが出来る。最終学歴が中卒・高卒・大卒となるにつれて、社会的な評価が上がっていくということは、わざわざここで図示し証明するまでもなく自明の事実である。この点は、日本人だけでなく、たとえ外国人であれ同じ条件であるといえる。つまり、日本で生活していくうえで非常に重要となってくるものが学歴であり、日系ブラジル人子女の社会的地位向上し、日本の力となるような育成を図るのであれば、「学歴」は無視して進めることの出来ない問題であるということだ。なぜなら、日本で生活をするために職を得る場合、知識基盤社会・高度人材育成などにおいて、「学歴」は「職歴」に並ぶキャリアの一つとして重視できるものと考えるからである。
 しかし、公立学校で学ぶブラジル人の子どもたちの成績は概ね芳しくない。日本語の理解ということを考えれば、それを想像するのは難しくないだろう。確かに幼い頃から家族と共に来日し、普段の生活をする上では日本語(生活言語)に不自由を感じない子どもも多数いる。だが、学習言語として日本語を活用する場合、漢字の読み書きやその意味の把握が難しく、理解した頃には授業の内容自体が先に進んでしまっているということが多い。下図は、群馬県太田市の公立中学校に通う日系ブラジル人の高校進学率を表したものである。日本人は高校進学率が97%を超え、大学進学率も50%弱であるのに対し、日系ブラジル人は、バイリンガル教員の導入などで支援が開始され、成果が現れている平成19年の段階で見ても、高校にさえ10%以上の生徒が行けていない。さらに、大学進学をする人数はここから激減する。

<ここに図が入る 添付ファイル参照>

この状態が生み出すものは一体どのようなものだろうか。その一つとして、小学校や中学校を出たばかりの子どもたちの就労、主に工場での単純労働に従事するということがある。底辺労働者である移民1世の子ども(つまり2世)も、学歴が低いという理由で同じように底辺労働者となる、といった階級の再生産が起こるのである。この問題は在日ブラジル人が増えてきている現在の日本において、目をそらしてはいけないことであろう。また■■で述べたように、労働人口の低下が予測される我が国においては、彼らを高度人材に育てることは競争力の維持や埋もれていた才能を見つけ出すという意味でも、意義があることではないか。さらに、そのように育成された在日ブラジル人は、今後日本とブラジル、または新たに来日するブラジル人と日本との架け橋的存在になりうるだろう。彼ら独自の強みは、2つの国の文化を知っているということである。これを利用できれば、特殊な職業への道が開けることにも繋がる。例えば、新たにやってくる日系ブラジル人へ教育を行うバイリンガル講師や、日系ブラジル人が多く働く工場で、ポルトガル語しか話せない多数の労働者と日本人の工場経営者の間に入り、仲介をする中間管理職などがそれに当たる。現在、「在日ブラジル人」というと、底辺労働者というイメージが強い。それは2世の子どもたちにも同様であり、「自分たちも同じように工場で働かないといけない」と考えてしまい、将来性を遮断することに繋がりがちである。こういった観点からも、バイリンガルであることを強みとして活躍する人々は、在日ブラジル人に新たな道を示すこととなり、彼らにとっての希望を与える存在となる。故に、在日ブラジル人の子どもたちにしっかりとした学歴を積む場を用意することは、今後の重要課題であるといえよう。


【コメント】
文中の■■で示した、「労働人口低下」のくだりはどうしよう。。
今の振り分けでは入れる余地なかったはず??入れるとしたらどこかにつくらないといけないし・・・
でも「労働力人口低下してるから伯人教育ちゃんとしようよ」って論理はおかしい気がする。だれかが言ってたけど、「労働人口が足りないんなら、教育なんか関係なしでただ数増やせばいいじゃん」って話になるから。
つまり労働人口低下を問題意識として教育政策を提言するのは、論が剥離してる気がするから、この論文内では削除させてしまってもいいのかなと思います。このへんみんなできっちりと決めてしまいたいです!!
最終更新:2008年10月26日 14:52
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