第4章 問題意識
第1節 対象
 今回、私たちは公立学校に対象を絞り政策提言を行う。その理由として、日系ブラジル人の実質的な定住が長期化しており、公立学校に通っている子どもも多いためである。日本社会で活躍できる人材を育成する場所は公立学校がより適していると考えたため、今回の対象者は日本に将来定住する公立学校に通う日系ブラジルの子どもたちとした。特に日本語指導が必要な外国人児童生徒は全国に存在するが、外国人児童生徒の各学校の在籍数は1人の学校もあれば、数百人の学校もありさまざまである。今回はニューカマーが多い「外国人集住都市会議」に参加するような外国人児童生徒が多い自治体に焦点を当てたい。

第2節 問題意識の整理
 私たちの問題意識は日系ブラジル人児童生徒の進学率が日本人児童生徒と比べてよくないということである。各地方自治体の公立学校で様々な施策が行われているが、問題を解決しているとは言いがたい。そこで生活言語だけではなく、学習言語としての日本語を獲得し、高校そして大学に進学できるための学力を身につけることができる教育支援を政策として掲げたい。そのためには、日本語指導といった言語面的なサポートとアイデンティティの育てるための精神的なサポートが必要である。今回の政策提言では特に言語的なサポートを中心に行う。現在の外国人児童生徒への教育の最大の問題点は日本語指導が必要な場合の日本語教育の仕方である。年少者に対する日本語教育が確立されておらず、年少者に対する日本語教育の専門家が少ないことが理由であろう。
 日系ブラジル人も日本社会の一員として、日本語をツールとして日本人とともに「共生」していくような社会を共につくることを目指す。
最終更新:2008年11月12日 00:46