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「日系ブラジル人のトランスナショナルな生活世界;第4章 出稼ぎと帰国にともなう子どもの教育問題と解決の視点」(小内 2006)で公立学校の問題点は以下の4つが挙げている。

①日本語教室の問題
相対的に会話能力が落ちる者優先のために教室を卒業せざるを得ない。また日本語教室の時間割が原学級に左右されているため、場当たり的になりやすい。さらには日本語指導教員も特別な教育を受けていない。指導助手が各校に1名しかいないため、系統的な日本語指導ができにくいのである。
②母語教育や母語による教育の排除
日本語教室ではポルトガル語ができる指導助手がいても、ポルトガル語指導はできるだけ行わない方針をとる学校が多い。日本語教室で会話程度の生活言語能力が身についても学習言語としての能力は身につかない。日本語でも母語でも学習言語が獲得できない事態が生まれることもあり、原学級に戻ってもついていけない。
③進路の問題
「外国人特別枠」が設定されているもののブラジル人の児童・生徒の成績が悪く、高校に進む者は多くない。
④教師と親子のギャップ
聞き取り調査から親の高学歴志向が強く、子どもの日本語習得も積極的に受け止めているが、教師はブラジル人が教育に無関心と考えている。

その解決策として以下のものを提示している。
①特定の教科、日本語教室、部活、総合的な学習の時間などに母語や母国の文化の維持昨日をもたせたりすることは可能であろう。こうした、できる範囲での多文化を前提にした公立学校での受け入れを考えることが教育問題の解決の一つの現実的な視点となろう。
②いずれの言語もきちんと身につけていない段階で異なる言語環境におかれたときには、深刻な問題が生まれる可能性は高いが、それも言語習得に関して効果的な支援を行えば、ある程度解決の見通しは出てくる。

また、日本とブラジルの両国の教育制度の違いを示し、以下の2点について述べている。①異なる教育制度を持つ国の間を移動する場合、移動する子どもたちのトランスナショナルな生活世界は異なる制度の狭間で深刻な矛盾に直面せざるをえない。
②トランスナショナルな生活世界に対応した教育制度は、将来生活をする国がどこになっても教育した成果が無意味にならないようにするための、最低限のセーフティ・ネットとして考えられなければならないからである。