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日本語学校について(曽我)

 公立学校における日本語教育に対して、同じ地域にある日本語学校がその学習に協力しているケースが見られる。財団法人京都日本語教育センターでは、京都市教育委員会の要請を受けて京都市内の公立学校へ非常勤講師を派遣している。日本語教育は、教員や語学ボランティアによる指導だけでは効果が不十分な場合も多く、高い専門性をもった人材による教授が必要であるため、この取り組みは評価できるだろう。また、センターでは「地域との教育研究活動」と銘打ったプロジェクトも推進しており、近隣の小学校と食文化の交流を行なうなど様々な取り組みがなされている。同校の西原校長によると、「子どもの学習以上に、親の文化交流を促すことが重要」と述べている。石井(1997,7)は、日本語教育の流れについて「日本語学習のみを目的とする学校型日本語学習から、地域と生活を基盤として日本語学習を位置づける社会型日本語学習へ広がりを見せてきて」おり、「日本語教育の枠組みそのものが大きく変容してきている」と指摘している。もちろん、どの日本語学校でも同じような取り組みがなされているのではないが、このような日本語学校と地域の連携の動きはこれからの日本語学習に有効なのではないか。

※石井恵理子(1997)「国内の日本語教育の同校と今後の課題」『日本語教育』94号、2-12

日本語学校について-留学生への学習言語の教授-(モテギ) 

 ブラジル人子女は通常の国語教育では触れられない、語順、適切な助詞、正しい動詞・形容詞の活用、自動詞・他動詞など、通常日本語母語話者には思いもよらない点でつまずく。また、前述の通り、生活言語は学習言語に比べ習得し易く、ブラジル人児童も生活言語の面ではあまり問題は見られない。しかし、学習言語は習得しにくく、故に高校・大学への進学に支障が生じている。そうしたことから、外国語教育、または第二言語教育としての日本語の技能の教育方法が必要であり、日本語を効率よく教えるために、日本語教師には国語教育とは異なる専門的な知識、技能、工夫が求められる。
 そうした中、日本語学校では学習言語を学べ、また言語以外の学習も執り行っている。まず、日本語学校に通う学生には、「就学生」という出入国管理法の定める在留資格でもって、入国し学びに来ている者がいる。日本語教育の場合、日本語教育振興協会が審査・認定した日本語教育機関での週20時間の日本語学習が義務づけられていて、学校での成績と出席率を入国管理局が把握し、それが次のビザ発給に影響する。指導内容としては、口語表現能力・聴解能力・文章表現力・読解能力があり、ほとんどが直接法で行われている。   
日本語学校では、日本語を習得するためのコースの他に、大学に進学するためのコースも設置している。就学生の大半は大学・大学院・専門学校への進学希望者であり、彼らはそうした高等教育機関等へ進学するために、日本語留学試験や日本語能力試験、大学・大学院・専門学校の入学試験の合格を目指していて、学校ではそうした試験への対策も行っている。
日本留学試験とは、日本の大学への留学を希望する人の日本語能力と基礎学力を評価するための試験である。そして、現在日本の多くの大学がこの試験を私費留学生の入学選考に利用している。受験科目は①日本語、②数学、③理科又は総合科目のどちらかを選択となっている。日本語は日本の大学等での勉学に対応できる日本語力を測り、内容は記述・聴解・聴読解・読解の4領域で構成されている。また、理科と数学に関しては、受験者の志望する大学の指定に基づき、理科ならば物理・化学・生物から2科目を選択する。数学は受験者が大学入学後、数学を高度に必要とするか、比較的必要度が少ないかで、難易度の違うコースが2つ設定されている。総合科目とは日本の大学等での勉強に必要な文型の基礎的な学力を測る。
日本語能力試験とは、母語が日本語ではない人を対象とした、日本語の資格試験である。日本語を母語としない者の場合、日本の国立大学への留学には日本語能力試験1級を要求されることが多い。また、日本語学校を除いた日本の専門学校に入学するために入国・在留する場合、2級以上、または日本留学試験の日本語200点以上取得者でないとビザが発給されない。日本語能力試験では、①文字・語彙、②聴解、③読解・文法の3つの領域から試験内容が設定されていて、能力別に1級から4級までの級分けがある。
このように日本語学校での学習目標に、日本語の習得はもちろんのこと、高等教育機関に進学するための試験の合格があり、そのために数学や理科を教授している。

参照・鈴木忍 「(2)日本語教育事情」『武蔵野学院大学日本総合研究所研究紀要 Vol.4』2007.3.15.pp.42-52
  ・志水宏吉「裏側のニッポン-日系南米人の出稼ぎと学校教育-」『教育社会学研究第66集』2000.5.15. pp.21-38