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できれば添付ワードの方見てください。帯ついてる部分は自分なりに書いたとこです。
  • ささっと読んでコメントつけたので、もしよかったら参考にしてね。 -- かみつ (2008-11-12 15:19:11)
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政策提言
私たちが、以上の章で述べた現状・背景そして問題意識をふまえると、現在の日系ブラジル人子女が学習言語としての日本語教育を学びやすい環境であるとは決して言えないであろう。来日時の年齢や外国人児童・生徒たちの能力の個人差にもよるが、某公立学校で日本語指導を行う教員に行ったヒアリングによると、生活言語としての日本語は、公立学校に在籍して10ヶ月もすれば習得できるが、学習言語の獲得は年数がかかり難しいという。読み書きなどの高校進学に大きく関係してくる、学習言語としての日本語の習得には膨大な時間と労力を要するのであることを考慮すると、現在もなお外国人児童・生徒を取り巻く状況は大変厳しいものである。また、現状のシステムでは公立学校の教員では手に負えない状況が多く、加配教員などの取り組みも各地方自治体によって異なっており、単年度制で非効率的な状況である。このような状況をふまえ、公立学校に通う外国人の子どもたちに日本語教育を効果的に行い、進学率向上などを目指していく方法を政策としたい。具体的な政策案として、次の2点を提案する。

①センター校設置によるダブルスクール制
②センター校における人材確保

これら内容について、次の第1節・第2節で詳しく解説する。
第1節 センター校の設置による、ダブルスクール制

センター校とは、複数間の学校の中でピックアップされた、外国人児童・生徒へ支援を重点的に行う公立学校のことを指す(太田市の事例で挙げた、ブロック別集中校と制度的にはほぼ同じ)。そこに、ブラジル人児童・生徒の教育を行う拠点を作り上げるという提案である。センター校を設置する対象として、外交人集住都市会議に参加している自治体(100人程度~)を想定する。次に実施する機関は、各市町村などの地方自治体が主体となって行っていく。 その実際の構想は、週3日を目安として、授業時間(例えば、特に学習言語の日本語の理解が必要であると考えられる国語・社会・理科など)に、センター校へ移動し、重点的な学習言語としての日本語教育の習得を目指すというものである。
この政策を行うメリットを、自治体と、在日ブラジル人児童・生徒側の両面から説明する。まず自治体におけるメリットは、従来の公立学校には、日系ブラジル人が点在していた。そのため、予算面からも、全ての児童・生徒を支援するために加配教員を派遣することができないという問題を抱えていた。その上、日本語の指導教員も点在しているために、教育の質にも各学校や地域間でのバラつきがみられていた。しかし、今回の提言のセンター校を設けることにより、日本語指導を希望する全ての児童生徒に日本語教育を提供できる。さらに、その日本語教育を専門とする教員の人材や予算を集中させることとなり、より高質の教育を提供することができるようになる。
次に、ブラジル人児童・生徒のメリットは、ブラジル人への日本語指導の専門と化した学校から教育を受けられるため、通常の公立学校での教育よりもはるかに良い教育を受けることが出来るというものである。これにより、学業についていけずにドロップアウトしてしまう児童・生徒を減らす効果があると考えられる。
しかし、センター校に日系ブラジル人を集中させてしまうと、日本人との分離を促すことになる。これは多文化共生社会にはそぐわないと考えられるため、本章のはじめに記したように、日本語教育を必要とする在日ブラジル人児童・生徒は、週3,4日センター校には通うが、残りは通常の公立学校にも通学する。つまり両方の学校に通うことが望まれる。ダブルスクール制と記したのはこのためである。この政策提言のセンター校のシステムは、 公立学校とセンター校が共に連携して学習言語としての日本語の習得を目指すものであり、日系ブラジル人が社会的に隔離されず、かつ学習言語を習得できる方法である。

第2節 センター校における人材確保
(1) 日本語学校からの派遣

センター校で日本語教育の教授する教員としては、主に日本語教育を専門とするものが望ましいと考える。そこで、日本語指導教員(日本語学校の教員など)を派遣する制度の導入を提案する。現在、太田市のセンター校などでは、外国人児童・生徒の教育支援として、バイリンガル教員採用などを積極的に行っている。しかし、わざわざその流れに乗らずに日本語指導教員派遣を提案する理由は、2つ考えられる。
1つ目は、従来の外国人指導における日本語教育は、専門性が不足していると考えられるためである。バイリンガル教員とは、日本またはブラジルの教員免許を有しており、かつ日本語とポルトガル語の2カ国語を話すことの出来る教員である。しかし、バイリンガル教員という資格には、外国人児童生徒に対する日本語教育の経験や専門性は要求されていない。確かに、年少者に対する教育をするためには二言語を使用できる人材は必要である。しかし、それ以前に、外国人児童・生徒への日本語教育に専門的に携わっていける教員がそもそも必要である。 とはいえ、バイリンガル教員の採用条件の中に、日本語指導経験や専門性を問うことになると、バイリンガル教員数は現在よりさらに減り、労力も増大すると考えられる。そこで、私たちは「ポルトガル語ができ、かつ外国人指導に長けた教員」を募集・育成するよりも、「(バイリンガルではなくても)外国人指導に長けた日本語学校の教員と、他にポルトガル語の出来る人材」を探すほうが簡易であり実現可能性が高いと考える。そうなると、日本語指導教員に加え、子どもたちと日本語指導教員の間の通訳が必要となるため、通訳の獲得も政策に付随するものとして提案する。
そして2つ目は、これからの移民の増加を想定した場合、フィリピンやその他の国の言葉を話す人々も増加することが予想される。そうなったときに、ポルトガル語と日本語しか話せないバイリンガル教員では対応が難しい。そこで、日本語指導教員+通訳という形で教育支援をしていると、通訳を入れ替えるだけで様々な言語の児童・生徒を支援ができ、非常に融通が利く。こういった点からも、日本語指導教員と通訳の設置を提言する。

(2) ピア・リーダー(相談員)

次に、日本語を獲得する際に日本語の指導だけでは不十分だと考え、メンタルサポートや進学相談をするピア・リーダーを提案する。私たちはブラジル人児童・生徒の学習言語獲得を最終目標としているわけではない。それを踏み台とした進学率の向上・さらには日本人との共生を目指していくものであるため、これらの教育機会対策だけでは不十分である。日系ブラジル人児童・生徒へのメンタルサポートや、進学相談が必要になる。そこで、すでに学校を卒業し、高校に進学している日系ブラジル人の生徒に、センター校でのメンタル・サポート、進路相談に協力してもらうという内容のピア・リーダー・プログラムを提案する。日系外国人のメンタル・サポートや進路相談などは、一般の日本人と同じことを施すわけにはいかない。そこで、同じ立場の在日ブラジル人の先輩に会い、話をする機会を提供することで、これを克服したい。文化的・言語的に同じバックグラウンドを持ち、同じ境遇を体験している在日ブラジル人の先輩が相談員として接触することで、日本人の相談員に対してよりも打ち解けられ、相談をもちかけやすい環境となることが期待できる。このプログラムは、予備校などで行われている、卒業生によるチューター制度や、大学における初年時教育を応用したものである。例えば、岩手大学ではピア・サポーター、国際基督教大学ではピア・サポート・プログラムという名称で実施されている。いずれも新入生に対し、大学に適応させるための初期支援を行うというものである。「ピア(仲間)がリーダーとなり、児童生徒を支援していくプログラム」という意味であるが、ここで、大学の初年時教育を中等教育段階まで引き下げてよいのか、言い換えれば、高校生にメンタル・サポートや進路相談は荷が重過ぎるのでは、という意見は考えられる。しかし、彼らはただ単に交流するだけでもよいと考えられる。先輩が高校に進学する姿を見て、日系ブラジル人児童・生徒が高校に行くということに対しての動機付けとなりえる。そういったことから、結果として進学率の向上が見込めるという希望も込めたプログラムである。

以上が提言の内容であるが、今回、私たちが行う政策提言の短期的目標・中期的目標・長期的目標を述べていく。
まず、短期的な目標として、より多くの日本語を必要とする外国人児童・生徒が学習言語としての日本語を習得することを目的とする。その際に、外国人児童・生徒そしてかれらの親にも学習言語としての日本語教育の重要性などを理解してもらう。そして、センター校と公立学校の連携を強化し、分離教育としての教育を進めていくのではなく、より多くの日本人の児童・生徒または教員、そして外国人児童・生徒の異文化間理解が深める機会を提供する。
次に、中期的な目標として挙げられるのが、高校進学率の向上である。学習言語としての日本語をより多くの外国人児童・生徒に習得していくことにより、学習に対する意欲の向上につながり、教育の機会、ここではとくに高校進学率の向上などの教育の機会を増やすことを目標にする。また、日本語教育を専門とする日本語学校の教員が先導して、より多くの日本語教員を養成していくことが目指される。
最後に、長期的な目標としてより多くの外国人児童・生徒がより多くの教育機会を得ることにより、多種多様な職業選択の機会につながっていくのではないかと考える。様々な職業に従事し、この日本社会で私たちと共に協力し、時には競争しながら生活を行なっていく。また、日本語教育を専門とする教員やコーディネーターが、現場に培った経験をさらいいかして日本語教育の教授法の発展につなげていくことが望まれる。そして、外国人児童・生徒の様々な実態調査・年少者の日本語教育や異文化間教育理解教育の継続的な研究を行なう中心的機関となることを目標とする。

第3節 むすびに
今回、私たちは以上のような日系ブラジル人子女に対する日本語教育に関する提言を行った。しかしながら、日系ブラジル人はじめニューカマーとされる人々やなどのその他の受け入れ体制や制度・配慮等のさらなる見直しが必要であると考える。例えば、日系ブラジル人子女に関するものであると、不就学率、日系ブラジル人子女の母語の喪失、家庭間でのコミュニケーションなどの多種多様な解決すべき問題が多く挙げられる。また、ブラジル人学校については設備の不十分さや、さらなる日本語教育の必要性やブラジル人学校と公立学校などとの連携の必要性が考えられる。
そして、日系ブラジル人子女を対象として政策を述べてきた中で、これらの日本語教育の制度や取り組みに対して、多くの教師・生徒そして地域の十分な多文化理解があればこそより円滑に進めていけるものであると考える。そのような環境を共に作り上げていくことが、私たちが互いによきパートナーとしてこの日本社会で共生していくためには必要不可欠であると考える。
また、今回は公立学校における日系ブラジル人子女のみに対する教育の機会の配慮であったが、日本人生徒の中でも家庭の事情はさまざま異なっており、家計の収入を考慮し進学を断念せざるおえない場合や児童・生徒が十分な学習が進められていないといった問題など、公立学校がかかえている状況いまだには深刻なものである。私たちは、子どもたちが平等にもつ教育の機会を学校のみならず、家庭や地域とのさらなる連携を強化して増やしていくべきであろう。そして互いに互いをパートナーとして認め共生できる日本社会をつくりあげていくことが重要ではないだろうか。