1)政策の対象
今回、私たちは公立学校に対象を絞り政策立案を行う。その理由として、日系ブラジル人の定住が長期化しており、公立学校に通っている子どもも多いためである。日本社会で活躍できる人材を育成する場所は公立学校がより適していると考えたため、今回の対象者は日本に将来定住する公立学校に通う日系ブラジルの子どもたちとした。特に日本語指導が必要な外国人児童生徒は全国に存在するが、外国人児童生徒の各学校の在籍数は1人の学校もあれば、数百人の学校もありさまざまである。今回はニューカマーが多い「外国人集住都市会議」に参加するような外国人児童生徒が多い自治体に焦点を当てたい。
(2)問題意識の整理
私たちが、以上の章で述べた現状・背景をふまえると、公立学校において、現在の在日ブラジル人子女が学習言語としての日本語教育を学びやすい環境であるとは決して言えないであろう。現状のシステムでは公立学校の教員では手に負えない状況が多い。それを解決するために、群馬県太田市ではブロック別集中システムが、静岡県浜松市や愛知県豊橋市では加配制が採用されているが、先に述べたような問題もある上、取り組みも他の地方自治体によって異なっており、十分な支援体制は整っていない状況である。これらの点を踏まえ、私たちの問題意識は次のようなものとする。
- 学習言語習得を目的とした日本語指導が十分に行われていない
- 在日ブラジル人児童生徒の高校進学率が日本人児童生徒と比べて低い
これらの問題を改善する政策を提言することにより、3段階の目標を設定する。
1. 在日ブラジル人子女の学習言語としての日本語習得を可能にする
2. 在日ブラジル人の高校進学率の向上
↓↓
3. 多種多様な職業を選択でき、日本人社会で共生できる人材育成
これらを目指していく方法を政策としたい。具体的な政策案として、次の2点を提案する。
(1)センター校設置によるダブルスクール制
(2)センター校における人材確保
これらの具体的な内容を、次の2節・3節で詳しく解説していく。
最終更新:2008年11月13日 15:30